関門“ノスタルジック”海峡

~時の停車場、近代化の記憶~
 古来より陸上・海上交通の要衝であった関門地域は、幕末の下関戦争を契機とした下関・門司両港の開港以降、海峡の出入口には双子の洋式灯台が設置され、沿岸部には重厚な近代建築が続々と建設された。狭隘な海峡を外国船が行き交う景観の中、日本が近代国家建設へ向け躍動した時代のレトロな建造物群が、時が停止したかのように現在も残されている。渡船や海底トンネルを使って両岸を巡れば、まるで映画のワンシーンに紛れ込んだような、ノスタルジックな街並みに出会うことができる。憧れの、北九州は関門の旅。下関、門司港、門司、若松、戸畑へぐるっとひと回り。最後は博多に立ち寄ってみました。

"下関"エリア

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和風意匠と古典主義系のデザイン建築『山口銀行旧本店』sh01

明治9年関門地域に進出した大正9年竣工の元三井銀行下関支店。日本の近代化建築の古典派、分離派、合理派を代表する作風の建築であり、下関にその3派の建築が揃うところに大きな価値があります。正面玄関脇の、ギリシャ建築様式である渦巻状のイオニア式とアカンサスの葉飾りのコリント式を組み合わせたコンポジット式の柱頭をもつピラスターが際立ちます。

レトロな雰囲気を醸し出す下関南部町郵便局庁舎sh02

この下関南部町郵便局は明治33年に建築された現存する最も古い現役の郵便局舎です。隣には、下関の繁栄の象徴、旧秋田商会ビルがあり、この辺一帯がレトロな雰囲気を出しています。

下関に現存する最も古い洋風建築物で外壁のレンガは厚さ60cmという堅固なものです。

夜間のライトアップがいい。『旧秋田商会ビル』sh03

この旧秋田商会ビルは、大正4年(1915)に竣工した和洋折衷のユニークな建築物。屋上には日本庭園と茶室を備えている。西日本で最初の鉄筋コンクリート造の事務所建築であるとともに、わが国に現存する同種建築物としては最古級のもの。隣の下関の繁栄の象徴、「南部町郵便局ビル」があり、この辺一帯がレトロな雰囲気を出しています

赤煉瓦に包まれた日本に現存する最古の領事館旧下関英国領事館sh04

旧下関英国領事館は、領事館として使用する目的で建てられたわが国に現存する最古の明治39年建築。明治期の領事館の様がうかがえる貴重な建造物です。これをきっかけに、明治後期から大正にかけて日本銀行、商社、食品工場群などが続々と関門海峡沿いに開設され、当時最先端の意匠をもった近代建築が林立する街並みが形成されていきました。レトロな感じと、ガス灯がいい。

時代を感じる少し色あせた煉瓦色の『旧宮崎商館』sh05

炭輸出業を営む宮崎儀一が事務所として建てた明治40年の竣工の商館。1階中央のアーチ型エントランス、2階には5つのアーチが連なるバルコニーが特徴の煉瓦造り。赤煉瓦と白い石の組合せが旧英国領事館の意匠に影響を受けたようです。領事館の翌年の建設です今は「ロダン美容室」として使われています。

シンプルモダン美が魅力の『田中絹代ぶんか館sh06

大正13年に旧逓信省下関郵便局電話課庁舎として竣工。この建物は高さを強調する直線と塔屋や窓に見られる曲線による、シンプルかつモダンなデザインが特長です。昭和41年まで局舎として使用されていました。その後平成22年より「田中絹代ぶんか館」として利用が始まりました。

模様が目立つ『蜂谷ビル(旧東洋捕鯨株式会社下関支店)』sh07

蜂谷ビルは「下関における捕鯨業の隆盛を偲ばせる事務所建築」として重要な文化財です。煉瓦造2階建。大正15年竣工。窓の間にある方立にはタイルが貼られ、外壁はモルタル仕上げ。外壁から突き出して設けられた柱形の頂幾何学部には、幾何学模様の装飾が特徴です。


以上"下関"エリアでした。

次は、"門司港"エリアです。

アールデコ調の飾りに大正モダンを感じる『旧門司三井倶楽部』mk01
大正10年に三井物産門司支店の社交倶楽部として門司区谷町に完成。昭和24~62年までは旧国鉄の所有となり、「門鉄会館」として利用されていました。建物は木造2階建でアールデコ調のモダンなデザインが見られるなど大正ロマンの香りを今に伝える建物として貴重なものです。今や門司出身の女流作家「林芙美子の記念室」となています。


