●食品の暫定基準値(飲料水、乳製品、食品)

 飲食物摂取制限に関する指標は下記の通り。
なお、野菜類は流水洗浄後に測定することになっている。

  ・放射性ヨウ素 (I-131)
   飲料水 300 Bq/kg・・・注)
   牛乳・乳製品 300 Bq/kg・・・注)
   野菜類 (根菜、芋類を除く。 ) 2,000 Bq/kg
   魚介類 2,000 Bq/kg
  ・放射性セシウム[→は平成24年4月改定後 http://www.mhlw.go.jp/shinsai_jouhou/shokuhin.html]
   飲料水 200 Bq/kg→10 Bq/kg
   牛乳・乳製品 200 Bq/kg→50 Bq/kg
   野菜類  500 Bq/kg→100 Bq/kg
   穀類  500 Bq/kg→100 Bq/kg
   肉・卵・魚・その他 500 Bq/kg→100 Bq/kg
  乳児用食品 基準なし→50 Bq/kg
  ・放射性ウラン
   乳幼児用食品・飲料水・牛乳・乳製品 20 Bq/kg
   野菜・穀類・肉・卵・魚・その他 100 Bq/kg
  ・プルトニウム及び超ウラン元素のアルファ核種
  (238Pu,239Pu, 240Pu, 242Pu, 241Am, 242Cm, 243Cm, 244Cm合計)
   乳幼児用食品・飲料水・牛乳・乳製品 1 Bq/kg
   野菜・穀類・肉・卵・魚・その他 10 Bq/kg
 注)100 Bq/kgを超えるものは、乳児用調製粉乳及び直接飲用に供する乳に使用しないよう指導すること。
 
(2011年)平成23年3月17日付「食安発0317第3号」
 【厚生労働省】放射能汚染された食品の取り扱いについて
 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001558e-img/2r9852000001559v.pdf
(2011年)平成23年3月18日
 【厚生労働省】事務連絡『流水で洗ってから測定するように』
 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000014tr1-img/2r98520000015is5.pdf
(2011年)平成23年4月5日「食安発0405第1号」
 【厚生労働省】魚介類中の放射性ヨウ素に関する暫定規制値の取扱いについて
 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000017z1u-att/2r98520000017z7d.pdf
(2011年)平成23年7月29日
【厚生労働省】牛肉中の放射性セシウムスクリーニング法の送付について
 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001krg9-att/2r9852000001krme.pdf

 輸入食品の基準値について主な部分を抜粋すると下記の通りとなる。

「食品中の放射能濃度についての暫定限度(セシウム134及びセシウム137の合計で食品1 kg当たり370ベクレル)を超えるものについては、食品衛生法第6条違反に該当するものとして取り扱う」

「食品1 kg 当たりセシウム134及びセシウム137の合計が50ベクレル以下であった場合はその旨、また51ベクレル以上であった場合はその実測値が明記されていること。」

(1986年)昭和61年11月1日
 【厚生労働省】ソ連原子力発電所事故に係る輸入食品の監視指導について
http://www.mhlw.go.jp/topics/yunyu/hassyutu/2009/dl/091218-1.pdf
http://www.jfta-or.jp/wordpK/wp-content/uploads/2011/07/110728_sankou.pdf
(2001年)平成13年11月8日
 【厚生労働省】放射能暫定限度を超える輸入食品の発見について(第34報)
http://www.mhlw.go.jp/houdou/0111/h1108-2.html
(参考リンク)食品衛生法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO233.html


●海洋汚染の基準値

 原子力施設からの排水については下記資料P33〜の別表第2(第7条、第14条及び第19条関係)第六欄 排液中又は排水中の濃度限度(Bq/cm3)を参照。

 ・放射性同位元素の種類が明らかで、かつ、一種類である場合の空気中濃度限度等
  下記資料50ページ 放射性ストロンチウムSr90 30bq/L
  下記資料66ページ 放射性ヨウ素I131 40bq/L
  下記資料67ページ 放射性セシウムCs134 60bq/L
  下記資料67ページ 放射性セシウムCs137 90bq/L

