ヒゲと部屋とわたし 山川恭平のブログ

山川恭平のブログ。 主に役者として活動してます。似顔絵書いたりもする。 日々見た観た読んだ行った思ったあれこれ。

余命90分の男 [DVD]
『余命90分の男』('14)
監督:フィル・アルデン・ロビンソン
脚本:ダニエル・タプリッツ
出演:ヘンリー・アルトマン(昔は家族を愛する良い父親だったが、2年前に長男を亡くしてから非常に怒りっぽくなってしまった男。昔は仲の良い家庭を築いていたが、妻とも次男ともギクシャクしている)…ロビン・ウィリアムズ
   シャロン・ギル(医者。患者と親身に向き合う医者を目指していたが、ただ忙しいだけの今の職場に疲れ切っている。クスリにも手を出している。そこに上司との不倫、愛猫の死など様々な要因が重なってムシャクシャし、ヘンリーに嘘の余命を勧告してしまう)…ミラ・クニス
   アーロン・アルトマン(ヘンリーの弟。ヘンリーと共同で弁護士事務所を持っている。昔はランチの時にサンドイッチを食べながら何でも話すことが出来たが、怒りっぽくなってから何も話せなくなってしまったと嘆いている)…ピーター・ディンクレイジ
   ベティ・アルトマン(ヘンリーの妻。長男のピーターを亡くしてから荒れてばかりで、トミーの夢を認めようとしない夫に愛想を尽かしている)…メリッサ・レオ
   トミー・アルトマン(ヘンリーとベティの息子。次男。ダンス教室の講師をしている。ダンサーになりたいとヘンリーに訴えたが、全く認めてもらえず、それ以来仲違いしている。橋の上で父親にダンスと歌を教えてもらった思い出がある)…ハミッシュ・リンクレイター
   アデーラ(トミーの彼女。ダンサー)…サットン・フォー
   フランク(アルトマン家の隣人。ベティの浮気相手?)…ボブ・ディシー
   Dr.リード(シャロンの同僚)…クリス・ゲサード
   タクシー運転手(ウズベク人のタクシー運転手。ヘンリーの車に追突し、大喧嘩する)…ダニエル・レイモン
   ビックス(ヘンリーの生前葬パーティーに唯一やってきた友人。急に中学の時にヘンリーに好きだった娘を取られたことの文句を言い出す)…リチャード・カインド
   ルーベン(電器屋の店主。吃音症)…ジェームス・アール・ジョーンズ

ヘンリー・アルトマンはとても怒りっぽい性格である。何か気に食わないことがあると、大声で怒鳴り散らし、汚い言葉で周囲を呪った。お陰で家族や同僚からも煙たがられていた。仕事に行く前、ヘンリーは病院に寄った。以前に受けた検査の結果を聞くためだった。しかし、無駄に2時間以上も待たされて、ヘンリーはまたしてもイライラしてしまい、診察担当のシャロン・ギル医師にブチ切れる。だが、シャロンもその日は色々と鬱積していた。忙しいばかりでロクに患者一人一人と向き合う時間が取れない職場環境、妻子のある上司と不倫した挙げ句に仕事を押し付けられ代理出勤、度重なる不満にクスリを服用、恋人はおらず母親も五月蝿い、さらに愛猫が死んだばかりだった。脳動脈瘤であることをヘンリーに告げると、さらにヘンリーは口やかましく言い寄ってきた。余りに強く責め立てられて、イライラしたシャロンは余命は90分であると適当なことを言ってしまい、それを聞いたヘンリーは病院を出て行く。
残り90分で何をすべきか悩んだヘンリーはとりあえず職場に向かう。到着すると、弟のアーロンがクライアントと会議中であった。彼らから、最期の時間は家族と過ごすべきだと聞いたヘンリーは家族の元へ向かうことを決める。だが、ヘンリーと家族間の関係は、2年前に長男のピーターが亡くなりヘンリーが怒りっぽくなってからというもの、すっかり冷えきったものとなってしまっていた…。

