暫定基準値

放射性物質関連の基準値まとめ

●食品の暫定基準値(飲料水、乳製品、食品)

 飲食物摂取制限に関する指標は下記の通り。
なお、野菜類は流水洗浄後に測定することになっている。

  ・放射性ヨウ素 (I-131)
   飲料水 300 Bq/kg・・・注)
   牛乳・乳製品 300 Bq/kg・・・注)
   野菜類 (根菜、芋類を除く。 ) 2,000 Bq/kg
   魚介類 2,000 Bq/kg
  ・放射性セシウム[→は平成24年4月改定後 http://www.mhlw.go.jp/shinsai_jouhou/shokuhin.html]
   飲料水 200 Bq/kg→10 Bq/kg
   牛乳・乳製品 200 Bq/kg→50 Bq/kg
   野菜類  500 Bq/kg→100 Bq/kg
   穀類  500 Bq/kg→100 Bq/kg
   肉・卵・魚・その他 500 Bq/kg→100 Bq/kg
  乳児用食品 基準なし→50 Bq/kg
  ・放射性ウラン
   乳幼児用食品・飲料水・牛乳・乳製品 20 Bq/kg
   野菜・穀類・肉・卵・魚・その他 100 Bq/kg
  ・プルトニウム及び超ウラン元素のアルファ核種
  (238Pu,239Pu, 240Pu, 242Pu, 241Am, 242Cm, 243Cm, 244Cm合計)
   乳幼児用食品・飲料水・牛乳・乳製品 1 Bq/kg
   野菜・穀類・肉・卵・魚・その他 10 Bq/kg
 注)100 Bq/kgを超えるものは、乳児用調製粉乳及び直接飲用に供する乳に使用しないよう指導すること。
 
(2011年)平成23年3月17日付「食安発0317第3号」
 【厚生労働省】放射能汚染された食品の取り扱いについて
 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001558e-img/2r9852000001559v.pdf
(2011年)平成23年3月18日
 【厚生労働省】事務連絡『流水で洗ってから測定するように』
 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000014tr1-img/2r98520000015is5.pdf
(2011年)平成23年4月5日「食安発0405第1号」
 【厚生労働省】魚介類中の放射性ヨウ素に関する暫定規制値の取扱いについて
 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000017z1u-att/2r98520000017z7d.pdf
(2011年)平成23年7月29日
【厚生労働省】牛肉中の放射性セシウムスクリーニング法の送付について
 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001krg9-att/2r9852000001krme.pdf

 輸入食品の基準値について主な部分を抜粋すると下記の通りとなる。

「食品中の放射能濃度についての暫定限度(セシウム134及びセシウム137の合計で食品1 kg当たり370ベクレル)を超えるものについては、食品衛生法第6条違反に該当するものとして取り扱う」

「食品1 kg 当たりセシウム134及びセシウム137の合計が50ベクレル以下であった場合はその旨、また51ベクレル以上であった場合はその実測値が明記されていること。」

(1986年)昭和61年11月1日
 【厚生労働省】ソ連原子力発電所事故に係る輸入食品の監視指導について
http://www.mhlw.go.jp/topics/yunyu/hassyutu/2009/dl/091218-1.pdf
http://www.jfta-or.jp/wordpK/wp-content/uploads/2011/07/110728_sankou.pdf
(2001年)平成13年11月8日
 【厚生労働省】放射能暫定限度を超える輸入食品の発見について(第34報)
http://www.mhlw.go.jp/houdou/0111/h1108-2.html
(参考リンク)食品衛生法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO233.html


●海洋汚染の基準値

 原子力施設からの排水については下記資料P33〜の別表第2(第7条、第14条及び第19条関係)第六欄 排液中又は排水中の濃度限度(Bq/cm3)を参照。

 ・放射性同位元素の種類が明らかで、かつ、一種類である場合の空気中濃度限度等
  下記資料50ページ 放射性ストロンチウムSr90 30bq/L
  下記資料66ページ 放射性ヨウ素I131 40bq/L
  下記資料67ページ 放射性セシウムCs134 60bq/L
  下記資料67ページ 放射性セシウムCs137 90bq/L

 (2006年)平成18年12月26日 文部科学省告示第百五十四号
 【文部科学省】放射線を放出する同位元素の数量等を定める件(平成十二年科学技術庁告示第五号)
 http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/k20001023001/k20001023001.html

●土壌汚染の暫定基準値(水田、肥料・腐葉土・飼料、汚泥、きのこ栽培)

 土壌関連の放射性セシウムの基準値。セシウム以外の基準値はありません。

 ・水田の土壌中放射性セシウム濃度の作付上限値
  ⇒5000 Bq/kg

(2011年)平成23年4月8日
 【原子力災害対策本部】稲の作付に関する考え方
 http://www.maff.go.jp/j/kanbo/joho/saigai/pdf/ine_sakutuke.pdf

 なお、農業環境技術研究所によると、事故以前の全国の農地土壌の放射性セシウム濃度の平均は約20ベクレル/kgとのこと。
http://psv92.niaes3.affrc.go.jp/vgai_agrip/soil_samples

 ・肥料・土壌改良資材・培土の放射性セシウム濃度上限値
  ⇒400bq/kg(製品重量)
 ・牛・馬・豚・家きん等のすべての飼料の放射性セシウム濃度上限値
  ⇒300ベクレル/kg(粗飼料は水分含有量8割ベース、その他飼料は製品重量)
  ※ただし、繁殖牛・育成牛等に給与される粗飼料は3000ベクレル/kg
 ・養殖魚の飼料の放射性セシウム濃度上限値
  ⇒100bq/kg(製品重量)

(2011年)平成23年8月1日
 【農林水産省】放射性セシウムを含む肥料・土壌改良資材・培土及び飼料の暫定許容値の設定について
 http://www.maff.go.jp/j/syouan/soumu/saigai/shizai.html
(2011年)平成23年8月30日
 【農林水産省】肥料・土壌改良資材・培土の暫定許容値設定に関するQ&A
 http://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/hiryo_info/cs_qa.html

 脱水汚泥、焼却灰等については平成23年6月16日に8000bq/kg以下は埋め立て可能8000bq/kg超10万bq/kg以下は検討すると原子力災害対策本部から通達が出された。

 その後平成23年8月31日に8000bq/kg超10万bq/kg以下であれば埋め立て可能と環境省から検討結果が発表されている。

 ・放射性物質を含む汚泥の取扱に関する放射性セシウム濃度上限値
  ⇒8000bq/kg以下
    ・・・跡地を居住等の用途に供しないこととした上で、土壌層の設置、防水対策等の適切な対策を講じた埋立処分を可能
  ⇒8000bq/kg超10万bq/kg以下
    ・・・(8/31改訂)放射性セシウムによる公共用水域や地下水の汚染の防止および跡地の利用制限を含めた長期的な管理により、安全に埋立処分することが可能
  ⇒10万bq/kg超・・・適切に放射線を遮蔽出来る施設で県内保管

