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藤原伊織

【藤原伊織】てのひらの闇――12月のイチオシ!

てのひらの闇 (文春文庫)文春文庫 2007/12/1 第11刷

 タイケイ飲料宣伝部課長の堀江は、ある日会長の石崎から同社のヒット商品のテレビCMに使えないかと、偶然撮影した人命救助シーンを収めたビデオテープを渡される。しかし、かつてCM制作会社にいた経験のある堀江は、その映像がCGであることを見抜き、石崎に告げる。そしてその夜、石崎が自殺する――。

 さして面白いと感じなかった『テロリストのパラソル』の他にはアンソロジーで短編を一つ読んだだけの今は亡きイオリンだが、BOOK OFFでかなり状態の良いものが目に止まり、久しぶりに読んでみようかと買い求めた。

 アンソロジーで読んだ「ダナエ」の主人公はえらくカッコ良かった(ということを自分の感想を読んで思い出した)が、本作の主人公・堀江は泥酔して路上で寝込んでいるという、完全な醜態をさらしての登場である。だが、その醜態がチョーカッコ良く描かれているのには参った。ハートをわしづかみにされてしまった。

 もちろん無様な体は最初だけで、人知れぬ過去を持つ堀江は至極ハードボイルドで、オヤジの心はハートボイルド(今夜は冷えるな…)。さらに堀江の部下で勝気な大原真理は、オヤジにはたまらないキャラである(「オヤジ」の前に「ス○ベ」という修飾語がいるかも)。

 ちなみにドラマ化されたことがあるとのことで、その際のキャスティングは堀江=舘ひろし、大原真理=櫻井淳子。櫻井淳子はなかなか良い。が、舘ひろしは違うだろ。もっと知性的なイメージ、上川隆也あたりかなぁ。

 サブタイトルがずばり「てのひらの闇2」、『名残り火』という続編があるそうで、近いうちにぜひ読みたいと思う。

【藤原伊織】テロリストのパラソル 3

 一つの作品で江戸川乱歩賞と直木賞を受賞するということがあり得るのか? その答がここにある!?

講談社文庫 2007/2/15 第 25 刷発行

 主人公は 20数年前のある事件のために警察の目を逃れて暮らしていた《プロの酔っ払い》 島村。いつものように出かけた新宿中央公園で、爆破事件に巻き込まれる。犠牲者の中に、かつて大学紛争を共に闘った二人が含まれていたことを知った彼は、自ら犯人を捜すために動き出す――。

 最後にたどり着いた真実、犯人の正体には相当に驚かされた。が、ものすご〜く期待して読んだためか、強烈な肩透かし?を食ったような感じである。ミステリー色はさほど強くない。「ハードボイルド」と書かれた書評もかなりあるが、どこが?という感じ。だから面白くないというつもりはないのだが。

 しかし、私も好きな阿刀田高、高橋克彦といった方々が賞賛する作品である(実際に二つの賞を取っているのだから当たり前と言えば当たり前だが)。他のブロガーさんのレビューでも相当に評価が高いようで、う〜む、読む側に問題ありか? ちょっぴり自己嫌悪…。

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