
「今日はのう、うどん食べてきたんで。」
「ほーなー。どこ行ったん。」
「上原屋や。釜揚げが美味しかったで。やっぱり栗林の上原屋はええの。この頃は、明太子やらチャーシューやら、いろんなうまーげなもんが載っとるうどんが流行っりょるけど、やっぱり、上原屋の釜揚げ食べたら、ほっとするわ。」
「ハハハ・・、時代についてゆけんよになったらいかんで。ほんだけど、ほんまに、ようあんなにいろんなもん載せるのう、言うくらい、いろんなうどんが出来てわやや。」
「ほんまじゃ。この前はじめて、いきいきうどんで『明太子バター生醤油うどん』食べたけど、たまーにはああいうんもええけど、わしは、やっばり釜揚げが一番好きじゃ。」
「いきいきうどんの店長も言よったけど、『明太子バター生醤油うどん』は、若い人に人気があるんやと。わしが注文したら、若い女の店員に『お客様、召し上がるんですか。』言われたがな。ほんまに失礼なねぇちゃんじゃ(笑)。わしはまだそんなに年寄りちゃうで。」
「いやいや、もう、だいぶ年が来とりまっせ。そのうちに老眼が来て耳が遠なるんじゃ。ほんで、歯が抜けてしもうたらしまいじゃ。気持ちだけ若うても体がついていかんよになったらしまいやけんの。」
「歯が全部抜けてしもうてもかんまんのじゃ。上原屋の、かけうどんのだしをぬるうにしてもろたら噛まんでもええんじゃけんの。なんやかんや言うても、上原屋の、かけ、釜揚げ、ざる、が正しいさぬきうどんや。特に釜揚げのつけだしがええの。ちょっと甘めで、あれが、さぬきの味や思うんで。」
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以上、高松市在住の、同年の友人K君との会話でした。
大体、高松にいるぽくらの世代はこんな話をすることが多いのですけど、まあ、上原屋を知らない人には何のことかわかんないかもしれないと思いますが、上原屋というさぬきうどん店は、ざっくりと言ってこういう、地元で親しまれている老舗うどん店です。
どこへうどんを食べに行こうかな、って高松市旧市内に住んでいる人が迷ったら、とりあえず行くお店、ぼくらの世代の人で知らない人はいないセルフ店、というのが、上原屋( 高松市栗林町1-16-6 087-831-6779 9:00〜17:00 日曜日定休)の特徴であろうと思います。
ですから、当然美味しくて安いのはあたり前ですし、味付けも40年前の創業当時から、ずっと、さぬき風を貫いているお店です。
従って、凝ったメニューはありませんが、生粋の讃岐うどんを出来立てで味わうには、最高のお店です。
もちろん、栗林公園の近くにあるため、結構、観光客も食べに行っているお店でもあるのですが、ややこしい路地を入ったところにあるので、高松の人は全員知っているのですが、県外客は迷うことが多いそうで、すぐ近所の高松信用金庫は道を聞かれることが多いのだそうです。基本は、地元客だけで賑わっているお店です。
また、この店は通路の狭い小さなお店で、料金後払いなので、いっぱいの昼間にお店に入って頼むところがレジなのに、「料金は後で結構です。」と言われるので、頼んだうどんが出てきたらトッピングなどもとって席についていただくのですが、食べ終わったらまた、狭い通路に並んで、レジのところに行って、自己申告で支払うのです。
だから、嘘の申告をするお客さんはいない、という大前提にたって営業している、まことに、平和でのんびりした高松らしいお店なのです。
かけ(220円)、ざる(220円)、釜揚げ(220円)、という基本的なメニューは、完璧です。というのも、だしをそれぞれのメニューごとに変えているからなのですが、基本的には、上品な、少し甘めのさぬき風のだしになっています。
また、ここの無料のトッピングは、ネギ、天かすと、ショウガではなく辛い七味唐辛子を入れていただくようになっています。セルフなのですが、待たされることもあります。が、常に、茹で立てのうどんがいただけるので、高松市の住人も安心して食べに行くお店になっています。麺は少し細めでつるつるなので、噛まないで咽喉越しを味わえる、いいうどんです。また、揚げたてのコロッケが、とても美味しくて有名です。
掲載写真は、「上原屋本店」の、釜揚げうどんと熱々のレンコンの天麩羅』、です。
このうどんは、この先寒くなって風邪をひいた時にいただくうどんです。昔から、讃岐うどんは高松では日常食だし、離乳食なので、生活に溶け込んでいるのです。特に、レンコンは漢方薬として滋養強壮に、いい食べ物なので、寒い時のトッピングはレンコンの天麩羅に限ります。「上原屋本店」はこのあたりもわかっているので、レンコンの天麩羅は、とても肉厚に切ってくださっています。
『釜揚げうどん』を使ったメニューが効果てきめんなのは、釜揚げうどんから立ち上る湯気が咽喉の痛みを抑えるのにいいことと、トッピングのレンコンは風邪にきく漢方薬だったくらいだからなのです。
そして、一番大切なものは、讃岐うどんです。消化がよく1時間くらいで胃で消化されてしまいますから、胃に優しいということはとても大切なことなのですね。
まあ、こういうメニューは、一朝一夕に出来るものではなく、讃岐うどんの昔からの歴史に支えられているお陰なのです。だって、平安時代から江戸時代にかけて、風邪薬もワクチンもなかったのですから、讃岐うどんは、昔は、食べ物であったと同時に、風邪薬でもあったのですね。
ところで、「上原屋本店」のすぐそばには、マクドナルドがあります。マクドナルドの食べ物で、風邪に即効で効くものはあまりないですね。サラダや油が酸化しているフレンチフライドポテトなんか消化がけ悪いので最悪ですよ。さしあたり、ひいてしまった風邪を治す力があるのは、胃に負担をかけない讃岐うどんなのです。そして、食事直後に、ベンザなどの風邪薬を飲めば、簡単に治っちゃうのです。
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