
松平讃岐藩には、鴨場がいくつもありましたので、鴨は、香川県の名産品です。
またおいおいご案内しますけど、高速道路の高松道の府中湖パーキングエリアは、鴨うどんが美味しいので有名ですけど、鴨に関しては、香川県はほぼ、地産地消なのです。
今回ご紹介するのは、寒くなってきたので、とても暖まる鴨鍋の美味しい、『銀波亭』〔住所:香川県高松市花園町1-2-15 電話:087-862-2131〕という、高松にある、鴨料理専門店です。
高松市花園町という立地から言っても当然ですが、お座敷ばかりの料亭ですので、行かれる時には、予約しておかなくてはなりません。が、特に、高価なわけではなく、リーズナブルな料亭です。
ぼくがこのお店に初めて行ったのは、12年ほど前、仕事でご一緒していた、NTTの方に連れて行ってもらった時でしたが、あまりの美味しさに、その後、友人や、まだ元気だった母と何回か行きました。
さて、食べ方は、お料理を運んできてくれる仲居さんが親切に説明してくれるのですが、まず、鴨団子、葱、野菜などを入れて、煮立って来たら、鴨肉をしゃぶしゃぶのようにして食べるのです。この食べ方にはびっくりしたのですけど、本当に美味しいのですよ。
そしてそして、さらに驚いたことは、最後のシメに鍋にうどんを入れるのですが、これが、なんとなんと、あの「おそるべきさぬきうどん」登場のさぬきうどん店で一番人気の「山越」のうどんなんですよ。
えーーーっ、ここで、あの、コシはあるけど、ふわーっとしている、別名、さぬきうどんカルボナーラと呼ばれる、釜玉うどんで有名な、「山越」のうどんが食べれるなんて、と感動していただきました。当然、素晴らしく美味しいのです。
大体、高松市内は、うどん店が多く、鍋料理も、最後にうどんを入れる、鶏がらスープで、瀬戸内海の魚介類と讃岐豚を入れた寄せ鍋の「うどんすき」が一番ポピュラーなのですが、「うどんすき」ばかり食べているわけじゃないのですよ。しゃぶしゃぶ、ちゃんこ、すき焼き、等、いろいろあります。
しかし、うどんというパスタは食文化の領域では一定の守備範囲を持っていますので、細かく見てゆくとぼくも時々、ああ、やっぱり高松だな、と改めて気づくことがあります。
その筆頭が、ここの鴨鍋です。讃岐うどんが全国的ブームになる、はるか前から、ここの鴨鍋の最後は、「山越」のうどんに決まっていましたので、マスコミや映画と関係なく、わかっている人はわかっていたのです。
鍋物の最後を雑炊、うどん、ラーメンのどれにするか、いろいろありますが、高松では本格的な手打ちうどんと比較されますのでシビアなのです。どの製麺所のうどんを入れるかで集客力が決まっちゃうのですから、大変だと思います。
また、サラダうどんは、よく、ファミレスもメニューに入れてますけど、高松市では本格的な老舗讃岐うどん店のメニューに入っていて、うどんの麺そのものが全然違っていて素晴らしく美味しく、値段も300円以上しませんので、生粋の高松人は、ファミレスでは、サラダうどんは絶対に注文しないです。
さらに、パスタ専門イタリア料理店の『アッカカルダ』のスパゲッティが高松では一番人気なのですけど、ここのアルデンテは、讃岐うどんを研究してそのこしを取り入れるために圧力鍋を使っているのです。それくらい住民のパスタの評価は厳しいのです。
しかし、高松市の、土佐料理専門店「いちびき」の『そうめん』、ラーメン店「よって屋」の『ラーメン』、日本蕎麦店「古川」の『ざる蕎麦』、のように、美味しいパスタを提供していることが認められたお店は、高松では実力が認められてすぐに流行ります。が、それを持続させることが讃岐うどん店との値段の勝負になるので、これらのお店は、讃岐うどん店より高い付加価値を提供するという努力をしています。
「アッカカルダ」はオリーブオイル、「いちびき」は、土佐料理のウツボのたたき、「よって屋」は、サイドメニューのおでんと焼き鳥で勝負をかけています。また、「古川」は、週に何日か、胡弓のライブ演奏を無料で提供して、タフェルムジーク(食卓の音楽)を楽しめるお蕎麦屋さんにしています。それぞれ切り札とアイデアで讃岐うどん店に負けない工夫をしています。
特に、ぼくは、「古川」のライブはびっくりしましたけど、ざる蕎麦と胡弓の響きはとてもよく合うので、うどん屋に行くことが多い中でも、「古川」のざる蕎麦は別格なのです。
高松近辺在住の方は、讃岐うどんについて語る前に、是非、このあたりのお店は、全て、食べに行くべきですよ。「灯台もと暗し」にならないためにも、讃岐うどん文化が与えている地元のうどん以外の料理店への影響を見ないと、ただのふるさと自慢になってしまうと、ぼくは感じています。
そんなふるさと自慢ばかりしていたら、きっと、讃岐うどんを始めて下さった、香川県出身の弘法大師は、悲しむと思いますからね。
掲載写真は、「そば処 古川」の、『せいろと地のエビ天ぬくそば』(945円)〔胡弓のライブ演奏付き〕、です。
この945円の蕎麦を、高いと見るか安いと見るかは、それを食べる人が、胡弓の生演奏を楽しめるかどうかに関わっていることですね。そんな余計なものいらないから安くしろ、という方もいらっしゃると思います。でも、とりあえずは食べてみたほうがいいとぼくは思います。食わず嫌いは、視野を狭くしますし、それは、感受性の摩滅につながると思うからです。
ぼくが、拝金主義者が嫌いな理由は、このあたりにありますね。
とりあえず、安く食べて残ったお金で何をするのでしょうか。貯金、投資、なんてマクロ経済学用語で表現できる程度のものに残ったお金を回すくらい精神的に貧しいことはないと、ぼくは思うんですけど。
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