2011年09月

ジャーナリズムを放棄したマスメディアの大罪

 最近のニュース番組を見ていると、政府や東京電力の発表をそのまま伝えるか、あるいは政府が国民に向かって伝えて欲しいように情報を操作して伝えるか、どちらかしかしていないように思われる。

 特に放射線被曝についての話題ではこの傾向が強い。福島県から人が出ていくのは悲しいニュース。福島県に人が戻ってくるのは嬉しいニュース。本当にそれでいいのだろうか。本当に福島に住み続けることが安全と何の疑問も持たずに報道しているのだろうか。

 外で思い切り遊べない子供達のコメントを伝え、早く思い切り外で遊ばせられるようにしたいものだと締めくくる。そして生産者や観光旅館の窮状を訴え、子供や家族連れの観光客に来て欲しいと訴えかける。業者にも生活はあるだろうが、消費者の被曝リスクについては考えないのだろうか。子供達が今も福島で被曝し続けているのに外で遊べるようになるといいですねで終わってよいのか。

 放射線被曝のリスクや現在の除染の進捗状況、住民の被曝の実態や基準値の妥当性などを独自に調べたり取材したりして掘り下げるようなメディアはひとつも見あたらない。

 おきまりのように、様々な農作物について「検査の結果、暫定基準値を上回るものはありません。安全が確認されたので出荷が開始されます」とアナウンサーが読み上げる。検出された数値はあまり報道されない。

 基準値がいつまで暫定なのか、暫定基準値以下なら本当に安全が確認されているのか、国民が気にしているそんなことにはメディアは興味がないのだろう。

 皆様のNHKも受信料を払っている契約者(一般消費者)の健康などまったく顧みることなく政府や東京電力、経産省の言ったことをそのまま垂れ流している。

 09/26のクローズアップ現代では小金井市の母親達によって校庭の除染が行われたという話題があった。

09/26 NHK クローズアップ現代
「放射能から子どもを守りたい〜母親たちのネットワーク〜」
http://cgi4.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail.cgi?content_id=3098

 校庭を新しい土で覆うことで約0.4μSv/hが約0.1μSv/hに下がって運動会が出来たという内容であったが、司会の女性はこれで安心ですねと全てが終わったかのような論調であった。

 約0.1μSv/hなら年間の外部被曝量は1mSv以下に抑えられるが、表土が風で失われたり運動によって土が荒れるとまたすぐに線量は上がってくるため、このような除染が一時的な対応にすぎず、継続した除染作業が必要となることには触れられなかった。放射線から身を守りながら暮らすことは長い闘いであり、終わりは見えない。

 暫定基準値についても、セシウムだけをクローズアップしてEUや米国と比較して日本の基準値が厳しいというようなフリップを使って解説していた。

20110926クローズアップ現代_放射性セシウムの基準値

※上記以外の国やヨウ素についても知りたい場合は農水省の資料を参照した方がよい。
(参考)放射性核種に係る日本、各国及びコーデックスの指標値(PDF:48KB)
http://www.maff.go.jp/j/export/e_info/pdf/shihyo_0901.pdf

 しかし、ここには大きなカラクリがある。米国やEUはそもそも福島県やその周辺自治体からの農産物、海産物の輸入を制限したり放射線検査証明書を義務づけたりしている。福島県周辺の産地からの食品を制限したり、あるいは検査結果のベクレル表示がきちんと行われているならば、私たち日本の消費者も暫定基準値が高すぎるなどと文句を言うことはないだろう。

 各国の日本産食品の輸入制限の状況は下記で確認できる。

20110929諸外国・地域の規制措置(9月29日版)
(農林水産省)諸外国・地域の規制措置(9月29日版)
http://www.maff.go.jp/j/export/e_info/pdf/kensa_0929.pdf
※なお、こまめに更新されているので下記の農林水産省サイトの「諸外国・地域の規制措置等」という欄から最新の情報を取得することをおすすめする。
(農林水産省)東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う各国・地域の輸入規制強化への対応
http://www.maff.go.jp/j/export/e_info/hukushima_kakukokukensa.html