(2011年)平成23年6月16日
 【原子力災害対策本部】放射性物質が検出された上下水処理等副次産物の当面の取扱いに関する考え方
 http://www.meti.go.jp/press/2011/06/20110616006/20110616006-2.pdf
(2011年)平成23年8月31日
 【環境省】8,000Bq/kg を超え100,000Bq/kg 以下の焼却灰等の処分方法に関する方針
 http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=18171&hou_id=14161
 (お知らせ)http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=14161

 汚泥から肥料をつくる際の基準は農林水産省から下記のとおり発表されている。

 ・肥料に利用する放射性物質を含む汚泥の放射性セシウム濃度上限値
  ⇒200bq/kg(公共下水道汚泥など)
  ⇒1000bq/kg(汚染地域の集落排水汚泥)・・・農地土壌の濃度以下である場合に限る

(2011年)平成23年6月24日
【農林水産省】肥料に利用する放射性物質を含む汚泥の取扱いについて
 http://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/kome/k_hiryo/caesium/pdf/image.pdf
 (お知らせ)http://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/kome/k_hiryo/caesium/index.html

 また、きのこ栽培関連の暫定基準値についても2011/10/6に林野庁から発表があったので記載しておく。

 ・きのこ原木
  ⇒150ベクレル/kg(乾重量)
   →(2012/08/30改訂) 50ベクレル/kg(乾重量)
   ※ただし経過措置として発生するきのこが50ベクレル/kg以下なら原木及びほだ木は100ベクレル/kg(乾重量)までOK
 ・菌床用培地(おが粉等に栄養材として米ぬか等を加えたもの)
  ⇒150ベクレル/kg(乾重量)

(2011年)平成23年10月6日
【林野庁】「きのこ原木及び菌床用培地の当面の指標値の設定について」
 http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/tokuyou/pdf/111006-01.pdf
 (お知らせ)http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/tokuyou/111006.html

(2012年)平成24年08月30日
http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/tokuyou/120830.html
●その他の基準値

 福島原発における避難・屋内退避圏から来た又は通過した場合は、サーベイメーターによる緊急被ばくスクリーニング(検査)を受ける必要がある。

 3月12日から3月15日に福島県大熊町のオフサイトセンターでは当初6000cpmを
基準に除染スクリーニングが行われていたが、3月20日に原子力災害対策現地本部から
指示があり10万cpmに除染基準が変更されたと次の資料に記載されている。

(2011年)平成23年3月25日
 【経済産業省】地震被害情報(第52報)(3月25日19時30分現在) P15-P16
http://www.meti.go.jp/press/20110325012/20110325012-1.pdf

 しかし、3月14日に福島県が「緊急被ばく医療におけるスクリーニング(検査)について」という文書を発表した際には、13,000cpm以上が検出された場合は上着の脱衣及び拭き取りなどの簡易除染後に診察等を受けることになっていた。

 この除染基準は3月21日に100,000cpm以上に変更されたが、この厚生労働省の通知は上の3月20日付けの経済産業省の指示を受けたものと考えられる。町村によってはいきなり6,000cpmから100,000cpmに一気に変更された地域もあるようだ。

 その半年後、8月29日の原子力安全委員会の「段階的に低減していくことが望ましい」等の助言を受けて、大熊町や三条市などがスクリーニング基準を13,000cpm以上に戻している。経済産業省の資料にもあるので、おそらくスクリーニングを実施していた自治体には全て通達がいったと思われる。

(2011年)平成23年3月14日
 【福島県】緊急被ばく医療におけるスクリーニング(検査)について
 http://wwwcms.pref.fukushima.jp/pcp_portal/PortalServlet?DISPLAY_ID=DIRECT&NEXT_DISPLAY_ID=U000004&CONTENTS_ID=23614
(2011年)平成23年3月18日
 【厚生労働省】放射線の影響に関する健康相談について(依頼)
 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000014tr1-img/2r98520000015fth.pdf
(2011年)平成23年3月21日
 【厚生労働省】放射線の影響に関する健康相談について(依頼)(一部修正及び追加)
 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000015ox9-img/2r98520000015pqe.pdf
(2011年)平成23年8月29日
 【原子力安全委員会】避難区域(警戒区域)から退出する際の除染の適切な実施について
 http://www.nsc.go.jp/ad/pdf/20110829_1.pdf
(2011年)平成23年8月29日
 【経済産業省】地震被害情報(第258報) P1
 http://www.meti.go.jp/press/2011/09/20110916005/20110916005-1.pdf
(2011年)平成23年9月16日
 【福島県大熊町役場】放射性物質除染スクリーニングレベルについて
 http://www.town.okuma.fukushima.jp/scr_lvl_201109.html
(2011年)平成23年9月28日
 【福島県三条市】避難者情報紙 「浜通りさんじょうライフ」Vol.22 P13
 http://www.city.sanjo.niigata.jp/common/000054390.pdf


 警戒区域からの自動車の持ち出しについては10万cpm未満であれば問題ないことになっている。

(2011年)平成23年5月30日
 【浪江町】【警戒区域への一時立入】車の持出し実施のお知らせ
 http://www.town.namie.fukushima.jp/?p=2895
 >・スクリーニングの結果、10万cpm未満の車は、そこで一時立入りは
 >終了しますので、解散となります。そのままお帰りいただいて結構です。
 【大熊町】警戒区域への一時立入り(車の持ち出し)実施のお知らせ
 http://blog-okuma.jugem.jp/?eid=98
 >(6)  スクリーニングの結果、10万cpm未満の自動車は、
 >スクリーニング後に解散となります。10万cpmを超えた自動車は、
 >Jヴィレッジに移動して除染を行います。

 除染の基準値としては、8月26日に原子力災害対策本部から推定年間被ばく線量が20mSv以上の地域を20mSv以下に、1mSv以上20mSv未満の地域は1mSvに出来るだけ近づけるとの考え方が発表されました。

 その後、環境省からは追加被ばく線量を年間1mSv以下にする方針が発表されていますが意見募集などしているところをみるとまだ決定していないようです。議事録等も途中から作成されなくなるなどずさんな対応には独立系のメディアが反発を強めています。

(2011年)平成23年8月26日
 【原子力災害対策本部】除染推進に向けた基本的考え方
 http://www.reconstruction.go.jp/topics/05jyosen.pdf
(2011年)平成23年10月10日
【環境省】放射性物質汚染対処特措法に基づく基本方針骨子案
 http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=18432&hou_id=14327
【環境省】放射性物質汚染対処特措法第11条第1項、第25条第1項、第32条第1項及び第36条第1項の環境省令で定める要件案
 http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=18433&hou_id=14327
 【環境省】追加被ばく線量年間1ミリシーベルトの考え方
http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=18437&hou_id=14327
(2011年)平成23年10月19日
【E-wave Tokyo】環境省への議事録開示請求の経過報告
 http://eritokyo.jp/independent/eforum-col104.htm