 (2006年)平成18年12月26日 文部科学省告示第百五十四号
 【文部科学省】放射線を放出する同位元素の数量等を定める件(平成十二年科学技術庁告示第五号)
 http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/k20001023001/k20001023001.html

●土壌汚染の暫定基準値(水田、肥料・腐葉土・飼料、汚泥、きのこ栽培)

 土壌関連の放射性セシウムの基準値。セシウム以外の基準値はありません。

 ・水田の土壌中放射性セシウム濃度の作付上限値
  ⇒5000 Bq/kg

(2011年)平成23年4月8日
 【原子力災害対策本部】稲の作付に関する考え方
 http://www.maff.go.jp/j/kanbo/joho/saigai/pdf/ine_sakutuke.pdf

 なお、農業環境技術研究所によると、事故以前の全国の農地土壌の放射性セシウム濃度の平均は約20ベクレル/kgとのこと。
http://psv92.niaes3.affrc.go.jp/vgai_agrip/soil_samples

 ・肥料・土壌改良資材・培土の放射性セシウム濃度上限値
  ⇒400bq/kg(製品重量)
 ・牛・馬・豚・家きん等のすべての飼料の放射性セシウム濃度上限値
  ⇒300ベクレル/kg(粗飼料は水分含有量8割ベース、その他飼料は製品重量)
  ※ただし、繁殖牛・育成牛等に給与される粗飼料は3000ベクレル/kg
 ・養殖魚の飼料の放射性セシウム濃度上限値
  ⇒100bq/kg(製品重量)

(2011年)平成23年8月1日
 【農林水産省】放射性セシウムを含む肥料・土壌改良資材・培土及び飼料の暫定許容値の設定について
 http://www.maff.go.jp/j/syouan/soumu/saigai/shizai.html
(2011年)平成23年8月30日
 【農林水産省】肥料・土壌改良資材・培土の暫定許容値設定に関するQ&A
 http://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/hiryo_info/cs_qa.html

 脱水汚泥、焼却灰等については平成23年6月16日に8000bq/kg以下は埋め立て可能8000bq/kg超10万bq/kg以下は検討すると原子力災害対策本部から通達が出された。

 その後平成23年8月31日に8000bq/kg超10万bq/kg以下であれば埋め立て可能と環境省から検討結果が発表されている。

 ・放射性物質を含む汚泥の取扱に関する放射性セシウム濃度上限値
  ⇒8000bq/kg以下
    ・・・跡地を居住等の用途に供しないこととした上で、土壌層の設置、防水対策等の適切な対策を講じた埋立処分を可能
  ⇒8000bq/kg超10万bq/kg以下
    ・・・(8/31改訂)放射性セシウムによる公共用水域や地下水の汚染の防止および跡地の利用制限を含めた長期的な管理により、安全に埋立処分することが可能
  ⇒10万bq/kg超・・・適切に放射線を遮蔽出来る施設で県内保管

(2011年)平成23年6月16日
 【原子力災害対策本部】放射性物質が検出された上下水処理等副次産物の当面の取扱いに関する考え方
 http://www.meti.go.jp/press/2011/06/20110616006/20110616006-2.pdf
(2011年)平成23年8月31日
 【環境省】8,000Bq/kg を超え100,000Bq/kg 以下の焼却灰等の処分方法に関する方針
 http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=18171&hou_id=14161
 (お知らせ)http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=14161

 汚泥から肥料をつくる際の基準は農林水産省から下記のとおり発表されている。

 ・肥料に利用する放射性物質を含む汚泥の放射性セシウム濃度上限値
  ⇒200bq/kg(公共下水道汚泥など)
  ⇒1000bq/kg(汚染地域の集落排水汚泥)・・・農地土壌の濃度以下である場合に限る

