(成田龍一 河出文庫)
歴史とは何か。
ふだんはそんなこと、考えもしないでしょう。そんなことは決まっている、教科書に書いてあることじゃないか、そういう声が聞こえてきそうです。
でも、ほんとうにそうでしょうか。よく考えてみると、「歴史とは何か」という問いを通らないと先に進めないような問題が、この世の中にはいくつもあります。
たとえば、教科書に書かれていることが歴史なのだとしたら・・・
・教科書に書かれていないことは、歴史ではないのか?
・いま目の前で起きている動きは、いつ歴史になるのか?
・古い時代から新しい時代まで順番に書いてあるだけなのなら、なぜ何種類もの教科書があるのか?
・歴史というときのその中身が、日本と中国のあいだでは異なっているというのなら、何を知っていれば歴史を知っていることになるのか?
つまり「歴史」とは、もう決まってしまったことをなぞることなのではなく、
たくさんの出来事からある出来事を抜き出し、別の出来事と結びつけて説明すること、
<出来事を解釈し、語る営み>のことを、「歴史」と呼ぶのだ。
というこの本は、「14歳の世渡りシリーズ」として刊行された『戦後日本史の考え方・学び方』を増補の上「文庫化」したものなので、
近現代史を専門とする大学の先生が、多感な中学生を相手に手抜きするようなこともなく、噛んで含めるように語りかけてくるような文体が、
「とってもよくわかった」ような気分(なんたって、巻末に解説を書いているのも、あの「こどもニュース」の池上さんだしね。)にさせてくれるのだが・・・
<戦争に負けてどうなった?>
―その出来事を大事だと見なしたのは誰?
―視点をずらすと見え方が変わる
<「55年体制」って何?>
―記憶といってもいろいろなレベルがある
―歴史とは生きるための知恵だった
<経済大国?それっていつのこと?>
―みんなが同じ経験をしたわけではない
―歴史はあとから語られる
<「もうひとつの」戦後日本を見てみよう>
―「沖縄」の歴史から戦後を見てみよう
―これまでの歴史の「狭さ」を知ろう
などなど、なかなかに穿った見方でガンガン攻め立ててくるこのお話を、本当に「よくわかった」かどうかは、なんだか怪しい気分にもなるのだった。
歴史は過去を語るのですけれども、同時に未来を語っています。未来をどのように考えているかによって、いまがどのようにとらえられ、過去がどのようにとらえられるかが変わります。・・・
未来に向けて、いまを確かめ、そして、どのような過去の条件があるのかということを知る営みが、歴史です。
(2015年9月)
本日もお読みいただいた皆様どうも有り難うございました。
今後も読んであげようと思っていただけましたなら、
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歴史とは何か。
ふだんはそんなこと、考えもしないでしょう。そんなことは決まっている、教科書に書いてあることじゃないか、そういう声が聞こえてきそうです。
でも、ほんとうにそうでしょうか。よく考えてみると、「歴史とは何か」という問いを通らないと先に進めないような問題が、この世の中にはいくつもあります。
たとえば、教科書に書かれていることが歴史なのだとしたら・・・
・教科書に書かれていないことは、歴史ではないのか?
・いま目の前で起きている動きは、いつ歴史になるのか?
・古い時代から新しい時代まで順番に書いてあるだけなのなら、なぜ何種類もの教科書があるのか?
・歴史というときのその中身が、日本と中国のあいだでは異なっているというのなら、何を知っていれば歴史を知っていることになるのか?
つまり「歴史」とは、もう決まってしまったことをなぞることなのではなく、
たくさんの出来事からある出来事を抜き出し、別の出来事と結びつけて説明すること、
<出来事を解釈し、語る営み>のことを、「歴史」と呼ぶのだ。
というこの本は、「14歳の世渡りシリーズ」として刊行された『戦後日本史の考え方・学び方』を増補の上「文庫化」したものなので、
近現代史を専門とする大学の先生が、多感な中学生を相手に手抜きするようなこともなく、噛んで含めるように語りかけてくるような文体が、
「とってもよくわかった」ような気分(なんたって、巻末に解説を書いているのも、あの「こどもニュース」の池上さんだしね。)にさせてくれるのだが・・・
<戦争に負けてどうなった?>
―その出来事を大事だと見なしたのは誰?
―視点をずらすと見え方が変わる
<「55年体制」って何?>
―記憶といってもいろいろなレベルがある
―歴史とは生きるための知恵だった
<経済大国?それっていつのこと?>
―みんなが同じ経験をしたわけではない
―歴史はあとから語られる
<「もうひとつの」戦後日本を見てみよう>
―「沖縄」の歴史から戦後を見てみよう
―これまでの歴史の「狭さ」を知ろう
などなど、なかなかに穿った見方でガンガン攻め立ててくるこのお話を、本当に「よくわかった」かどうかは、なんだか怪しい気分にもなるのだった。
歴史は過去を語るのですけれども、同時に未来を語っています。未来をどのように考えているかによって、いまがどのようにとらえられ、過去がどのようにとらえられるかが変わります。・・・
未来に向けて、いまを確かめ、そして、どのような過去の条件があるのかということを知る営みが、歴史です。
(2015年9月)
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