 瓦礫の処理や汚染地域の除染については、環境省がパブリックコメント(※1)を募集しているので意見を送ってみるのもよいと思われる。

(2011年)平成23年10月17日
 【環境省】「放射性物質汚染対処特措法に基づく基本方針骨子案」等に対する意見(パブリックコメント)の募集について(お知らせ)
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=14327
意見の募集期間
平成23年10月17日(月)〜平成23年10月26日(水)
※郵送の場合は、平成23年10月26日(水)必着

 自動車の輸出については、政府の公式基準値ではありませんが社団法人 日本港運協会が港湾作業者の被曝を防ぐために設けた自主基準がありますので掲載しておきます。

 ・自動車の輸出基準
  ⇒0.3マイクロシーベルト毎時

(2011年)平成23年08月17日
【社団法人 日本港運協会】「福島第一原発事故に伴う放射能汚染問題(中古自動車・建機等)に関する暫定確認書」
http://exp.planetcars.jp/index.php?option=com_content&view=article&id=396:2011-08-19-02-54-02&catid=39:2011-08-24-07-12-40&Itemid=118

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 食品の暫定基準値は2011/3/17に突然決められたわけではない。その原型は原子力安全委員会の資料「原子力施設等の防災対策について」のP23 表3 飲食物摂取制限に関する指標にある。

 この資料は昭和55 年6月に作成されたものだが、飲食物摂取制限についての記述は改訂履歴をみると平成10年11月の改訂で追加されたように思われる。平成12年4月14日改訂時にも指標についての考え方がP108付属資料14として追加されており、この頃には緊急の原子力災害に備えるために策定されていたものであることは事実のようだ。

 厚生労働省の緊急時における食品の放射能測定マニュアル P35ページの表もここから引用されているものだ。これらは緊急時の基準としてあらかじめ策定されたものであったが、正確には2011/3/17に突然適用されたという表現が正しいといえる。

(2000年)昭和55 年6月作成/平成10年11月改訂時に追加(?)
 【経済産業省】(原子力安全委員会)原子力施設等の防災対策について
 http://www.nsc.go.jp/shinsashishin/pdf/history/59-15.pdf
(2002年)平成14年3月
 【厚生労働省】緊急時における食品の放射能測定マニュアル P35
 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001558e-img/2r98520000015cfn.pdf

 ただし、西日本の食品や輸入によっていくらでも汚染されていない食品を入手可能な状況にありながら何故この緊急時の基準値を直ちに適用しなければならなかったのかについては疑問の余地がある。

 暫定基準値設定から1週間以上経過してから、その妥当性が議論された食品安全委員会での議事録等をみると、役人がつくった暫定規制値の正当性ありきの資料に対して、他の委員はほぼICRPの緊急時ガイドラインを鵜呑みにしているなかで、ベラルーシでの医療活動経験のある松本市長の菅谷氏だけが慎重な意見を出していたのが印象に残った。

(2011年)平成23年3月25日
 食品安全委員会第373回会合議事録
 http://www.fsc.go.jp/fsciis/attachedFile/download?retrievalId=kai20110325sfc&fileId=410
 食品安全委員会第373回会合会議資料詳細
 http://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/show/kai20110325sfc
(2011)平成23年3月29日
 【食品安全委員会】放射性物質に関する緊急のとりまとめ
 http://www.fsc.go.jp/sonota/emerg/emerg_torimatome_20110329.pdf
(2011)平成23年8月2日
 【食品安全委員会】食品中に含まれる放射性物質 評価書案
 http://www.fsc.go.jp/iken-bosyu/pc1_risk_radio_230729.pdf

 中でも甲状腺ガンは予後のいいガンと言い切り確定的影響がなければ考慮の必要なしとばかりに基準値を大幅に上げることを主張したのが東京大学の中川准教授。汚染食品を全国に流通させる事態を食品安全委員会が止められなかった責任のかなりの部分はこの人にあるのではないだろうか。

 汚染されていない食品を入手可能な状況にありながら、他の食料が入手できないような緊急時を想定した暫定規制値を適用して全国に汚染拡大させた厚生労働省の役人にも当然憤りを感じてはおりますが、食品安全委員会が自らの存在意義である食品の安全を守れなかったことについては大変残念としか言いようがありません。

 その後、暫定基準値に唯一慎重な態度を示した参考人菅谷氏が市長を務める松本市では、給食の食品検査基準として日本の暫定基準値を信用せず、ウクライナ基準を採用することになっています。こういう専門家の意見を聞かずに何の委員会なのだろう・・・。

 東京大学医学部付属病院放射線科 中川恵一 准教授
 http://www.u-tokyo-rad.jp/staff/nakagawa.html
 長野県松本市長(ベラルーシで甲状腺ガン治療活動経験のある医師) 菅谷 昭氏
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8F%85%E8%B0%B7%E6%98%AD
 コメや牛乳は100%地元産 松本市の給食は「内部被ばくゼロ」
 http://www.j-cast.com/2011/05/31097064.html
 長野県松本市、学校給食で放射線測定 ウクライナ基準を採用
 http://www.chunichi.co.jp/article/nagano/20111004/CK2011100402000118.html

 それから、輸入食品については原発事故の前から放射性セシウム134及び137の合計で上限370Bq/kgとなっており、51ベクレル以上は表示義務もある。これが国内の基準と異なるからと東京都が検査していなかったという馬鹿げた怠慢が朝日の記事になったのは記憶に新しい。

 (朝日新聞)2011年9月30日 都が輸入食品の放射能検査中断 国産と異なる基準懸念
 http://www.asahi.com/national/update/0928/TKY201109280218.html

 食品中の放射性物質の検査結果については書式を統一して不検出の場合に検出限界値を明記するなどの通達が9月末に厚生労働省から出されています。この通達は、当たり前のことですが業者ごとに乱立している表示形式と精度の低い機器での不検出濫用に歯止めをかけることになり、評価してよいと思われます。

(2011年)平成23年9月29日
【厚生労働省】食品中の放射性物質の検査結果について
 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001q51k-att/2r9852000001qjsv.pdf

 それから、10月末には食品安全に委員会が食品からの被曝上限を生涯100ミリシーベルト以下とするという発表を行いました。これを受けて小宮山厚生労働大臣は年間5ミリシーベルトを前提につくられている暫定基準値を厳格化する方向に来春をめどに見直す方針を明らかにしました。

 食品からの内部被爆だけで生涯100ミリシーベルトというのは、事故前の上限である人工放射線の外部被曝と内部被爆の合計が年間1ミリシーベルト以内という基準にはまだまだ戻ったとはいえませんし、来春では遅すぎるとも思いますが少なくとも今の高すぎる暫定基準値が厳格化されること自体は評価したいと思います。

 全国のお母さんたちが訴えかけて来たことが勝ち取ったひとつの成果といえます。

 (読売新聞)2011年10月27日 生涯累積線量の上限、百ミリ・シーベルトと答申
 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111027-OYT1T00918.htm
 (東京新聞)2011年10月28日 セシウム許容線量 食品は年1ミリシーベルト
 http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011102890135904.html
 (産経新聞)2011年10月28日 食品の新基準値 年間1ミリシーベルトに引き下げへ 4月から適用
 http://sankei.jp.msn.com/life/news/111028/trd11102811270011-n1.htm

