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東野圭吾

東野圭吾が元気みたい――最近の雑誌より

 大地震後しばらくは読書量が激減、また更新も滞っていたが、久しぶりに読書メーターには書かない雑誌ネタ。

 まず勝手におさらいしておくと、現在読んでいる雑誌連載は以下の通り(著者名五十音順)。
【池井戸潤】
 ブラックバード(別冊文藝春秋)、鋼のアリス(小説新潮)、ロスジェネの逆襲(週刊ダイヤモンド、オレバブシリーズ第三弾)
【冲方丁】
 光圀伝(野性時代)
【荻原浩】
 花のさくら通り(小説すばる、ユニバーサル広告社シリーズ第三弾)
【垣根涼介】
 小説すばるの「戸籍係の女」は2月号で終了しましたが、代わって小説新潮4月号より「君明日」シリーズPART4が始まりました。多分不定期連載になるのではと思います。
【今野敏】
 転迷(小説新潮、隠蔽捜査シリーズ第四弾)
【薬丸岳】
 死にゆく者の祈り(別冊文藝春秋)、友罪(小説すばる)

 これら連載モノとは別に最近目に付くのが「東野圭吾」。まだ全部は読めていないのだが。
別冊 文藝春秋 2011年 03月号 [雑誌]小説すばる 2011年 04月号 [雑誌]小説 野性時代 第89号  KADOKAWA文芸MOOK  62331‐91 (KADOKAWA文芸MOOK 91)オール讀物 2011年 04月号 [雑誌]

  • 別冊文藝春秋3月号…幻惑(まどわ)す
  • 小説すばる3〜5月号…伝説の男、夢の映像化、5月号はタイトル不明
  • 野性時代4月号…回答は牛乳箱に
  • オール読物4月号…心聴(きこえ)る
 タイトルで分かるように「幻惑す」と「心聴る」はガリレオシリーズの短編。Amazonで別冊文春4月号が中古品のみながら新品以上の値が付いているのは、やはりガリレオ効果なのか?

【東野圭吾】サンタのおばさん 4

 「東野圭吾強調月間」の締めくくりは、エッセイを除いては唯一の未読作品で、この季節にふさわしいもの。実はずっと前からこの頃になったら読んでみようと思っていた。

サンタのおばさん文藝春秋 2001/11/15 第1刷

 正直な話、著者のお遊びかはたまた企画本かと思っていたのだが、表紙をめくり、さらに扉絵をめくると――
an original short story from
"The one-sided love"
MOTHER CHRISTMAS
とある。東野圭吾で "The one-sided love" とくれば…なるほど、『片想い』の中で「金童」という劇団が演じた芝居という設定で登場させたもの(まったく覚えていないのだけど(^^;)を、一つの作品として仕上げたということらしい。

 という訳で、体裁は完全な絵本ではあるが、大人向きである(小学生くらいでもそれなりに楽しめようが)。サンタクロースといえば男性、でもおばさんサンタがいてもいいじゃん?――という一見たわいも無いストーリーは、実は『片想い』と同じくジェンダーフリーというテーマで描かれているのである。

【東野圭吾】あの頃ぼくらはアホでした 5

 「秋の東野圭吾強調週間」のつもりがずいぶんと間延びて「冬の東野圭吾強調月刊」になってしまったが、実は読み終えたのはかれこれ2週間近く前のこと。

 お気に入り作家の書いたものなら何でも読みたいということはないが、東野のエッセイは『さいえんす?』、『ちゃれんじ?』と面白おかしく読めたので。加えてブックオフで例によって105円だったということもある。(^^;

あの頃ぼくらはアホでした (集英社文庫)集英社文庫 2004/6/6 第13刷

 最初に断っておくと、この評価は東野と同世代か「東野命!」を標榜して憚らない人(いるのか?)のみを対象としたものであり、裏を返せばそれ以外の人にはオススメしない、ということである。

 内容はというと、小学校・中学校・高校・予備校、そして大学を出て就職するまでの、東野の文字通り「アホ」の限りが書かれている。
 とうに時効だからにしても、スキーの費用を捻出するために万引きしただの定期券を偽造しただの、無謀にも慶応大学を受験したものの試験中(問題がさっぱり分からず)暇だったので問題用紙を配ってくれた女性の尻を見て勃起しただの、何とたわいもない話ばかりであることか。

 まあ、そんなたわいもないことを面白おかしく書けることも一つの才能であり、そんなものでお金が稼げてしまうことは羨ましい限りであり、それを(たとえ105円とはいえ!)買って面白がっている自分は…と思うと、ちょっぴり悲しくなったりもする。

