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その他【な・は】行

【誉田哲也】世界でいちばん長い写真――先週の読了本その2

世界でいちばん長い写真世界でいちばん長い写真
★★★ ある日「スリットカメラ」というものにめぐり会った中三で写真部員のノロブーこと内藤宏伸は、そのカメラの製作者の協力を得て、卒業イベントとして「世界でいちばん長い写真」の撮影にチャレンジすることに。著者の作品を「武士道シリーズ」に代表される青春爽やか系とそれ以外に乱暴に大別するならば、本作はもちろん前者に属する。爽やかではある。だが盛り上がりに欠ける。カメラに実在のモデルがあるのはよしとしても、本物の世界一長い写真を見てしまうと、作中の写真のアイデアは借り物だったのかと思えてしまう。
読了日:02月27日 著者:誉田 哲也

 【おまけ】モデルとなったカメラで撮影された正真正銘の世界でいちばん長い写真はこちら。「パノラマ写真」のイメージが覆される。どうやって撮影したのかを知りたい人は本書を読みましょう。
 ちなみに世界でいちばん「大きな」パノラマ写真はこちら。正直こっちの方がインパクト大。

 【ツッコミ】ノロブーの友達で「エディ」というあだ名というやつがいて、そのあだ名の由来が語られるくだりがあるのだが、これってヴァン・ヘイレン知らないと意味分かんないよね。

【誉田哲也】ヒトリシズカ 3

 初読み作家だが、ブログでちらほら見かけてタイトル借り。とはいうもののレビューの中身はまったく読まずにいたので、どういう内容かはまったく知らずに読み始めたのだが…。

ヒトリシズカ双葉社 2008/10/26 第1刷発行

 まず目次を見て面食らった。「闇一重」、「蛍蜘蛛」、「腐屍蝶」、「罪時雨」、「死舞盃」、そして「独静加」。何とも毒々しい漢字のオンパレード。しかも普通に縦書きで普通に右から並んでいないのである。主人公は元暴走族かと思ったぞ。初読みなので分からないが、他の作品もこんなんなのか?

 最後の「独静加」が「ヒトリシズカ」。静加は女性の名前で、フルネームは伊東静加。狂おしいまでに数奇な運命をたどった静加と、そんな彼女に翻弄される警察官たちを描いた連作短編集でもあり長編小説でもある。

 ちなみに「ヒトリシズカ」という植物があり、その名は可憐な花を静御前になぞらえたものなのだという。そして物語は、この花の名のごとく「一人静か」な結末を迎える。

【本多孝好】FINE DAYS 3

 す、すいません…ほんの出来心なんです。いえ、本多さんは全然知らない人じゃなかったし、なんか映画になるっていうんで…。はい、いい年をしたオヤジには無理だろうって思ったんですけど…つい、魔が差したっていうか…買っちゃったんですよ、恋愛小説。

FINE DAYS (祥伝社文庫)祥伝社文庫 2008/10/5 第12刷発行

 表題作の他「イエスタデイズ」、「眠りのための暖かな場所」、「シェード」の計4編が収められた恋愛小説集…のはずだったのだが、「FINE DAYS」と「眠りのための暖かな場所」はちょっぴりホラー入ってるし、「イエスタデイズ」はタイムスリップものだし、最後の「シェード」はファンタジー風味だし。

 「新世代の圧倒的共感を呼んだ著者初の恋愛小説」というのがカバー裏の紹介文の一節だが、やはり「旧世代」のオヤジには、ちと無理があったかも知れない。(^^;

Yesterdays 冒頭の懺悔?に書いたように本多孝好は知らない人ではないが、読んだことがあるのはデビュー作で2000年版「このミス」10位になった『MISSING』だけなので、ホントはほとんど知らない人だ。

 映画化される「イエスタデイズ」だが、そもそも短編であるしあくまで原作ということで、映画の方は相当に膨らませているようだ。
 ちなみに購入した本のカバー映画化記念期間限定なのだろう左のもの。オリジナルの左上のものだったら買わなかったがなぁ…。(^^;

【馳星周】漂流街 4

 挫折した『ハルビン・カフェ』にもめげずに大藪賞作品である。もっともこちらの方が先に読み終わってはいたのだが、感想がずいぶんと遅くなってしまった。

 Wikipeaによると大藪賞は、「ハードボイルド小説・冒険小説に分類される小説に与えられる」とあるのだが、記念すべき第1回(1999年)受賞作である本書は、「大藪春彦の作品のようなものを書いたで賞」という感じ?