 ただし、小出教授も指摘しているように食品安全委員会が勝手に年間1ミリシーベルトという基準を逸脱して食品だけで年間1.2-1.3ミリシーベルトに相当する生涯100ミリシーベルトを設定する法的根拠が何なのかははっきりしません。外部被曝に関しては我々が決めることではないとまで発言している委員がいましたが、認識不足も甚だしい。

 なお、生涯100ミリシーベルトという上限は7月にも食品安全委員会が発表していますが、その時は外部被曝と内部被曝の合計ということになっていました。あれから3ヶ月も経過して未だに暫定基準が見直されていないことにも驚きますがさらに4月まで何もしないとはあきれる限りです。しかも、今回の発表では外部被曝は考慮せずに生涯100ミリシーベルトに後退していますが、いったい何の権限があって食品安全委員会が国民の被曝限度を勝手に決めるというのでしょうか。

 いかにこの国の政府が機能していないのかがよくわかります。

(2011年)平成23年7月26日
【毎日放送】食品安全委員会発表「生涯上限100ミリシーベルト」のゆるさについて 小出裕章(MBS)
 http://hiroakikoide.wordpress.com/2011/07/27/tanemaki-jul-2/

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『その他の参考資料』
 【厚生労働省】緊急時における食品の放射能測定マニュアル
 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001558e-img/2r98520000015cfn.pdf
 【農林水産省】東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う各国・地域の輸入規制強化への対応
 http://www.maff.go.jp/j/export/e_info/hukushima_kakukokukensa.html
 【日本水道協会】WHO飲料水水質ガイドライン 第3版
 http://whqlibdoc.who.int/publications/2004/9241546387_jpn.pdf
 【食品安全委員会】議事録検索ページ
 http://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/search

『海外のドキュメント』
 【CODEX委員会】(FAOとWHOがつくった国際合同食品規格委員会)のガイドライン
 http://www.codexalimentarius.net/download/standards/17/CXS_193e.pdf
 【IAEA】核と放射線安全性:緊急時の対応のためのガイダンス
 http://www.iaea.org/Publications/Magazines/Bulletin/Bull381/38102682327.pdf
 【IAEA】Safety Standards
 http://www-pub.iaea.org/MTCD/publications/PDF/Pub1467_web.pdf
 【ドイツ放射線防護協会】日本における放射線リスク最小化のための提言
 http://icbuw-hiroshima.org/wp-content/uploads/2011/04/322838a309529f3382702b3a6c5441a31.pdf

ジャーナリズムを放棄したマスメディアの大罪

 最近のニュース番組を見ていると、政府や東京電力の発表をそのまま伝えるか、あるいは政府が国民に向かって伝えて欲しいように情報を操作して伝えるか、どちらかしかしていないように思われる。

 特に放射線被曝についての話題ではこの傾向が強い。福島県から人が出ていくのは悲しいニュース。福島県に人が戻ってくるのは嬉しいニュース。本当にそれでいいのだろうか。本当に福島に住み続けることが安全と何の疑問も持たずに報道しているのだろうか。

 外で思い切り遊べない子供達のコメントを伝え、早く思い切り外で遊ばせられるようにしたいものだと締めくくる。そして生産者や観光旅館の窮状を訴え、子供や家族連れの観光客に来て欲しいと訴えかける。業者にも生活はあるだろうが、消費者の被曝リスクについては考えないのだろうか。子供達が今も福島で被曝し続けているのに外で遊べるようになるといいですねで終わってよいのか。

 放射線被曝のリスクや現在の除染の進捗状況、住民の被曝の実態や基準値の妥当性などを独自に調べたり取材したりして掘り下げるようなメディアはひとつも見あたらない。

 おきまりのように、様々な農作物について「検査の結果、暫定基準値を上回るものはありません。安全が確認されたので出荷が開始されます」とアナウンサーが読み上げる。検出された数値はあまり報道されない。

 基準値がいつまで暫定なのか、暫定基準値以下なら本当に安全が確認されているのか、国民が気にしているそんなことにはメディアは興味がないのだろう。

 皆様のNHKも受信料を払っている契約者(一般消費者)の健康などまったく顧みることなく政府や東京電力、経産省の言ったことをそのまま垂れ流している。

 09/26のクローズアップ現代では小金井市の母親達によって校庭の除染が行われたという話題があった。

09/26 NHK クローズアップ現代
「放射能から子どもを守りたい〜母親たちのネットワーク〜」
http://cgi4.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail.cgi?content_id=3098

 校庭を新しい土で覆うことで約0.4μSv/hが約0.1μSv/hに下がって運動会が出来たという内容であったが、司会の女性はこれで安心ですねと全てが終わったかのような論調であった。

 約0.1μSv/hなら年間の外部被曝量は1mSv以下に抑えられるが、表土が風で失われたり運動によって土が荒れるとまたすぐに線量は上がってくるため、このような除染が一時的な対応にすぎず、継続した除染作業が必要となることには触れられなかった。放射線から身を守りながら暮らすことは長い闘いであり、終わりは見えない。

 暫定基準値についても、セシウムだけをクローズアップしてEUや米国と比較して日本の基準値が厳しいというようなフリップを使って解説していた。

20110926クローズアップ現代_放射性セシウムの基準値

※上記以外の国やヨウ素についても知りたい場合は農水省の資料を参照した方がよい。
(参考)放射性核種に係る日本、各国及びコーデックスの指標値(PDF:48KB)
http://www.maff.go.jp/j/export/e_info/pdf/shihyo_0901.pdf

 しかし、ここには大きなカラクリがある。米国やEUはそもそも福島県やその周辺自治体からの農産物、海産物の輸入を制限したり放射線検査証明書を義務づけたりしている。福島県周辺の産地からの食品を制限したり、あるいは検査結果のベクレル表示がきちんと行われているならば、私たち日本の消費者も暫定基準値が高すぎるなどと文句を言うことはないだろう。

 各国の日本産食品の輸入制限の状況は下記で確認できる。

20110929諸外国・地域の規制措置(9月29日版)
(農林水産省)諸外国・地域の規制措置(9月29日版)
http://www.maff.go.jp/j/export/e_info/pdf/kensa_0929.pdf
※なお、こまめに更新されているので下記の農林水産省サイトの「諸外国・地域の規制措置等」という欄から最新の情報を取得することをおすすめする。
(農林水産省)東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う各国・地域の輸入規制強化への対応
http://www.maff.go.jp/j/export/e_info/hukushima_kakukokukensa.html

