加納一郎建築研究所

アントニン・レーモンド 旧井上邸

旧井上房一郎邸はレーモンドの自邸兼事務所を写した建物です。
作品集の写真で感じていたより、スケール感がよく居心地の良い住宅でした。レーモンドa
レーモンドb
レーモンドc
アントニン・レーモンドの建物は東海地方では南山大学や三重大学にあります。

棲みかをつくる

達目洞には小さなネズミのカヤネズミが棲んでいます。
子育てや冬をすごすために、カヤで丸い小さな巣をつくります。

80代のご夫婦は体が衰えたときのために、介護ができるように水回りを広くしました。
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30代のご夫婦は昼間にお湯につかるために、川が眺められる場所を浴室にしました。
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大勢が集まるご近所の方たちは、みんなで食事ができるように台所を広くしました。
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あなたが大切にしたい棲みかはなんですか。どんな棲みかをつくりますか。

アートの力

      アートの力                          岐阜県高等学校PTA連合会 会長 加納一郎
             
今年の夏はリオ・オリンピックとパラリンピックがありました。毎日、真夜中にテレビをつけて寝不足になりながら、日本人の活躍に歓声を上げ感動もしました。また開会式に難民選手団が入場したことも話題になりました。内戦や政情不安で他国に逃れ難民となり母国から出場出来ない選手たちです。私たち日本人に何ができるかを考えさせられました。また、開会式や閉会式のパフォーマンスにも感動しました。特にパラリンピックの閉会式では、障がいのあるパフォーマーが生き生きと躍動していました。障がいがあることは、新しい可能性を持つことだと感じました。
 
一年の中で一番夜の長い冬至の夜に、岐阜市の長良川で「こよみのよぶね」というアートイベントがあります。1から12の大きな数字行灯を鵜飼観覧船に取り付けて、長良橋のあたりを回遊します。数字は1月から12月をあらわし、ゆく年の一年を振り返り、来る年の一年に想いを馳せるイベントです。11年前、アーチストで今は岐阜県美術館館長の日比野克彦さんの呼びかけで「こよみのよぶね」は始まりました。私も1年目から関わり、最近は事務局をしています。数字行灯は岐阜県各地でワークショップを開いて作ります。竹で作った骨組みに電球を入れ、色づけした和紙を張ります。始まったころは美術やデザインに関わる人たちが中心になって、子供たちと一緒にワークショップをしていました。大学2年と高校3年になる息子たちも、小学生のころは絵具まみれになりながら、和紙に色を塗り、紙を張ったりしました。柳ケ瀬でワークショップをしていた時は、弁当を持って通いました。そしてここ数年は、若者のチームや地域の親子などと、日頃アートに関わっていない方たちのグループでワークショップをするようになりました。あまり器用でない人たちのグループは、思ったような形にならないこともありますが、ちゃんと主張が表に出た数字行灯になります。日頃から物作りをしている男性陣がきれいな骨組みを作り、子供たちと和紙を張り、流しそうめんやランチを作って食べたりと、ワークショップをお祭りのように楽しんでいるグループも現れました。アートを通してたくさんの人と人とが関わっています。

最近、障がいのある方たちの作品がよく取り上げられます。自分の内から出てくるパワーが自然に紙の上に現れてくるような絵画もあれば、繰り返し同じモチーフを画面いっぱいに精緻に表現する作品もあります。また、街で見かけた看板や友達の名前を書にしたものもあります。毎年開かれる伝統工芸展では、緻密でたくさんの行程を経てやっと形となって表れる作品がありますが、どこか共通するものがあるような気がします。何かを表現したいという強い意志が見えてきます。自分の感じている大切なことをどのように伝えるか、そこにアートがあります。

東日本大震災では、津波によって多くの方々が亡くなられ、今でも不自由な生活をされている方がいます。6年近く経ってもなかなか復興されません。「こよみのよぶね」では毎年震災のあった日に東北に行き、「とうほくのこよみのよぶね」をしています。「3」「・」「11」の数字行灯を現地で作り、舟型行灯に取り付けて、海に浮かべます。幻想的な空間と時間を共有して、鎮魂の思いを捧げています。多くの方が海に向かって手を合わせられます。岐阜と東北が長良川と海をとおしてつながった思いがします。

アートは特別な場所や時間の中にある時もあれば、普通に生活している日常の中にもあります。美術館やギャラリーで作品に出会って感動をすることもあれば、偶然街で見かけた建物やポスターに、感動することもあります。それがアートの力です。