八角形の塔屋が美しいモダン建築『旧大阪商船門司支店』mk02

明治8年、門司港は横浜・神戸‐上海間定期航路の就航時代。ここに大阪商船株式会社が進出し、外国へ胸躍らせて旅立つ人々で賑わっていました。「旧大阪商船」は大正初期に建てられた大阪商船門司支店を修復したものです。オレンジ色タイルと白い石の帯が調和した外観と八角形の塔屋が美しい。

超近代タワーの『門司港レトロ展望室』mk03

門司港レトロはもちろん、関門橋や対岸の下関市、日本海まで見渡せる展望室。徐々に陽が沈み、空が赤く染まる夕景は息をのむ美しさで、そこから夜になればライトアップしたロマンチックな景色に変わる。特冬季の門司港の街並みはイルミネーションでロマンチックに輝く。黒川紀章氏が設計したマンションの最上階にある展望ルームです。

茶と白のタイルのコントラストが美しい。国際友好記念図書館』mk04

中国の大連市と門司港は国際航路で結ばれ交流が盛んでした。そして、昭和54年に両市は友好都市を締結し更なる交流を深めてきました。この図書館はその友好都市締結15周年を記念し、大連市の「東清鉄道汽船事務所」を、そっくり複製し建てられたものです。外壁は茶と白のタイルのコントラストが美しく、煙突や屋根に取り付けた窓などのデザインも印象的。

モダンデザインの定番『旧門司税関』

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門司税関発足を機に、明治45年に建設された税関庁舎。昭和初期まで税関庁舎として使用されていました。近代的なデザインとモダンなネオルネッサンス調が交わり非常に奥深い建物ですライトアップされた旧門司税関と木々のイルミネーションが揺れる美しい水面が魅力です。門司港のイルミネーションとともに、オルガンの音色も格別です。

電信電話の歴史を伝える館NTT門司電気通信レトロ館mk06-1

大正13年に建築された、門司における最初の鉄筋コンクリート建造物。放物線アーチと垂直線を基調とし、天井が非常に高く、洗練された大正モダンの姿を今に伝えている。今は、明治から現代までの電信・電話機を展示した博物館。明治33年に東京・京橋に完成された日本初の公衆電話ボックスの復刻版。灯台をモデルにしたデザインで、港町らしいレトロな雰囲気を漂わせている。

白壁の和風建築の岩田家住宅
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岩田家は明治32年から門司港地区で酒類販売を行っていました。住宅は大正10年上棟の木造2階建。この建物は"旧岩田商店"もしくは、"旧岩田家住宅"と呼ばれています。交差点の角にあり、大変目立つ建物ですが、白壁の和風建築に煉瓦の塀がセットになっているのが特徴的です。

ヨーロッパ風の白い壁『ホームリンガー商会』mk08

旧大阪商船の斜め横にあるホームリンガー商会。戦後の築らしいですが、ヨーロッパ風の白い外観が爽やかな印象を与えます。長崎でE・ホームとF・リンガーが設立した英国・スコットランド系の会社で、現在も船舶貨物に関する検査や海上保険のロイド船級協会の代理店です。鉄筋コンクリート造り、2階建。

アールデコ調のデザイン『旧大連航路上屋・松永文庫
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定期航路を結んでいた中国・大連をはじめ、世界各国と密に交流をしていた門司港。1929年に国際旅客ターミナルとして建てられたのが、ここ「旧大連航路上屋」です。幾何学模様を取り入れたアールデコ調のデザインが、当時の門司港の華やかさを物語ります。映画の資料を展示する「松永文庫」があり、文化発信拠点として親しまれています。 

アメリカ式高層オフィスビル『旧JR九州本社ビル』mk10

このしっかりしたレトロビル、昭和12三井物産の門司支店として建てられた鉄筋コンクリート造6階建物。当時は最先端の高層オフィスビルです。その後国鉄に買収され、民営化後はしばらくJR九州の北九州本社だったそうです。規則正しく並んだ窓に、入り口は正面ではなく、アンシンメトリーに右寄り、そして彫刻の施された黒い石。一見シンプルですが、見れば見るほど味のあるビルです。