 また、EUの基準値が日本より高く設定されている理由はもうひとつある。EUサイトで公開されている内容をJETROが翻訳した記事があるが、次のように記載されている。

(JETRO)日本からの輸入食品の放射線検査の許容水準上限を引き下げ(EU)
http://www.jetro.go.jp/world/shinsai/20110411_01.html
基準値は年間の個人の食品の消費の10%がこの値の汚染レベルにある場合を
>想定しており、放射線への暴露が年間で1ミリシーベルトを超えないように
>設定されている。
また、基準値は国際機関(WHO、FAOなど)のガイドラインに
>沿って作られている。

EUがウェブサイトで8日に公開した日本からの輸入食品のQ&A
http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=MEMO/11/225&format=HTML&aged=0&language=EN&guiLanguage=en(英語)

 日本人がスーパーへ行けば福島、千葉、埼玉、群馬、茨城産の農産物ばかりが並んでおり、日本人の食卓にのぼるのは大半が国産品であることを考えれば、日本国内の流通基準とEUの輸入制限を同列に比較することはおかしいとすぐに気がつくはずだ。

 EUの輸入制限は日本からの輸入食品の割合(10%程度)を考慮した上で、年間1mSv以内に被曝を抑えるという計算のもとに成り立っているのである。日本は単純に規制のベクレル値だけを真似するのではなく、年間1mSvを堅持するという考え方を見習うべきだ。

 そうした事情を考慮すれば他国の汚染として客観的な立場にいるEUや米国よりも、むしろ自国の農産物が汚染されたベラルーシやウクライナを参考にするべきなのかも知れない。

 こうしたことを全く伝えずに「日本より外国の方が基準値が高いんですよ、だから日本の暫定基準値は安全なんですよ」というNHKの論調にはまったくあきれるほかない。

 西日本で生産する食品や輸入食品を活用し、日本の高い検査技術と国民の教育水準を考慮すれば、原発事故の収束と除染にめどがつくまでの間に必ずしも汚染食品を食べなくても健康で文化的な生活を維持することが出来るはずだ。また、これだけの無駄遣いをしておきながら国民の命と健康を守るための費用が捻出できないとは言わせない。

※2011/9/30 輸入食品の検査をせずに野放しで流通させているという報道があった。東京都がいったい何を考えているのかさっぱりわからない。役人は国内の暫定基準などおかまいなしに輸入食品が370bq/kgを超えたら突っぱねればいいだけだ。どこの国でも役人はそのように融通が利かないのが常識。少なくとも検査しないという選択肢はありえない。

(朝日新聞)都が輸入食品の放射能検査中断 国産と異なる基準懸念
http://www.asahi.com/national/update/0928/TKY201109280218.html

 現在の暫定基準値では年間1mSvの一般公衆の被曝上限を守ることは出来ないし、外部線量が高い福島県の周辺地域こそ、より厳しい食品の基準が必要と考える。

 全国のお母さん達の運動により、子供のための新たな基準値を設けるという動きもあるようですが、全ての日本国民を守れる正式な基準値を厚生労働省には一刻も早く改めて頂きたいと考えます。

子どもたちを放射から守る全国ネットワーク
「小宮山厚生労働大臣に、私たち母親の思いをお伝えしてきました」
http://kodomozenkokunet.sblo.jp/article/48179314.html?1317034599
食品放射線基準見直し 子に配慮、より厳しく 首相意向
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201109290137.html

放射能汚染地域からの物品移動は禁止すべき

 汚染地域からの物品は食品に限らず、出来るだけ移動するべきではありません。放射性廃棄物、放射性瓦礫は除染不可能なほど汚染された地域へ集約するしかないのです。

 9/19放送のNHKニュース7にて、福島第1原発周辺20km以内の警戒区域へ自家用車で一時帰宅が実現したというニュースを見ました。見ていると、冬服やストーブなど仮設住宅に入るだけの荷物を車いっぱいに積み込んで50年書き続けた日記はいつか戻るからと置いていかれました。これには非常に違和感を持ちました。

 高放射線量の警戒区域内にあった冬服やストーブを使用せず、放射能に汚染されていないものを新たに購入したほうが安全に決まっていますし、持ち帰るとしたら日記や位牌のような思い出の品だけの最小限に留めるべきと考えておりましたので、全く逆の行動が当たり前のように報道されていたのに衝撃を受けました。

