2010年2月19日公開の竹洞哲也監督22本目の作品『青虹』(公開タイトル『超スケベ民宿 極楽ハメ三昧』、改題『快楽民宿 濡れハメ紀行』)。

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脚本は小松公典・山口大輔、撮影監督は創優和、音楽は與語一平、編集は有馬潜、録音はシネキャビン、助監督は山口大輔、監督助手は櫻井信太郎、撮影助手は宮永昭典、協力は加藤映像工房・有限会社TOHOO、現像は東映ラボテック、スチールは本田あきら。製作はBlue Forest Film、提供はオーピー映画。
なお、2010年度ピンク大賞において、小松公典は脚本賞、倖田李梨は女優賞を受賞している。


こんな物語である。ネタバレするので、お読みになる方は留意されたい。

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愛のないセックスを繰り返す男(声・岡田智宏)に愛想を尽かしたOLの森朝香(赤西涼)は、別れることを決意する。そんな傷心の朝香を同僚の女友達二人が旅行に誘う。バニー(AYA)とハニー(倖田李梨)は、政情が一触即発の国からやって来ており、バニーに至っては、日本語すら話せない。彼女たちの国では、常にクーデターの危険と隣合わせだった。
バニーがたまたま持っていた「失恋民宿 路芽路」というチラシを見て、じゃあここだねと安易に決定する三人。

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そんな民宿の一人息子、道後博明(久保田泰也)は浜辺で高校の部活・美術部のスケッチ中。美術部とはいっても、部員は博明と高塚真由(沢井真帆)の二人だけ。顧問(サーモン鮭山)はてんでやる気なし。
真由と博明は一度結ばれた仲だが、ただセックスにがっつくばかりで自分のことをどう思っているのか分からない博明のことを真由は避けていた。
そんな女心など理解できぬ博明は、相も変らぬがっつきぶりで却って真由の気持ちを遠ざけている。

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性に悶々とする息子のことなどお構いないで、父親の博文(世志男)は今日も昼日中から妻の明子(松浦ユキ)とスポーツ・ライクなセックスに興じている。

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そんな路芽路を支えるのが寡黙な板長の川本英二(岩谷健司)で、博明は何かと英二に相談を持ちかけていた。

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そこに朝香一行がチェックイン。久々の若い女客に、博明の下半身はロックオン。仕事の手伝いにかこつけて、博明は何かと朝香の世話を焼こうとする。

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やっと落ち着いたのも束の間、実は父親が国家元首というバニーにクーデター発生の報が入る。バニーとハニーは、朝香を置いて国に帰ってしまう。

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朝香の部屋に夕食を運ぶ博明。一人で食事するのは寂しいからと彼女は博明に言った。色香漂う朝香の表情に、博明の妄想は暴発すれすれ。しかも朝香は酔い潰れて先に寝てしまう。
そんな朝香も顔を引き寄せると、自分の股間に持って行く博明。これでは、完全に犯罪者だ。

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翌日、博明は朝香を誘って取り立てて売りもない町を案内してやった。その姿を目撃して、真由の胸が小さく痛んだ。やはり、この男のことが好きなのだと真由は悟る。
相も変らぬ博明のダメぶりに苛立ちつつも、やはり嫌うことができない真由は、意を決して再び博明と相対した。自分の気持ちをすべてぶつけてしまうと、彼女はもう一度博明を迎え入れた。
しかし、もう一度体を重ねてみてもやはり博明のダムぶりは変わらない。真由の恋は、前途多難の色がありありだった。

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一応は収まるべき鞘に収まった二人。浜辺に立っている二人の元に、また勝手に自分のコンドームを使ったなと博文・明子夫婦が叱責にやって来る。そこにクーデターは誤報だったからと、バニーとハニーが戻って来る。さらには、実は博文に想いを寄せる顧問もやって来る。
それぞれの思惑を胸に、騒がしい一同は不毛な追いかけっこを続けるのだった。

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…酷い、酷過ぎる。
この時期の竹洞組は押し並べて低調で精彩を欠いていた訳だが、その中でも特筆すべきダメ作品である。
斜に構えた濡れ場はいつものことだが、無駄にカオスで悪ふざけの過ぎるキャラの乱発、ともすれば妄想シーンでお茶を濁す展開、そもそも空っぽな人物像では、もはや評価すべき個所が見当たらない。
少なくとも、一度くらいは赤西涼のまともな絡みを挿入すべきだし、真由と博明の関係性は博明の人物像に何もないため、ラストに情緒的な仕掛けを施してもただ空回りするだけである。
最終的に印象に残るのが世志男松浦ユキの重力級の濡れ場とサーモン鮭山の野糞シーンというのは、幾らなんでもあんまりだろう。

素材としては、赤西涼沢井真帆も悪くないし、岩谷健司演じる英二をもう少しストーリーに絡ませるべきである。それにしても、ねえ…。

とにもかくにも、ダメな竹洞組を象徴するような作品。
「空疎」という表現以外、形容すべき言葉が見つからない一本である。