終始怒りっ放しのロビン・ウィリアムズが堪能出来るコメディ。原題が“The Angriest Man in Brooklyn”なのだから、それもそのはず。凄く簡潔にまとまった話なので、特にこれといった文句もなし。しかしまあ、余命が短いからって理由でそう簡単に許せちゃうのかぁ、って思うと微妙な気もしてくるのだけど。。
イイ話は嫌いじゃないけど、というかイイ話が嫌いな人ってまずいないと思うけど、だからといって、イイ話にした方が良いでしょ?という制作側からの観客への媚びを感じると、少し鼻白む所はある。家族の日々の鬱積って、意外とそう簡単には覆らないんじゃないかなぁ、と思ったりもする。一番確執の根が深い次男との仲直りシーンがアッサリし過ぎていて、最初夢オチかと思った。
最後の8日間は穏やかに過ごしました。と言いつつ、遺灰をバラ撒く時に家族全員で注意してきた船員を罵倒するラストも、よく考えたらおかしいし。ヘンリーが怒りっぽくなったのは次男が亡くなってからで、それが彼の本質ではないはず。つまり、ヘンリーの怒りって彼の人生のままならなさの象徴で、哀しみの表現でもある訳で、その哀しみが最後の8日間は漸く融解したのに、死後にそれを家族全員で真似するって、微妙じゃね?最後の8日間、ヘンリーは変わらずブチ切れまくっていたけど、それでもどこか楽しそうでした、とかだったら見え方も違った気がするけど。
うーん、簡潔にまとまっているようで、よく考えるとチグハグだな。。

というか、これがロビン・ウィリアムズの最後の主演作で、その後首吊ってしまったという話を聞くと、もっとやりようはあったという気がしてならない。
家族と仲直りするシーンよりも、最後にビデオレターで素敵なメッセージを残そうとしたけど結局腹が立って世の中を罵倒しまくった挙げ句、昏倒してしまう所が何かグッとくるものがあった。

吃音症の電器屋の店主が凄く印象的。あんな吃音症ってあるのか?

(500)日のサマー [DVD]
『(500)日のサマー』('09)
監督:マーク・ウェブ
脚本:スコット・ノイスタッター
   マイケル・H・ウェバー
出演:トム・ハンセン(グリーティングカードの会社で働いている。キャッチフレーズを考える天才。だが、本当は建築士になりたかった。幼い頃に触れたポップソングや映画の影響で運命的な恋というものが存在すると信じている)…ジョセフ・ゴードン・レヴィット
   サマー・フィン(トムの働く会社に新しく社長秘書として入ってきた女性。何もかもが平均的な女性だが、何故か世の男性を惹き付ける魅力を持っている。恋は長続きするものでは無いと思っていて、誰かと深い関係になることを拒む傾向にある)…ズーイー・デシャネル
   マッケンジー(トムの親友。会社の同僚。サマーのことが気になっているトムにパーティーに行くようけしかけたり、何かと気をかける)…ジェフリー・エアンド
   ポール(トムの親友。中学生の時からずっと付き合っている彼女がいる)…マシュー・グレイ・ギュブラー
   レイチェル(トムの妹。しっかり者の性格で、トムに正確な恋愛アドバイスを送る)…クロエ・グレース・モレッツ
   ヴァンス(トムの働く会社の社長。トムの仕事っぷりを大いに評価している)…クラーク・グレッグ
   ミリー(トムの働く会社の同僚女性。トムとサマーは彼女の結婚式に招かれる)…パトリシア・ベルチャー
   アリソン(サマーに振られて傷心中のトムがデートする女性)…レイチェル・ボストン
   オータム(建築会社に面接しにきたトムが出会う女性)…ミンカ・ケリー

トムはサマーにフラれてしまったことでショックを受ける。マッケンジーやポール、レイチェルらが問い質してみた所、そもそもちゃんと恋人になれていたかどうかも怪しい。どうも友達のままでいようと言われたようである。
トム・ハンセンはグリーティングカードの会社でキャッチフレーズを考えるのが仕事であった。トムにはフレーズを考えるセンスがあって、社長にも気に入られていた。だが、元々は建築士志望のトムにとっては、冴えない毎日だった。
ある日、その職場にサマー・フィンという女性が新しく入ってきた。一目惚れしたトムは何とか彼女に近付こうと考えるが、マッケンジーから聞いた情報などから、どうにも脈はないと考える。だが、偶然同じエレベーターに乗った時、聞いていた曲のバンドを「私も好き」と声をかけられる。舞い上がったトムは会社のパーティーで声をかけたりして、徐々に距離を詰めていく。
カラオケ・パーティーの時にサマーが恋は長続きするものでは無いと言ったことを聞いて、トムは運命の出会いというものについて熱弁する。帰りがけ、サマーにトムは自分のことが好きなのか?と聞かれて、うんと答えるも、ちゃんと告白することはしなかった。
だが、次に会社のコピー室で一緒になった時、ふいに彼女からキスされる。その後、IKEAで新婚夫婦ごっこをしたり、ランチピクニックでふざけてペニスと叫び合ったり、ポルノの真似をしてシャワーセックスしてみたり、トムの好きな建築物が一望出来るお気に入りのベンチに連れていったり、とデートを重ねていく。だが、サマーはあくまで真剣に付き合うつもりはないとトムに言い放つ。それに対し、トムも気軽な関係で良いよと応えてしまう。
それでも、トムがサマーの部屋に初めて招かれた時、トムは自分が彼女の運命の相手になれたのだと確かな手応えを感じる。だが、次第にサマーはトムの期待とは違う風に振る舞うようになる。映画を見ている途中で泣き出したり、絡んできた男を追い払うために喧嘩したトムに対し1人になりたいと言ってきたり。トムは俺たちは恋人同士だろ?と問い詰めるも、サマーには友達でしょ?とあっさり言われてしまうのだった。 