(2011年)平成23年6月24日
【農林水産省】肥料に利用する放射性物質を含む汚泥の取扱いについて
 http://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/kome/k_hiryo/caesium/pdf/image.pdf
 (お知らせ)http://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/kome/k_hiryo/caesium/index.html

 また、きのこ栽培関連の暫定基準値についても2011/10/6に林野庁から発表があったので記載しておく。

 ・きのこ原木
  ⇒150ベクレル/kg(乾重量)
   →(2012/08/30改訂) 50ベクレル/kg(乾重量)
   ※ただし経過措置として発生するきのこが50ベクレル/kg以下なら原木及びほだ木は100ベクレル/kg(乾重量)までOK
 ・菌床用培地(おが粉等に栄養材として米ぬか等を加えたもの)
  ⇒150ベクレル/kg(乾重量)

(2011年)平成23年10月6日
【林野庁】「きのこ原木及び菌床用培地の当面の指標値の設定について」
 http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/tokuyou/pdf/111006-01.pdf
 (お知らせ)http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/tokuyou/111006.html

(2012年)平成24年08月30日
http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/tokuyou/120830.html
●その他の基準値

 福島原発における避難・屋内退避圏から来た又は通過した場合は、サーベイメーターによる緊急被ばくスクリーニング(検査)を受ける必要がある。

 3月12日から3月15日に福島県大熊町のオフサイトセンターでは当初6000cpmを
基準に除染スクリーニングが行われていたが、3月20日に原子力災害対策現地本部から
指示があり10万cpmに除染基準が変更されたと次の資料に記載されている。

(2011年)平成23年3月25日
 【経済産業省】地震被害情報(第52報)(3月25日19時30分現在) P15-P16
http://www.meti.go.jp/press/20110325012/20110325012-1.pdf

 しかし、3月14日に福島県が「緊急被ばく医療におけるスクリーニング(検査)について」という文書を発表した際には、13,000cpm以上が検出された場合は上着の脱衣及び拭き取りなどの簡易除染後に診察等を受けることになっていた。

 この除染基準は3月21日に100,000cpm以上に変更されたが、この厚生労働省の通知は上の3月20日付けの経済産業省の指示を受けたものと考えられる。町村によってはいきなり6,000cpmから100,000cpmに一気に変更された地域もあるようだ。

 その半年後、8月29日の原子力安全委員会の「段階的に低減していくことが望ましい」等の助言を受けて、大熊町や三条市などがスクリーニング基準を13,000cpm以上に戻している。経済産業省の資料にもあるので、おそらくスクリーニングを実施していた自治体には全て通達がいったと思われる。

(2011年)平成23年3月14日
 【福島県】緊急被ばく医療におけるスクリーニング(検査)について
 http://wwwcms.pref.fukushima.jp/pcp_portal/PortalServlet?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=23614
(2011年)平成23年3月18日
 【厚生労働省】放射線の影響に関する健康相談について(依頼)
 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000014tr1-img/2r98520000015fth.pdf
(2011年)平成23年3月21日
 【厚生労働省】放射線の影響に関する健康相談について(依頼)(一部修正及び追加)
 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000015ox9-img/2r98520000015pqe.pdf
(2011年)平成23年8月29日
 【原子力安全委員会】避難区域(警戒区域)から退出する際の除染の適切な実施について
 http://www.nsc.go.jp/ad/pdf/20110829_1.pdf
(2011年)平成23年8月29日
 【経済産業省】地震被害情報(第258報) P1
 http://www.meti.go.jp/press/2011/09/20110916005/20110916005-1.pdf
(2011年)平成23年9月16日
 【福島県大熊町役場】放射性物質除染スクリーニングレベルについて
 http://www.town.okuma.fukushima.jp/scr_lvl_201109.html
(2011年)平成23年9月28日
 【福島県三条市】避難者情報紙 「浜通りさんじょうライフ」Vol.22 P13
 http://www.city.sanjo.niigata.jp/common/000054390.pdf