 ただ、単行本が出たのは13年前のこととはいえ、遡ること数十年も前のことを、そんなに細かいところまで覚えているものか、というのは素朴な疑問である(ちなみに東野は早生まれなので学年こそ違え、おいらは同い年)。
 絶対多少は作ってるよな。もっとも記憶は作られるもの、という側面もあるので、それは決してウソを書いていることではないのだろうけど。

 さて、大学を出て志望する会社に就職した東野だが、最後に 《この時点では、まさか数年後にアホなことをやらかして、この会社から尻尾を巻いて逃げ出すとは、夢にも思っていなかった》 と述懐している。
 してみると、われわれが今、彼の作品を楽しめているのはアホのおかげなのか。うーん、なんだか複雑な気持ちだぞ。

【東野圭吾】ガリレオの苦悩 4

 不定期に雑誌に掲載された4編に書き下ろしが1編。未読の2編を読んだ後に『聖女の救済』を先に読み終え、本書に戻って残り3編を再読した。

ガリレオの苦悩文藝春秋 2008/10/25 第1刷発行

 内海初登場の第一章「落下る」(おちる)が書かれたのは、ドラマ開始の約一年前。内海は女性を登場させたいというドラマスタッフの要望で生まれたキャラだとか、そうではなくこっちが先で、それなら内海を出してくれと東野が言ったとか、まあどっちでも良いのだが、さすがに執筆時点では福山と柴咲というイメージは東野の頭の中にもなかったろう。《金縁眼鏡》 をかけ 《黒いジャケット姿》 で事件現場に現れる湯川は、まだどことなく佐野史郎っぽい?

 映画『容疑者Xの献身』の公開初日に合わせて放映された特別編「ガリレオΦ(エピソードゼロ)」の原作である第二章「操縦る」(あやつる)。雑誌掲載は月9終了後だが、ここでの湯川は 《珍しくスーツ姿》 で登場する。そのスーツはアルマーニ…だったかは定かではない。

 第三章「密室る」(とじる)は唯一文藝春秋の雑誌ではない『GIALLO』に掲載ということで少し変わった設定にしたのだろうか、内海も草薙も出てこない。
 《コートを羽織って》 登場する 《長身で姿勢がいい。学生時代と変わらず、無駄な肉のない引き締まった身体つき》 の湯川はついに福山になった。(^^; でも相変わらず眼鏡は金縁なんだよなぁ。それにしてもこのタイトル、まだしも「密室す(とざす)」の方が良くはなかったか。

 第四章「指標す」(しめす)は、『探偵ガリレオ』、『予知夢』と同じく何とか5編にしたいと、東野が悩みに悩んだという唯一の書き下ろし。
 湯川は研究室から一歩も出ることなく、つまり白衣のまま、ただし実験をするでもなく事件を解決に導く。こういうのは今まであったのだっけ。意欲作とも思えるが、ガリレオっぽくない気もする。

 対照的に第五章「攪乱す」(みだす)は、最もガリレオらしい一編。実験のために葉山にある研究施設へ行くという湯川を迎えに薫が研究室に行くと、湯川が 《スーツ姿で待ち受けていた》。もちろんそのスーツはアルマーニ…だったかも知れない。

 以上、ほとんどストーリーに触れずじまいの感想になってしまったが、あらすじだの何だのが知りたい人は、ぜひこちらを!

【東野圭吾】聖女の救済 5

 先に『ガリレオの苦悩』を読み始めたのだが、雑誌で読んだ3編は後回しにして、こっちに切替えた。これも雑誌連載で読んでおり、奥付を見る限り加筆・修正は無いようなので再読である。
 当然ストーリーは分かってしまっているので、今回は重箱の隅をほじくるようなつもりで読み始めたのだが…気が付けば普通にのめり込んでた。

 結局今回の方が面白く感じた。やはり連載を途切れ途切れに読むよりも、集中的に読んだ方が絶対良い、ってことで★5つである。ちょい甘?

聖女の救済文藝春秋 2008/10/25 第1刷発行

 月9ではお馴染みの内海薫が登場(時系列的には彼女の正確なデビュー作は『ガリレオの苦悩』の第一章として収められた「落下る」になる)、そのドラマでは内海に取って代わられてしまった草薙俊介(なぜかドラマ・映画では俊平だが)も健在である。

 自宅で不審死を遂げた真柴義孝。現場に残されていたコーヒーから亜ヒ酸が検出される。しかし、その混入経路は謎。そして容疑者として浮かんだ妻・綾音には鉄壁のアリバイが――。

 女性特有の視点から綾音に対する疑いを捨て切れない内海と、それに反駁してまだ見ぬ容疑者を追い求める草薙。
 『容疑者Xの献身』では 〈さっぱりわからない〉 謎を湯川が一人で解き明かしてしまった感があるが、本作では内海と草薙が別々のアプローチで捜査を進めつつも、最後には湯川の推理と合わせてただ一つの真実に収斂していく、という構成が見事である。

 ひとつ難を付けるとすれば…亜ヒ酸をどうやって仕込んだかってのが、図解でもしてくれないと分かんないだよなぁ。(^^;

 真柴義孝=沢村一樹、妻・綾音=桜井幸子でアテ読みしてみた。湯川・内海・草薙はもちろんあの三人で。(^^  さて、フジテレビは「二匹目のドジョウ」を狙うのか…?

