131025-楽園探しの隠居旅(2S)

 金属火道具 鏝火熨斗(1)
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以前に炭火を火室(炉)に蓄え広い面積に適応した熾火熨斗 (おきびひのし) を2種類紹介しましたが、今回は鏝火熨斗 (こてひのし) と呼ばれる小型の物を紹介します、裁縫で細部の皺を延したり形を整えるために使用されたもので、布に当てる先端の面積が小さいので炭火を蓄えることは出来ません、熾きた炭火の中に先端を入れて加熱します、仕立ての専門家が使用したものが多く生地の種類や目的によって数多くの形状が生まれたようですが遺されている数は少ないようです、私もこの分野は不勉強で十分な知識がありません。

 [ 裁縫用鏝火熨斗 No,1 ( W47×L350×H30mm ) ]
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鏝火熨斗としては最も大型で先端も尖っていませんから余り繊細な部分に使われたものではないと思います、木質の柄は赤漆が塗られていますが熱い事を警告する色なのでしょうか、年代は大正時代初期とされています。

 [ 裁縫用鏝火熨斗 No,2 ( W40×L355×H30mm ) ]
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鏝火熨斗としては標準的な形状で先端は適度な大きさと重さがあり、細部まで細工が出来るよう尖っています、木質の柄は拭漆で仕上げています、年代は大正時代中期とされています。

 [ 裁縫用鏝火熨斗 No,3 ( W45×L370×H30mm ) ]

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最初に紹介したものとほぼ同じ形状をしていますが、先端が少し薄手で尖っていません、木質の柄は握り易い様に形状が工夫され赤漆で仕上げています、年代は大正時代後期とされています。

 [ 裁縫用鏝火熨斗 No,4 ( W43×L345×H30mm ) ]
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先端がさらに細身になり尖りも緩やかに丸みを帯びています、使い手のニーズに合わせて色々なバリエーションがあるようです、赤漆の柄も親指を掛ける形状に変化しています、年代は大正時代末期とされています。

 [ 裁縫用鏝火熨斗 No,5 ( W24×L260×H20mm ) ]

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使用された形跡の無い先端が小さく鋭く尖った形状です、金属部分はクロム鍍金が施され木質の柄は赤漆に箔絵という豪華なものです、共箱付きで説明書も入っていますがその名称は「御絹こて」となっていて「新案登録199167番」とも書かれています、絹布に使用するものでしょうか、年代は昭和時代初頭とされています。

 [ 裁縫用鏝火熨斗 No,6 ( W36×L350×H18mm ) ]
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これも使用された形跡が無い変わった形状のものです、前掲同様に金属部分はクロム鍍金が施され木質の柄は赤漆で仕上げています、共箱付きで名称はやはり「新案御絹こて」となっています、年代は昭和時代初頭とされています。