 警戒区域からの自動車の持ち出しについては10万cpm未満であれば問題ないことになっている。

(2011年)平成23年5月30日
 【浪江町】【警戒区域への一時立入】車の持出し実施のお知らせ
 http://www.town.namie.fukushima.jp/?p=2895
 >・スクリーニングの結果、10万cpm未満の車は、そこで一時立入りは
 >終了しますので、解散となります。そのままお帰りいただいて結構です。
 【大熊町】警戒区域への一時立入り(車の持ち出し)実施のお知らせ
 http://blog-okuma.jugem.jp/?eid=98
 >(6)  スクリーニングの結果、10万cpm未満の自動車は、
 >スクリーニング後に解散となります。10万cpmを超えた自動車は、
 >Jヴィレッジに移動して除染を行います。

 除染の基準値としては、8月26日に原子力災害対策本部から推定年間被ばく線量が20mSv以上の地域を20mSv以下に、1mSv以上20mSv未満の地域は1mSvに出来るだけ近づけるとの考え方が発表されました。

 その後、環境省からは追加被ばく線量を年間1mSv以下にする方針が発表されていますが意見募集などしているところをみるとまだ決定していないようです。議事録等も途中から作成されなくなるなどずさんな対応には独立系のメディアが反発を強めています。

(2011年)平成23年8月26日
 【原子力災害対策本部】除染推進に向けた基本的考え方
 http://www.reconstruction.go.jp/topics/05jyosen.pdf
(2011年)平成23年10月10日
【環境省】放射性物質汚染対処特措法に基づく基本方針骨子案
 http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=18432&hou_id=14327
【環境省】放射性物質汚染対処特措法第11条第1項、第25条第1項、第32条第1項及び第36条第1項の環境省令で定める要件案
 http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=18433&hou_id=14327
 【環境省】追加被ばく線量年間1ミリシーベルトの考え方
http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=18437&hou_id=14327
(2011年)平成23年10月19日
【E-wave Tokyo】環境省への議事録開示請求の経過報告
 http://eritokyo.jp/independent/eforum-col104.htm

 瓦礫の処理や汚染地域の除染については、環境省がパブリックコメント(※1)を募集しているので意見を送ってみるのもよいと思われる。

(2011年)平成23年10月17日
 【環境省】「放射性物質汚染対処特措法に基づく基本方針骨子案」等に対する意見(パブリックコメント)の募集について(お知らせ)
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=14327
意見の募集期間
平成23年10月17日(月)〜平成23年10月26日(水)
※郵送の場合は、平成23年10月26日(水)必着

 自動車の輸出については、政府の公式基準値ではありませんが社団法人 日本港運協会が港湾作業者の被曝を防ぐために設けた自主基準がありますので掲載しておきます。

 ・自動車の輸出基準
  ⇒0.3マイクロシーベルト毎時

(2011年)平成23年08月17日
【社団法人 日本港運協会】「福島第一原発事故に伴う放射能汚染問題(中古自動車・建機等)に関する暫定確認書」
http://exp.planetcars.jp/index.php?option=com_content&view=article&id=396:2011-08-19-02-54-02&catid=39:2011-08-24-07-12-40&Itemid=118

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 食品の暫定基準値は2011/3/17に突然決められたわけではない。その原型は原子力安全委員会の資料「原子力施設等の防災対策について」のP23 表3 飲食物摂取制限に関する指標にある。

 この資料は昭和55 年6月に作成されたものだが、飲食物摂取制限についての記述は改訂履歴をみると平成10年11月の改訂で追加されたように思われる。平成12年4月14日改訂時にも指標についての考え方がP108付属資料14として追加されており、この頃には緊急の原子力災害に備えるために策定されていたものであることは事実のようだ。

 厚生労働省の緊急時における食品の放射能測定マニュアル P35ページの表もここから引用されているものだ。これらは緊急時の基準としてあらかじめ策定されたものであったが、正確には2011/3/17に突然適用されたという表現が正しいといえる。

