久能千明・原作「ボーダーライン」シリーズ

2006年10月29日04:52「ボダーライン」シリーズ5

ボーダー・ライン1 
『ボーダー・ライン』 久能千明・著
三木眞一郎(由利潤一郎)/鳥海浩輔(真行寺佳也)/小杉十郎太(片岡亜久利)/
西村知道(室生義行)/斉藤次郎(吉永)/小林和矢(宮内)/羽多野 渉(坂下)/
田中 完(三屋本部長)/平野俊隆(一課長)

ボーダー・ラインI
県警本部捜査一課の刑事・真行寺佳也は、雑踏の中、ひとり浮き上がって見えた男・由利潤一郎に目を奪われた。
やがて、刑事と弁護士として法廷で再会したふたり。頑なに人との深い関わりを拒む佳也は、自分に対しあからさまな好意を示す由利に、戸惑いを隠せないでいた。そんな中、佳也と親しかった元刑事・久保田が殺人を犯し、自殺を図った。
そしてそれが、佳也と由利、そして多くの人間を巻き込んでいく大事件の幕開けだった―――。

ボーダー・ラインII
元同僚の久保田が起こした事件、そして自殺。真行寺佳也は、友人だった男の死に疑問を抱き、調査を始めた。
その中で佳也は、久保田が以前に担当していた事件で、捜査の終わり方がおかしい事件があることに気づく。
―――政治家、暴力団、警察幹部の癒着…。証拠はない。理論的な説明もできない。
それでも「何か」があると感じた佳也は独自に捜査を進め、とんでもない真実を知ることになる。
その衝撃に崩れ落ちそうになった佳也は、由利潤一郎の差し伸べる手を自ら取るのだが―――。

ボーダー・ラインIII
佳也は自分を拒まない。しかも、進んで身体を開く佳也に、由利潤一郎は自分の知らないところで、得体の知れない何かが大きく動いているのを感じていた。
政治家、暴力団、警察幹部の癒着。元同僚の死をきっかけに、真行寺佳也が知ってしまった事件の真相。それは既に一介の刑事が手を出せる規模ではなかった。
だが、佳也は単独でその事件の捜査を進めていった。---事件に深入りしていく佳也を待ち受けていたものは!? そして、由利が受け入れなければいけなかった現実とは…!?

★「ボーダー・ライン」に関しての感想は『Moon LIGHT Kiss』 2006.05.08 を参照にしてください。
 

原作を読んでみて、あとからドラマCD化されている事を知りました。しかし・・・3枚!!
ハッキリ言って悩んだのですが・・・どうしても聴きたくなって買ってしまったCDです(笑)
で・・まず最初に・・・キャストに関して・・・
あのう・・亜久利なんですが・・・小杉さんというのはキャストミスではないかと(笑)
いくらなんでもあの声で亜久利の年齢の声は・・・きついですよね!
決して小杉さんが嫌いなわけじゃないんですよ!「情熱シリーズ」の東原さん役とかね。ああいう役ならピッタリなのにね〜(笑)

さて、三木さんと鳥海さんがとても良かったです。
特に由利という人物は・・・演じるはかなり難しかったと思いますよ〜。
原作を読んでいる時からそう思っていたのですけどね。
何と言うか・・・つかみどころのない性格というか・・・。
でも、原作を読んでいる時から、これをドラマCD化するなら由利は「三木さんだな」と思っていたんですが・・・CDのキャストを見てビックリ!本当に由利役が三木さん!!
もう、それだけで・・・購入決定(笑)
キャスト座談会でも三木さんが話していましたが・・間の取り方とかかまり難しかったとのこと。
確かに・・・早口になっても駄目だし・・逆に遅くなりすぎても駄目。
本当に難しい役を・・・三木さんは見事に演じてましたね〜!
鳥海さんも・・・なかなか〜!!
この2人の「演技力」でこのCDは素晴らしい作品になったと思うのです。

三木さんの淡々とした語り口。
でも、そこに佳也に対する深い愛情が垣間見られて・・・良かったですね。
最初の2人の出会いも・・・素敵なシーンでした。
聴いていて・・原作のその場面が頭の中で映像のシーンのようになって行きましたからね。
由利の天然というか、つかみどころのない性格に対して、「メタルフレームハンサム」の異名を持つ佳也が絡み合い、その会話が本当に良い感じなテンポで展開されていくのですよね。

同僚の死から・・・1人では背負いきれない事件を追い始めた佳也を支えてくれたのは・・・由利なのですね。由利の存在を嫌っていたはずの佳也も・・いつしかその存在を認め・・・自分ひとりでは背負いきれない悩みをぶつけられる存在となっていくのですけど。
その経過も・・・決して原作のイメージを壊すことなく展開されていきましたね。

どんどん事件に深入りしていく佳也。
そんな佳也に何とか力になってやろうとする由利ですが・・・佳也は由利をこの事件に関わらせようとはしないのです。身の危険を感じていた佳也は・・それに愛する由利を巻き込ませたくなかったのですね。

由利は佳也を抱きながら・・佳也が心の奥に抱えている、大きなものを感じるのですね。そのあたりの由利の台詞回しも・・・流石に三木さんと言った感じで・・・!

佳也も事件の裏側にある大きなものにショックを受け・・・時には弱くなりそうな自分に鞭打ちながら・・上司でたった一人の味方でもある亜久利にすら何も打ち明けず、自分ひとりでその事件に立ち向かっていく由利。その芯の強さや・・・不安な心を・・・鳥海さんがまたお上手に演じてました。
ナイスキャスティング!って感じでしたね。

「僕はあなたの何?」
「トランキライザー(精神安定剤)」

その台詞も原作の中で意味深いシーンなのですが・・
ドラマCDの中でも深みのあるシーンとなってました。

とにかく、三木さんってこういう役を演じさせると本領発揮してくれますよね。
鳥海さんも、某アニメの役ではなく・・ドラマCDではその実力をあちこちで発揮してますよね。
「ウブ」でもナイスな役を演じていましたが。

何故か最近ドラマCDで鳥海さんに出会う事が多いのですが・・しっかり役を演じてますよね。

最後は切ないシーンで終わってます。
でも、2人の『未来』を感じさせるシーンでもあります。
いつか・・きっと佳也は由利を思い出して・・過去の傷を乗り越えて・・本当の「恋人」関係になっていってくれると・・・そう信じさせられるラストでした。

「愛し方」というのは一つではないのですね。
由利のような愛しかたもあるのですね。

3枚なので聴き応えはバッチリです。
原作も読み応えがありましたが・・・さすがにCD化にするには3枚は必要ですよね。
時間のある時に・・・じっくり聞くのは最高の作品ですよ〜!