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横山秀夫

【横山秀夫】震度0 4

 横山秀夫といえば警察小説だが、記憶違いでなければ中でも唯一の長編作品。青島刑事の名ゼリフを思い出す。「事件は現場で起きてるんじゃない。会議室で起きてるんだ!」 ん?逆だっけか。本書はそんな話なのである。

朝日新聞社 2005/7/30 第 1 刷発行

 1995年1月17日――関西地方を未曾有の大地震が襲った数時間後、被災地から遠く離れたN県警本部庁舎にも激震が走る! 警務課長の不破が失踪したという。

 捜査は秘密裏に進められるが、本部長の椎野(警察庁キャリア、46歳)、冬木警務部長(同、35歳)、藤巻刑事部長(地元ノンキャリア、58歳)等、県警最高幹部たちの利害と思惑が錯綜し、不破の行方は杳として知れない。

 物語は本部長公舎から始まり、以後、すべてのシーンは県警本部庁舎と幹部公舎のみ。冒頭に書いたように、まさに「事件は会議室で起きている」ような展開だが、とってもサスペンスである。

 椎野・冬木のキャリア組をはじめとする幹部たちは、相当にイヤなやつらとして描かれる。特に倉本生活安全部長(地元ノンキャリア、57歳)と間宮交通部長(同、57歳)はよくぞ部長にまでなれたと思うほど。

 唯一県警の良心とも言えそうな堀川警備部長(警察庁準キャリア、51歳)が事件を解決に導く。驚愕の真実。そして、不破の人知れぬ苦悩が明らかになる――。

 これにてひとまず横山作品コンプリート。本書は2年半前に出た作品ながら最新刊というのは寂しい限りである。もうじき出るらしい『64』(ロクヨン)という「D県警」ものに期待!

 ところでこの作品、昨年WOWOWでドラマ化されたらしい。登場人物の年齢は多少原作と変わっているが、キャスティングは結構いい感じ。特に間宮交通部長は予想的中、今回唯一アテ読みした斉藤暁だったわ(メタボ体形という設定なんだよね)。

【横山秀夫】臨場 5

 横山作品としては、『第三の時効』以来の久しぶりの警察小説である。この前に読んだ『看守眼』(そういえば感想を書いてなかった)はいまひとつ物足りなかったが、本書は満足の一冊。

光文社文庫 2007/9/20 初版 1 刷発行

 警察小説ではあるが主人公は普通の刑事にあらず。倉石義男、52才。《終身検視官》 の異名を持つL県警刑事部捜査一課の検視担当調査官である。
 ちなみに医師が死体を検分する検「死」に対し、検「視」は変死者又は変死の疑のある死体の場合に、犯罪の嫌疑の有無を明らかにするための刑事手続である。

 誰もが自殺あるいは病死と疑わない案件を他殺と看破する。あるいは殺人と思われた事件を自殺と覆す。目上の者にもタメ口をきき、まじめな警察官とは程遠い。ヒーローという呼び方は似合わないが、とにかく倉石がカッコいい。

 全八編の短編集。彼を良く思わない人物がその技量を見極めようとするが、倉石の語る驚愕の真相に言葉を失う「鉢植えの女」、DNA鑑定の結果に惑わされず真犯人を見破る「真夜中の調書」は、中でも倉石のカッコよさが光る。

 一方で、定年退職する刑事部長のために一年近く前の事件を再調査する「餞」、かつてわずか一ヶ月だけ部下だった退役女性警察官のためにわざとミスを犯す「黒星」は、らしくない(倉石らしいと言うべきか)やさしさを見せる横山さんらしい作品。

【横山秀夫】影踏み 4

 横山秀夫といえば以前は「警察小説」というイメージがあったが、本作は警察とは正反対にある犯罪者が主人公の連作短編集。

影踏み (祥伝社文庫)祥伝社文庫 2007/2/20 初版第1刷発行

 《ノビ師》(深夜、寝静まった民家を狙い現金を盗み出す忍び込みのプロ)を生業とする真壁修一には、15年前に焼死した双子の弟がいる。「いた」ではなく「いる」という、これまでの横山作品には無い不思議な設定と、名探偵張りの推理を披露する真壁に、最初はかなりの違和感を覚えたが、それは読み進めるにつれ薄れていった。

 七話の短編の中に「影踏み」は無い。《双子というものは、互いの影を踏み合うようにして生きているところがある》(第三話「抱擁」より)というのがタイトルの由来らしい。

 最後はほろ苦い。が、書かれていない「その後」を思えば心温まるものもある。《消せない“傷”を背負った三人の男女。決して交わることのない魂の行き場――かつてこれほど切ない犯罪小説があっただろうか。》 というのは帯に書かれたコピーだが、決して犯罪小説などではない。ハードボイルド本格ミステリーと言ってもよい趣がある。

真相 5

 やっとこさ初投稿。ブログタイトルに読書と入れたこともあり,直近で読了した本の紹介。

 今最も好きな作者の一人,横山秀夫の文庫最新刊。短編集。真相はタイトルでもあり表題作でもあるが,どの短編のタイトルとしても違和感が無い。いずれのストーリーにも,深く悲しく切ない真相が秘められている。
真相

双葉文庫 2006/10/20 第 1 刷発行

 こんな風にして本の写真を簡単に入れられるなんて,なんか感動!?


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