―<無料>からお金を生みだす新戦略―
(Cアンダーソン NHK出版)

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ここにフリー(無料)のパラドックスがある。料金をとらないことで、大金を稼いでいる人々がいるのだ。すべてとは言わなくても、多くのものがタダになっていて、無料か無料同然のものから一国規模の経済ができているのだ。それはどのようにして起こり、どこへ行こうとしているのだろうか。

『ロングテール』で、「売れない商品」を宝の山に変える新戦略を提唱して、一時代を画したクリス・アンダーソンが次に挑んだ疑問は、

「どうして○○がタダになるのか?」
というものだった。

この本では、「○○がタダになる」仕組みを、まことに興味深い21事例のコラムとして取上げてもいるのだ。

結論から言ってしまえば、その秘訣は「内部相互補助(他の収益でカバーすること)」、

<有料商品で無料商品をカバーする>
(安い食事代金を高いワインで埋める)

<将来の支払いが現在の無料をカバーする>
(二年間の契約で携帯電話が無料になる)

<有料利用者が無料利用者をカバーする>
(遊園地で子どもの入園料を無料にする)

といったやり方は、実は昔からすでにあったわけで、これは特に目新しい考え方ではないのだが、

手に取れる「実物」をやり取りしてきた<アトム経済>に対し、ネットを介してデータをやりとりする<ビット経済>の世界では、

「安すぎて気にならない」(ただし決してタダではない)ほどに、製造コストが下がり続けるため、

タダとタダに近い料金の間にある心理コスト「ペニーギャップ」を取りはらって、つまり無料にしてでも消費者の注目とアクセスを集め、

「内部相互補助」によって他の部分で収益を上げることの方が、むしろ得策であるというのが、この著者の主張なのである。

<三者間市場>
二者が無料で交換をすることで形成された市場のまわりで、後から参加した第三者が広告などでお金を稼ぐこと。グーグルはこの市場を次々と形成し、第三者に提供する仕組みを模索し続けているのだ。

<フリーミアム>
一部の有料顧客がその他の無料顧客の分を負担する。無料では利用できないいくつかの機能を加えたフリッカー・プロの5%の顧客は、年間25ドルを支払うことで、無料版の利用者95%を支えていることになる。

<非貨幣市場>
評判や関心以外に対価を期待しない無償の労働で支えられている贈与経済社会。ウィキペディアは、流通コストがかからないというウェブの特性によって成立した、巨大な情報共有産業なのである。

二一世紀はじめにいる私たちは、新しい形のフリーを開発しつつあり、それが今世紀を定義づけるだろう。新しいフリーは、ポケットのお金を別のポケットに移しかえるようなトリックではなく、モノやサービスのコストをほとんどゼロになるまで下げるという、驚くべき新たな力によっている。二〇世紀にフリーは強力なマーケティング手法になったが、二一世紀にはフリーがまったく新しい経済モデルになるのだ。

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