
浮世絵の絵師として名高い歌川広重を
描いた時代劇小説『広重ぶるう』
“ぶるう”とは、浮世絵の多色刷り版画(錦絵)に使われる鮮やかな藍色のこと。
プルシアンブルーとも
呼ばれる色のことです。
この藍色に巡り合い
東海道五十三次を描いて大成功した歌川広重。
武家に生まれながらやがて
絵師に転じた広重は
売れる絵とはなんだ
俺は何を描きたいんだと
自問自答し続け、やがて
名所絵で自分のスタイルを作り出します。
売れっ子になるまでの長い間の
広重の苛立ちがとても人間的で、読んでいて引き込まれました。
健気に広重を支える妻加代
葛飾北斎を始めとする絵師達の登場も
ワクワクします。
江戸時代の浮世絵界の動きに時代の移り変わりを感じ、とっぷりと、物語の世界に入ってしまう。
『江戸時代にタイムスリップしたい!』
と思わずにはいられません。
わたしは、20年ほど前に
浮世絵の工房を訪ねた事があるのですが
多色刷りの工程はたいへんな手間のかかる
ものでした。
彫師が主になる版を彫り、
更に色分けされた色版を彫る、、
そして、摺師の手に渡り職人技で一枚一枚
擦り上げられていきます。
浮世絵師が描いた下絵から
彫師、摺師へと、、
江戸時代の風景が
今の時代にも浮世絵を通して
見られるなんて感謝ですね
登場人物に、潔い江戸っ子の気質が現れているのも面白いです。
『広重ぶるう』
NHK放送の
ドラマ化が始まっているそうですよ!