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欠いた礼


 この予想なき不況の進行速度は非常に早い。

昨年末から、「内定切り」、「非正規社員切り」、「米国ビッグスリー危機」 、「トヨタショック」。

マスコミも不況に陥る前には派遣会社叩きをネタにしていたが、今ではネタに困る事もないだろう。

今や忘れかけられている「内定切り」 について少し考えてみたい。



 そもそも「内定」の「定義」を明確に把握している人はいるのだろうか?

そもそもその「定義」があるのだろうか? 

企業人から見ると「契約」として認識している人が多いと思われるが、
いかがであろうか。



 転職における就職活動視点から考えると、

応募者としては、情報媒体から企業を認知し面接において詳細業務内容、社風等を確認する。

企業としては、応募書類から応募者を認知し面接において人物、経歴内容の詳細などを確認する。

アクションは企業側から内定の連絡をするのが一般的であろう。


 この時点で内定が成立しているのであろうか?

それとも、このアクションに対して応募者の応えがあって、初めて内定が成立するものであろうか?


たまに聞く話としては、内定通知に承諾し、入社時期を検討している段階で、

企業側の都合が変わり採用が見送られたというケースもある。



 この「内定の定義」について調べてみた。


 世の中を賑わした「内定切り」の対象はあくまでも新卒者である。

転職でも同様ではあるが、内定承諾をしてからは基本的に活動は自粛するものである。

新卒者の特徴としては採用シーズンと入社時期が限定されること。

つまり採用シーズンから外れた時期に「内定取り消し」をされると、就職活動に大きな支障が発生する。

しかし、入社時期は待ってくれない。

これが最大の問題である。



 「内定取り消し」をする場合、内定者の出身校及び管轄地区の職安への連絡義務がある。

そこで職安及び労働局に対して、「内定の定義」を確認してみた。



 『弱者』を守る公共機関(弱者の定義も不明)も、この質問に明確な「定義」はなく、しどろもどろ。


ようやく出てきた答えとして、「内定を通知した時点で成立」だった。


確かに、最終選考まで進んだ学生には、入社意志と同等の決意があると考えれば、納得の回答である。

しかし実際には内定を貰った新卒者の半数以上がその後も就活を続ける事実があり、

新卒媒体企業がこれを助長しているのも事実。

こうした就活背景のもと、内定承諾後の自己都合による内定辞退も少なくはない。

これに関する職安側の回答としては、「それは個人の問題」であった。



結論として「内定の定義」としてはまったく「契約の定義」とは異なるものである。

つまりは法的効力を持たないものでもる。

とはいえ簡単に「内定切り」を行って良いものでは全くない。



 今回、「内定の定義」を調査する中でみえてきたのが、

・新卒媒体の営利目的による、内定後の就活続行の助長

・公共機関の『弱者』に対する過保護

・求人バブルに溺れた企業の採用計画の問題

 上記、三つ。


 このままの新卒採用システムでは、永遠に

「わがままな新入社員」と「大量の内定取り消し者」を作り出してしまうであろう。






 人として人に頭を下げる事はもちろんするべきである。

が、自己都合により仮面を被ったままのお辞儀には、礼を欠く。


欠いた礼は必ず自分の身に降りかかる。





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