ヒゲと部屋とわたし 山川恭平のブログ

山川恭平のブログ。 主に役者として活動してます。似顔絵書いたりもする。 日々見た観た読んだ行った思ったあれこれ。

2013年05月

ダンシング・チャップリン(DVD) [DVD]

『ダンシング・チャップリン』('11)
監督・構成:周防正行
原作『CHARLOT DANSE TO AVEC NOUS(チャップリンと踊ろう)』
振付:ローラン・プティ
出演:ルイジ・ボニーノ
   草刈民代 
   ジャン・シャルル・ヴェルシェール   
   リエンツ・チャン
   ナタナエル・マリー
   マルタン・アリアーグ
   グレゴワール・ランシエ

   ユージーン・チャップリン
   ローラン・プティ

コリオグラファー(振付家)のローラン・プティがチャップリンへのオマージュとして作った作品『CHARLOT DANSE TO AVEC NOUS(チャップリンと踊ろう)』を映像化した映画作品。

第一幕 「アプローチ」 クランクイン前から60日間の舞台裏の記録
第二幕 「バレエ」 『CHARLOT DANSE TO AVEC NOUS』を再構成したバレエ
 演目 1.チャップリン〜変身
    2.黄金狂時代 映画『黄金狂時代』より
    3.二人の警官
    4.ティティナを探して 映画『モダン・タイムズ』より
    5.チャールストン 映画『犬の生活』より
    6.外套
    7.空中のバリエーション 映画『モダン・タイムズ』より
    8.小さなトゥシューズ 映画『ライムライト』より
    9.警官たち
    10.キッド 映画『キッド』より
    11.街の灯 映画『街の灯』より
    12.もし世界中のチャップリンが手を取り合えたら
    13.フィナーレ


いや、面白い。バレエの動きってすごい。
弱っちいなりに高校で柔道をやっていたので、人の動きには重心が付随するものであるという認識があるのだけど、そんな概念を吹き消すかのように、スイスイと動く動く。
ルイジ・ボニーノの椅子を使ったダンス。
黄金狂時代の草刈民代のステップ。
何じゃこりゃ!?と衝撃だった。

鍛え抜かれた正に筋張って見える筋肉。
トウで立つ脚。外側に向ける姿勢。
どう考えても普通の人間のポーズじゃない。
不自然な立ち姿。
それが何とも言えず、美しかった。

ルイジ・ボニーノさんがとても、60歳とは思えない。
これでも、最盛期の動きよりは格段に衰えているそうだし、実際舞台ではもう『CHARLOT DANSE TO AVEC NOUS』を通して踊ることは出来ないけど、映画ならばということで実現した企画なんだそう。
でも熟練した動きや目を引く存在感は培ってきた時間を感じさせる。
時間は残酷でもあるけど、裏切らない確かなものでもある。

何より、それだけの素晴らしいダンサーである彼に対する尊敬と愛情の念が感じられる作品だった。
もちろんチャップリンに対しても。


滝

奥泉光『滝』(集英社)読了。
 『その言葉を』『滝』収録。

今まで読んだ奥泉作品の中では一番読みやすかった。
『その言葉を』は作者の趣味なのであろう、ジャズに対する愛情が感じられた。
『滝』は組織に置ける人の役割、暗黙の了解というような陰陽、理論的に説明された神秘、そしてその理論を越して人間の心を襲う神秘の恐怖、それらの見えない力が少年たちを苦しめ、成長させる姿が描かれていて面白かった。
まあ、決して結末は明るくないけど、妙な清涼感の残る作品だった。

イージー★ライダー コレクターズ・エディション [DVD]

『イージー・ライダー』(' 69)
監督:デニス・ホッパー
脚本:デニス・ホッパー
   ピーター・フォンダ
   テリー・サザーン
出演:キャプテン・アメリカ(金髪の方)…ピーター・フォンダ
   ビリー(黒髪の方)…デニス・ホッパー
   ジョージ・ハンセン(弁護士)…ジャック・ニコルソン

