2021年10月27日

色覚

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「色がよく分かんないんです。」
 中学年のその子が、それに気付いたのは、オンラインゲームを友だちと楽しんでいた時だった。“緑色の車に隠れて”という指示が分からなくてステージクリアに失敗したと言う。
 指導室のくみくみスロープで、実態把握を試みた。部品の色の識別に問題は感じられなかった。
 考えられる可能性が二つ浮かび上がった。
 ①微妙な色彩の名称を言い表せない語想起の弱さ。
 ②特定の色の識別が苦手な色覚認知の弱さ。
 情報端末を使って、『色の見分け方』をキーワードに検索をかけるよう促した。
「ウノのカードで色を覚えるってページが出てきました!」
 その子が見つけた情報は、幼児に色を覚えさせる手立てとして紹介されていた。ウノをした事が無いと言うので、ゲームの説明をする事にした。カードの画像をモニターに出した。
「ウノは色と数字に分かれているわけだ。赤の2はどれ?そうだよね。黄色の1は?そう。じゃあ、緑の5は?」
 そこで、その子は固まった。緑のカードはオレンジに見えるのだと言う。
「保健室に行こうか。」
 養護教諭に事情を話し、色覚検査のオーダーをした。ところが今は、保護者の同意が無ければ、検査が出来ないのだと言う。ボクが就職した頃は、色覚異常を理由に職業の選択が限られていた。遺伝的要因が大きい色覚の弱さはデリケートに扱うようになっていた。昔の小学校では全員に行っていた色覚検査が希望制になったのは、そうした経緯と背景があるようだ。
 一方で、自身の色覚の特性を知らずに余計な苦労を背負い込んでしまうケースもある。適切な配慮があれば、快適な学校生活を送れる可能性がある。
 授業参観で来校された保護者に、事情をお話し、色覚検査を受けることを勧めた。親族に同様の症状があるというお話をされ、検査に了解をいただいた。
 差別に繋がる恐れがあるという事で、検査をしなくなった結果、不利益を被ってしまう。難しい案件だなと感じた。


higeoyagi1109 at 06:00|PermalinkComments(0)出来事 | 特別支援教育

2021年10月25日

過敏

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「廊下から、他のクラスの声が聞こえてくるのが気になる。」
 最近の困りを尋ねたところ、その子はそんな話を始めた。
 感染対策で、教室のドアは常に開け放たれるようになった。しかし、その子の座席の位置は、廊下に近いわけではない。声が気になるのは、家に居ても感じると言う。これらの事から、聴覚の過敏さが顕著になったと見立てた。
 さしあたっての対処策として、耳栓を提案した。運動会のスタートピストルで使う耳栓を調達して、試してもらった。
「全然ダメ。音がダダ漏れしてくる。」
 ボツ。
 家では、イヤホンで音楽を聴いて誤魔化していると言う。どうしたものか?
 同僚から、ノイズキャンセリング機能のイヤホンを紹介された。それをお借りして試してみる事にした。
「これはイイ。全然違う♪」
 お試しを続けて、効果が実証されたら、保護者に紹介する事になった。
 感覚の過敏さに依る困りは、かなり多いはずなのだが、あまり話題にならない。蛍光灯をまぶしく感じたり、服のタグがチクチク痛かったりするのは、多くのヒトが経験しているのではなかろうか。苦痛に感じる過敏さは、本人にしか分からないから、共感するのが難しい。それが感覚の過敏さへの配慮が周囲に気付かれない背景になっているのだと思う。


higeoyagi1109 at 06:00|PermalinkComments(0)実践紹介 | 特別支援教育

2021年10月20日

出口

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 ボクの通級指導教室は観察と分析を中心に運営している。通常学級で困りを抱えている子の背景要因を分析して、処方を提案している。通級指導では、困りの改善に至らないと見立てた子は、支援学級への転籍をお勧めした。通級指導教室は、特別支援教育への入口の役割を果たしてきた。
 一方、支援学級に在籍している子の中には、困りが軽減し個別指導の必要性が薄くなっているケースもある。そうした子に尋ねてみた。
「最近、調子いいよね。◎◎学級のお勉強は、終わりにしていいんじゃないかな?」
「うーん、困ってるコトは無くなってきたんだけど、まだちょっと不安かなぁ…。」
 せっかく安定した学校生活を手に入れたのに、それを手放す不安は、子どもにも保護者にもある。教員にとっても、支援のフェードアウトは、最も指導の力量を要する分野でもある。
 支援をフェードアウトするシステムとして、通級指導教室を活用できないだろうか?通級指導は最大8時間の個別指導が可能だ。在籍を通常学級に変更する橋渡しとして、通級指導教室の利用を促すのだ。これは、特別支援教育の出口の役割になる。
 切れ目のない支援は出口を作ることで循環し、個別最適化の学びの具現化になる。出口が可視化される事で、特別支援教育に対する保護者の抵抗感も軽減するのではなかろうか?
 これは、ボク一人では物理的に出来ない。通級指導教室の担当教員の複数配置に向けて、色んな方と相談してみようかと考えている。


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