 また、テレビ東京で09/06に放送されたガイアの夜明け「福島に生きる」では創作和菓子の店、木の幡が紹介されていました。この中で、警戒区域から40-80cpmが検出される餅つき機を持ち出す映像がありましたが、これにも驚きました。

ガイア餅つき機

 シーベルトに換算すると0.33uSv/h-0.66uSv/h。放射線管理区域に指定されてもおかしくないほどの線量が検出される機械で餅をついて売る。その感覚が私には全く理解できませんでした。最終的にはつくれる餅の量に限界があるということで九州の餅吉に頼んでつくってもらうことになりましたが、消費者に被曝させないという観点が全く欠けていると感じました。

 京都の大文字の薪や日進市の花火をはじめ、様々なところで放射性物質への懸念から物議を醸しているようですがそもそも検査もせずに汚染地域から物品を移動することが間違っているのです。食品に至ってはいうまでもありません。

<花火大会>福島産打ち上げ中止 愛知・日進市に抗議殺到
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110920-00000047-mai-soci

 日進の花火については、結局70ベクレル/kgを超える放射性セシウムがその後の調査で検出されています。

日進の花火中止問題、放射性セシウムは微量
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2011092790140643.html

 マスコミは放射性セシウムは微量で、来年の打ち上げに問題ないという方向に必死で誘導していますが、同じ事実から中止は適切だったという記事を書くことも出来ます。

 マスコミは偏向フィルターをかけず、屋内にあったはずの花火からも合計70ベクレル/kg超のセシウムが検出された事実だけ伝えてあとは読者に判断させてはいかがでしょうか。

 70ベクレル/kg以上のセシウムをマスコミは微量と表現していますが、青酸カリを致死量の1/100混入した花火をメーカーが出荷した場合、近隣から打ち上げないでくれとメールや電話が来るのは当然ですし、まともなメーカーなら打ち上げずに回収するでしょう。

 汚染された物品は移動させない。この原則を守らないと今後もこうしたトラブルが頻発するでしょう。こうしたイベントの実行委員会には自己満足で近所の方を被曝させるような支援策を安易に企画しないことを強く求めたいと思います。

 自動車の汚染も深刻です。浪江町のWEBサイトには次のような記載があります。なんと10万cpmつまり約833μSv/h以内なら放射線が検出されても自動車を持ち出してよいのだそうです。

浪江町WEBサイト
http://www.town.namie.fukushima.jp/?p=2895
>・スクリーニングの結果、10万cpm未満の車は、そこで一時立入りは
>終了しますので、解散となります。そのままお帰りいただいて結構です。

 こうして持ち出された車が各地へ売り飛ばされていき汚染を拡大しています。発見されて記事になるのは氷山の一角でしかなく、海外にまで汚染車が輸出されていると思われます。

[朝日新聞] 2011/08/11 輸出用中古車から放射線検出
大阪で、X線検査2回分 「福島で登録抹消」 110.0μSv/h
http://www.asahi.com/national/update/0811/OSK201108110142.html

[産経新聞] 2011/07/02 川崎港で輸出用中古車から放射線
業者「福島で登録抹消」 62.6μSv/h
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110702/dst11070200230000-n1.htm

[産経新聞] 2011/09/09 福島の中古車から放射線
名古屋港、輸出前に検査 10.5μSv/h
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110909/trd11090913420016-n1.htm

 さらに、汚染車両はガソリンスタンドなどにも汚染物質をまき散らしていきます。

[新潟日報]新潟県内ガソリンスタンド洗車場汚泥からセシウム
最大9万ベクレル検出
http://www.niigata-nippo.co.jp/news/pref/25699.html

 花火や薪のひとつひとつを見れば影響が小さいと思われるかも知れませんが、こうしたことが積み重なれば被曝量はどんどん増えていくことになりかねません。放射性物質に汚染された瓦礫を受け入れたり、下水処理場からの放射性物質が濃縮された汚泥がセメント材料として全国に出荷されたりすればどこから被曝するのかもうわからなくなります。

放射性物質含む汚泥でセメント生産、「安全」と出荷再開
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/const/news/20110520/547521/