【映画】容疑者Xの献身 4

 東野圭吾強調週間ということで、今頃になって見てきた。近所のワーナー・マイカルでも、今日からは九つあるうちの一番小さなハコに追いやられてしまったが、それでもまだ根強い人気があるようで、連休ということもあってかレイトショーながらそこそこの入りであった。

「容疑者Xの献身」オリジナル・サウンドトラック 柴咲コウ演じる内海刑事とさして意味の無い雪山登山シーンを除けば、概ね原作通りだろうか。
 もっともトリックが重要なストーリーなだけに、そう原作をいじくる訳にはいかないだろうし、またそういう映画だからして、トリックを知っていては驚きも半減、ということもまたやむなしなのか。

 それにしても、湯川が真相にたどり着く過程はあっさりし過ぎだろうと思う。これもまた原作を読んでいるからかも知れないが。

 しかし、この映画には原作と決定的に違うことがある。それは、「主人公」は湯川学だが、「主役」は石神哲哉だということである。

 石神を演じた堤真一の泣きの演技と、その石神の四色問題にひっかけた「隣同士が同じ色になっちゃいけないんだ」という心憎いセリフに★一つアップだ。

東野圭吾――連載終了?と待望の新連載!

連載終了? 『フェイク』
小説宝石 2006年 12月号 [雑誌] 昨日最新作の『聖女の救済』と『ガリレオの苦悩』を借りてきたと書いたが、他の刊行済み作品(小説)はすべて読んでいるので、残るは連載。ということで、少し前から読んでいる。

 これはもともと「VS.」というスポーツ情報誌(全然知らんけど)で連載が始まったものの、雑誌の休刊に伴い一時休止、その後「小説宝石」で再開されたというもの。「VS.」でも結構な回数連載されたらしく、「小説宝石」2006年12月号では「プロローグ」としてそれまでのダイジェストが30ページほどにまとめられており、2007年1月で改めて「第1回」となっている。

 最初に連載が開始されたのがスポーツ情報誌ということで、主人公はスキー選手という設定。優れたアスリートの子供が同様に高い能力を示す場合、そこには遺伝子の寄与が不可欠であり、その遺伝子のコードネームが「フェイク遺伝子」というのがタイトルの意味。

 もっともこれは物語の本筋ではなく、当然もう一つの「フェイク」がいずれ明らかになるのだろうと期待している。

 これはWikipediaで知ったのだが、割と最近まで「連載中」だったのがさっきチェックしたら「連載終了」になっていた。いつ終わったんでしょ? バックナンバーの目次を見ても分からんのよね。誰か知ってたら教えて下さい。

待望の新連載! 『マスカレード・ホテル』
小説すばる 2008年 12月号 [雑誌] 新連載の方は一昨日発売の「小説すばる」2008年12月号。こちらは昨日仕事帰りにがっつり立ち読み。(^^;

 タイトルからは想像しにくいが、警察小説のようである。主人公は、かつて加賀もいた本庁捜一(まあ大抵の警察小説に出てくるが)の新田。何せまだ一回目なので十分にキャラを把握できていないのだが、藤木直人あたりが似合いそうな、ちょっとはみ出し気味のオシャレ刑事って感じ?

 わずか二週間の間に起きた三件の殺人事件。被害者のかたわらには意味不明の二つの数字。それ以外にはまったく関連の無いと思われた三つの事件だが…謎は解けた!ってことで、四件目の殺人を防ぐべく管理官が捜査方針を転換、新田を前面に出して…というところで次号に続く。早くも物語は佳境に?という感じだが、ひょっとして連作短編なのかも。

秋の東野圭吾強調週間

 「秋の」というには遅すぎる気もするが、本日より「東野圭吾強調週間」である。どこぞの出版社が主催している訳ではない。あくまで「勝手に」である。(^^;

 『聖女の救済』…432人/16冊、『ガリレオの苦悩』…383人/15冊、というのが単身住まいの町の図書館における現時点での予約状況。一人が借りてから返すまできっちり2週間としても、2冊ともほぼ1年待ちである。まあ、この後少しずつ買い増しされて、最終的には40冊くらいにはなるんだろうけど。

