釧路地裁
August 27, 2012
1986(昭和61)年8月27日
1986(昭和61)年8月27日
8月27日 梅田事件 釧路地裁 無罪判決 冤罪
[[梅田事件]]で、[[釧路地裁]]が[[無罪判決]]を下し、逮捕34年にして[[冤罪]]が確定する。
悼:梅田事件で再審無罪、梅田義光さん=2007年6月20日死去・82歳
(毎日新聞 2007年7月25日 東京朝刊より)
◇胸に納めて、他人罵らず−−梅田義光(うめだ・よしみつ)さん
「この日を一日千秋の思いで待っておりました。この間の苦しみをなんと表現したらよいのか。一時は死を覚悟したほどです」
黄ばんだスクラップブックの中に直筆の手記があった。四半世紀前の記憶が鮮明によみがえった。82年12月20日。強盗殺人罪などに問われて無期懲役の刑に服した梅田さんの2回目の再審請求に釧路地裁網走支部が再審開始を決定した時、毎日新聞に寄せた一文だ。
梅田さんとの出会いは、さらに3年さかのぼる。再審開始の要件を緩和した最高裁の白鳥事件決定(75年5月)が出され、再審のうねりが高まる中で、梅田事件を知った。79年2月、札幌で開かれた集会。「私は断じてやっていません」。浅黒い顔をした男性が壇上で切々と訴えていた。年齢より老いて見えた。私は北見市に飛んだ。梅田さんは市営住宅で82歳になる老母と共に迎えてくれた。
農業を営んでいた梅田さんは50年10月、営林局員が殺され、公金が奪われた事件の共犯として、2年後に逮捕された。「警察官の拷問」で容疑をいったんは認めたが、起訴直前に否認。その後、一貫して無実を訴えたが、57年11月に無期懲役の判決が確定。71年5月に仮出所した。
「逮捕後、一家は離散。情けなかった。せめて殺人犯の汚名だけはすすぎたい」。朴訥(ぼくとつ)な語り口で、時折涙を浮かべた。気付くと夜も更け、そのまま泊まった。朝食に用意してくれたサンマの缶詰は今でも思い出す。
再審の釧路地裁が無罪を言い渡したのは86年8月。逮捕から34年たっていた。「畑から掘り起こしたような男。あんな正直なヤツはいない」。梅田さんを支援し続けた小林政男さん(83)は振り返る。
梅田さんは無罪確定後、リサイクル業の一方、各地で自分の体験を語り、冤罪(えんざい)の恐ろしさを訴えた。晩年は老人ホームに入居し、静かな生活を送った。
梅田さんから他人を罵(ののし)る言葉を聞いたことはない。すべてを胸の内に納め、逝ってしまった。再審の扉が再び重たくなりつつあるという。梅田さんの無念の思いはきちんと届いているのだろうか。【江畑洋一】
参考)
8月27日 梅田事件 釧路地裁 無罪判決 冤罪
[[梅田事件]]で、[[釧路地裁]]が[[無罪判決]]を下し、逮捕34年にして[[冤罪]]が確定する。
悼:梅田事件で再審無罪、梅田義光さん=2007年6月20日死去・82歳
(毎日新聞 2007年7月25日 東京朝刊より)
◇胸に納めて、他人罵らず−−梅田義光(うめだ・よしみつ)さん
「この日を一日千秋の思いで待っておりました。この間の苦しみをなんと表現したらよいのか。一時は死を覚悟したほどです」
黄ばんだスクラップブックの中に直筆の手記があった。四半世紀前の記憶が鮮明によみがえった。82年12月20日。強盗殺人罪などに問われて無期懲役の刑に服した梅田さんの2回目の再審請求に釧路地裁網走支部が再審開始を決定した時、毎日新聞に寄せた一文だ。
梅田さんとの出会いは、さらに3年さかのぼる。再審開始の要件を緩和した最高裁の白鳥事件決定(75年5月)が出され、再審のうねりが高まる中で、梅田事件を知った。79年2月、札幌で開かれた集会。「私は断じてやっていません」。浅黒い顔をした男性が壇上で切々と訴えていた。年齢より老いて見えた。私は北見市に飛んだ。梅田さんは市営住宅で82歳になる老母と共に迎えてくれた。
農業を営んでいた梅田さんは50年10月、営林局員が殺され、公金が奪われた事件の共犯として、2年後に逮捕された。「警察官の拷問」で容疑をいったんは認めたが、起訴直前に否認。その後、一貫して無実を訴えたが、57年11月に無期懲役の判決が確定。71年5月に仮出所した。
「逮捕後、一家は離散。情けなかった。せめて殺人犯の汚名だけはすすぎたい」。朴訥(ぼくとつ)な語り口で、時折涙を浮かべた。気付くと夜も更け、そのまま泊まった。朝食に用意してくれたサンマの缶詰は今でも思い出す。
再審の釧路地裁が無罪を言い渡したのは86年8月。逮捕から34年たっていた。「畑から掘り起こしたような男。あんな正直なヤツはいない」。梅田さんを支援し続けた小林政男さん(83)は振り返る。
梅田さんは無罪確定後、リサイクル業の一方、各地で自分の体験を語り、冤罪(えんざい)の恐ろしさを訴えた。晩年は老人ホームに入居し、静かな生活を送った。
梅田さんから他人を罵(ののし)る言葉を聞いたことはない。すべてを胸の内に納め、逝ってしまった。再審の扉が再び重たくなりつつあるという。梅田さんの無念の思いはきちんと届いているのだろうか。【江畑洋一】