 汚染地域からの物品移動は厳重な検査の上、必要最小限に制限する。これを直ちに実施して頂きたいと思います。

正しい食品暫定基準値のつくりかた

 日本国民から全く信用されていない食品の暫定基準値について、どのようにすれば国民に信頼される暫定基準値がつくれるのかを考えてみました。

基本方針は次の3点です。

^貳霧衆が1年間にさらされてよい人工放射線の限度は年間1mSvとする。
 ※外部被曝に加えて呼吸、食品による内部被曝を含めた限度です。
乳幼児や妊婦、成人が全て安全を確保出来る値とする。
出荷時と同じ状態の農産物を測定する。
 ※出荷時に洗わないのであれば、洗わずに測定すること。
 出荷する農産物を全て洗う場合に限り洗ってから測定してもよい。

 これらを念頭において食品の暫定基準値をつくってみることにしましょう。まずは食品から摂取する内部被曝の限度を決めます。

 外部被曝や呼吸も含めて年間1mSv以内に収めるためには、食品から受ける内部被曝は1/3程度に抑える必要があります。

 仮に1mSvを100%とした場合、外部被曝で30%、食事による内部被曝で30%、呼吸による内部被曝で30%、残りをそれ以外からの被曝10%とします。このように考えると自ずと食品から摂取可能な内部被曝の限度は0.3mSv/year程度であることがわかります。

 次に成人と乳児や妊婦で基準値を区別せずにすむよう、最初から乳児を基準に考えます。乳児で0.3mSv/yearを満たすことが出来れば成人であっても妊婦であっても心配する必要はありません。

 上記の考えのもとに暫定基準値を設定すると次のようになります。※年齢別実効線量係数や1日の食品摂取量は下記のエントリとまったく同じ数値を用いました。

水道水及び食品暫定基準の妥当性について
http://blog.livedoor.jp/hirezake_nomitaiyo/archives/1560167.html

正しい暫定基準値のつくりかた

【政府の定めた暫定基準値】
・放射性ヨウ素 (I-131)
 飲料水 300 Bq/kg ※1
 牛乳・乳製品 300 Bq/kg
 野菜類 (根菜、芋類を除く。 ) 2,000 Bq/kg
 魚介類 2,000 Bq/kg
・放射性セシウム
 飲料水 200 Bq/kg
 牛乳・乳製品 200 Bq/kg
 野菜類  500 Bq/kg
 穀類  500 Bq/kg
 肉・卵・魚・その他 500 Bq/kg
 ※1 乳児の放射性ヨウ素の飲料水基準は100 Bq/kg
 ※2 測定対象は流水で洗ってから測定する

【当サイトが推奨する暫定基準値】
・放射性ヨウ素 (I-131)
 飲料水 5 Bq/kg
 牛乳・乳製品 5 Bq/kg
 野菜類 (根菜、芋類も含む。 ) 5 Bq/kg
 魚介類 5 Bq/kg
・放射性セシウム
 飲料水 5 Bq/kg
 牛乳・乳製品 5 Bq/kg
 野菜類  5 Bq/kg
 穀類  5 Bq/kg
 肉・卵・魚・その他 5 Bq/kg
 ※1 乳児、妊婦も同じ基準値とする
 ※2 出荷時と同じ条件で測定する

 外部被曝線量についても上限を年間1mSvの基準の30%を目安とし、0.0342μSv/時≒4.11CPM/時未満とし、生活範囲内にこれを超えるホットスポットがある場合は避難を推奨する。

 呼吸による内部被曝については計算が複雑になるので便宜上、外部被曝と同等程度とし、それ以外の被曝を10%見込んでおきます。

 というわけで、年間1mSvを満たすための暫定基準値と空間線量の上限は下記となります。政府が定めた暫定基準値が最初からこのような制度だったらもっと日本国民の信頼を得られたのではないでしょうか。

●飲料水及び食品の上限値の目安(暫定基準値) 一律 5bq/kg[年間0.3mSv]
 →これを超える飲料・食品は出荷禁止し、費用を国が補償する。(国は東電に賠償請求する)

