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<社説>
USCAR文書 米統治の無謀明らかにした
2017年3月25日 06:01
米統治時代の新事実が明らかになった。米軍の圧政による人権や自治の侵害と民衆の抵抗の歴史は沖縄の未来の指標となる。歴史発掘の作業を今後も進めたい。

 沖縄県公文書館が米国民政府(USCAR)文書の一部を公開した。この中に、「反米的」な政治家を排除するための司法介入を指示する文書があった。

 人民党の瀬長亀次郎氏が1965年11月の第7回立法院選挙での失格を不服として琉球政府の裁判所に提訴した場合、USCAR法務局は「即USCARの裁判所に移送するように」と指示していた。

 瀬長氏は62年の第6回立法院選でも「人民党事件」(54年)を理由に失格し、被選挙権を奪われていた。瀬長氏は第7回立法院選を「公民権奪還の闘い」と位置付けていた。米統治に抵抗する瀬長氏を排除するため、司法介入に踏み込む米軍の強権的な手法が今回の公開文書でも明確に示された。

 事実、第7回立法院選で布令違反を理由に失格となった社大党の友利隆彪氏が起こした裁判で、USCARは裁判の移送を命じた。米軍は沖縄の司法権、自治権を根底から侵害したのだ。

 司法の独立を無視し、都合の悪い人物が起こした裁判に介入する無謀な行為は当時の米本国でも許されなかったではないか。そうならば明らかに二重基準である。

 人権や生命の安全に関する二重基準は、危険を顧みずに住宅地周辺で訓練を強行する今日の米軍やそれを容認する日本政府の姿勢に引き継がれている。県民を愚弄(ぐろう)し、生命を脅かす二重基準の矛盾がUSCAR文書に記録されているのである。

 今回の公開文書は沖縄の抵抗が米統治を揺るがしていた事実も明らかにした。松岡政保主席が「キャラウェイ高等弁務官に対する県民の怒りを鎮めるため、琉球政府に徐々に行政を移管した方がいい」と後任のワトソン高等弁務官に進言していた。

 主席公選要求に象徴される自治権獲得のうねりは米施政の変更を迫っていた。その意義を沖縄戦後史の中に位置付けたい。

 今回のUSCAR公開は2008年度以来、8年ぶりだ。個人情報に関する部分が多いため公開に時間を要した。米統治の暗部に光を当てる重要な仕事である。予算措置、人材確保など資料収集と公開の態勢強化を図りたい。



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