ひげおやじの秘密小屋


2011年03月

『急性被ばく』と『慢性被ばく』、また『局所(部分)被ばく』と『全身被ばく』について

テレビでも『被ばく』に関して細かく情報が流れていますが、テレビにしても現時点で一番大事な情報を流すことしかできない模様。 ですので、現状で皆さんが疑問に持ちそうな部分、今後出てきそうな言葉を予想して出来る限り簡単に説明してみます。

■『急性被ばく』と『慢性被ばく』
報道でも放射線量の値にきちんと単位時間をアナウンスするようになってきましたが、ここで気になるのが1時間あたりの被ばく量(/h)と年間あたりの被ばく量(/y)に関して。 ここで『急性被ばく』と『慢性被ばく』の切り分けが必要となってきます。 勘違いされている方もいますが、ある程度の放射線量においては放射線により細胞が傷ついたとしても細胞は直ります。 だからこそ放射線業務従事者などにも年間に被ばくしても許される線量が設定されている訳です。 ちなみに「放射性物質は?」とか「内部被ばくと切り分けないと」と思う向きもあるかもしれませんが、こと本説明に関しては結局放射性物質から発せられる放射線量の問題なので関係ありません。 ただし違う話もあります、詳しくは次のキーワード『局所(部分)被ばく』と『全身被ばく』も参考にして下さい。

では本題に。 『急性被ばく』と『慢性被ばく』は文字通り“どのくらいの時間で被ばくをしたか?”で切り分けられます。 現状でテレビや政府公式で被ばくに対しての説明(一時的な白血球の減少など)は主に『急性被ばく』に関しての説明で、これにより発症する症状を『急性放射線症』と言います。 症例としては1999年に発生した『東海村JCO臨界事故』などが有名で、推定1〜20Sv(100万μSv〜2000万μSv)もの重度の被ばくをした3名のうち、2名が死亡するという惨事でした。 ただし上述しましたが細胞には修復機能がある為、同じ放射線量を被ばくしたとしても『急性被ばく』よりも『慢性被ばく』の方がとても症状が軽いのです。 これを『線量率効果』と言います。 これ自体を説明するのは、なかなか難しい話になってしまうのですが、1つ確実に言えることは現時点で時間単位で測定された数値を年間(24時間×365日)に変換し、かつ『急性放射線症』の症例をもって危険性を主張するのは少々乱暴であるということです。 現在でも時間経過により測定される値は分単位で変動し平均化すると減少傾向にありますし、もう暫く様子を見守る必要があるのではないでしょうか。

■『局所(部分)被ばく』と『全身被ばく』
続いて『局所(部分)被ばく』と『全身被ばく』に関して。 こちらも読んで字の通り放射線を全身に浴びるか、部分的に浴びるか、という話になります。 人間の体は放射線に強い部分・弱い部分があり、どこに浴びたかも気にしなければいけません。 例えば眼球や内臓などは弱い部類に入り、反対に歯や皮膚は強い部類になるかと。 こういった局所(部分)ごとへの放射線の影響を考える場合に『局所(部分)被ばく』という言葉を用います。 が、正直な話、よほど特殊な環境でない限り現状では外部からの被ばく、つまり『全身被ばく』だけを気にしていれば特に問題はありません。 ただ念のため、今後(といっても全国的な問題には成り難い話ですが)問題視されていくであろう『内部被ばく』に関しての話ありますので、これを『局所(部分)被ばく』と絡めて説明します。

ネット上のデマとして”某うがい薬の服用を促す”話が広まり注意されています。 これは甲状腺に留まり易いヨウ素に関して、今回の原発事故により飛散されるだろう放射性ヨウ素への対応策として呼びかけられたことが発端です。 つまり甲状腺に留まった放射性ヨウ素からの放射線により、甲状腺を中心にした被害が出るということです。 これを今回ザックリと当てはめると、放射性ヨウ素による『内部被ばく』であり、甲状腺への『局所(部分)被ばく』だとも言えます。(本当にザックリとした説明で申し訳ない) ただし体内に入った場合にのみ『局所(部分)被ばく』と言うわけではなく、指先や足の裏に付着した場合にも言うことがあります。

もう1点注意すべきこととして、『局所(部分)被ばく』と放射線の種類の問題です。 例えばα線や中性子線は非常に強い放射線で『内部被ばく』した場合に大きなダメージを得てしまいます。 またその為、上述した『線量率効果』も期待できません。 ただし、α線はプルトニウムなどから放出されるため、(今後、注意は必要ですが)拡散量が少なく、空気中でも数センチの飛程(ひてい:放射線が飛ぶ距離)であり『外部被ばく』時は特に考える必要がありません。 また中性子線に関しては核分裂反応が収まっているため、(可能性は非常に低いですが)再臨界でもしない限りは気にしないで結構です。 反対にベータ線、ガンマ線などは屋外では遮へい(放射線を遮ること)が簡単ではありません。 現在、原発から20〜30km圏内では目張りをした屋内への退避が呼びかけられていますが、これは放射性物質を落とす(いわゆる『除染』)のが比較的困難な『内部被ばく』を防ぐと共に、ベータ線・ガンマ線からの外部被ばくを防ぐためにも必要となるのです。

