Q:フランドル™テープの貼付場所は,胸以外ではどこに貼れば良いか?

背部,上腹部に貼付しても血中濃度の推移に有意差はない。

しかしながら、血管拡張薬である硝酸イソソルビド貼付剤(商品名:フランドルテープSほか)と、ニトログリセリンの軟膏剤(商品名:バソレーター軟膏ほか)、貼付剤(商品名:ニトロダームTTSほか)の添付文書には現在適用上の注意として「自動体外式除細動器(AED)の妨げにならないように貼付部位を考慮するなど、患者、その家族等に指導することが望ましい」という一文がある。

 AEDとは、自動的に心電図を解析して除細動の適応があるかどうかを判断し、適応がある場合にはポンプ機能を果たしていない心臓に電気ショックを与え、正しいリズム機能を回復させる救命装置である。心停止状態における救命手当ての方法としては、人工呼吸や心臓マッサージがよく知られているが、これらの方法ではリズムを失った心臓機能を正常化できない場合も少なくない。医師による電気ショックで心臓機能を改善する方法は有効性が高いが、使用には高い専門性が必要であり、医療機関外では使用できなかった。
AEDは、上記のようにコンピューター制御された装置であるため、専門的な知識がなくても安全に使用できる点が有用である。また医療機関外、特に心疾患患者の自宅や救急車の中などに設置できるため、緊急時に、よりスピーディーな対応が可能になる。

 近年、AEDの認知度が高まるに従い、使用時に注意すべきことも明らかになってきている。その1つが、経皮吸収型薬剤の貼付位置である。貼付剤は、アルミ箔などの金属で表面が覆われているため、AED使用時に通電パッドの下に貼られていると、電極から心臓への通電エネルギーが遮断される場合がある。実際、皮膚に小さな火傷を起こした例も報告されている。

 こうしたことから日本循環器学会は、2005年10月に『硝酸薬貼付剤の貼付場所に関する提言』を発表。「心臓病患者への硝酸薬貼付剤は前胸部を避けて貼ることが望ましい」と提言するとともに、製薬会社には添付文書への加筆を、医療関係者には患者指導を求めている。この提言を受けて厚生労働省は、医薬食品局安全対策課「事務連絡」を出し、添付文書の「適用上の注意」の項に、冒頭の文言を追記したのである。

しかしながらこうした中、2005年10月〜06年4月にかけて827人を対象に、硝酸薬貼付剤の貼付場所とその理由などを調査した結果、貼付場所については、一般女性の74%、一般男性の85%、医師の89%、看護師の99%、薬局薬剤師の76%、病院診療所薬剤師の85%が「胸部」と回答した。
これに対し「上腹部」は11〜33%、「背部」は4〜14%と、胸部に比べかなり少なかった。

貼付場所を選んだ理由については、一般市民で「心臓に近い」の回答が半数を超え、次いで「貼りやすい」「確認しやすい」との理由が挙がった。一方、医療者では全ての職種に共通して、「貼りやすい」「確認しやすい」「心臓に近い」の順に回答が多かった。

 貼付場所としては、全体の87%が「胸部」と回答したため、(調査した)古川氏は「前胸部を避けて貼るという学会の提言を守ることは、簡単ではないように思われる」との見方を示した。AED使用の講習会で、「AED使用時には、胸部に貼付剤が貼られているかどうか確認する」ことの説明が望まれると指摘した。