 東野圭吾の『幻夜』をノワールの傑作と評した馳星周だが、『幻夜』を「暗い」とすれば、本作は「黒い」。いかにも馳星周らしい、ドロドロで真っ黒けのノワールである。

徳間文庫 2008/2/20 3刷

 日系ブラジル人のマーリオ。ただ一人の肉親である祖父を殴り倒して日本へ出稼ぎに来たが、今はヤクザがらみの風俗店で、女の子の送り迎えをするしがない運転手兼ボディガード。

 はずみで店の女の一人を殺めてしまい、困ったマーリオは知り合いのブラジル人に助けを求める。それがきっかけで天使の歌声を持つ盲目の少女カーラと知り合い、さらに死体の始末を頼んだ中国人マフィアのボスの通訳に雇われることになる。

 中国人たちは近々関西ヤクザと大きな取引があるらしい。そんな矢先、マーリオを執拗に追い掛け回すヤクザによってカーラがさらわれる。金が要る――。

 果たしてマーリオは中国人たちを出し抜いて金をせしめることができるのか、そしてカーラを救い出せるのか、結構サスペンスフルである。

 だが、こんなろくでもない男がハッピーエンドを迎えられるはずもない。ではあるのだが、そんな益体もない物語を面白く読めてしまうのは、男の性か、はたまた人間の本能なのか。

【帚木蓬生】白い夏の墓標 3

 最近の作品でもないのに書店でよく平積みされているのを見かけ、以前から気になっていた『閉鎖病棟』をちょこっと立ち読みしてみた。ただし読んだのは逢坂さんの書いた解説の方。その解説を読んで、『閉鎖病棟』ではなくこのデビュー作を読みたくなったおいらは天邪鬼?

新潮文庫 2006/11/15 16 版発行

 「ドクター・クロダを御存知ですか」。パリで開かれた肝炎ウィルス国際会議に出席した北東大教授の佐伯は、アメリカ陸軍微生物研究所のベルナールという見知らぬ老紳士から尋ねられる。それはかつて仙台で机を並べた友の名であった。その後彼はアメリカ留学中に事故死したと聞いていたのだが、その友の死について、ベルナールは思いもよらぬことを佐伯に告げる――。

 これより前にいくつかの短編を発表しているようだが、実質デビュー作と言って良いと思う本作が刊行されたのは1979年。その年の上半期直木賞候補にもなっているが、同じ年にデビューした船戸与一『非合法員』とともに、「書かれるのが早すぎた 《国際冒険小説》」と逢坂さんは書いている。

 「第一章 吸着(アタッチメント)」に始まり、「侵入(ペネトレーション)」、「脱穀(アンコーティング)」、「転写(トランスクリプション)」、「成熟(マチュレーション)」と、ウィルスの増殖過程を表す用語が章題となっているのがユニークであり、興味をそそられる。

 なので、最後の「第六章 放出(リリース)」ではどんな風に弾けるのか!?と期待したのだが、肩透かしを食らった感じ。確かに「国際」ではあるが、「冒険小説」と言われると首を傾げたくなる。29年の時を経ては、いささか「読むのが遅すぎた」気がする。

【樋口有介】枯葉色グッドバイ 4

 以前から気になっていた作家なのだが、カバー裏を見るに「青春ミステリー」なぞと書かれているものが多く、いい年してそんな青臭いもん読めるかいと思って敬遠してきた。が、これは「ハートウォーミングな長篇ミステリ」らしい。これなら良いかということで、樋口有介初読みである。

 解説によれば、単行本が出た2003年当時のインタビューで、《これはたぶんデビュー以来最高傑作じゃないかと思う》 と著者自身が語っているらしい。

文春文庫 2007/8/15 第 3 刷

 いきなり「ハートウォーミング」とは程遠い、短いが残虐な殺人シーンから始まる。この事件の犯人探しをすることになるのが、かつての捜査一課の敏腕刑事にして今はホームレスの椎葉明郎。

