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海堂尊

【海堂尊】イノセント・ゲリラの祝祭 3

 今日が貸出期限だったんですが、次に予約している人ごめんなさい。この記事をアップしたら近所の返却ボックスに返しに行きますぅ…。(^^;

イノセント・ゲリラの祝祭宝島社 2008/11/21 第1刷発行

 久々の「田口・白鳥シリーズ」。彼らが登場しない作品も含めて勝手に「桜宮シリーズ」と呼んでいたのだが、著者曰く 〈桜宮サーガ〉 なのだそうな。

 そして本作について、著者は『野性時代』2009年1月号のインタビューで「満を持して書かれた作品なのでは?」という問いに対して、次のように答えている。
 書きたかったというよりも、書かなければならない作品でした。つまり、現実の会議を骨組みにして構築した作品ですが、ふつうの人は厚生労働省の会議の様子なんて恐らくご存じないでしょうから、ずいぶん苦労も工夫もしたものでした。しかしこの作品がどう読まれるのか、まったく予測がつかない。
 第二部「イノセント・ゲリラの咆哮」の終盤、田口らの大学の後輩でもある(『ひかりの剣』ではチョイ役だった)彦根が、厚労省をブっつぶせとばかりに咆えまくる。しかし彦根の口を借りて咆えているのは、もちろん著者自身。この作品はさしずめ『海堂尊の咆哮』なのだろう。

 エンタメ色もミステリー色も薄い。本作の原稿を初めて担当編集者に渡した時に「うーん、こういうのがやりたいんですよね?」と唸られたのだというが、個人的には、うーん、こういうのだったらもう読まんでもいいかなぁ、である。

 ただ本作の何だかもったいぶった終わり方は実に気になる。大体、この作品だけではミラージュ・シオンこと桧山シオンなる美人女医の存在意義がないではないか。とりあえず4月に出る『極北クレーマー』は読んどこう。

海堂尊 解体新書――野性時代 2009年 1月号

 昨年は20周年記念価格だったが今年も同じ500円の『このミステリーがすごい! 2009年版』を買うつもりで日本橋丸善に立ち寄ったのだが、ランキングを見るに10位以上にはほとんど読んだ本がなく、なんだか買う気が失せてしまった。

野性時代(vol.62) 代わって目に留まったのがこれ。表紙の「『螺鈿迷宮』文庫化記念総力特集 海堂尊 解体新書」に惹かれて手に取ってみた。
  ●ロングインタビュー 海堂尊と 〈桜宮サーガ〉 は何処へ進む?
  ●著者に聞く全作品解説
  ●“でんでん虫” 桜宮病院ナビMAP
  ●主要キャラクター解説(ちなみにイラストと著者のコメント付き)
  ●教えて! 海堂さん! Ai 最新事情
  ●海堂ワールド用語辞典
  ●最新短編 モルフェウスの領域

 これだけなら買うことはなかったろうが、購入の決め手は多くの海堂ファンが(少なくとも5人くらいは?)待ち望んだ「キャラクター相関図」。「現在 2006〜08年前後」、「過去 1988年前後」そして「未来 2013〜22年前後」の3つのフェーズに分かれている。
 最後の「未来」は『夢見る黄金地球儀』と『医学のたまご』をベースにしている。いずれも未読作品なのだが、これを見ると(どっちかには)浜田小夜が出てくるのですね。

 この他に、「特報! 『ジェネラル・ルージュの凱旋』映画化!」という見開き2ページのグラビア記事もあり。田口・白鳥のキャスティングは『チーム・バチスタの栄光』と同じ。そしてジェネラル速水役は堺雅人。年若すぎで押し出しが弱そうなイメージがあるんだがなぁ…。

オール讀物といえば…『ひかりの剣』はどこへ行く?

 『聖女の救済』を読むべく借りだめした4冊の「オール讀物」2008年1〜4月号で、海堂尊『ひかりの剣』(2007年8月号から隔月連載)の第四・五話を読んだ。

 以前も少し書いたが、速水が東城大学医学部剣道部主将として登場するという、『ブラックペアン1988』とはちょうど『ナイチンゲール〜』『ジェネラル・ルージュ〜』の関係のような物語である。

 ちなみに第四話では田口と島津が(友情出演?)、さらにベッドサイド・ラーニングの場面ではこれは当然のことながら世良と渡海もちょっとだけ顔を出す。

 で、第三話を読んだのが数ヶ月前だったので全然気付かなかったのだが、速水のライバルというのが、帝華大学医学部剣道部主将の清川吾郎…ん?どっかで見たような…思い出すのに3秒ほどかかったか、そう『ジーン・ワルツ』の清川なのである。

 ということで、海堂作品における登場人物の関係がまた一つ明らかになった訳である。うーん、いよいよ人物相関図が欲しいぞ!