サマーがとにかく小悪魔すぎて。サマーは一見、普通の女子なのに、何となーくセンスが良くて、その独特さはきっと俺にしか理解出来ない!って世の中の男が全員勘違いするタイプの女性。この役をさらりとこなすズーイー・シャネル恐るべし。『ルビー・スパークス』のゾーイ・カザンを思い出した。飛びっきりの美人でもないのに、凄くキュートに見えてくるのだから、凄いですよ。
ジョセフ・ゴードン・レヴィットはよくよく見ると、パーツパーツはそんなに整っていないのに、何となく格好良く見えるのが羨ましいですね。情けない男からイケメンまでソツなくこなせる感じ。この俳優さん、好きだ。
そんなジョセフ演じるトムが恋愛でうじうじ悩んでいるところをスパッと冷静にぶった切る妹役のクロエ・モレッツも最高。言っていることがいちいち的を得ていて、何なんだ。お前は何でそんなことを知っているんだ。夜中に駆けつけてきて、落ち着かせるために強い酒を勧めてくるし。色んな所が頼もし過ぎる。

サマーの小悪魔っぷりが恐ろしいところは、本人的には全くトムを翻弄する意図はなくて、自分の素直な感情で動いた結果、トムが色々傷付いてしまっただけで、無自覚なところ。最初は運命的な恋を信じていたのはトムの方で、サマーはそれに否定的だったのを、トムは絶対にそんなことないと説き伏せる。サマーはそれを聞いて半信半疑だったけど、トムと別れてから運命的な出会いを果たして、トムの言う通りだった!となるのだけど、サマーを運命の相手だと思い込んでいたトムは逆に、人生に運命など無く、現実をあるがままに受け入れるしかないのだと悟る。トムの言っていたことは合っていたのだけど、価値観が真逆になってしまうラストが面白い。そして去り際に恐らく恋愛感情はなく、感謝の意味を込めてトムの手に触れて去っていくサマーは矢張り小悪魔。
そして、トムが次に出会った女性の名前はオータムっつって、季節はまた繰り返すのかっつーオチもオシャレ。良い映画でした。