さて、色々と書いてみましたがまとめて説明をするのが本当に難しいですね。 一つの説明をするには更に他の説明が必要となりますし、なるべく簡素に書きたかったのですが、相変わらずとっちらかってしまいました。 最後に念のため。 まだまだ不安な日々かもしれませんが、その不安が幾ばくかでも解消されればと書いてみました。 だからと決して楽観視はせず、しかし極度な恐れは抱かずに頂ければ幸いです。

なお、本記載に併せ、以下のまとめがとても勉強になるので参考にどうぞ。
@popeetheclown 氏による被ばくによる健康への影響のまとめ

過去に書いたもの
福島原発に怯える皆さんへ(非被災者向け)
福島原発問題
改めて、今回の地震と原発について

福島原発に怯える皆さんへ(非被災者向け)

何かテレビを見てもネットを見ても「大変だー、大変だー」とビックリしちゃいますよね。 不安になっちゃう人も多いと思います。 という訳で、個人的に今一番注目すると良いのはコチラじゃないかな? という情報元をご紹介。

東大病院で放射線治療を担当するチーム。
医師の他、原子力工学、理論物理、医学物理の専門家がスクラムを組んで
今回の原発事故に関して正しい医学的知識を提供していきます。
http://twitter.com/team_nakagawa

原子力関連というのは他の学問に負けず劣らず多岐にわたって勉強が必要な学問で、物理学は勿論、化学・生物、果てには法学なんかまで必要になってきちゃいます。 んでまぁ事故当初から最近までは「原子炉どうなんの?」という話がメインでしたが、現状では「自分にどういう影響が?」ってことの方が気になっていると思います。 理論などの物理学・化学的なアプローチから生物学的なアプローチへ、つまり求められている情報発信者の質が変わってきているのです。 そういう意味で上記のチームからの情報というのは非常に分かり易い筈。

ついでに言わせて貰うと、今自分が一番心配しているのは皆さんのメンタル面です。 まぁ原子力なんて良く分からないし目に見えないし不安が募ると思うんですよ。 テレビでの説明も酷く怖い感じですし……。 例えば屋内待避に対しての説明も何かモノモノシイですよね。 ただ言わせて貰えるとアレって要は花粉症対策と同じ行動なんですよ。 体に付かないように、付いたら洗い流して、とね。 こう言われると気が楽になるでしょ? でも言えないんです。 だって楽観的に取られて何かあったら困りますもの。 まぁ結局、厳密に正確に少しでも情報を受け取った人にリスクが発生しないように、と考えていくとああいう感じにせざるを得ないってこともあります。

ですので気が滅入ること多いと思います。 それにヤられてしまう前に、何かしらご自身でリフレッシュされることをオススメします。 自分の放送では「(不安が募る人は)旅行感覚で、南の方のラドン温泉や放射能泉でラジウムでも吸い込んで健康的に被ばくしてきなよ」なんて言い放っておりますが、これ割とガチです。 心配だ、大変だ、とストレスでヤられる前に何かしらで体を休めて下さい。 現状では全く影響のない放射線からの被害なんかよりも、そちらの方が確実に実害ありますので。 「遠出はなぁ」というのであれば近所のお店で食事でもどうでしょう? こんな情況でも開店している店舗は沢山ありますし、にも関わらず客足も遠のいて困っているみたいです。 食材は豊富にありますし経済を回すって意味でも有意義かと。

相も変わらずとっちらかっており失礼しました。

過去の記事
福島原発問題
改めて、今回の地震と原発について

福島原発問題

次から次へと困ったものです。
自分が住んでいる東京も不安がる方は多く、あれまぁと思う次第。

先の日記を書いた際には、そもそも「シーベルト」という単位が何か分からない方も多かったと思いますが、テレビでも相当に情報が伝えられておりますので、皆さんある程度の知識も(不本意な形ではありますが)身についたかと思います。

さて次にこだわりたいのも単位の話です。 今はテレビでも"毎時(/h)"と言う書き方が多くなっていると思いますが、これは1時間当たり、という意味です。 つまり「400mSv/h」となれば1時間そこに居座り続けると400ミリシーベルトの線量を浴びるよ、という計算です。 これがまた面倒なイメージを起こしがちです。 先にも書いた通り毎時、つまり1時間居続けた結果、これだけの放射線を浴びるよーって話なんですが、テレビで報告される放射線量の値はピーク時の値であることが多いです。 例えば400mSv/hが測定された福島第一原発でも20分後の再測定では放射線量が大幅に減少しています。 ってことはそもそも400mSv/hではなくなったってことなんですよね。 単純に20分後の測定値を足して2で割って平均化しても良いですし、減少傾向を予測してより正確な数字を出しても良いと思います。