コカインの密輸で大金を得た二人は謝肉祭に参加するためにニューオリンズを目指す。

自由を渇望する人達とそれを阻害する周りの人々。
何はともあれ、“自由”を描きたかったんだなあ、ということはわかるけど、
何だかすごい冷静に見てしまった。

この映画では、主人公達は自由の体現者で、その周りはそれを良しとしない世間の空気、ということで、保守的なきちんとした感じと、革新的な自由を求める感じの対立という構造なのだろう。
実際の世界もこの映画が作られた当時は、こんな風にわかりやすく自由は迫害されるもんだったのだろう。

でも、まあ外国の事情は知らんとして、これを見た今の自分は少なくとも相当自由だな、と思える境遇にいて、しかもそれがとても普通ーのことそして享受している状況だから、
主人公達に共感も特にしなかったんだよな。

周囲からものんべんだらりとした自由を束縛する!というような圧力を受けたこともないし。少なくとも自分はふんわり自由を謳歌している。今も昔も。

まあ、だから“自由”を憎むべき対象であるかの如く、撃ち殺してしまうというラストには驚いたのだけど、そうした感情の激しさ、というのは今の時代にはないよな。
これが自由を得たということなのかはわからないけど。

ジャック・ニコルソンが現在の姿と違い過ぎて言われてもわからないです。

アンソニーのハッピー・モーテル [DVD]

『アンソニーのハッピー・モーテル』('96)
監督:ウェス・アンダーソン
脚本:ウェス・アンダーソン
   オーウェン・ウィルソン
出演:アンソニー(心を病んでいた主人公)…ルーク・ウィルソン
   ディグナン(アンソニーの悪友・強盗を画策)…オーウェン・ウィルソン
   ボブ(兄貴コンプレックス)…ロバート・マスグレーヴ
   イネス(モーテルで働くパラグアイ人女性)…ルミ・カバソス
 
無職で何となく心の病?で入院していたアンソニーは、悪友ディグナンに唆されて彼の言う75カ年計画に乗っかり、兄貴コンプレックスで少々頭が悪いボブを運転手に迎え、+アルファ愉快な仲間達と共に究極の強盗作戦を敢行する!

ウェス・アンダーソンの初監督作品。これにてウェス・アンダーソン監督作品はコンプリート!
初監督作品ということで、まだ後発のウェス・アンダーソン作品に見られる特徴は散見出来ない。
こだわり抜かれた小道具やセットとか。それだけで画になる綺麗な色使いとか。小道具に寄るカメラアングルとか。 

でも、全体に漂うスッとぼけた雰囲気、というのは既にあって。 
それがとても好き。

今作においてその味を十分に引き出しているのはオーウェン・ウィルソンだな。
顔の造詣的にはハンサムの部類なのに、微妙な頭身と何故か常にちょっと開いてる口元が可笑しい。
すごい好き。

原作の題名のbottle rocketより和名での題名の方がアホっぽくて良いね。
実際花火よりもモーテルの話だって言った方がしっくりくるし。 

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『ブルーバレンタイン』('10)
監督:デレク・シアンフランス
脚本:デレク・シアンフランス
   ジョーイ・カーティス
   カミーユ・ドラヴィーニュ
出演:ディーン(その日暮らしに稼いで、少々のお酒があれば満足。家族大好き)…ライアン・ゴズリング
   シンディ(医学部で学び、現在も病院勤務)…ミシェル・ウィリアムズ
   フランキー(シンディとディーンの娘)…フェイス・ワディッカ
   ボビー(シンディの昔の恋人)…マイク・ヴォーゲル

ペンキ塗りの夫。病院勤務の妻。
日雇いに近い今の仕事に満足な夫。キャリアアップを目指す妻。
自分の子供じゃないけど、親になった夫。親であるために、自分の才能を殺してるのでは、と思ってしまう妻。
酒を朝から飲む夫。大人になって欲しいと思う妻。
現状に満足している夫。夫に変わって欲しいと思う妻。