●外部被曝線量の上限値の目安(空間線量)  0.0342μSv/時≒4.11CPM/時[年間0.3mSv]
 →原発事故前から浴びていた自然放射線量を年間1.0mSv程度とすると、これに
  上記の外部被曝線量を加えた1.3mSv/年[0.148μSv/時≒17.79CPM/時]程度が
  避難の基準になってきます。ただし、呼吸による内部被曝をほとんど考慮する
  必要がない地域ではさらに0.3mSv/年程度増えても人工放射線量を
  年間1.0mSv以内に抑えられるのではないかと考えます。

 私は汚染地域の食品を買わない主義ですが、上記を満たせるものだけを検査の上で出荷してくれるなら東北だろうが北関東だろうがどこの産地のものでも出荷してもらって構わないと考えています。ちなみにチェルノブイリの被害に苦しむベラルーシでは今なお子供達が甲状腺ガンや白血病に悩まされており、子供に37ベクレル/kg以上の食品を与えてはいけないことになっています。

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NHK チェルノブイリ原発事故その10年後
http://www.youtube.com/watch?v=SUP035x9d84#t=11m24s
>事故現場から200km以上離れた村で子どもの23%が白内障や失明
>同じ村では84%以上に不整脈がみられる。
>80%の子どもが胃炎や肺の疾患を持っており、特に12-15歳がひどい。
http://www.youtube.com/watch?v=SUP035x9d84#t=12m53s
>子どもには37ベクレル/Kg以上の食品を与えてはいけない。

※日本の暫定基準は放射性ヨウ素だけで2000ベクレル、
セシウムも含めると2500ベクレル/Kgまで摂取可能。
ストロンチウム他の核種は基準値すらないのが現状です。

 それから、そろそろ原発事故から半年が経過して半減期8.04日の放射性ヨウ素(I131)についてはほとんど検出されなくなってきました。半減期50.53日の放射性ストロンチウム(Sr89)と半減期2.06年の放射性セシウム(Cs134)はもうしばらく検出されると思いますが、これから先は半減期28.74年の放射性ストロンチウム(Sr90)と半減期30.04年の放射性セシウム(Cs137)との長い闘いが始まるのです。

 放射性ヨウ素(I131)を放射性ストロンチウム(Sr90)に置き換えた新暫定基準値も作成してみたところ、年間1mSvの30%に被曝を抑えるには一律3bq/kgが限度となりました。Sr90の方がI131よりも比較的影響が大きいため被曝上限を低くする必要があるのです。

暫定基準値の妥当性_20110907_Sr90Cs137

 政府の定めた暫定基準値に放射性ストロンチウム(Sr90)の値が決められていないのが不思議でなりません。また、飛散した放射性物質はヨウ素、セシウム、ストロンチウムだけではないからです。プルトニウムやウラン、コバルトやキュリウム他の様々な放射性物質については検査すらされていないのが現状です。

 したがって放射性ヨウ素や放射性セシウムを個別に規制するのではなく、放射性核種にかかわらず3bq/kgを超えたら出荷させない等の規制が本来望ましい形なのだと思われます。

 また、繰り返しになりますが検査時に検出されないような操作をしては意味がありません。流水で洗ったり、他地域産のものと混ぜたり、内臓を取り除いたり、皮を剥いだり精米してから検査するなど、出荷される商品と異なる状態にして検査するなどの詐欺的行為が行われている現状では、検査結果そのものの信頼性にも疑問がつけられてしまいます。

 科学的、医学的に安全といえる基準値で検査をすること、そして出荷する商品と同じ状態で検査すること、基準を超えるものは全て出荷しないこと、これが出来ないと消費者の安心は取り戻せないでしょう。

 繰り返しになりますが、政府には現在の暫定基準値の見直しを強く求ます。

2011年10月02日追記

 このエントリで求めた暫定基準値のあるべき姿は3-5bq/kgとなりましたが、奇しくもドイツ放射線防護協会が提言している子供4bq/kg,成人8bq/kgと近似する結果となりました。

 被曝量を年間1mSv以下に抑えるという原点をはずさずに基準値を決めると結果としてこのような基準になるということが示されるよい例と思いますので参考までに紹介しておきます。

(ドイツ放射線防護協会)
日本における放射線リスク最小化のための提言
http://icbuw-hiroshima.org/wp-content/uploads/2011/04/322838a309529f3382702b3a6c5441a31.pdf