(2000年)昭和55 年6月作成/平成10年11月改訂時に追加(?)
 【経済産業省】(原子力安全委員会)原子力施設等の防災対策について
 http://www.nsc.go.jp/shinsashishin/pdf/history/59-15.pdf
(2002年)平成14年3月
 【厚生労働省】緊急時における食品の放射能測定マニュアル P35
 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001558e-img/2r98520000015cfn.pdf

 ただし、西日本の食品や輸入によっていくらでも汚染されていない食品を入手可能な状況にありながら何故この緊急時の基準値を直ちに適用しなければならなかったのかについては疑問の余地がある。

 暫定基準値設定から1週間以上経過してから、その妥当性が議論された食品安全委員会での議事録等をみると、役人がつくった暫定規制値の正当性ありきの資料に対して、他の委員はほぼICRPの緊急時ガイドラインを鵜呑みにしているなかで、ベラルーシでの医療活動経験のある松本市長の菅谷氏だけが慎重な意見を出していたのが印象に残った。

(2011年)平成23年3月25日
 食品安全委員会第373回会合議事録
 http://www.fsc.go.jp/fsciis/attachedFile/download?retrievalId=kai20110325sfc&fileId=410
 食品安全委員会第373回会合会議資料詳細
 http://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20110325sfc
(2011)平成23年3月29日
 【食品安全委員会】放射性物質に関する緊急のとりまとめ
 http://www.fsc.go.jp/sonota/emerg/emerg_torimatome_20110329.pdf
(2011)平成23年8月2日
 【食品安全委員会】食品中に含まれる放射性物質 評価書案
 http://www.fsc.go.jp/iken-bosyu/pc1_risk_radio_230729.pdf

 中でも甲状腺ガンは予後のいいガンと言い切り確定的影響がなければ考慮の必要なしとばかりに基準値を大幅に上げることを主張したのが東京大学の中川准教授。汚染食品を全国に流通させる事態を食品安全委員会が止められなかった責任のかなりの部分はこの人にあるのではないだろうか。

 汚染されていない食品を入手可能な状況にありながら、他の食料が入手できないような緊急時を想定した暫定規制値を適用して全国に汚染拡大させた厚生労働省の役人にも当然憤りを感じてはおりますが、食品安全委員会が自らの存在意義である食品の安全を守れなかったことについては大変残念としか言いようがありません。

 その後、暫定基準値に唯一慎重な態度を示した参考人菅谷氏が市長を務める松本市では、給食の食品検査基準として日本の暫定基準値を信用せず、ウクライナ基準を採用することになっています。こういう専門家の意見を聞かずに何の委員会なのだろう・・・。

 東京大学医学部付属病院放射線科 中川恵一 准教授
 http://www.u-tokyo-rad.jp/staff/nakagawa.html
 長野県松本市長(ベラルーシで甲状腺ガン治療活動経験のある医師) 菅谷 昭氏
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8F%85%E8%B0%B7%E6%98%AD
 コメや牛乳は100%地元産 松本市の給食は「内部被ばくゼロ」
 http://www.j-cast.com/2011/05/31097064.html
 長野県松本市、学校給食で放射線測定 ウクライナ基準を採用
 http://www.chunichi.co.jp/article/nagano/20111004/CK2011100402000118.html

 それから、輸入食品については原発事故の前から放射性セシウム134及び137の合計で上限370Bq/kgとなっており、51ベクレル以上は表示義務もある。これが国内の基準と異なるからと東京都が検査していなかったという馬鹿げた怠慢が朝日の記事になったのは記憶に新しい。

 (朝日新聞)2011年9月30日 都が輸入食品の放射能検査中断 国産と異なる基準懸念
 http://www.asahi.com/national/update/0928/TKY201109280218.html

 食品中の放射性物質の検査結果については書式を統一して不検出の場合に検出限界値を明記するなどの通達が9月末に厚生労働省から出されています。この通達は、当たり前のことですが業者ごとに乱立している表示形式と精度の低い機器での不検出濫用に歯止めをかけることになり、評価してよいと思われます。

