最近、"おかんメール"というものが
大変な人気らしいですね。
誤字、脱字、思い込み
主語が抜けていて意味がわからない
私も“おかん”のはしくれとして
他人事ではない気がします。
しかし、おかんという人は我が子に対して強烈なまでに愛情を表現するものですよね。
その愛情は時に子供にとって恐怖だったり、、、。
さて、
私がまだ可憐な中学生の時のお話です。
入学してまもなく入った部活は
バレーボール部。
東京、日野2中といえば当時スパルタ鬼コーチがいてかなり強かったんです。
ですから、日曜日も祝日も練習、練習
その日は祝日
早朝からの練習でした。
蕎麦屋を営む我が家は、朝から仕込みで忙しく、私にお弁当を持たせるのがなかなか出来ませんでした。
私は、学校近くのパン屋さんでメロンパンや焼蕎麦パンを買うのが常。
ところが祝日だからでしょうか
その朝、母が
「薫、今日は、お弁当をとどけるからねぃ!」
そしてニッコリ
私は
「たまには母も優しいとこがあるんだなあ~」
と、ジンワリ。
少し期待しました。
しかし商売人の娘
「なんか悪いなあ、、、忙しいのに申し訳ないなあ」
と練習中も胃が痛くなってきました
スパルタコーチにしごかれ
体育館で午前中いっぱい汗をかいての練習。
そしてやっと昼になりました。
「お腹すいたなあ」
部員みんなはすでに食べはじめています。
私は本を読みながら待っていると
突然ドタバーンとドアが力任せに開き
銀色の出前箱がドタンガチャ
ババッーと置かれました。
部活中の部員全員が振りかえると
蕎麦屋の制服をきた母が
「薫る~天丼いっちょー」
と言い
天丼をシュバっと机に置くのです。
「いっちょー」
黄色いタクワンものっています。
50人近い部員は
天丼と私をワイパーのように交互に見ます。
ま、まさか、、、
母はお弁当だと疑わず
重箱に入った天丼を持って来たのでした!
「私は油断していた、母を、、」
恥ずかしくて
泣くかと思いました。
しかし私は長女です。
「お母さん!!これ!?、あ、ありがと、、」
と、小さく言って受けとりました。
あとから母に聞くと私は笑顔で嬉しそうだったそうです。
わたしは、怒っても泣いても
“笑い顔”なのだと、そのとき気付きました。
その時の母の
容赦ない満足げな顔は
一生忘れません。