October 23, 2023
10.31メッセージ(寺尾不当判決から49年 石川一雄さんのメッセージ)

狭山事件の再審を実現しよう
寺尾不当判決から49年 石川一雄さんのメッセージです。
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10.31メッセージ
今年の極夏もやっと峠を越えたものの、熱中症、新型コロナ、インフルエンザが猛威を奮いました。支援者皆様方におかれましては、いかがお過ごしでしたでしょうか?私は元気そのものであります。
ただ、新型コロナ感染が拡大し、俳優の志村けんさんが新型コロナに感染し、急死されたこともあり、私も高齢のうえ糖尿病の持病もあることから、支援者皆様方には申し訳なく思いつつ、「生き抜いて冤罪を晴らす」ために、この2〜3年、極力外出を控えさせて頂きました。
また最近特に、目が見えにくくなり、階段等で転んだこともあったので、遠くの集会等に支援のお願いに出ていくことも遠慮させて頂いております。
その間にも、支援者皆様方には、高裁に鑑定人尋問を求める署名を51万筆以上集めて頂いたり、「狭山の闘いを止めない」と高裁前アピール行動や各地での集会やスタンディング、座り込み、23デーの取り組み等を続けて下さっていたことは、私をどれほど奮い立たせ、また希望を頂いたかしれません。
なにはともあれ、今は、第3次再審闘争の最重要な局面を迎えており、57回目の三者協議も来月に予定されていますが、現在の状況を直視すれば、大野裁判長の退官は12月に迫っている由で、事実調べ・再審開始の可否の判断は、次の裁判官に託すにしても、それほど時間はかからず判断されるものと思われます。
49年前の寺尾確定判決の一部を引用すると「いやしくも捜査官において所論のうち重要な証拠収集過程においてその1つについてでも、弁護人が主張するような作為ないし証拠の捏造が行われたことが確証されるならば、それだけでこの事件は極めて疑わしくなってくる」とあり、そうであるならば、鑑定人尋問の必要はないと主張する検察に対し、裁判官は毅然とした態度で鑑定人尋問を行うことが求められていますし、また、職権でインクの鑑定をして頂きたく切に願っています。
私自身は、確定判決のあげた証拠に対して、つぎのような疑問を追及することも重要ではないかと思っています。
その一つは、解剖鑑定では被害者の死亡時刻は食後最短で三時間というように判断されておりますが、被害者の解剖結果によると胃に250CCもの残留物があり、担任教師によれば、昼の給食は12時5分ごろ終わったと述べており、当日給食に出ていないトマトも残留物に含まれていた由であり、確定判決のストーリーと食い違うという点です。
2点目は、人間が死ねば重力によって血液は下に下がり、死斑が発生し、その死体を動かしても8〜10時間経過していると消えないと言われております。死体の腹部、背部の両側に赤い斑点(死斑)があったそうですが、私を犯人とするならば、5時間以内に動かしたことになりますので、背中に斑点(死斑)が存在していたということは時間的におかしいのです。
確かに確定判決の7点の情況証拠、秘密の暴露と自白を完全に潰し、事実調べ・再審開始を求めるのが一番と思われますし、そのように戦われていることは承知しておりますが、その都度、検察は時間をかけて反論等を提出してくるので、いたずらに時間が過ぎ、その結果、私の命が失われていくことになります。こうした検察官のやりかた(再審妨害)を止めるには、やはり再審法の改正しかないのかもしれません。
第3に万年筆の件は今更私が申し上げる迄もありませんが、弁護団の皆様方には、何時如何なる時でも長期間に渡って多大なご尽力、ご協力を賜っていることに、心から敬意と感謝の念で一杯ですが、私が逝ってから無罪を勝ち取っても遅いので、つい泣き言、愚痴を零こぼしてしまいました。
事実調べ・再審開始の可否の判断を次の裁判官に委ねることになっても、支援者、弁護団の皆様方と共に奮闘して参る決意は変わりませんが、何卒、皆様方も、今次の再審闘争に全勢力を傾注して下さいますよう伏してお願い申し上げます。
先の見通せない中で、寺尾不当判決糾弾集会が全国各地で開催されている訳ですが、私も年齢的にみて今次の第3次再審請求にかけており、全国の支援者皆さん方のご支援、ご協力に応えるべく、全身全霊で闘い抜くことをお誓いして寺尾不当判決から49年を迎えての決意とさせていただきます。