 『聖女の救済』は連載で読んだからとりあえずは良いとして、livedoorポイントも単行本を余裕で買えるほどたまったし(たまるカラクリが分かってないのだが)、あきらめて『ガリレオの苦悩』を買うか…とも思ったのだが、そんな時に頼りになるのが地元(自宅のある田舎町)の図書館。

 同じ本は2冊とないが、なにせ借りる人が圧倒的に少ないのがメリット。あまり小まめにチェックしていなかったので最初の借り手にはなりそびれ、いずれも貸し出し中だったのだが「予約数0」にびっくり。しかも予約を入れた二日後に貸出可能のメールが来て、またびっくり。

 ということで、先週末家に帰った際に2冊まとめて借りてきたことを記念して、勝手に東野圭吾強調週間である。さあ、まずは『ガリレオの苦悩』の未読2編をやっつけようか。

「閃きはすべてものにする」 ガリレオ創作秘話

 『容疑者Xの献身』は映画、文庫本ともランキング一位を独走中、『流星の絆』は秋の連ドラ初回視聴率一位、そして10/24には『聖女の救済』、『ガリレオの苦悩』というガリレオシリーズの長短編を同時刊行と、絶好調の東野圭吾。
オール讀物 2008年 11月号 [雑誌] 『ダ・ヴィンチ』11月号でもガリレオ特集が組まれているが、これは昨日図書館で読んた『オール讀物』11月号の特別インタビュー。

 「どーんと閃いて、よし、これで一本書ける、というようなそんな閃きはね、五年に一回ぐらいしか生まれない、僕の場合」なのだそうだ。ただし、閃いたアイデアは100%作品にする、というのがタイトルの意味。

 『流星の絆』もそれに近いものがあった。『容疑者Xの献身』のトリックも、『聖女の救済』のトリックも、五年に一回の閃きだった――と、ここで聞き手から、その三作は五年以内に出ていますね、とツッコミが入る。(^^;

 ちなみに『流星の絆』は、ドラマ『やまとなでしこ』の第九話、「桜子のおとっつぁんが田舎から出てくるシーン」を見ていて閃いたのだという。うーん、桜子(松嶋菜々子)も良いが矢田亜希子がかわゆくて毎回欠かさず見ていたのだが、おとっつぁんの上京というのは…さすがに記憶に無いなぁ。

 ところで『ガリレオの苦悩』には五編の短編が収められているが、内一編は書き下ろし。『探偵ガリレオ』、『予知夢』ともに五編だったので、これも何とか五編にしたかったのだというが、この書き下ろしの一編に悩みに悩んで体調を崩し、過敏性大腸炎という病気になってしまったのだという。皆さん、『ガリレオの苦悩』は心して読みましょう。

 また、『聖女の救済』や『ガリレオの苦悩』の雑誌掲載短編を読んだ時にずっと感じていた「湯川の福山化現象」に、明確な回答が示されていた。「湯川の仕草を描くときに、福山さんの顔を想像していますから。柴咲コウさん、北村一輝さんたちにも影響されていますよ。それは決して悪いことじゃないと思っています」とのことだ。やっぱりね。はい、全然悪いことじゃないと思います。(^^

【東野圭吾】夜明けの街で 3

角川書店 2007/6/30 初版発行

 何だかとっても爽やかなタイトルとは裏腹の不倫がテーマのお話。《東野圭吾の新境地にして最高傑作》 という触れ込みだが…うーん、前半は「らしくない」。《恋愛感情をここまで中心に持ってくる小説を書いたのは初めてでした》 というのが著者の言葉であり、確かにある意味「新境地」かも知れないが。

 ただ、これを「最高傑作」と思う東野ファンはそういないのではないか。まあ帯のコピーを真に受けるべきではないだろうが、これはいくら何でも誇大広告じゃないか? せめて「当社既刊本の中では」という修飾語は要るよね。

 さすがにただの恋愛小説で終わるはずはなく、後半はそれなりにミステリーになっているが、前半の「らしくなさ」のせいもあって、そのミステリーらしさもおいらの中では霞んでしまった。お嬢さん、そこまでするか〜?15年も…ってのが率直な感想。

 で、最後の1ページでホラーになる? 女は弱しされど母は強し、しかして女房は…?(^^;

 これにて東野作品59冊(小説のみ)コンプリート。60冊目になるはずの作品はとりあえず雑誌連載で読んじまったし、今年の後半は(ちょっと気が早いか)まだ読んだことのない作家の作品にちゃれんじ?

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