 また、EUの基準値が日本より高く設定されている理由はもうひとつある。EUサイトで公開されている内容をJETROが翻訳した記事があるが、次のように記載されている。

(JETRO)日本からの輸入食品の放射線検査の許容水準上限を引き下げ(EU)
http://www.jetro.go.jp/world/shinsai/20110411_01.html
基準値は年間の個人の食品の消費の10%がこの値の汚染レベルにある場合を
>想定しており、放射線への暴露が年間で1ミリシーベルトを超えないように
>設定されている。
また、基準値は国際機関(WHO、FAOなど)のガイドラインに
>沿って作られている。

EUがウェブサイトで8日に公開した日本からの輸入食品のQ&A
http://europa.eu/rapid/pressReleasesAction.do?reference=MEMO/11/225&format=HTML&aged=0&language=EN&guiLanguage=en(英語)

 日本人がスーパーへ行けば福島、千葉、埼玉、群馬、茨城産の農産物ばかりが並んでおり、日本人の食卓にのぼるのは大半が国産品であることを考えれば、日本国内の流通基準とEUの輸入制限を同列に比較することはおかしいとすぐに気がつくはずだ。

 EUの輸入制限は日本からの輸入食品の割合(10%程度)を考慮した上で、年間1mSv以内に被曝を抑えるという計算のもとに成り立っているのである。日本は単純に規制のベクレル値だけを真似するのではなく、年間1mSvを堅持するという考え方を見習うべきだ。

 そうした事情を考慮すれば他国の汚染として客観的な立場にいるEUや米国よりも、むしろ自国の農産物が汚染されたベラルーシやウクライナを参考にするべきなのかも知れない。

 こうしたことを全く伝えずに「日本より外国の方が基準値が高いんですよ、だから日本の暫定基準値は安全なんですよ」というNHKの論調にはまったくあきれるほかない。

 西日本で生産する食品や輸入食品を活用し、日本の高い検査技術と国民の教育水準を考慮すれば、原発事故の収束と除染にめどがつくまでの間に必ずしも汚染食品を食べなくても健康で文化的な生活を維持することが出来るはずだ。また、これだけの無駄遣いをしておきながら国民の命と健康を守るための費用が捻出できないとは言わせない。

※2011/9/30 輸入食品の検査をせずに野放しで流通させているという報道があった。東京都がいったい何を考えているのかさっぱりわからない。役人は国内の暫定基準などおかまいなしに輸入食品が370bq/kgを超えたら突っぱねればいいだけだ。どこの国でも役人はそのように融通が利かないのが常識。少なくとも検査しないという選択肢はありえない。

(朝日新聞)都が輸入食品の放射能検査中断 国産と異なる基準懸念
http://www.asahi.com/national/update/0928/TKY201109280218.html

 現在の暫定基準値では年間1mSvの一般公衆の被曝上限を守ることは出来ないし、外部線量が高い福島県の周辺地域こそ、より厳しい食品の基準が必要と考える。

 全国のお母さん達の運動により、子供のための新たな基準値を設けるという動きもあるようですが、全ての日本国民を守れる正式な基準値を厚生労働省には一刻も早く改めて頂きたいと考えます。

子どもたちを放射から守る全国ネットワーク
「小宮山厚生労働大臣に、私たち母親の思いをお伝えしてきました」
http://kodomozenkokunet.sblo.jp/article/48179314.html?1317034599
食品放射線基準見直し 子に配慮、より厳しく 首相意向
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201109290137.html

正しい食品暫定基準値のつくりかた

 日本国民から全く信用されていない食品の暫定基準値について、どのようにすれば国民に信頼される暫定基準値がつくれるのかを考えてみました。

基本方針は次の3点です。

^貳霧衆が1年間にさらされてよい人工放射線の限度は年間1mSvとする。
 ※外部被曝に加えて呼吸、食品による内部被曝を含めた限度です。
乳幼児や妊婦、成人が全て安全を確保出来る値とする。
出荷時と同じ状態の農産物を測定する。
 ※出荷時に洗わないのであれば、洗わずに測定すること。
 出荷する農産物を全て洗う場合に限り洗ってから測定してもよい。

 これらを念頭において食品の暫定基準値をつくってみることにしましょう。まずは食品から摂取する内部被曝の限度を決めます。

 外部被曝や呼吸も含めて年間1mSv以内に収めるためには、食品から受ける内部被曝は1/3程度に抑える必要があります。

 仮に1mSvを100%とした場合、外部被曝で30%、食事による内部被曝で30%、呼吸による内部被曝で30%、残りをそれ以外からの被曝10%とします。このように考えると自ずと食品から摂取可能な内部被曝の限度は0.3mSv/year程度であることがわかります。

 次に成人と乳児や妊婦で基準値を区別せずにすむよう、最初から乳児を基準に考えます。乳児で0.3mSv/yearを満たすことが出来れば成人であっても妊婦であっても心配する必要はありません。

 上記の考えのもとに暫定基準値を設定すると次のようになります。※年齢別実効線量係数や1日の食品摂取量は下記のエントリとまったく同じ数値を用いました。

水道水及び食品暫定基準の妥当性について
http://blog.livedoor.jp/hirezake_nomitaiyo/archives/1560167.html

正しい暫定基準値のつくりかた

【政府の定めた暫定基準値】
・放射性ヨウ素 (I-131)
 飲料水 300 Bq/kg ※1
 牛乳・乳製品 300 Bq/kg
 野菜類 (根菜、芋類を除く。 ) 2,000 Bq/kg
 魚介類 2,000 Bq/kg
・放射性セシウム
 飲料水 200 Bq/kg
 牛乳・乳製品 200 Bq/kg
 野菜類  500 Bq/kg
 穀類  500 Bq/kg
 肉・卵・魚・その他 500 Bq/kg
 ※1 乳児の放射性ヨウ素の飲料水基準は100 Bq/kg
 ※2 測定対象は流水で洗ってから測定する

【当サイトが推奨する暫定基準値】
・放射性ヨウ素 (I-131)
 飲料水 5 Bq/kg
 牛乳・乳製品 5 Bq/kg
 野菜類 (根菜、芋類も含む。 ) 5 Bq/kg
 魚介類 5 Bq/kg
・放射性セシウム
 飲料水 5 Bq/kg
 牛乳・乳製品 5 Bq/kg
 野菜類  5 Bq/kg
 穀類  5 Bq/kg
 肉・卵・魚・その他 5 Bq/kg
 ※1 乳児、妊婦も同じ基準値とする
 ※2 出荷時と同じ条件で測定する

 外部被曝線量についても上限を年間1mSvの基準の30%を目安とし、0.0342μSv/時≒4.11CPM/時未満とし、生活範囲内にこれを超えるホットスポットがある場合は避難を推奨する。

 呼吸による内部被曝については計算が複雑になるので便宜上、外部被曝と同等程度とし、それ以外の被曝を10%見込んでおきます。

 というわけで、年間1mSvを満たすための暫定基準値と空間線量の上限は下記となります。政府が定めた暫定基準値が最初からこのような制度だったらもっと日本国民の信頼を得られたのではないでしょうか。

●飲料水及び食品の上限値の目安(暫定基準値) 一律 5bq/kg[年間0.3mSv]
 →これを超える飲料・食品は出荷禁止し、費用を国が補償する。(国は東電に賠償請求する)