昭和のアメリカ式オフィスビル『門司郵船ビル(日本郵船門司支店)』
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昭和2年、船会社の日本郵船門司支店として建設。当時は入出港する客船の乗降手続きの事務所でした。改修により外観はかつての装飾性を失いましたが、玄関ホールのモザイクタイル、階段の手すりや照明などから、当時の面影を感じることができます。当時の最新設備、エレベーターを初めて見る市民が長蛇の列を作ったというエピソードも。

明治の赤煉瓦つくりの建物『九州鉄道記念館』
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明治24年に建てられた赤レンガ造りの歴史ある建物、旧・九州鉄道本社。門司港地区最古の歴史的建造物です。内部は半分を吹き抜けの構造で、レンガのレトロな雰囲気を損なわない構成です。その本館は鉄道博物館。蒸気機関車や人気列車の実物展示、実物資料等、触れて楽しめる展示物がぎっしり。

明治モダンの足跡『門司港駅』
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 九州鉄道の起点として明治24年に開業した門司駅の2代目駅舎。この建物はネオ・ルネッサンス調の木造建築です。当時の駅のモダンさを知るにはトイレを覗いて見ると分かります。青銅製の手水鉢や水洗式トイレ、大理石とタイルばりの洗面所、御影石の男性用小便器などはとても重厚でモダンな作りです。あいにく今は工事中。完成は2019年度とか。

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http://hifu-koworks.com/nostalgickannmon2018.ver07/shimonoseki.html


以上"門司港"エリアでした。

次は、"門司"エリアです。

煉瓦造平屋建・赤煉瓦の倉庫群。『ニッカウヰスキー㈱門司工場製造場』

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鈴木商店の大里酒精製造所として始まった大正14年竣工の煉瓦造平屋建。これら赤煉瓦の倉庫群は人々の心を魅了する貴重な佇まいです。その後平成18年にアサヒビールグループの蒸溜酒製造会社であるニッカウヰスキーの焼酎製造工場となりました。鈴木商店はあのドラマ『お家さん』の大正3年創立の世界の商社でした。

大正期の砂糖貿易商の面影残す『関門製糖

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明治36(1903)年に設立の鈴木商店大里進出第一号となる大里製糖所から関門製糖へ。近代化産業遺産。大里製糖所は、現在も関門製糖として110年間経った現在も稼働を続けている。概観も当時のままの煉瓦造りをそのまま維持している。道路を挟んだ原料用倉庫も当時の建物をそのまま使用。岸壁にも当時の面影を感じることができる。

門司赤煉瓦プレイスの『北九州市門司麦酒煉瓦館』
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明治末期、山田弥八郎らは九州で最初のビール会社設立を画策。赤煉瓦プレイスである大里町のこの地に煉瓦造建物群ができあがり、ビールの製造を始めました。これら歴史的建造物の多くは1913年に竣工した帝国麦酒の工場施設です。日本における最初期の鉱滓煉瓦建物であり、現存最古の本格的鉱滓煉瓦建築です。歴史的建造物を未来に伝えるため4棟の煉瓦造施設を活用し、資料館や飲食店として広く多くの方に利用されています。

帝国麦酒株式会社の工場施設『旧サッポロビール九州工場の醸造棟』
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門司駅近辺にはレトロな赤煉瓦の建物「旧サッポロビール九州工場の醸造棟」が聳えます。大正2年建築のレンガ造りの建物です。外観は赤レンガの化粧積であるが、内部は鉱滓レンガ積となっている。外観の主要な部分は石材を使用するなど固有の装飾が施されています。

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http://hifu-koworks.com/nostalgickannmon2018.ver07/moji.html

以上"門司"エリアでした。

次は、"若松"エリアです。
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石炭積み出し港の『若松石炭会館』
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明治38年に建てられた当時の最新式洋風建築木造2 階建。レンガ造りの華やかな外観、平坦な壁面に目地を多用し石造風の表情が与えられている。若松石炭商同業組合の事務所として建設された石炭積み出し港若松の歴史を象徴する建物です。ライトアップされた夜はいっそう美しい。

