(成毛眞 岩波新書)

読書は道楽。そういう割り切りが大事だと私は思っている。成功するためにとか、何かの役に立つようにとか、目的をもって本を読むのはおカド違いというものだ。それではせっかくの面白い本も、面白くなくなってしまう。本を読むことに何も意味を求めない。純粋に面白ければそれでいい。それが私の読書の理想だ。

と考え、ノンフィクション専門の書評サイト「HONZ」を主宰している著者が、

「これは面白い!」と思った、忘れられない本たちの中から選りすぐりの100冊をご紹介しようというのだから、

それはもちろん、「日常生活を生きるうえで何の足しにもならないし、何の役にも立たない」本のオンパレードになってしまうのは、ことの必然というものなのである。

では、なぜ読むのか。面白いからだ。これらの本を読み終える頃、自分が普段生きるために使っている知識というものは、人間の知の巨大な営みにくらべれば、氷山の一角にも満たないことがまざまざと感じられるだろう。

たとえば・・・、

『帰してはいけない外来患者』(前野哲博 松村真司 医学書院)

なんていうのは、医師向けに「この症状を見逃がすな」とばかり、外来診療における臨床決断について書かれており、

仮説を立て、知識を駆使して検証し、判断を下していくプロセスが、まったく医学の知識がない者にとっても、ひょっとして何かの役に立つこともないとはいえないが、

『城のつくり方図典』(三浦正幸 小学館)

にいたっては、「城地を定める」ところから始まって、「土塁を盛る」「天守を上げる」「城門をつくる」まで、微にいり細にわたってご教示くださるので、

これから「城をつくりたい」と考える築城関係者には、まさに時宜を得た本なのではあるが、唯一の問題は、いまの日本にはそもそも築城関係者など存在しないことだ。

といった具合に、ワクワクドキドキのブックガイドは進められていくのである。

『くう・ねる・のぐそ――自然に「愛」のお返しを』(伊沢正名 山と渓谷社)

「糞土師(ふんどし)」という異名を持つ菌類写真家が、ライフワークとする自らの連続野糞記録3000日を詳細に記録した本。現代の日本では「野糞をする」のも大変なのである。

『ヤクザと原発――福島第一潜入記』(鈴木智彦 文藝春秋)

作業員に扮した暴力団専門ライターの体当たり潜入ルポ。経歴不問のヨゴレ仕事こそがいいシノギとなるヤクザにとって、福島原発は格好の稼ぎどころなのだという。

というわけで、

えてしてこのような書評本を読むと、「読んだことのない本」ばかりが出てきて、視野の狭さを痛感させられる場合が多いのだが、

この本では、意外と「既に読んだ本」が紹介されていたということは・・・暇人もよほど「役に立たない本」ばかり読んできたということなのだろうか?

この本の中には、読者のみなさんがこれから10年かけて読むに足る本が詰まっているはずだ。ただし、全部読んだところで賢くなるわけではないし、何かの役に立つわけでもないかもしれない。結局、ただの本読みになるだけかもしれない。けれども、たぶん、それがいいのだ。

(2013年10月)

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