 ところで『ひかりの剣』だが、まだ第五話とはいえ隔月連載ということもあって、毎回二章構成でページ数も多目。既に結構なボリュームになっているのだが、未だ先が読めない。今のところ全然ミステリーっぽくない。少なくとも絶対に医療ミステリーではない。もちろんミステリーでなくちゃいけないということはないのだが…。

【海堂尊】ジーン・ワルツ 4

 『流星の絆』と同時に借りて、さてどっちを先に読もうかとしばし悩んだのだが、こっちを先に読むことにした。「好きなものは後回し派」なんだよね。

新潮社 2008/3/20 発行

 主人公は美貌の産婦人科医・曾根崎理恵。人工授精のエキスパートである彼女のもとにそれぞれ事情を抱える五人の妊婦が集まった。一方、先輩の清川医師は、理恵が法に背いて代理母出産に手を染めたという噂を聞き、その真相を追う――今たびたび社会問題にされる産婦人科の現場を舞台にした感動の医療ミステリー(2008/3/29 TBS「王様のブランチ」より)である。

 これまでの作品群(いくつかは未読だが)を勝手に「桜宮シリーズ」と呼んでいるが、本作の舞台は東京。とはいえ理恵は、「帝華大学」の助教で「東城大学」の出身という設定。さらに「極北市」の医師が医療ミスで逮捕されるというエピソードやら、「医学のたまご」というセリフがあったり、名前だけだが「ラプソディ」、「医療過誤問題における中立的第三者機関」など、既刊作品と緩やかにリンクしている。

 また『医学のたまご』(これは未読なのだが)は、本書から十数年後の物語で主人公は理恵の息子なのだという(刊行順に読んだ人にはいささかネタバレになる気がするのだが)。なので、やはり本書も「桜宮シリーズ」なのである(と、これも勝手に決め付ける)。

 白鳥・田口が登場する作品のようなおちゃらけはほとんど無し。ミステリーというよりメッセージ色の強い作品である。余談になるが、昨夜は日テレ「世界一受けたい授業」で死因不明社会である日本の現状、Aiの有用性について講義していた海堂さん。これまではまだ様子見だったところからいよいよ攻撃に転じるのか?というのは、さすがにうがち過ぎか。

 《現代医学では、不妊は完全消滅しました》 というのは作中での理恵の講義でのセリフだが、妊娠することと生まれることはまったく別の話。《生まれるということが正常で当たり前のことでなく、むしろ奇跡なんだ。奇跡的に生まれた方は素晴らしいこと。そこは再認識して欲しい》 というのが著者の思いだという。確かにこの点に関しては目からウロコの思いがした。

 さて、久しぶりの勝手にキャスティング――クール・ウィッチこと曾根崎理恵、32歳には「眼鏡をかけた」伊東美咲。清川吾郎は最初は谷原章介だったのだが、40代(前半と思われる)ということで沢村一樹に変更。

 ところで、本作を含めていささか作為的ながらハードカバー作品のみを刊行順に並べてみると…



さて、次は…緑色?

【海堂尊】ブラックペアン1988 4

 若き新米医師の成長物語・青春小説の体裁を取りつつも、現役医師ならではの視点によるエンターテインメント作品に仕上がっている。抜群のリーダビリティで足掛け二日ながらほぼ一気読みである。これで本業は医者? 天は二物を与えたのか!? ムカつくほどに面白い。

講談社 2007/9/20 第 1 刷発行

 時は1988年、東城大サッカー部の8年先輩である(後にチーム・バチスタの一員となる)助手の垣谷に誘われ、世良雅志は東城大学医学部付属病院の研修医として佐伯外科に入局する。そして彼のオーベン(指導医)となるのが、帝華大から新任講師として着任したばかりの高階。

 手術技術を重んじる食道癌手術の権威・佐伯教授と米国から持ち帰った秘密兵器で食道癌手術に革命を起こそうとする高階の対立、という一面もあるが、物語の核心は佐伯外科の異分子ながら天才的手技を持つ手術室の悪魔・渡海征司郎の企てと、そして「ブラックペアン」の秘密である。

