先週土曜日、大阪の北御堂で行われた、コクヨの名誉会長である黒田しょう之助さん(以下、会長)の葬儀に参列してきました。

そもそも木曜(24日)の夕方に訃報を聞き、翌日の情報では「葬儀は近親者のみで、別途社葬を行う(参列不可)」という話でしたが、金曜午後になって「実は、(大きな葬儀所である)北御堂で行う(つまり、一般でも参列可)」ことが判明し、会社的・個人的な理由で、急遽参列となりました。

創業2代目として、現在3000億円もの売上がある(文具や家具の)コクヨを、今の形にほぼ1代で作り上げた、あまりに偉大な方。偉大なのは仕事だけではなく、家長として現在の実業界に名を轟かす「黒田家」(その華麗な血脈はネットに詳しいです)を作り上げた方。

葬儀での、会長の凄さを物語るエピソードを3つ。

葬儀では、孫が全員勢揃いして、代表の黒田英邦(ヒデクニ)さんが送る言葉を読み上げたんですが、なんとお孫さんが総勢16人!しかも、急な葬儀にも関わらず、全員勢揃い!常に家族を大切にし、「家族は、仲が良くなくてはいけない」が口癖の会長のお孫さんたちらしいシーンでした。

この葬儀は新聞等では「近親者のみ」となっていたにも関わらず、弔電の数は何と2000通以上!会長が多くの企業や方々と親交があったことが伺えます。「コクヨ(国誉、出身の富山の誉れとなる、という意味)」を作り上げた会長だけあり、富山県知事からも弔電が。

しかも、葬儀で「一般」の方の焼香、何と一番目は(元郵政社長の)西川善文さん、二番目は建築家の安藤忠雄さん。それ以外にも実業界の「大物」が続々と登場。

ちなみに、会長をめぐる私の個人的なエピソードを3つ。

コクヨさんとお仕事をしているとき、一緒に入った会議で会長にいきなり「足立クンは、どう思う?」と聞かれました。コクヨの社員と勘違いされたんでしょうけど、いきなり若造を名前で呼んでくれたのに驚きました。しかも、聞かれた私を「試す」ような聞き方ではなく、本当に意見を聞いてくれている(かのような)優しい目と笑顔が印象的でした。

何かのお仕事で、会長の時間を1時間いただいてインタビューに伺いました。そうしたら、会長の満州時代の話から始まり、延々3時間のインタビューに。それでも、話がただ長いだけではなく、面白くて意味(メッセージ)があり、お話しになる勢いも凄い。しかも最後に、私たちがインタビューしているのに、「ありがとう」とおっしゃって頂いた。こんなに偉大な方が、誰に対してでも感謝の気持ちを笑顔で表現するんだ、と感銘を受けました。

黒田会長からの手紙

会長が代表取締役を退任されて名誉会長になられた時、そのお知らせに会長からのお手紙(上写真)が同封してありました。そこの最後には「なお、この春から、孫の黒田英邦が新たにコクヨ株式会社取締役に就任し、コクヨを盛り立てていくことに相成りました。中略。皆様方におかれましては、今後とも、従前同様のご厚誼ご指導をよろしくお願い申し上げます。」とありました。こういう正式な書類で、「孫が取締役になった」という個人的な件を表現している内容を見たのは、最初で最後です。本当に喜んでいらっしゃるんだなあと、会長の人間味や暖かさを感じた瞬間でした。

実質的には数年前に経営からは引退されていたようですし、コクヨさんの経営には影響は無いかもしれませんが、本当に偉大な方が亡くなられたのは残念です。今後、12月24日は、クリスマスイブとしてだけでなく、会長の命日として、一生思い出すことでしょう。ご冥福をお祈りいたします。