Sin-City-A-Dame-to-Kill-For-final-poster-
『シン・シティ 復讐の女神』(14)
監督:ロバート・ロドリゲス
   フランク・ミラー
脚本:フランク・ミラー
   ロバート・ロドリゲス
   ウィリアム・モナハン
出演:ジョニー(ギャンブラーの青年。腕に自身を持っていて、シン・シティの大物議員ロアークに勝負を仕掛ける。両利き)…ジョセフ・ゴードン=レヴィット
   マーシー(ジョニーが店で遭った若いストリッパー)…ジュリア・ガーナー
   クローニグ医師(ジョニーの怪我を診る闇医者。治療は荒っぽい)…クリストファー・ロイド
   バーサ(ジョニーが水を金を恵んでもらったレストランのウェイトレス)…レディー・ガガ
   ロアーク上院議員(シン・シティの大物。汚職にまみれ切っている。酒場で夜な夜なポーカーに興じている)…パワーズ・ブース
   ナンシー・キャラハン(酒場のストリッパー。恩人のジョンが死亡した元凶であるロアークを怨んでいる。銃の腕を磨いて機会を伺っているが、なかなかチャンスが訪れないことへの苛立ちと時折り襲って来る恐怖のために酒に溺れる)…ジェシカ・アルバ
   マーヴ(酒場に入り浸っている巨漢の男。ナンシーのボディーガードを勝手に引き受けている。凶暴な男で常に暴力を振るうべき対象を探している)…ミッキー・ローク
   ジョン・ハーディガン(前作で死亡した刑事。常にナンシーを見守っているが死人のため、何も出来ない)…ブルース・ウィリス
   ドワイト・マッカーシー(写真家。エヴァと以前付き合っていたが、裏切りに遭い、それ以来恨んでいるはずなのだが、どうしても彼女の魅力に勝つことが出来ない。目の前で誰かが殺されるのを黙って見ていられない性格。ゲイルと過去に付き合っていた)…ジョシュ・ブローウィン
   ゲイル(オールドタウンを仕切る女傑)…ロザリオ・ドーソン
   ミホ(オールドタウンの殺人兵器)…ジェイミー・チャン
   ゴールディ/ウェンディ(オールドタウンで働く双子の娼婦)…ジェイミー・キング
   エヴァ・ロード(大富豪ダミアン・ロードの妻。夫のダミアンと執事のマヌートに暴力を受けているとドワイトに泣きつく。が、その実態はとんでもない悪女)…エヴァ・グリーン
   ダミアン・ロード(エヴァの夫の大富豪。エヴァはとんでもない悪人だとドワイトに語ったが、実態は善良な中年男性)…マートン・チョーカシュ
   マヌート(エヴァに仕える巨漢の執事。屈強な体格をしており、ドワイトのパンチはほとんど効かない。マーヴに片目をえぐられ、金の義眼を入れる)…デニス・ヘイスバート
   モート(エヴァに骨抜きにされた警官。既婚者)…クリストファー・メローニ
   ボブ(警官でモートの相棒。エヴァの本性を見抜きモートに忠告する。後のジョンの相棒)…ジェレミー・ピヴェン
   ジョーイ(ドワイトに浮気現場を抑えられた男性)…レイ・リオッタ
   サリー(ジョーイの浮気相手。オールドタウンで働く娼婦)…ジュノー・テンプル
   ウォーレンクイスト(マフィアのボス。オールドタウンの利権を狙う)…ステイシー・キーチ


ギャンブラーの青年、ジョニーは自分の腕に自信を持っており、犯罪都市シン・シティに堂々と乗り込んでいった。酒場で出会ったストリッパーの少女、サリーの幸運の女神として引き連れて、町の大物上院議員ロアークにポーカーで勝負を挑む。その場に居合わせた警察幹部の忠告も聞かず、ジョニーはロアークに勝ちまくり、大金を巻き上げる。意気揚々と店から出て行くジョニーだったが、恥をかかされたことに怒ったロアークに捕まり、拷問を受ける。
カメラマンのドワイトは、昔の女、エヴァ・ロードから呼び出され、理性では行くつもりは無いと考えつつも、待ち合わせの場所へと向かってしまう。久しぶりに会う彼女は矢張りとてつもなく美しかった。だが、彼女は過去にドワイトのことを裏切ったのだ。出会うや否や、呪詛の言葉を彼女にかける一方でどうしても心は彼女に惹かれてしまう。彼女は今、夫のダミアン・ロードと執事のマヌートから手酷い暴力を受けているという。二度と会わないと彼女に言いながらも、彼女のことを考えてしまうドワイト。結局、マーヴを引き連れてロード家の屋敷へと乗り込んでいき、ダミアンや彼の部下を始末する。だが、エヴァはそこで正体を表し、ドワイトに銃口を向ける。彼女はダミアンの財産が目当てだったのだ。重傷を負いながらも、ドワイトは古巣であるオールドタウンへと逃げ込む。そこで過去の女であるゲイルに何とか助けてもらう。復活したドワイトはゲイル達を連れて、再びロードの屋敷へと乗り込んでいく。
ストリッパーのナンシーは荒れていた。恩人で最愛の人、ジョン・ハーディガンを死に追いやった張本人、ロアーク上院議員が一度は確実に殺せる位置に近づいてきたのに、その時に殺せなかったこと。それ以降、今度は機会を逃さないように銃の訓練をして準備は万端だというのに、なかなかチャンスが訪れないこと。ロアークの脅威に怯えている自分がいること。自暴自棄になり、酒に溺れる自分もいた。ジョンの亡霊に語りかけるも、彼はもういないということを考えると余計に気持ちは荒れていく。それなのに、毎夜毎夜クズどもの前でストリッパーとして股を開かなければならない。ジレンマにナンシーは鏡を叩き割る。そして破片で自分の顔を傷付け、復讐者に変貌したナンシーはマーヴを従えて、ロアークの元へ乗り込んでいくのだった。