免田事件〔免田栄さん〕 免田事件再審無罪判決(判例時報一〇九〇号)1983(昭和58年)7月15日、熊本地裁 財田川決定〔谷口繁義さん〕 財田川事件再審無罪判決(判例時報一一〇七号)1984(昭和59)年3月12日 、高松地裁 松山事件〔斉藤幸夫さん〕 松山事件再審無罪判決(判例時報一一二七号)1984(昭和59)年7月11日、仙台地裁 徳島ラジオ商殺し事件〔冨士茂子さん〕 徳島ラジオ商殺し事件再審無罪判決(判例時報一一五七号)1985(昭和60)年7月9日徳島地裁(山田真也裁判長) 島田事件〔赤堀政夫さん〕 島田事件再審無罪判決(判例時報一三一六号)1989(平成元)年1月31日、静岡地裁 梅田事件〔梅田義光さん〕 梅田事件再審無罪判決 1986年8月27日、釧路地裁 |
参考)
異議申立書 請求人 石川一雄より抜粋 請求人石川一雄に対する強盗強姦・強盗殺人、死体遺棄、恐喝未遂等再審請求事件につき、東京高等裁判所第四刑事部は一九九九年七月八日本件(第二次)再審請求を棄却する旨の決定をなした。 これらについては、全面的に不服であるので、刑事訴訟法四五〇条、同四二八条により、原決定の取消と再審開始の決定を求めて本異議の申立をする。 申立の理由は左記のとおりである。 一九九九年七月一二日 右主任弁護人山上益朗・・・ 第一、原決定が最高裁判所判例である白鳥決定(昭和五〇年五月二〇日第一小法廷決定。判例時報七七六号)と財田川決定(昭和五一年一〇月一日第一小法廷決定。判例時報八二八号)ならびにこれまで積み重ねられてきた再審各判例に違反していることについて。 一、白鳥決定は、明白性の程度と判断の方法について、「『無罪を言い渡すべき明らかな証拠』とは、確定判決における事実認定につき合理的疑いをいだかせ、右の明らかな証拠であるかどうかは、もし当の証拠が確定判決を下した裁判所の審理中に提出されていたとするならば、はたして確定判決においてなされたような事実認定に到達したであろうかどうかという観点から当の証拠と他の全証拠とを総合的に評価して判断すべきであり、この判断に際しても、再審開始のためには確定判決における事実認定につき合理的な疑いを生ぜしめれば足りるという意味において『疑わしきは被告人の利益に』という刑事裁判における鉄則が適用されるものと解するべきである」とした。 原決定は、右判例にいう「総合評価」ならびに「疑わしきは被告人の利益に」の原則の適用を放棄しているところの、きわめて違法・不当の決定と断ぜざるをえないのである。 とくに、「総合評価」の放棄は必然的に、自白をふくむ旧証拠の再評価を放棄することに帰し、ひいては確定判決の証拠構造と切り離した上で各新証拠をそれが対応する旧有罪証拠と個別的に対比検討して明白性を否定しているのである。これを換言するに、個々の新証拠のみで有罪認定を覆すことを要求する孤立評価説に堕落していること明白である。その違法性、不当性にてらして、それが再審の門の閉塞をねらつてあえて打ち出されたものとしかとらえようがないほどで、きわめて遺憾の極みといわざるをえないのである。 二、また原決定がこれまでの再審判例のなかで確立してきた各法理に敵対していることは、確定判決における証拠構造の分析を全くやつていないことに徴してあきらかである。 再審受理裁判所がまず、確定判決の証拠構造の分析から再審理由の検討に入ることはすでに定着、確定した審理の方法といえる。 たとえば、 昭和五四年一二月六日仙台地方裁判所における松山事件再審開始決定書をみると、「第二、確定判決の証拠構造」という項を起こし(判例時報九四九号)、有罪認定の有機的関連を検討している。このような審理方法は昭和五五年一二月一二日徳島地方裁判所、徳島ラジオ商殺し事件第六次再審開始決定(判例時報九九〇号二〇頁)において、昭和五七年一二月二〇日釧路地方裁判所網走支部の梅田事件再審開始決定(判例時報一〇六五号三四頁以下)において、昭和六一年五月二九日静岡地方裁判所の島田事件再審開始決定(判例時報一一九三号)において、平成四年三月二二日福島地方裁判所いわき支部の日産サニー事件再審開始決定(判例時報一四二三号)において、あるいは棄却決定の場合においてさえ、たとえば平成六年八月九日静岡地方裁判所袴田事件の決定(判例タイムズ八五六号)においても、右各再審先例は、再審請求の理由の審理にあたつては、まず確定判決の証拠構造を分析し、そこでの有罪認定の強度と質を再評価し、そののちに新証拠による総合評価をなしている。 原決定は、確定判決の証拠構造の分析を全くなさず、したがつて総合評価をオミットする。すなわち、各論点の判示の結びに、おまじない的に、「総合評価するに」とか、あるいは「関係証拠と併せ考えても」とか、「第二三結び」においては、「新規明白な証拠として採用する証拠資料を、その対比する事項毎に確定判決の関係証拠と総合して考察し、」などという文言を、一行挿入することで能事終われりとしている。 いうまでもなく上記各先例が再審理由の審理にあたつて、まず確定判決の証拠構造を分析した理由は、有罪認定の質を再評価するためであるが、加えて、再審請求審の弾劾の対象(審判の対象)を確定するためである。 |
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