(2011年)平成23年9月29日
【厚生労働省】食品中の放射性物質の検査結果について
 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001q51k-att/2r9852000001qjsv.pdf

 それから、10月末には食品安全に委員会が食品からの被曝上限を生涯100ミリシーベルト以下とするという発表を行いました。これを受けて小宮山厚生労働大臣は年間5ミリシーベルトを前提につくられている暫定基準値を厳格化する方向に来春をめどに見直す方針を明らかにしました。

 食品からの内部被爆だけで生涯100ミリシーベルトというのは、事故前の上限である人工放射線の外部被曝と内部被爆の合計が年間1ミリシーベルト以内という基準にはまだまだ戻ったとはいえませんし、来春では遅すぎるとも思いますが少なくとも今の高すぎる暫定基準値が厳格化されること自体は評価したいと思います。

 全国のお母さんたちが訴えかけて来たことが勝ち取ったひとつの成果といえます。

 (読売新聞)2011年10月27日 生涯累積線量の上限、百ミリ・シーベルトと答申
 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111027-OYT1T00918.htm
 (東京新聞)2011年10月28日 セシウム許容線量 食品は年1ミリシーベルト
 http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011102890135904.html
 (産経新聞)2011年10月28日 食品の新基準値 年間1ミリシーベルトに引き下げへ 4月から適用
 http://sankei.jp.msn.com/life/news/111028/trd11102811270011-n1.htm

 ただし、小出教授も指摘しているように食品安全委員会が勝手に年間1ミリシーベルトという基準を逸脱して食品だけで年間1.2-1.3ミリシーベルトに相当する生涯100ミリシーベルトを設定する法的根拠が何なのかははっきりしません。外部被曝に関しては我々が決めることではないとまで発言している委員がいましたが、認識不足も甚だしい。

 なお、生涯100ミリシーベルトという上限は7月にも食品安全委員会が発表していますが、その時は外部被曝と内部被曝の合計ということになっていました。あれから3ヶ月も経過して未だに暫定基準が見直されていないことにも驚きますがさらに4月まで何もしないとはあきれる限りです。しかも、今回の発表では外部被曝は考慮せずに生涯100ミリシーベルトに後退していますが、いったい何の権限があって食品安全委員会が国民の被曝限度を勝手に決めるというのでしょうか。

 いかにこの国の政府が機能していないのかがよくわかります。

(2011年)平成23年7月26日
【毎日放送】食品安全委員会発表「生涯上限100ミリシーベルト」のゆるさについて 小出裕章(MBS)
 http://hiroakikoide.wordpress.com/2011/07/27/tanemaki-jul-2/

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『その他の参考資料』
 【厚生労働省】緊急時における食品の放射能測定マニュアル
 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001558e-img/2r98520000015cfn.pdf
 【農林水産省】東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う各国・地域の輸入規制強化への対応
 http://www.maff.go.jp/j/export/e_info/hukushima_kakukokukensa.html
 【日本水道協会】WHO飲料水水質ガイドライン 第3版
 http://whqlibdoc.who.int/publications/2004/9241546387_jpn.pdf
 【食品安全委員会】議事録検索ページ
 http://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/search

『海外のドキュメント』
 【CODEX委員会】(FAOとWHOがつくった国際合同食品規格委員会)のガイドライン
 http://www.codexalimentarius.net/download/standards/17/CXS_193e.pdf
 【IAEA】核と放射線安全性:緊急時の対応のためのガイダンス
 http://www.iaea.org/Publications/Magazines/Bulletin/Bull381/38102682327.pdf
 【IAEA】Safety Standards
 http://www-pub.iaea.org/MTCD/publications/PDF/Pub1467_web.pdf
 【ドイツ放射線防護協会】日本における放射線リスク最小化のための提言
 http://icbuw-hiroshima.org/wp-content/uploads/2011/04/322838a309529f3382702b3a6c5441a31.pdf