「我が国は、今後どっちの方向に進むべきか」を数年前からずっと考えている。

 広井良典著『ポスト資本主義』(岩波新書)を読んだのもその一環。

 

 欧州追従から米国追従へ

 

 今の日本は、あらゆる面で、「米国追従病」に陥っている。

 明治維新以来、日本は世界の一等国になろうとして、欧米から文物、制度などをバキュームカーのように吸い取ってきた。

 明治はまだ欧州志向が強かったと思う。伊藤博文がドイツで法制度を学び、夏目漱石は英国で文学を学んだ。

 ところが、太平洋戦争で米国に負け、米国は強烈に米国文化を日本に注入した。3S(スピード、スリル、セックス)がその代表だ。

 以来、あらゆることで米国を手本にしてきた。

 

 米国に学んだ負の部分

 

 その結果、我が国はとても歪んだ国になった。

 例えば、「所得格差」は、米国、英国、スペイン、ポルトガルに続き第5位。フランス、ドイツ、オランダ、スウェーデンよりずっと高い。

 所得格差の原因ともなるGDPに占める公的教育支出の割合は、3.6%で、OECD加盟国中の最下位だ。一位のデンマークは7.5%もある。

 純粋資本主義の競争社会である米国を真似た結果、社会の亀裂が大きくなっていると言えよう。

 日本が米国にほぼ唯一勝っているのは、健康保険だ。

 米国は「世界最高の医学」を目指し、莫大なお金を医学研究に投入している。しかし、日本は国民皆保険の道を選び、投入費用を少なくしながら平均寿命で大きく勝っている。

 

 今こそ、目標を変えるべき

 

 少子高齢化が進む中、日本が目指すのは米国型ではないはずだ。アベノミクスも「成長市場主義」に毒されている。

 成長しなくても安定した生活が営める――そのモデルは北欧型の福祉国家だということは、20世紀末から言われてきた。

 老人福祉よりの、若年層、特に教育の支援はとても大事だ。

 広井良典の本は「ポスト資本主義」がどのようなものかについては、しっかりと書かれていないが、米国追従に対しては、しっかりと「ノー」を突き付けている。

 

2017225日 第40話 おわり)