(岐阜県高等学校PTA連合会 第72号会報 より)

三輪山真長寺

岐阜市三輪に平安時代に創建された真長寺があります。
住職ご夫婦と最近知り合うことができ、もみじまつりに伺いました。
真長寺1
真長寺2
国重文の釈迦如来坐像、県重文の釈迦涅槃図。
奥様が描かれた曼荼羅図。そしてご夫婦で手入れされているお庭。
どれも素晴らしいものでした。

我が家の道徳教育

       「我が家の道徳教育」                   岐阜県高等学校PTA連合会 会長 加納一郎

私は岐阜市内で建築設計事務所をしていますが、仕事柄様々なことに興味があります。その中でも自然環境の保全にかかわって20数年になります。金華山の東山麓に、照葉樹林や水田・湿地が調和した日本の原風景が残る達目洞(だちぼくぼら)という所があります。そこに小川があり、絶滅が心配されるスイレン科の植物「ヒメコウホネ」が生息しています。ほかにも貴重な動植物が生き、岐阜市内でも最も生物多様性が高い自然環境のある場所なのです。

桃源郷のような所だと言われるほど神秘的で人を引き付け、市の中心部にも近いここに、岐阜環状線道路が計画されました。そこでこの自然を守ろうと観察会を行ったり、様々な意見を行政に出したりしました。やがて道路は、ヒメコウホネの自生地の真上ですが、高架で通ることになり、少しは自然を守ることが出来ました。ヒメコウホネの保全だけでなく、休耕田でお米作りをし、湿地環境の再生もしています。里山と言われ、絶えず人の手が加わっていないと維持できない場所ですが、外来植物でいっぱいだった道路工事が始まった頃にくらべると、随分自然が戻ってきた感じがします。田植や稲刈りには、小さな子どもたちや学生など100人以上が楽しく作業をします。

大学2年と高校3年の息子たちも小さな頃からこの自然の中で一緒に作業をしてくれました。長そで、長ズボン、長靴、麦わら帽子。小学校の低学年だった頃の二人の息子はこの姿がよく似合っていました。誰よりも早く倉庫の鍵を開け、ヒメコウホネを見て、あちこちを探検します。そんな息子たちは、当時ここに来る小さな幼稚園の子どもたちにとって、あこがれのおにいちゃんだったみたいです。

ここには自然を愛する多くの方々がやってきて、ゆっくりと自然を楽しんでいかれます。私たちも達目洞で活動をしていると気持ちが安らぎます。春になると植物が芽吹き、カエルがたまごを産み、メダカがおよぎ、小鳥がさえずり出します。腰をかがめ、じっくりと見つめないとわからないような自然ですが、毎回新しい発見があったり感動があったりします。達目洞の自然はとても繊細で、守ってやらなければと思わせます。美しいものや自然に感動することは豊かな人間性を育みます。息子たちもここでの時間が、人間形成に少しは役に立ったと思います。

東京オリンピックの年に小学生になった私は、プールでなく川で遊ぶことは悪いことだと教えられました。父と一緒に作った小さなヨットを走らせに二人で近くの川に行って、ヨットと一緒になって泳ぎました。夏、いろんな形になって表れる稲光を家の土間に座って父と眺めていました。私の父との思い出です。私の息子たちも親の好きなことを一緒になって楽しんでやってくれていました。みんな親の背中をみて育つのだとつくづく思います。

最近、経済学部の大学2年の息子が「僕も父さんと同じようだ」といいます。ミュージカルが好きで、月に一度以上見に行っているみたいですが、経済活動より、社会貢献やボランティアを大切にした生き方をしたいみたいなのです。家族が生活する中で経済的な安定は、最も重要なことですが、我が家にはこの感覚が少し欠けていました。

子どもたちの成長は親にとって楽しみでしたし、二人ともほがらかで人にやさしい人間になってくれたことに感謝しています。これも達目洞の自然が育んでくれたのでしょうか。

                                              (機関紙「岐阜教育」111号に掲載)
■加納一郎建築研究所 :一級建築士事務所
岐阜市福光東2-5-10-502
058-294-7671 ・ 090-1568-9796 
kano-k@triton.ocn.ne.jp
住宅の設計・建築の設計・デザイン・まちづくり

■達目洞自然の会(だちぼくぼらしぜんのかい):
岐阜市の金華山東山麓にある達目洞には、スイレン科の植物で絶滅が心配されるヒメコウホネが自生する。この自然環境を保全している。

■こよみのよぶね :
冬至の日の長良川、一夜っきりの時がながれる
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