赤煉瓦造りでルネサンス様式を基調としたの『旧古河鉱業若松ビル』
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旧古河鉱業若松ビルは、大正8年に造られたレンガ造りの洋風建築。当時、石炭の積出港として栄えていた若松の歴史を今に伝える貴重な建物で、近代的なオフィス街の象徴的な存在です。その華やかな外観と近代建築の魅力を凝縮した美しいなめらかな漆喰の壁とが見事に調和がいい。

煉瓦造の重厚な外観。『上野ビル(旧三菱合資会社若松支店)』

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北九州市若松区の海岸通りに建つ上野海運ビルは、旧三菱合資会社若松支店として大正2年に建設され、若松バンド(海岸通り・船着場)の中心的な存在でした。一世紀もの年月を経て、今日まで生き抜いてきたビルです。本館は左右対称の立面構成で、縦長窓を規則的に配した煉瓦造の重厚な外観をなし、対照的に内部は中央を広い吹き抜けとし、装飾付の手摺やステンドグラスを用いて華やかな雰囲気を醸し出している。

若松で最初に水洗トイレが設置された『杤木ビル』
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上野海運ビルと共に、現役で頑張っている大正生まれの造船と船舶代理業を行う杤木商事の本社ビル大正9年竣工の鉄筋コンクリート造3階建です。若松で最初に水洗トイレが設置されたそうです。当時としては珍しい半地下室、自家用浄化槽等を備える栃木造船所(栃木商事)のビルでした。戦後九州造船となりました。

明治、大正期からの営業の『料亭金鍋本館、表門』

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経済人や文化人が集った場所として広く知られる大正6 年竣工の料亭。港湾と鉄道整備に伴って拡大した若松の市街地において、明治、大正期から営業していた多くの料亭の中でも著名な店の一つです。本館は珍しい数寄屋風の3階建てで、重厚な黒漆喰の外観と一部に洋風の意匠を用いた建物。表門は角柱を立て,腕木,軒桁,垂木に丸太を用い,ガラス欄間を嵌め込むなど,近代的な数寄屋風の意匠です。

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以上"若松"エリアでした。

次は、"戸畑"エリアです。
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日本水産(ニッスイ)戸畑ビルの『ニッスイパイオニア館
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ニッスイは昭和4年には下関から戸畑に移転し、水産物供給のための機能を結集しました。戸畑は製氷、冷蔵・冷凍、加工、流通、販売の機能を備える水産物供給拠点となりました。『ニッスイパイオニア館』は、昭和11年建築の『ニッスイ戸畑ビル』に開設しました。洞海湾に面して個性的で魅力ある都市景観の向上に寄与したとして、「北九州市都市景観賞」を受賞しました。

アールヌーヴォー様式の『旧松本家住宅』
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旧松本家住宅は明治45年、松本健次郎氏により住居と迎賓館を兼ねて建築されました。外観・内装に19世紀にフランスで流行したアールヌーヴォー様式を取り入れた洋館と書院造りの日本館で構成されています植物模様など流れるような曲線が優美な雰囲気を醸し出しています

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「博多町家」ふるさと館

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明治中期の町屋建築の価値とともに、博多の伝統産業である博多織の生産・販売とその生活を一体としてみることのできる唯一現存する町屋である。中では博多織の実演や展示が行われている。みやげ処には博多人形から昔懐かしいお菓子や玩具までを揃える。町屋棟は明治20年代前半に博多織元の住居・店舗兼織り場として建てられた旧三浦家住宅を移築復元したもの。

「博多町家」ふるさと館(博多の祭り)
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  映像シアターで「博多祇園山笠」の臨場感を味わおう。

陽気で明るい博多っ子は祭りが大好き。盛大に行なわれるお祭りだけでなく、四季折々、博多のどこかの町で行われています。博多松囃子は福を願って古くから続く素朴な行事「博多どんたく」です。

 

「博多町家」ふるさと館 (博多の町”””)
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明治~大正期の街並の写真と現在の写真(同じ位置)を並べて比較展示しています。失われた記憶が蘇ります。

「博多町家」ふるさと館 (明治博多往来図会人形)
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朝のおきゅうと売りの声で始まる博多の町。往来にはさまざまな商売の振り売り子の声が響いていました。当時の博多の町並みと活気を博多人形で表現しています。

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憧れの、北九州は関門の旅。下関、門司港、門司、若松、戸畑へぐるっとひと回り。最後は博多に立ち寄ってみました。