農産物の産地と汚染状況について

 日本のテレビ局で、放射能汚染された農産物について食べてはいけないと本当のことを言う人がいました。これまでは、そのような発言があっても報道しなかった国内メディアにとっては珍しいことです。発言者はやはり、武田教授でした。

たかじんのそこまで言って委員会 61:00〜
http://himado.in/?id=63447&sid=40581

Q.小学4年生・男子からの質問
「東北の野菜とか牛肉を食べたら僕らはどうなるの?」

A.武田教授の答え。
「健康を害しますから、捨てて下さい。」
「除染する前に生産・出荷するのが間違っている。」
「食べて被曝することで応援するのではなく、農家が1年間休業してもいいようにちゃんと(補償を)する。」

まさにその通りです。

ただし、実際は高濃度に汚染された地域は除染など出来ませんから(低濃度汚染された地域に限っては、)除染してから生産・出荷する。それまでは政府が農家を補償して出荷させない。これが正解です。

今村克彦というガラの悪い教師が、農家の人が可哀想だから言い方を取り消せとしつこく絡んでいますが、武田教授の言っていることはまさにそのとおりで取り消す必要は全くありません。

農家が可哀想だから日本人みんなで被曝するなんて馬鹿げています。汚染された農産物や海産物を平気で出荷する農家は買ってくれる人が可哀想とは思わないのでしょうか。

全数検査が出来るはずもなく、出荷された農産物の抜き打ち検査で暫定基準値すら満たせない汚染食品が続々と発覚しています。最近の例ではお茶ですが、お茶だけが問題なのではありません。同じ地域の農産物は全て危険なのです。

県「知っていたが検査しなかった」基準値超えは早摘み新芽の製茶
http://sankei.jp.msn.com/region/news/110906/stm11090623150007-n1.htm
「足柄茶」基準値超え 神奈川県農産物で初 出荷自粛と自主回収を呼び掛け
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110511/dst11051116400046-n1.htm

食べてから抜き打ち検査で見つかっても意味がありませんし、見つからずに消費された大半の放射性物質を含んだ食品は今も誰かの体内を被曝させています。政府は被災地応援キャンペーンなどやっている場合ではなく、汚染地域からの食品の出荷を直ちにやめさせるべきなのです。(もちろん農家に補償した上での出荷禁止です。)

 番組では武田教授も含めて大人は食べてもよいと発言していますが、出荷を許してしまうと外食や加工食品として使われてしまうため子供を守ることが出来ません。

 大人と子供を分けるなら出荷段階で全量検査して出荷時に全品ベクレル表示を義務づけ、18歳以下食用禁止のシール等を貼らなければなりません。また、飲食店や加工食品にも店頭やパッケージに18歳以下食用禁止の放射能汚染食品を使用していませんと表示させる必要もあります。

 そこまで出来ないのであれば、汚染地域の食品を出荷させないというのが最も現実的な対策なのです。今のままでは汚染された食品が全国に流通してしまうのを止めることは出来ません。

 ただし、実際には大人が食べても安全という根拠もありません。放射性物質は出来るだけ摂取しないことが一番望ましいのです。発ガンまでいかなくとも、原因不明の無気力症や体のだるさに悩まされた被曝者の事例は原子爆弾やチェルノブイリやスリーマイル事故にも存在するのです。

 放射線被曝を少しでも減らすためには、外部線量の高い地域からの避難はもちろん、汚染地域産の食品を出来るだけ買わないことが大切です。では汚染地域とそうでない地域はどうやって見分ければいいのでしょうか。

 漠然と福島県とその周辺はなんとなく避けている方もいらっしゃると思いますが、基準となりそうなデータがありましたので紹介しておきます。

 文部科学省が発表している都道府県別環境放射水準調査結果に2011年の3月及び4月に降下した放射性ヨウ素I131と放射性セシウムCs134,Cs137の積算量がまとめられています。

(文部科学省7/29発表)都道府県別環境放射水準調査結果 2011年3-4月分及び2010年3月分
http://www.mext.go.jp/component/english/__icsFiles/afieldfile/2011/07/29/1307873_072914.pdf

 ストロンチウムSr90の調査が行われていないのが残念ですが、ヨウ素とセシウム以外の放射性物質についても備考欄に記載があり、事故前の昨年3月の計測結果もあるので非常に参考になります。