また放射線量は距離にも依存します。 遠くに離れれば離れる程に放射線量は大気で薄まり弱くなっていきます。 例えば本日東京では1μSv/h(0.001mSv/h)という値が検出されたぞー! とニュースになっていましたが、これは多分1015μSv/hという値を叩き出した福島第一原発1号機の爆発で流れてきたものじゃないか?と推測されます。 つまり福島から東京へ飛んできた結果、1015 が 1 になったって予想です。ちなみに100km離れた東海村は5μSv/hだったとか。 随分と薄くなっていますよね。 こう考えることで、直面する不安はいくばくかは楽になるんじゃないかと思います。

で、次に不安になるのは「といっても東京に住んでいる訳で、そこで生活したらヤバくね?」という点。 まぁそうなりますよね。 で、ここで気にすべきは福島原発の放射線量の推移です。 20分後に大幅に減少していることからも、常に高い放射線量の測定値を叩き出すとは考えにくい。 ぶっちゃけた話、東京でミリシーベルト相当の測定が24時間以上計測され続けない限りは、人体への影響は限定的と推測されます。 限定的って言い方がやらしいですね、まぁザックリ言えば何かしら被害あるかもしれんけど、後々回復する範囲だよってーことです。

どさくさに紛れて更に乱暴を承知で言わせて貰えるならば、このまま居続けたら放射能に殺される!ヤバイヤバイと言うのであれば、あなたが口にしている酒や煙草をやめろと思わなくもない感じ。(乱暴と言いつつ若干尻つぼみ……、そりゃそうです、だって俺は酒も煙草もたしなむジェントルメンなのですから。)

というわけで乱文失礼。 前回に引き続き繰り返しとなりますが、別に「楽観視しろ!」という話じゃないことは念を押しつつ、冷静な判断の元、行動頂ければパニックにならないかと思いますので宜しくお願い致します、という感じで一つ。

あと放置気味で申し訳ないです。 最近の主戦場はブログからニコニコ生放送にシフトしていますので、何かご質問ありましたらこちらにて。(つってもこちらでもロクな放送していませんが)

http://com.nicovideo.jp/community/co7201

改めて、今回の地震と原発について

現在も被害が拡大している「東北地方太平洋沖地震」ですが、皆さんとりあえず冷静な対応をお願いします。

そして地震の話題からスライドし、ネットでは原発に関しての情報が錯綜している感があります。 決して楽観視しろという訳ではありませんが、テレビの情報を見ると不安を募らせる方もいるかもしれません。 そこでこれに関して自分が言える範囲で改めてお知らせを。

そもそも原発から放射線が漏れている、という話であれば多くの皆さんには全く関係がない話と思って貰って大丈夫です。 というのも放射線とはエネルギーであり、空気中を飛ぶだけでもそのエネルギーは減衰していきますので。 分かりやすく説明するのであれば、この被害を恐れるくらいであれば普段皆さんが受けているレントゲン撮影の方こそ問題視すべきレベルだったりします。 特に歯医者のレントゲン、カルシウムって放射線を透過し難いので結構な量をあてないといけませんので。

と同時に通常の1000倍の放射線が漏れている、という話もありますがこれも正確に情報を捉えて下さい。 放射線が漏れていると言われている場所は原発内の中央制御室とされており周囲に漏れている訳じゃあありません。 また原発というのはアホみたいに強固な作りになっており、ちょっとやそっとじゃ漏れだしませんし、緊急で圧力の低減させるための準備が……という話もダダ漏れしている訳じゃありません。 きっちりフィルターを通しますのでご安心を。

そもそも放射線が漏れた→すわ一大事!と考えてしまうかもしれませんが、ここは少し落ち着いて。 どれくらいの線量(ここでは放射線の漏れた量くらいにお受け取り下さい)で、どれだけの被害があるのか? この点こそが重視すべき事柄なのです。 では数字を追いかけてみましょう、12日早朝時点で中央制御室の放射線量は150マイクロシーベルトと言われています。 単位が良く分からないかと思うのでザックリ説明するとシーベルトとは人体への影響を指し示す値とでも受け取ってもらえれば宜しいかと思います。

じゃあどれくらいのレベルのシーベルトを受ければ人体に影響があるの? ということになるわけですが、端的に言えば100人いて5人が死に至るレベルは2シーベルトと言われています。 逆に200ミリシーベルト以下であれば臨床的見地から人体への影響はないと言われています。 で話を戻しますが今回の”中央制御室”で漏れた線量は150マイクロシーベルト、つまり0.15ミリシーベルト、つまり影響が出ると言われている200ミリシーベルトの1/1333の値でしかありません。 しかもこれは外部に漏れた数字ですらない訳です。

ここから導き出されることとは、千倍といえど通常の値が如何に低く設定されているか、という点と、とりあえずお前ら落ち着けということしかありません。 つとめて冷静な対応をお願いします。

……とり急ぎ書いたため、少々とっちらかっている点はご容赦くださいませ。 ただ今までも様々なトラブルで注目される原子力分野ですので、不信を募らせているとは思いますし不安になるとは思います。 だからと言ってあたら不安になることはないよ、それより余震での被害やそれによるストレスへの影響をケアすることに注力してほしいよ、という趣旨で書かせて頂きました。決して楽観視しろ! という事ではありませんので、その点は重ねて宜しくお願いいたします。
Twitter
優しくしてください
コメント(大感謝!!)
  • ライブドアブログ