
ショパンの『ワルツ OP.70』は、若い頃ショパンが作曲した遺作の3つのワルツで、ぼくの愛奏曲です。2番はヘ短調の持つ一種の雰囲気を一番うまく表現した作品だし、3番は変ニ長調の傑作だと思っています。
特に、『ワルツ OP.70-3』には、ぼく自身、特別な思い出があります。
ぼくが住友信託銀行に入って2年目、松山支店ではじめて、信託預金を集める外勤営業に出た時に、ぼくを厳しく優しく指導してくれた、関西学院大学ラグビー部出身の先輩が、当時、松山の独身寮の部屋にグランドピアノを入れて、ショパンの『ワルツ OP.70-3』を弾いていたのを、ぼくの部屋に遊びに来た時に聴いてとても気に入ってくれ、彼の結婚式の披露宴の全行程BGMのピアノ演奏を頼まれました。
そこで、ぼくは、ショパンの『ワルツ OP.70-3』と全く同じ調性と形式の曲の、「ラプソディーNo.1(失われた時のために) OP.37」を作曲して、収録カセットと合わせて先輩に献呈しました。先輩はものすごく喜んでくれたけど、同時に、もうめちゃくちゃ照れていました。だって、副題の『失われた時のために』の横には、ぼくのメッセージが付いていたからです。それは、「先輩がはじめて外勤営業に出たぼくと一緒に回ってくれた時、ぼくはとても幸せでした。あの時は、もう二度と戻ってこない失われた時になってしまったけど、ぼくはあの時を生涯忘れません。だから、先輩も覚えていてください。」というものでした。
当時、ぼくは23歳で、間違いなく、先輩がぼくにとっては憧れの上司でした。
このぼくの自作「ラプソディーNo.1(失われた時のために) OP.37」は、スペイン風の小品で、ぼくも気に入っているので、最近でも時々、コンサートで演奏します。そしてその度に、あんなに先輩が照れて喜んでくれたのも、今のぼくにとっては『失われた時』になってしまったので、とてもノスタルジックな気持ちになって演奏できます。また、聴きに来て下さっている、人達の大半が、この作品の副題の『失われた時のために』を、23歳当時のぼくが大失恋した思い出だと誤解してくれるので、とても助かっています(笑)。
・・・・・このあたりのことは、下記URLの、ぼくのホームページ掲載のエッセイ『失われた時のために』に掲載していますので、また、ご覧下さい。
http://kokada.web.fc2.com/essay64.html
また、このエッセイ『失われた時のために』には、ぼくの大好きな、フォーレ作曲の「ピアノ四重奏 No.2」第3楽章をぼくが室内楽仲間と演奏したものを添付していますので、これもいい曲なので、お聴きいただければ幸いです。
掲載写真は、松山市三番町にある、住友信託銀行松山支店の近くにある、先輩とよく一緒に食べに行った、フランス料理店の『ビストロきどや』(〒790-0003 愛媛県松山市三番町四丁目12-8 (089)932-2281)の、鴨のコンフィ、です。