夫婦がすれ違っていく話。

ありがち、な感じだと思う。
きっと夫婦はどこもこれと紙一重なのではないかしら。
愚痴を言える友人がいる、とか、発散出来る趣味がある、とか
そういう家庭内を保つためのバランスっていうのは、ギリギリの所にあるんだろう。

今は昔に比べて別れることが世間の認識的にやりやすくなってきているから、
“別れる”という選択を選ぶ人も増えているんだろうけど。。

それにしても、ライアン・ゴズリングは名優ですなあ。
というか、役の作り込みハンパない。
多分、今回自分で髪の毛千切ってるよね(剃ってるんじゃなくて、千切ってる!)。
毎回作り込むから、何かしらの陰を背負ってる感は出てしまうんだけどね。


鼻汁が止まらない奇病に冒され、マジで困る。
ハナではなく、本当に水のような“鼻汁”がちょろちょろと出続けるのだ。
別に頭痛とかはないから辛くはないけど、非常に恥ずかしい。
まあ、そのまんまバイトしたけどな!(接客業!)


周防正行のバレエ入門
周防正行『周防正行のバレエ入門』(太田出版)読了。

バレエ入門、というより
奥さんを通じてバレエの魅力に取り憑かれちゃった旦那さんのデレ日記。

でもただデレてる訳でなく、ちゃんとバレエに関して無教養だった時代から草刈民代という今の奥さんに出会って徐々にのめり込んでいったのだ、という流れが書かれているので、
読んでいる方も共感しやすい。

バレエの興行の仕方やダンサーの収入の得方など、演劇とも通じる話もあり。

バレエを一度見てみたくなった。
とりあえず、『ダンシング・チャップリン』を借りてきたから近々見る予定。

大阪アースダイバー

中沢信一『大阪アースダイバー』(講談社)

結構前に読んだ『アースダイバー』が面白かったので、借りてみた。

中沢信一の本は好き。思想家の文章って面白い。商売人と漁師は似ていると言われても、そのままでは ? となるが、不定形でゆらゆら揺蕩うものを扱う人達と言われると なるほどねえ となる。
兎角即物的にものごとを捉えがちな日常に、新たな視点が齎されて楽しい。
思想家とか芸術家の仕事ってそういうことなんだと思うけど。

という訳で中沢信一好きとしては今作も基本的には楽しく読んだのだけど、
前作よりかはピンとこなかった。

これは、今作が実際に見知った土地である東京ではなく、大阪が舞台ということもあると思うが、それ以上に“差別”という概念があまり自分の中にしっくりとこないのだな、ということに気付いた。

“差別”したこともされたこともない、という程無垢ではないけど、
少なくともそれだけで人を判断したことはない…と思う。“差別”と聞いても うーん…わからん。 て感じ。
知らないことやわからないこと自体が幸か不幸かは尚更わからない。



ボビボビ。稽古7日目。
感情入れつつテンポよくやるのって難しいな。



稽古後、とある打ち合わせ。
結構先の話だけど、今からワクワク。
中2レベルの下ネタできゃっきゃしてたらてっぺん越え。

それでも走ったら終電に何とか間に合った。
と思ったら、乗り間違えていたようで、自宅最寄り駅の遥か手前までしか行かないやつだった…

仕方ないので、始発までマックからガストへと時間潰し移民。長袖持って来なかったにも関わらず、こういう日に限って寒い!
しょうがないので読書して時間を潰す。こういう時に本を持ってて良かった。でも本を持ってて上着ないって何だ。そこら辺は深く考えちゃダメ。

アジア新聞屋台村

高野秀行『アジア新聞屋台村』(集英社)