●外部被曝線量の上限値の目安(空間線量)  0.0342μSv/時≒4.11CPM/時[年間0.3mSv]
 →原発事故前から浴びていた自然放射線量を年間1.0mSv程度とすると、これに
  上記の外部被曝線量を加えた1.3mSv/年[0.148μSv/時≒17.79CPM/時]程度が
  避難の基準になってきます。ただし、呼吸による内部被曝をほとんど考慮する
  必要がない地域ではさらに0.3mSv/年程度増えても人工放射線量を
  年間1.0mSv以内に抑えられるのではないかと考えます。

 私は汚染地域の食品を買わない主義ですが、上記を満たせるものだけを検査の上で出荷してくれるなら東北だろうが北関東だろうがどこの産地のものでも出荷してもらって構わないと考えています。ちなみにチェルノブイリの被害に苦しむベラルーシでは今なお子供達が甲状腺ガンや白血病に悩まされており、子供に37ベクレル/kg以上の食品を与えてはいけないことになっています。

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NHK チェルノブイリ原発事故その10年後
http://www.youtube.com/watch?v=SUP035x9d84#t=11m24s
>事故現場から200km以上離れた村で子どもの23%が白内障や失明
>同じ村では84%以上に不整脈がみられる。
>80%の子どもが胃炎や肺の疾患を持っており、特に12-15歳がひどい。
http://www.youtube.com/watch?v=SUP035x9d84#t=12m53s
>子どもには37ベクレル/Kg以上の食品を与えてはいけない。

※日本の暫定基準は放射性ヨウ素だけで2000ベクレル、
セシウムも含めると2500ベクレル/Kgまで摂取可能。
ストロンチウム他の核種は基準値すらないのが現状です。

 それから、そろそろ原発事故から半年が経過して半減期8.04日の放射性ヨウ素(I131)についてはほとんど検出されなくなってきました。半減期50.53日の放射性ストロンチウム(Sr89)と半減期2.06年の放射性セシウム(Cs134)はもうしばらく検出されると思いますが、これから先は半減期28.74年の放射性ストロンチウム(Sr90)と半減期30.04年の放射性セシウム(Cs137)との長い闘いが始まるのです。

 放射性ヨウ素(I131)を放射性ストロンチウム(Sr90)に置き換えた新暫定基準値も作成してみたところ、年間1mSvの30%に被曝を抑えるには一律3bq/kgが限度となりました。Sr90の方がI131よりも比較的影響が大きいため被曝上限を低くする必要があるのです。

暫定基準値の妥当性_20110907_Sr90Cs137

 政府の定めた暫定基準値に放射性ストロンチウム(Sr90)の値が決められていないのが不思議でなりません。また、飛散した放射性物質はヨウ素、セシウム、ストロンチウムだけではないからです。プルトニウムやウラン、コバルトやキュリウム他の様々な放射性物質については検査すらされていないのが現状です。

 したがって放射性ヨウ素や放射性セシウムを個別に規制するのではなく、放射性核種にかかわらず3bq/kgを超えたら出荷させない等の規制が本来望ましい形なのだと思われます。

 また、繰り返しになりますが検査時に検出されないような操作をしては意味がありません。流水で洗ったり、他地域産のものと混ぜたり、内臓を取り除いたり、皮を剥いだり精米してから検査するなど、出荷される商品と異なる状態にして検査するなどの詐欺的行為が行われている現状では、検査結果そのものの信頼性にも疑問がつけられてしまいます。

 科学的、医学的に安全といえる基準値で検査をすること、そして出荷する商品と同じ状態で検査すること、基準を超えるものは全て出荷しないこと、これが出来ないと消費者の安心は取り戻せないでしょう。

 繰り返しになりますが、政府には現在の暫定基準値の見直しを強く求ます。

2011年10月02日追記

 このエントリで求めた暫定基準値のあるべき姿は3-5bq/kgとなりましたが、奇しくもドイツ放射線防護協会が提言している子供4bq/kg,成人8bq/kgと近似する結果となりました。

 被曝量を年間1mSv以下に抑えるという原点をはずさずに基準値を決めると結果としてこのような基準になるということが示されるよい例と思いますので参考までに紹介しておきます。

(ドイツ放射線防護協会)
日本における放射線リスク最小化のための提言
http://icbuw-hiroshima.org/wp-content/uploads/2011/04/322838a309529f3382702b3a6c5441a31.pdf

農産物の産地と汚染状況について

 日本のテレビ局で、放射能汚染された農産物について食べてはいけないと本当のことを言う人がいました。これまでは、そのような発言があっても報道しなかった国内メディアにとっては珍しいことです。発言者はやはり、武田教授でした。

たかじんのそこまで言って委員会 61:00〜
http://himado.in/?id=63447&sid=40581

Q.小学4年生・男子からの質問
「東北の野菜とか牛肉を食べたら僕らはどうなるの?」

A.武田教授の答え。
「健康を害しますから、捨てて下さい。」
「除染する前に生産・出荷するのが間違っている。」
「食べて被曝することで応援するのではなく、農家が1年間休業してもいいようにちゃんと(補償を)する。」

まさにその通りです。

ただし、実際は高濃度に汚染された地域は除染など出来ませんから(低濃度汚染された地域に限っては、)除染してから生産・出荷する。それまでは政府が農家を補償して出荷させない。これが正解です。

今村克彦というガラの悪い教師が、農家の人が可哀想だから言い方を取り消せとしつこく絡んでいますが、武田教授の言っていることはまさにそのとおりで取り消す必要は全くありません。

農家が可哀想だから日本人みんなで被曝するなんて馬鹿げています。汚染された農産物や海産物を平気で出荷する農家は買ってくれる人が可哀想とは思わないのでしょうか。

全数検査が出来るはずもなく、出荷された農産物の抜き打ち検査で暫定基準値すら満たせない汚染食品が続々と発覚しています。最近の例ではお茶ですが、お茶だけが問題なのではありません。同じ地域の農産物は全て危険なのです。

県「知っていたが検査しなかった」基準値超えは早摘み新芽の製茶
http://sankei.jp.msn.com/region/news/110906/stm11090623150007-n1.htm
「足柄茶」基準値超え 神奈川県農産物で初 出荷自粛と自主回収を呼び掛け
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110511/dst11051116400046-n1.htm

食べてから抜き打ち検査で見つかっても意味がありませんし、見つからずに消費された大半の放射性物質を含んだ食品は今も誰かの体内を被曝させています。政府は被災地応援キャンペーンなどやっている場合ではなく、汚染地域からの食品の出荷を直ちにやめさせるべきなのです。(もちろん農家に補償した上での出荷禁止です。)

 番組では武田教授も含めて大人は食べてもよいと発言していますが、出荷を許してしまうと外食や加工食品として使われてしまうため子供を守ることが出来ません。

 大人と子供を分けるなら出荷段階で全量検査して出荷時に全品ベクレル表示を義務づけ、18歳以下食用禁止のシール等を貼らなければなりません。また、飲食店や加工食品にも店頭やパッケージに18歳以下食用禁止の放射能汚染食品を使用していませんと表示させる必要もあります。

