2014年02月09日

寝酒

眠れない。

生来の無精、デタラメさから、昼間に寝て深夜起きるという生活をしていたため、朝になっても眠れない。
リズムを直そうとたくらみ、前日は一睡もしていないのだが、習慣というのは困ったもので、両瞼はぱっちり開いたまま。

明日は昼から仕事なので、仕方なく寝酒をあおっている。

お銚子に日本酒を注ぎ、電子レンジで燗していると、ぼんやりと死んだおやじのことが思い出される。

おやじはえらい酒飲みだった。

一日三合から五合を、日を置かず飲み続け、大小に付けからむ。たまに悪罵。暴力はほとんどなかったが、全くないわけではない。二日酔いならぬ二十日酔いでぐったりしているときは可愛げがあった。

俗にいうアルコール依存症だろう。

これはおやじの生まれの不幸に由来するもので、言ってみれば仕方がないのだが、自分が飲むようになるまで、わたしには理解することが出来なかった。

幼いころは飲酒そのものを害悪と思っていたし、実際酔ったおやじは害悪そのものだった。

容姿に対する面罵、時代遅れの学歴コンプレックス、地方生まれの劣等感――どろどろしたものに根差した汚い言葉が容赦なく口に出る。わたしが思春期に差し掛かるころ、カラミ癖はことにひどくなった。

ある日のこと、朝起きたら、おやじとハハが口げんかをしている。おやじのカラミ酒に端を発した、いつもどおりの口汚い罵り合いだ。弁のたつハハにやりこめられ、おやじは堪えかねたように大声で言い放った。

「このデケエお××こが!」
「ナニよ、お××こ大好きなくせに!」


人は死んで仏になるというが、それは本当で、生前あれだけ嫌っていたおやじも、今ではとても愛しく思うのである。

そしてわたしもおやじの子で、彼に似た線の細いところがあり、眠れず、こうして寝酒をあおっている。


しかし飲んでも飲んでも眠れやしねえ。


hira22 at 06:35コメント(0) この記事をクリップ!
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