実体験エッセイ風小説。

あーこの人の本ホント好きだわ。
毎回期待を裏切らない。
何だろう、『水曜どうでしょう』のようなグダグダ感。
『僕の小規模な生活』のような大したドラマはない感。
それでいて、毎回、何となく切ない。

それはこの人の、異国の人々に対する距離感かも。
異国の人とのふれあいで気付く、慣習や常識の違い。
それによって我々日本人も、見習うべきポイントがある、と言いつつも、
最終的には彼らと自分は違う世界の住人なのだ、という結論。
それは諦念ではなく、違う地で育った者同士、当然の帰着点のような感じで。
互いの生き方を尊重すると、そうなるのだ、というような。
異国人の方々の生き方にシンパシーを感じる作者だけど、日本で住んでいくからには一緒にはいられない。だから彼は去って行く。
そんな風に清々しくも後ろ髪引かれつつ去って行く姿が何とも愛おしく、切ない。

何とか始発までこれを読んで乗り切りました。

久しぶりに整体に行った。
特に何をしたという覚えもないのだが、身体がガチゴチになっていた。
首・肩・腰コリッコリだった模様。猫背気味なのも良くないと。
iPhoneの場合、見るときに首を傾け気味になるので、首を痛めやすいんだと。
あと、肩が凝りやすいようだ。適度に肩をぐるぐるストレッチすべし。
筋トレはしていても、やはり運動不足であることは拭えないのか。。

気が向いたら怪しく動いてはいるのだが、何かちゃんとした運動はないものか。

アバウト・シュミット [DVD]

『アバウト・シュミット』('02)
監督:アレクサンダー・ペイン
脚本:アレクサンダー・ペイン
   ジム・テイラー
出演:ウォーレン・シュミット(保険会社を定年退職した男)…ジャック・ニコルソン
   ヘレン・シュミット(ウォーレンの妻)…ジューン・スキップ
   ジーニー・シュミット(ウォーレン・ヘレンの娘)…ホープ・デイヴィス

   ランドール(ジーニーの婚約者)…ダーモット・マルロニー
   ロバータ(ランドールの母親)…キャシー・ベイツ
   ラリー(ランドールの父親)…ハワード・ヘッセマン
   
   ジョン・ラスク(キャンプ場で会った男)…ハリー・グローナー
   ヴィッキー(ジョンの妻)…コニー・レイ

   レイ(ウォーレンの親友)…レン・キャリオー

長年勤めた保険会社を定年退職したウォーレン・シュミット。それは良いが、家にいてもやることがない。しかも、妻の言動には何かとイライラするし、娘の婚約者は気に入らないはで、何かとストレスが溜まる。ある日、何気なく見てたテレビに貧しい子供を支援するチャリティ団体のコマーシャルが流れ、ウォーレンはそれに申し込む。かくして、ンドゥグという少年の養父となったウォーレン。ンドゥグに宛てた手紙を書いていくうちに、自分の不満を吐き出していることに気付く。

しみったれたオッサン映画。
自分にはロクな価値もねえとやさぐれて、奥さんが亡くなったら家事も何も出来ない。
娘の結婚相手の家族がとんでもない奴等だとわかっても、それを止めることも出来ない。
大した不幸でもないけど、全然ハッピーな感じではない。
じゃあ失敗した人生だったかというと、そんなこともなく。
ありそうな話。
というか、大概の人がこんな感じに、不幸でも幸せでもない、凡庸な感じに生きていくんだろう。

その凡庸な人生にせめてもの彩りを加えようとするために、結婚式とか、イベントはあるのだ。
全然祝福の気持ちなどない父親が、それでも精一杯スピーチをする姿は何とも胸を打たれた。

ずっと座りながら見てはいられなかったので、適当に動きながら見ていた訳だが。
5 6年前だったら感じなかった身体の不遇を呪いながら、ストレッチになっているのかもわからない動きをしながら見るしみったれた映画。
腰痛拡散の似非エアロビをしながら、人生の悲哀を噛み締めた。 

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