方々からシン・シティ2はイマイチ、と聞いていたけど、個人的にもとてもイマイチな出来でした。
ストーリーが明快だった1と比べて、何がしたいのかよくわからん、という印象。前作と同様、今回も三つの話を主軸にしてこの映画は出来ている。主人公はジョニー、ドワイト、ナンシーの三人。前作だと三つの話全て、形がどうあれ愛する女のために男が奮起する物語だったのに対し、全部話の内容がバラバラ。

ジョニーは、ギャンブラーとしてロアーク上院議員に勝負を仕掛け、賭けには勝ったものの、恥じをかかされた恨みでロアークにボコボコにされ、ついでに店で知り合った女も殺されてしまう。何もかも失ったジョニーだが、もう一度金を稼いで、再びロアークに勝負を仕掛け、賭けに再び勝つ。が、今度はロアークにその場で殺されてしまう。
ジョニーの話はマーシーの弔いのための戦いとも言えるかも知れないけど、そもそもマーシーが殺されたのってジョニーが調子に乗ってロアークに賭けで勝ち過ぎたせいだし、マーシーはスロットで勝ちまくるジョニーを見てスゴ〜〜い♡♡って付いて来ただけの安っぽい女なので、ロアークに殺されても、そりゃ仕方ないんじゃんとしか思えなかったので、全然、ジョニーがまたポーカーでロアークに勝っても、またやってるよコイツとしか思えず、殺されてもやっぱり!となるだけで、正直何のためにあった話なのか、さっぱりわからなかった。

ドワイトの話は前作の前日譚。魔性の女にドワイトが翻弄される、という話で任侠でも何でも無い!過去に騙された女に、きっとまた騙されると思いながら会いに行って、まんまと騙されて、悔しいから別のもっと前の元カノに手伝ってもらって復讐しに行く…ってどんだけ格好悪いのよ!しかも前作の前日譚なので、ドワイトやゲイル、ミホが死なないのは分かり切っているので、ストーリー的にもハラハラする所ナシ!エヴァ・グリーンが出てくる度に何故か全裸でプールに浮かんでいるという謎の演出だけが妙に面白い。というか、エロ滑稽でちょっと可哀想。

そして、メインであるはずの、ナンシーのロアーク上院議員に対する復讐劇。これがシンプルに復讐すれば良いのに、ハーディガンの亡霊が復讐なんて止めろと諭しまくるから、復讐したいのに復讐しちゃいけないジレンマでナンシーが酒に溺れていくという謎の葛藤シーンが延々続いて。復讐しなければアル中になっても良いのかハーディガン、という感じなんだけど。最終的にはプッツンして自傷して、傷跡を利用した“闇の狂戦士”のようなコスプレで敵に乗り込んでいく、というよくわからんノリで最終決戦に向かっていく。

今作の三つの話すべてに、前作の主人公の一人だったマーヴが絡んでくるんだけど、このマーヴがまた厄介な存在。何か知らんけど、一人でやたらめったら強い。鈍臭そうなのに全然銃弾は当たらず、向かってくる人間を紙くずのように千切り倒す、無敵のモンスターみたいなキャラとして出てくる。戦闘で人手が足りなくて困ると、主人公たちはみんなこのマーヴを連れていく。でもマーヴが強過ぎて、戦闘シーンが逆に緊張感がなくなっちゃうという困った事態。そもそも、前作であなた死んだんじゃなかったの?っていう物語の時間軸もよくわからなくなる始末。便利な召還獣のような扱いになってる。
変なコスプレをしたナンシーと便利な乱暴オジさんマーヴがロアーク上院議員をぶっ飛ばしても、全然スッとしませんでした。幼気な少女が悪徳議員をぶっ飛ばすから爽快なんじゃないの?傷だらけのヤバいコスプレは全然求めてない求めてない。

モノクロに時おり刺し色、というスタイリッシュ映像スタイルも、何となく美女は刺し色ってだけで、何も効果的でなく、最早なんのためにその映像なのかってのもよくわからんでした。よくわからんけどスタイリッシュ、っていう映像のせいでエヴァ・グリーンの裸はシュールなことになってしまっていた。美人なのに、裸にさせといて何か残念な感じになっちゃうって、最悪だよ!可哀想だよ!

というワケで、巷の噂どおり、2はとってもイマイチだった。
1で出てきた謎の殺し屋とかって何だったんだよ!伏線じゃなかったのかよ! 