 椎葉がねぐらとする代々木公園の近くで別の殺人事件が発生し、冒頭の事件を担当している女性刑事・吹石夕子がその現場を訪れて椎葉を見かける。彼女は警察学校時代に椎葉の指導を受けたことがあり、そんなこんなで椎葉を(日当2000円で)雇い、捜査が行き詰まっていた事件を解決に導くというお話。

 椎葉はハードボイルド…とはちょっと違う気がする。「ああ言えばこう言う皮肉屋さん」という感じ。だが悪くない。それに劣らず夕子のキャラが良い。上司がある刑事のことを 《私とちがって尻の穴の小さい男でねえ》 と言えば、《それならわたしが指をつっ込んで、尻の穴を大きくしてあげましょうかね》 ときたもんだ。

 で、どこが「ハートウォーミング」かというと…その点に関しては、ぜひ本書をお読み下さい。(^^;

 久しぶりの勝手にキャスティングは、椎葉明郎は目一杯ヒゲを伸ばしてちょっと長めの髪をボサボサにした竹野内豊、吹石夕子は田中麗奈でどうでしょ。

【原宏一】床下仙人 4

 「カバーと帯を変えて売上アップ ]でポップに興味をひかれたと書いた本である。「これを面白いと言わずにして何を面白いと言うのか」みたいな内容と薄さ(=安さ)で衝動買い。新しい本ではない。カバー折り返し部分の紹介によれば、その昔テレ朝でやっていた「ほんパラ!関口堂書店」(あったねぇ、そんな番組。結構見た記憶はある割に印象が薄いけど)で絶賛されたらしい。

祥伝社文庫 2007/12/5 第 11 版発行

 五話の短篇集。念願のマイホームに越して早々、この家には何かいると妻が言い出す。ある日の深夜、帰宅した夫は、洗面所で歯磨きをしている見知らぬ男に遭遇する。「どうも」と頭を下げる男に、思わず夫も「どうも」と返す。口をすすぎ終えた男は「それじゃ」と言い残して――という表題作。

 最初はそのシュールさにいま一つぴんと来なかったのだが、他の短編を読み進めるうちにだんだんとこの「床下仙人」の面白さと、そして怖さが分かってきた。ありそうで無さそうな、いや、あるはずが無いのだが、あってもいいんじゃない? でもあったら怖いよなぁ…。

 一番面白かったのは四話目の「派遣社長」。社員が派遣なら社長が派遣でもいいだろう…って、常識的に考えればいいわきゃないんだが、いささか強引ながらもその必要性を説明されると、考えようによっちゃ社長なんてのは一番の無駄飯食いだよなぁ、という気にもなってくる。まあ、最後は「でもやっぱりね」的なオチではある。

 Amazonレビューによれば、絶版間近だったものがポップで人気が出て大増刷になったらしく、今回は書店の策略に見事はまったということか。ちなみに買ったのは渋谷のブックファースト。ただ、ちょうど一週間後に寄ったところ、本書があった場所には別な本が積まれていた。賞味期限切れ寸前だったのかな。(^^;

【アラン・ディーン・フォスター】トランスフォーマー ゴースト・オブ・イエスタデイ 3

 昨夜の記事で何か忘れているな〜と思っていたが、今朝になって思い出した。映画「トランスフォーマー」の原作ではなく「前日譚」なのだそうだ。

ハヤカワ文庫 2007/7/15 発行

 映画の方は一両日中に息子らと見に行く予定だが、前日譚なら予習になるかと思い購入。トランスフォーマーというのは、もともとタカラが発売しているロボット玩具シリーズであり、それをもとにしたテレビアニメなのだということを、実はこの本の解説を読むまで知らなかった。

 普通SFというのは(近)未来の物語であることが多いと思うが、これは1969年のお話。さらに正確にはその年の7月16日から始まる。その日は何の日かというと、アポロ11号の打ち上げのあった日である。なぜその日かというと、さほど必然性は感じないものの当然理由がある。

 まさに「前日譚」という感じで、決して映画のネタバレになるような内容ではないが、ぶっちゃけこれだけを読んでも消化不良だ。是が非でも映画を見ねば! それにしても、こんな下手っぴぃな翻訳は久しぶりだ…。