 半減期の短い放射性ヨウ素I131は事故後半年間の当時現地にいた人以外には影響しないので、現在も農地を汚染していると考えられる放射性セシウムCs134,Cs137に限定して3月-4月降下物累積量をまとめました。その結果が下記になります。20110927_環境放射能水準調査結果(月間降下物)
※上記の画像は横幅を画面内に収めるために、0-3000Mbq/k屬錬洩楡100Mbq/k屐3000Mbq/k岼幣紊錬洩楡1000Mbq/k屬函∨瀬哀薀嫦羆の二重線で切り替えています。3000Mbq/k岼幣紊検出されている地域と3000Mbq/k嵬にの地域との差は実際はもっと大きくなりますからご注意下さい。

 これを日本地図に当てはめると下記になります。
(TITLE)環境放射能水準調査結果(月間降下物)汚染マップ
※1 宮城県は津波等の影響で計測結果がありませんが、距離や風向きから考えて茨木・栃木・山形と同程度の汚染とみなして赤表示にしています。
※2 福島県は計測結果がありませんが、土壌汚染マップ等を見ても絶望的との判断から赤表示にしています。
・(文部科学省)放射性セシウムの土壌濃度マップ[別紙4-1,別紙4-2,別紙6]
http://radioactivity.mext.go.jp/ja/distribution_map_around_FukushimaNPP/0002/11555_0830.pdf
・汚染マップ一覧
http://maps.google.co.jp/maps/ms?msa=0&msid=210951801243060233597.0004a4f5311a2612c91f3&brcurrent=3,0x34674e0fd77f192f:0xf54275d47c665244,0&ie=UTF8&t=p&vpsrc=6&ll=37.405074,140.097656&spn=5.252343,6.591797&z=6&source=embed
http://www.asahi.com/special/gallery_e/view_photo_feat.html?jisin-pg/TKY201108290584.jpg
https://livedoor.r.blogimg.jp/hamusoku/imgs/5/f/5f7c734f.jpg
http://konstantin.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/2011/07/28/110727_tochigi.jpg


 うちでは上記をもとに買ってはいけない産地、買っても安全な産地を判断しています。赤色、黄色で示した地域の農産物・海産物は出来るだけ買わないように気をつけています。そのように気をつけるとほとんどキャベツなどの葉物野菜が食べられなくなりますが、ある程度不便になるのはやむをえないと考えています。

 避けられない外食や加工食品での被曝を考えると、選べる食材は出来るだけ放射性物質の少ないものを選びたいと考えています。福井や高知の累積量が比較的高い理由はわかりませんが、新潟県については今後も降下物の累積量が増加しないか注意深く見守っていきたいと考えています。

 上記の環境放射水準調査結果でもわかるように、今や全国にセシウムが検出されない都道府県はありません。多かれ少なかれ日本全国が汚染されてしまったのは間違いありません。

 汚染地域の農産物も今やどこのスーパーに行っても見かけます。日本全国に汚染食品が流通することを許している政府には怒りを禁じえません。

 こうした中で少しでも消費者が安心出来るように取り組んでいる企業もあります。残留放射能だけでなく重金属や農薬に至るまで全ての検査結果を常時インターネットを通じて検索出来るという他社に先駆けた情報公開の姿勢には感銘を受けました。

雪国まいたけ 安全システム
http://www.yukiguni-anzen.jp/

 こうした取り組みを各企業が行わなくても安心して食品を購入出来る制度と運用を政府には徹底して頂きたく思います。汚染地域の農家や漁師の方には別の地域で再起できるような補償が1日も早く行われ、汚染食品の出荷が禁止されることを願うばかりです。

〜参考リンク〜

食品別放射能汚染まとめサイト
http://atmc.jp/food/
市民放射能測定所
http://www.crms-jpn.com/mrdatafoodcat/food_drink.html
全国セシウム土壌沈着量マップ(米国科学アカデミー紀要提供 )
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/photos/20111115/dms1111151134009-p1.htm
(zakzak)初の“セシウム汚染”全国マップ!北海道〜中国地方まで広く拡散
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20111115/dms1111151134009-n1.htm

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