 そこまで出来ないのであれば、汚染地域の食品を出荷させないというのが最も現実的な対策なのです。今のままでは汚染された食品が全国に流通してしまうのを止めることは出来ません。

 ただし、実際には大人が食べても安全という根拠もありません。放射性物質は出来るだけ摂取しないことが一番望ましいのです。発ガンまでいかなくとも、原因不明の無気力症や体のだるさに悩まされた被曝者の事例は原子爆弾やチェルノブイリやスリーマイル事故にも存在するのです。

 放射線被曝を少しでも減らすためには、外部線量の高い地域からの避難はもちろん、汚染地域産の食品を出来るだけ買わないことが大切です。では汚染地域とそうでない地域はどうやって見分ければいいのでしょうか。

 漠然と福島県とその周辺はなんとなく避けている方もいらっしゃると思いますが、基準となりそうなデータがありましたので紹介しておきます。

 文部科学省が発表している都道府県別環境放射水準調査結果に2011年の3月及び4月に降下した放射性ヨウ素I131と放射性セシウムCs134,Cs137の積算量がまとめられています。

(文部科学省7/29発表)都道府県別環境放射水準調査結果 2011年3-4月分及び2010年3月分
http://www.mext.go.jp/component/english/__icsFiles/afieldfile/2011/07/29/1307873_072914.pdf

 ストロンチウムSr90の調査が行われていないのが残念ですが、ヨウ素とセシウム以外の放射性物質についても備考欄に記載があり、事故前の昨年3月の計測結果もあるので非常に参考になります。

 半減期の短い放射性ヨウ素I131は事故後半年間の当時現地にいた人以外には影響しないので、現在も農地を汚染していると考えられる放射性セシウムCs134,Cs137に限定して3月-4月降下物累積量をまとめました。その結果が下記になります。20110927_環境放射能水準調査結果(月間降下物)
※上記の画像は横幅を画面内に収めるために、0-3000Mbq/k屬錬洩楡100Mbq/k屐3000Mbq/k岼幣紊錬洩楡1000Mbq/k屬函∨瀬哀薀嫦羆の二重線で切り替えています。3000Mbq/k岼幣紊検出されている地域と3000Mbq/k嵬にの地域との差は実際はもっと大きくなりますからご注意下さい。

 これを日本地図に当てはめると下記になります。
(TITLE)環境放射能水準調査結果(月間降下物)汚染マップ
※1 宮城県は津波等の影響で計測結果がありませんが、距離や風向きから考えて茨木・栃木・山形と同程度の汚染とみなして赤表示にしています。
※2 福島県は計測結果がありませんが、土壌汚染マップ等を見ても絶望的との判断から赤表示にしています。
・(文部科学省)放射性セシウムの土壌濃度マップ[別紙4-1,別紙4-2,別紙6]
http://radioactivity.mext.go.jp/ja/distribution_map_around_FukushimaNPP/0002/11555_0830.pdf
・汚染マップ一覧
http://maps.google.co.jp/maps/ms?msa=0&msid=210951801243060233597.0004a4f5311a2612c91f3&brcurrent=3,0x34674e0fd77f192f:0xf54275d47c665244,0&ie=UTF8&t=p&vpsrc=6&ll=37.405074,140.097656&spn=5.252343,6.591797&z=6&source=embed
http://www.asahi.com/special/gallery_e/view_photo_feat.html?jisin-pg/TKY201108290584.jpg
http://livedoor.r.blogimg.jp/hamusoku/imgs/5/f/5f7c734f.jpg
http://konstantin.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/2011/07/28/110727_tochigi.jpg


 うちでは上記をもとに買ってはいけない産地、買っても安全な産地を判断しています。赤色、黄色で示した地域の農産物・海産物は出来るだけ買わないように気をつけています。そのように気をつけるとほとんどキャベツなどの葉物野菜が食べられなくなりますが、ある程度不便になるのはやむをえないと考えています。

 避けられない外食や加工食品での被曝を考えると、選べる食材は出来るだけ放射性物質の少ないものを選びたいと考えています。福井や高知の累積量が比較的高い理由はわかりませんが、新潟県については今後も降下物の累積量が増加しないか注意深く見守っていきたいと考えています。

 上記の環境放射水準調査結果でもわかるように、今や全国にセシウムが検出されない都道府県はありません。多かれ少なかれ日本全国が汚染されてしまったのは間違いありません。

 汚染地域の農産物も今やどこのスーパーに行っても見かけます。日本全国に汚染食品が流通することを許している政府には怒りを禁じえません。

 こうした中で少しでも消費者が安心出来るように取り組んでいる企業もあります。残留放射能だけでなく重金属や農薬に至るまで全ての検査結果を常時インターネットを通じて検索出来るという他社に先駆けた情報公開の姿勢には感銘を受けました。

雪国まいたけ 安全システム
http://www.yukiguni-anzen.jp/

 こうした取り組みを各企業が行わなくても安心して食品を購入出来る制度と運用を政府には徹底して頂きたく思います。汚染地域の農家や漁師の方には別の地域で再起できるような補償が1日も早く行われ、汚染食品の出荷が禁止されることを願うばかりです。

〜参考リンク〜

食品別放射能汚染まとめサイト
http://atmc.jp/food/
市民放射能測定所
http://www.crms-jpn.com/mrdatafoodcat/food_drink.html
全国セシウム土壌沈着量マップ(米国科学アカデミー紀要提供 )
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/photos/20111115/dms1111151134009-p1.htm
(zakzak)初の“セシウム汚染”全国マップ!北海道〜中国地方まで広く拡散
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20111115/dms1111151134009-n1.htm

日本の食の安全を根底から破壊した暫定基準値

 福島原発事故の後、厚生労働省が慌てて定めた暫定基準値は、その後も暫定のままもうすぐ半年を迎えようとしています。暫定基準値の安全性と信頼性については下記の食品安全委員会の資料P25を見て頂ければ明らかである。

3/29 「放射性物質に関する緊急とりまとめ」暫定基準は充分に安全。
http://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/print/kai20110329sfc
3/30 「放射性物質に関する緊急とりまとめ」のポイント(事務局による要点整理)
http://www.fsc.go.jp/fsciis/attachedFile/download?retrievalId=kai20110330ri1&fileId=130

「緊急的なとりまとめを行ったものであり、今後、諮問を受けた内容範囲について継続して食品健康影響評価を行う必要があること」、「発がん性のリスクについての詳細な検討は行えていない等、さまざまな検討課題が残っていること、特にウラン並びにプルトニウムなどについては、曝露状況等も把握した上での評価、遺伝毒性発がん物質としての詳細な評価、あるいは各核種の体内動態等に関する検討も必要である。」