 田口・白鳥シリーズの主要キャストが多数登場する。もちろん皆若い。黒崎は助教授、愚痴外来の藤原さんは婦長(この頃はまだ看護「婦」だったのだね)、眠り猫は主任、花房は新人である。

 さすがに田口は…と思ったら、速水・島津とともに、世良の指導の下、五日間の研修を受ける学部生として顔を出すというサービスの良さだ。後のジェネラルはそのふてぶてしさを垣間見せ、田口はこの研修で自分が外科向きでないことを痛感するというオチ付きである。

 が、しかし、冒頭に「ムカつくほどに面白い」とか書いておきながら★四つである。最後20ページを残すあたりまでは間違いなく★五つのつもりだったのだが…この結末は、ドラマチックに作りすぎだろう。...read more

【海堂尊】ジェネラル・ルージュの凱旋 5

 一章の二段落目に「如月翔子」という名前が出てくる。んっ?どっかで見たような…。彼女は救急車に乗り込んでいて、だが患者ではなくて、搬送されているのは「冴子」という女性。んん??さらに翔子の隣には「浜田小夜」が…。ど、どうなっているんだ〜!?

宝島社 2007/4/23 第 1 刷発行

 少し読み進んで理解した。「『ナイチンゲールの沈黙』の原型がものすごい長さになったために二つに割った半分がこの本」ということを見知っていたので、てっきり「その後」の話かと思っていたのだが、なるほどこういう風に割った訳か…まさに「分けた」でなく「割った」だね。のっけから意表を突かれてのめり込んだ。

 田口・白鳥シリーズ第三弾だが、本作の主人公は(タイトルにもなっているのだから当然と言えば当然だが)ICUの「将軍(ジェネラル)」速水。行灯・田口、がんがんトンネル魔人こと鳴海と同級生で『ナイチンゲール〜』にも登場するのに、なんで人物紹介に名前すら出ていないのか不思議に思っていたのだが。いやはや最初から最後までカッコ良すぎ。それでいて嫌みな感じはしないってんだから、まったくもって嫌なやつ(矛盾してるな (^^;)。

 友情・愛情、病院内組織の抗争に、著者のライフワークである「Ai」に、ミステリーもあり、白鳥もほどよく健在。最後の方で大事故の被災者を受け入れるシーン(眠れる猫が目を覚ます!?)などは、もうスペクタクルである。いろんな要素を盛り込みつつ消化不良を起こしていない。

 敢えていちゃもんをつけると、最後の速水と花房師長のシーンは…くさすぎる。「ルージュ」の真の意味は…ちょい引く。それから、『螺鈿迷宮』を読んでいないと、姫宮が出てくることの必然性がいまひとつ納得できないかも。

 ではあるけれど、シリーズ作品中では一番面白かった。今年読んだ(かつ今年出た)本の中ではマイベストかも。

 ところで、実は本作を読むにあたり、田口公平を田口公子として竹内結子でアテ読みしてみようと思っていたのだが…無理! 早々にギブアップ。若すぎるし、考えたらセリフも女性言葉に変換しないといかんし。(^^; やっぱ映画と原作は別物だね、ということで、今回の勝手にキャスティングは以下の通り。...read more

【海堂尊】螺鈿迷宮 3

 待つこと四ヶ月、ようやく「氷姫」に会えました。(^o^)/

角川書店 2006/11/30 初版発行

 シリーズ物ではないと思っていたのだが、白鳥は出てくるんだね(田口センセもちょこっとだけ)。構想10年、もともとは『チーム・バチスタの栄光』の次に出すつもりが事情により三番目に(出版社も宝島社でなく角川書店に)なったらしい。

 『ナイチンゲールの沈黙』で白鳥が 《叩き潰す必要があるのかも知れません》 と言っていた碧翠院桜宮病院。老人介護センター、ホスピス施設と寺院を一体化させた複合型病院であり、終末医療の最先端施設としてメディアの注目を集めていたが、その経営には黒い噂が絶えないという。

 東城大学の落ちこぼれ医学生、ラッキーペガサスあるいはアンラッキー・トルネードこと天馬大吉は、幼馴染みの新聞記者・葉子の策略にはまり、その桜宮病院に潜入捜査をする羽目になる。しかもその潜入には、行方不明のある人物を探すというもう一つの目的があった。そして病院に通い始めて三日目、「氷姫」に遭遇、ボランティアとして潜入したはずの天馬だったのだが、目が覚めた時には入院患者になっていた…。