円卓
西加奈子『円卓』(文藝春秋)読了。
三年二組の渦原琴子はみんなにこっこと呼ばれる。かっこいい吃音で喋るぽっさんはちゃんと“ことこ”と呼んでくれる。こっこは大人びた雰囲気の香田めぐみさんに憧れていた。その香田さんが眼帯をして登校してきた。ものもらいを周りにうつさないように、隠しているのだという。そして片目を隠しているがために、“えんきんかん”がわからないのだと!ほかと違う、孤独。それに憧れて、こっこはジャポニカ学習帳に“ものもらい”と“えんきんかん”と書きなぐる。こっこは孤独になりたかった。だがしかし、こっこの家族は大家族だし、皆が皆こっこの才能を解する者にあらず。こっこの望みはなかなか叶わないのであった。

西加奈子の本をアメトーークの読書芸人で何人かが推していたので、図書館でさっと選んで読んでみた。そしたら面白すぎてびっくらこいた。
もう、登場人物がみんな可愛過ぎ。帯にこの小説に出てくるほぼ全員の登場人物がイイ感じに紹介されているので、それをそのまま書き写しておく。

石太(祖父) 頑固でひねくれもの。文字好き。 紙子(祖母) 8人きょうだいの長女で、7人を年子で出産、図太い。 詩織(母) 美人で素直、怒りすぎると耳がちぎれそうになる。 寛太(父) 便利屋で働く明朗快活なハンサム、ただしIQは低い。 理子(三つ子の姉) バスケットボール部。風神雷神像の布団で眠る。 眞子(三つ子の姉) ソフトボール部。踊る鶴亀の布団で眠る。 朋美(三つ子の姉)  手芸部。布団カバーに刺繍を施す。戦う龍虎の布団で眠る。 ジビキ デリカシーの無さが鷹揚な雰囲気を醸しだす担任。親や児童に人気。 沢先生 未婚、50歳、レズビアンの保健の先生。 ぽっさん かっこいい吃音の切り込み隊長。 香田めぐみさん 謎めいた大人の雰囲気をもつ、皆の憧れの児童。 ゴックん ベトナム難民の息子で、クラスの人気者。 朴君 在日4世の学級委員、大人びている美少年。 横山セルゲイ ロシア人とのハーフで、9歳にして好色。 ちゅーやん 金持ちだが、「複雑な」家の子。顔は単純。 幹成海 とりたてて特徴のない女子。 鼻糞鳥居 鼻糞を掘っては机のへりにつけ、女子に嫌われる。 菅原ありす 9歳にして胸が発達、生理もすでにきている。 もーたん 手先が器用な、奥目の児童。 たっちん 早熟な女子児童。ジビキに惚れている。 玉坂部長 技術、貫禄ともに相応しい手芸部部長。中3にしてあだ名は「姑」。 森上 理子の彼氏。IQが著しく低く、うっとうしい阿呆。

これらの人々に囲まれて、主人公のこっこは生活している。こっこは孤独に憧れる。孤高の、謎めいた、凡庸な奴らには理解出来ないような某かになりたいと思う。そんなこっこの繊細なセンスを理解しようとせん輩には「うるさいぼけ」と罵詈雑言を吐く。だが、それでもこっこの家族は両親も三つ子の姉もこっこのことを猫可愛がり、それがまたこっこの気に食わない。とにかく平凡やフツーの幸せに反発するこっこなのであった。
しかしまあ、反発出来るということは、それだけ平和だということだ。過度な押さえつけとかが無いからこそ、ありのままに文句を言えるというものだ。平和で、可愛らしい人々ばかり出てくる、ステキな世界観。でも登場人物、みんな暢気に生きていると言うワケでもなく。朴くんやゴっくんやセルゲイやちゅーやん、在日4世だったり移民の息子だったりハーフだったり愛人の息子だったり、それなりに色々あるのも想像つく。幹成海の学校に馴染めなさ、こういうこともある。それなりに皆、何かを抱えている。ぽっさんの吃音、こっこはカッコイイと思うが、それでぽっさんが救われたところもあるが、こっこがぽっさんのカッコイイとこ真似したくて喋り方真似するのは、止めた方が良いとぽっさんはこっこに言う。
ありのままなのだが、冒してはいけない領域には上手いこと触れんようにする。気遣い。色んなもんがあって、ワッて並べてあって、全部好きでなくとも、全部あって、見たり無視したり手に取ってみたり触らんかったり、まあ何か健やかな世界観で、とても面白く、一気に読んでしまった。
他の作品も読みたいと思う次第。 

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