2023年10月
寺尾不当判決49カ年糾弾・狭山再審要求集会
ご参加ご一同様
石川 一雄
October 27, 2022
寺尾不当判決48ヵ年石川一雄さん2022.10.31メッセージ
石川一雄さんの10.31に向けたメッセージです。
早智子さんのHPより全文掲載します。
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寺尾不当判決48ヵ年を迎えてのメッセージ
諺に「桐一葉(きりひとは)」といって、昔の人たちは、桐の葉が一枚落ちるのを見て、秋の気配を感じたそうですが、私の場合、秋を何十回迎えたであろうと思い返すと遣(や)る瀬(せ)無(な)い気持ちに駆られることは否定できないまでも、その事は禁句とし、近年では寿命が百年時代に突入といわれており、だとすれば、私はまだ十六年余りあるわけですが、新型コロナ感染拡大の関係で、今は家の中に居ることが多く、新聞、機関誌等に目を通していると不倶戴天(ふぐたいてん)の心境は払拭できませんが、今は兎に角、再審闘争に重点をおき、自分の逸(はや)る気持ちを抑えて闘いに専念しています。
当時、如何に無知とはいえ、警察の罠に嵌(はま)ってしまった自分自身に毎日が自責の念で一杯乍ら、冤罪を晴らすのに、このように長い年月が必要だとは想像もできませんでした。
この10月には寺尾不当判決48カ年糾弾集会が全国各地で開催され、然もコロナ禍の終息しない中での集会であるだけに、ただ只管(ひたすら)に大変申し訳なく、またご迷惑をおかけし、相済まない気持ちで一杯です。
然し一方、先般弁護団は、私の無実を明らかにする新証拠を作成した科学者や、元科捜研技官など専門家11人の、鑑定人尋問の必要不可欠性を求めた事実取り調べ請求書を東京高裁第4刑事部に提出しました。それらを裁判所が如何に重く受け止め、採否を判断するかに、私の生死がかかっているわけです。
想えば科警研の鑑定では私方から発見された万年筆のインクと被害者のインク瓶のインクの同一性を否定されていたにも拘わらず、科警研の鑑定は証拠として調べられることなく、確定判決もインクの違いに触れないまま誤判を招いてしまったのではないかと思われます。考えてみれば、常識的に有り得ないのです。例えばNさんは、本件の起きる一週間前頃、被害者にインク瓶を貸したが、入れるところは見ていないと供述しており、何よりも事件当日被害者が書いた日記、授業中に書いた浄書を含め、一貫してジェットブルーのインクを使用していた被害者が、わざわざ当日、異なるインクを補充する訳がないのです。
そういう意味で蛍光X線分析によるインク鑑定をはじめ、弁護団が請求している11人すべての鑑定人について証人尋問をおこない、裁判所は、大局的見地に立って、単に検討するのではなく、事の理非を熟慮され、法の下(もと)の平等の原則に基づいて裁判所が職権で持ってインクの違いについて鑑定して頂くことが公正な判断と確信しております。
私・石川一雄が、この先、30年、50年と生きられる訳ではありませんが、調べ官の陥穽に落ち、無実の罪で59年間も、苦悩し、83歳の今も、冤罪を晴らす闘いの日々を送っていることを裁判官にご理解して頂き、何としても鑑定人尋問と職権鑑定をして、真実を明らかにしていただきたいと願っています。
支援者皆様方には、裁判所に対し、弁護団請求の鑑定人尋問をし、もしくは自ら職権で鑑定されるよう声をあげてくださるよう心から願っております。
◎生死賭(せいしと)し 堅固豪傑(けんごごうけつ)三次(さんじ)に臨のぞみ 司法(しほう)の正義(せいぎ)で無罪判決(むざいはんけつ)
◎拋棄(ほうき)せず 慰藉(いしゃ)に吾(われ)は後押(あとお)しされ 科学(かがく)が暴(あば)く驚天動地(きょうてんどうち)
2022年10月 石川 一雄
寺尾不当判決48ヵ年糾弾
狭山再審要求集会参加各位
桐一葉(きりひとは)・・・・・・桐の葉が落ちるのを見て秋を知ること
堅固豪傑(けんごごうけつ)・・・意志が強く度胸のすわった人
慰藉(いしゃ)・・・・・・・・・なぐさめ助けること
拋棄(ほうき)・・・・・・・・・投げ捨てる
驚天動地(きょうてんどうち)・・世間を非常に驚かせること