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本因坊殺人事件 4

 ひと月ほど前、「囲碁をテーマにしたような小説は読んだ記憶が無い」と書いた。別段そういう本を探していた訳ではないのだが、近所の書店をうろついていたら本因坊の文字が視界の隅をかすめた(ちょっと気障だが実際そんな感じだった)。果たして見つけた本のタイトルは『本因坊殺人事件』。解説によれば「純度百パーセントの囲碁ミステリー」。

 著者は内田康夫。名前は知っているが良いイメージが無く、読まず嫌いだった作家の一人。今回見つけたのは幻冬舎文庫の新刊だが、もとは25年前に刊行された内田氏の二作目の長編とのこと。

 ある棋戦の挑戦手合第六戦、カド番に敗れたタイトルホルダーの高村本因坊が、その夜謎の死を遂げる。さらに、数週間後その手合で記録係を務めた若手棋士の死体が奥多摩渓谷で発見される。観戦記者・近江俊介と友人であり高村を破った若手棋士・浦上彰夫は、死の直前の対局中、本因坊が取った不可解な行動に疑問を抱き、二つの事件の謎に挑む…といった内容。

 最終的には本因坊がいかにも囲碁ミステリーらしい手法(実際のところは将棋でも可能だろうが)で残した「暗号」を近江が発見・解読することになる。が、その手法の実現性自体が相当に難しいと思われ、高村自身がその手法を考え付いた背景は納得できるが、それを近江以外のある人物が実はあっさり解読していたということには無理がある。若手棋士の殺人にもあまり必然性が感じられない。

幻冬舎文庫 2006/10/10 初版発行 内田康夫

by higeru  at 22:40
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