 桜宮病院院長の桜宮巌雄、その双子の娘・小百合とすみれ、入院患者の三婆などなど、キャラのたった登場人物の多さは相変わらず。「氷姫」というニックネームからは想像できない姫宮のキャラは、相当に予想外だったな。

 病を癒し人を生かすという「光」の部分に対して、死と向かい合うことの避けられない病院の「闇」の部分を描いたといった辺りについてはあまり面白みを感じられないというか、正直よく分からず。

 その辺は最近出た『死因不明社会』を読むと良いらしい。実際書店で手に取ってみて、葉子が白鳥にインタビューするという形式は大いに興味を引かれるところなのだが、モノクロだからまだしもではあるものの(個人的に)正視に堪えない写真が多くて購入を断念。(>_<)

 話を戻すがこの終わり方は…いつか続編がありそう? 最後に登場するある女性のひと言の《本当に、詰めが甘いんだから》。これって、天馬たちが生き延びたと思っている桜宮家の人物は実は…ということだよね?

 さて、ここまででも結構長々と書いたが、今回の勝手にキャスティングはいささか長くなりそうなので追記にします。...read more

【海堂尊】ナイチンゲールの沈黙 3

 田口&白鳥シリーズ第二弾。

宝島社 2006/11/17 第 4 刷発行

 結論から言うと期待外れ。『チーム・バチスタの栄光』に比べて今二つ。

 その一、グッチー言うところの「白鳥と同類」の加納警視正をはじめとして、ばあさんからガキんちょまで老若男女を問わず、キャラのたった登場人物が多すぎる。グッチーの影が薄い。白鳥も薄い。

 その二、事件解決のカギとなるのが、ある登場人物の摩訶不思議な超能力とも言える能力であること。ミステリだからリアルでないといけないとは言わない。最近読んだ『6時間後に君は死ぬ』にしろ、東野作品の中でもお気に入りの『秘密』や『トキオ』、宮部みゆきの『蒲生邸事件』や『クロスファイア』などなど、超能力や超常現象を取り上げたミステリはいくらでもある。でも…でもでもでも、これは頂けない。

 期待しすぎていたのかも知れないけど。

【海堂尊】チーム・バチスタの栄光 4

 図書館デビューしてすぐに予約したのだが、待ち行列の長さはじれるほどに変わらず、その間にはて何冊借りたことだろう。待つこと三ヶ月とちょっと、ようやっと回ってきた。

宝島社 2007/2

 この本については今更ぐたぐた書くまい。第3回までのこのミス大賞受賞作はすべて読んでいるが、一二を争う面白さだった(ちなみに争うのは『四日間の奇蹟』だね)。

 ご多分にもれず思わず「伊良部か!?」と突っ込んでしまった 《ロジカル・モンスター》 白鳥圭輔のキャラは、好き嫌いは別として強烈無比である。通称 《愚痴外来》 担当の田口公平が活躍する第一部「ネガ」に対して、第二部「ポジ」になって白鳥が登場した途端、まさしくネガとポジほどに色合いが変わってしまうような強烈さである。

 ただ、第一部で田口がインタビューした登場人物たちに対して、《アクティブ・フェーズ》 だとか言いながら再びインタビューを行うってのは、ちょいとヒネリが足りない気がした。《オフェンシブ・ヒアリング》 だとか 《ディフェンシブ・トーク》 だとか、何だか煙に巻かれた気分。ここは個人的にはかなり減点だが、事件解決のあとの後日談で挽回。

 ではあるけれど、十分にもっと読みたいと思わせてくれる面白さであった。これ以後の三作は既に予約済みだが、最新作の『ジェネラル・ルージュの凱旋』は今年中に回ってくるかなぁ…。

 映像化のオファーも多いらしいが、ちょっとだけ勝手にキャスティング。田口公平…織田裕二(ちょっと二枚目すぎ?)、白鳥圭輔…西村雅彦(「小太り」というイメージとは違うけど)、桐生恭一…沢村一樹。奇しくも三人ともテレビドラマで医師役をやったことがある人になりました。

 ちなみに今回名前だけしか出なかった 《氷姫》 こと姫宮は、著者本人のイメージは深田恭子なのだとか。

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