【黒田研二・二階堂黎人】千年岳の殺人鬼 2

 背表紙に二人の作家―うち一人は名前だけは知っている二階堂黎人―の名が並んでいる文庫本を発見、二冊並んでいたうちの一冊を手に取って裏を見れば、「超絶的スキー・ミステリの逸品!」とある。スキー・ミステリーって何じゃそら?と思いつつも、ちょうど『ちゃれんじ?』(こっちはスノボだけど)を読み終えた直後だったこともあり、読書欲をそそられる。

 でも二人とも読んだことはないしなぁ、と思いながら改めて著者名を確かめると…奇しくも『ちゃんれんじ?』にケイゴリンの滑り仲間として登場する二人、一人はあの「ヘンタイ クロケン」ではないか! ということで、何だか嬉しくなってつい買ってしまったのだが…。

 ちなみになぜ「ヘンタイ」なのかを知りたい方は、『ちゃれんじ?』をお読み頂きたい。黒田氏本人は自身のブログ KUROKEN! で、『ちゃれんじ?』が文庫化されたことで、知名度が上がれば良いが好感度が下がるだけ?と書いている。(^^;

光文社文庫 2007/2/20 初版 1 刷発行

 ずいぶんと前置きが長くなったが、肝心の感想はというと…うーん、面白くない。オーストラリアの日本語学校の仲間が、日本人講師「フミコ」の故郷のスキー場に夏休みでやって来て奇妙な事件に巻き込まれるという話と、キラー・エックスと呼ばれる殺人鬼が次々と殺人を犯していくという話が交互に展開されるのだが、この二つがどうリンクするのか分からないまま進んで行く。

 しかもこの二つの話は時間軸がずれている。前者にはさらにタイムスリップがからんできて…ああもう訳分からん、と思っているうちに終わってしまった。

 読み終えた後で、シリーズ物というか三部作の二作目だということを知った。実は冒頭に書いた二冊並んでいたうちのもう一冊『Killer X キラー・エックス 』というのが一作目なのだという。順番で読んでいれば違う感想になったかも知れないが。

 それにしても、登場人物がスキーヤーで舞台がスキー場だから「スキー・ミステリー」か? まあ、これに関しては作者に責は無いだろうけど。

【はやみねかおる】そして五人がいなくなる 3

 まったく知らない作家でした。おんもらきさんのレビューで興味を持ち、ちょいと調べてみた。もともとは講談社青い鳥文庫から出ていたシリーズものが講談社文庫版として刊行されたもの。おんもらきさんのは昨年末に出たものだが、どうせ読むなら一作目をと思い、まずは書店でチェック。

 今回の決め手は解説ではなく(そもそも解説が無い)、宮部みゆき、田中芳樹、北村薫、法月綸太郎、太田忠司、倉知淳、霧舎巧といった面々の「人気作家からの超豪華はやみねかおる応援メッセージ」。《はやみねかおるさんは子供たちだけのものではありません》 という宮部氏のごくシンプルなメッセージで購入決定。

講談社文庫 2006/7/14 第1版発行

 主人公は自ら名探偵を名乗る夢水清志郎と、彼を「教授」と呼ぶ、亜衣(あい)・真衣(まい)・美衣(みい)の三つ子の姉妹(ちなみに本書では中学一年生)。
 教授のキャラについて少し補足すると、年齢(本人が忘れてしまったため!)不詳。《背の高い、やせた人。180センチは超えていて》 ということで、今回の配役は阿部寛に決定(かなり安易)。この他、三姉妹の観察によれば 《常識はない》 《食事を忘れるくせに、意地きたない》 《パジャマを持っていない》 《食事にいろいろ注文をつけるが、それでも好ききらいなく、なんでも食べる》 と、相当にユニーク。

 さて、ストーリーはと言うと、「伯爵」と名乗る謎の人物が、隣町のオムラ・アミューズメント・パークで、衆人環視の中、地元の天才少年・少女たち4人を次々に消してみせる。名探偵夢水清志郎は、すべてお見通しだが謎解きは「5人目」が消えてからだと言う…。

 うーん、もともとがジュブナイルということで多少は大目に見るとしても、犯人とか動機とか、かなりバレバレな感じがします。著者曰く 《古き時代の「本格探偵小説」》ですが…微妙? とりあえず刊行済みのもう一冊を、そのうちに読んでみようかなと。

 それにしても講談社文庫だったらカバー表紙の絵は何とかならんものか…買う時ちょっと気恥ずかしかったです…。(^^;

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