 食品の抜き取り検査では、流水で洗ってから計測するという「緊急時における食品の放射能測定マニュアル」にない作業もすっかり定着し、日々放射性物質まみれの野菜類が洗浄されることもなく出荷され続けていますが、こうした措置により日本国内では安全な食品の入手が本当に難しい状況になってしまいました。全国に流通してしまっている以上、西日本に住んでいても、福島県周辺産の食品を避けることはもはや困難です。

3/18 「緊急時における食品の放射能測定マニュアル」には記載がないが、
洗ってから測定するようにという厚生労働省の通達
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000014tr1-img/2r98520000015is5.pdf

 最も入手が難しいのはキャベツ。茨城県産、群馬県産が圧倒的に多く、時々長野県産を見かける以外は、他の産地のものをスーパーで見かけることはほとんどありません。季節的にも春夏は北関東の葉物野菜が出荷される時期ということもあるのでしょう。

 その日は自宅で焼肉をしようとしたのですが、スーパーで個体識別番号を確認したうえで鹿児島産の黒毛和牛を購入したあと、イトーヨーカドー、ダイエー、八百屋などスーパーを3店舗まわっても群馬県産のキャベツしか見つけることが出来ませんでした。結局キャベツなしという寂しい焼肉を食べる羽目になりました。

 ネットスーパーはどうか。これはイトーヨーカドーの事例ですが、産地表示に「○○県など」と表示されています。これでは安心して注文が出来ません。「香川県など」と書いてあるほうれん草を注文すると実際には福島県産が届くかも知れません。もはや詐欺同然といえます。画像の例は堂々と茨城県と書いてあるだけマシかもしれませんが、他に選択肢がないところが困ったものです。
IYネットの現実1
 同じ悩みをお持ちの方は、是非ご利用のネットスーパーに意見を出しましょう。意見を出さなければ改善されませんし、思いを伝えることも出来ません。本当に安全な食品を買いたいと思う方はどんどん意見を出しましょう。

イトーヨーカドー 御意見・御要望
https://www.itoyokado.co.jp/ap/voice/form
イオン イオンへのご意見・ご要望・お問合せ
https://www2.aeon.info/cs/index.html
ライフ お問い合わせ
https://www0.lifecorp.jp/toiawase/attention.html

 今のところ信頼出来そうな食品購入先として期待しているのはグリーンコープ(http://www.greencoop.or.jp/)です。もともと九州地方の生協として設立されたことから、契約生産地がほぼ西日本であること、検査基準が暫定基準値ではなく10ベクレル/Kgとなっていることが信頼出来ると判断している主な理由です。10月から2台の検査機器を導入するなど、外部委託なしでも検査できる体制に強化されています。

 ただし西日本でも兵庫大阪までしか進出しておらず、京都から東の地域では加入出来ません。また、野菜類は生育状況や需給によって注文しても届かないことが頻繁にあります。最近は改善されつつあるのですが、特に震災後は野菜が届かないことが毎週のようにあってほとんど注文しても意味がなかった時期もありました。このあたりが改善されればより信頼を得られるようになると思われます。

※グリーンコープの通販は宅配よりも送料が割高ですが、日本全国へ発送しているようです。生協への加入が必要ですが、関東・東北で信頼できる業者が見つからないなら加入してみてもよいと思います。
GCWEB
http://www.greencoop.or.jp/gcweb/index2.html

 本当に必要な地域である東日本で信頼出来る食品流通業者はまだ見つけていません。安心安全を売りにしている業者はいくらでもありますが、どこも風評被害応援キャンペーンなどと称して福島県周辺産の野菜類を平気で売りさばいていたり、検査はするが暫定基準値以内ならOKとしている業者がほとんどです。

 表面汚染しか検査していなかったり独自基準とうたっている基準値が対して低くなかったりする業者もありますので気をつけて下さい。京都以西の近畿・中部地方や東日本地域で良い業者をご存じの方はコメントを頂けると助かります。

 ところで、稲藁汚染による牛肉の放射性物質が昨今問題になりましたが、小学校や保育園の給食で牛肉から豚肉にメニューを切り替えるという報道があった時には驚きました。

 今一番危険なのは牛肉ではなく、豚肉・鶏肉です。なぜなら牛肉はトレーサビリティが確立されており、パックに記載された個体識別番号から産地や移動の情報が確認出来るからです。

牛の個体識別情報検索サービス
https://www.id.nlbc.go.jp/top.html

 このサービスは携帯電話でも検索出来ますし、画像等はないためパケット代もたいしてかかりません。スーパーの店頭で確認してから購入することが出来るのです。

※ちなみに国産とだけ表示されて個体識別番号が記載されていないものは、複数産地の肉を混ぜてパッキングされている可能性があります。

 しかし、豚肉や鶏肉はこうしたトレーサビリティが確立されていません。豚肉は鹿児島県産と表示されているものを選んで買うことができますが、鶏肉は国産としか書かれていないものがほとんどですから福島県周辺産を避けることは不可能です。

 グリーンコープなど契約農家が西日本にしかないとわかっている業者ならともかく、一般のスーパーではもはや避ける術がありません。

 加工食品や食用油、花壇の腐葉土など避けられないものはどんどん増えつつあります。暫定基準値さえなければ日本全国のスーパーに汚染食品が堂々と売られるような事態にはならなかったことは間違いありません。

 この暫定基準値が存続する限り、日本の家庭に安心・安全な食卓は戻ってこないでしょう。年間20mSv以上の内部被曝を前提とした暫定基準値の廃止を強く求めます。

※豚肉・鶏肉の産地確認について補足

イトーヨーカドー等のスーパー店頭において、国産としか表記のない豚肉・鶏肉パックでも店員さんに確認したらバックヤードに戻って産地を確認してきてくれました。ただし、口頭で聞くことが出来るだけなので、根拠となるものはありません。大手スーパーの店員さんが嘘をつかないだろうと信じられるのであれば、この手で最終的に出荷された産地は確認出来ます。

また、ヨーカドーのネットスーパーについても「○○県産など」と書かれていた場合でも、備考欄に次のように書いておくと配達前に連絡を頂けるそうです。

『ほうれん草は○○県産と認識して購入していますので、産地が異なる場合にはご連絡下さい』

このように対応頂けるというのはお客様相談室に確認しましたので、気になる人はどんどんコメントを書きましょう。

放射能汚染野菜の危険性について

 福島県産野菜のネット販売に首都圏から注文が相次いでいるという記事を見つけた。

県産野菜「応援の輪」 ネット販売に首都圏から注文
http://www.minyu-net.com/news/news/0417/news6.html

 原発事故により、被害を被っている福島県の方々を支援しようという考え自体は問題ないが、汚染食品をわざわざ購入して食べようという考えには全く賛同しかねる。

 なかには自治体の長が汚染野菜を風評被害だと消費者にアピールする無責任な知事もいるようだ。こうした知事達は、十数年後に自分の選挙区で小児ガンが増えた時にどう責任をとるつもりなのか。本当に腹立たしい。

NHKニュース 嘉田知事が福島県を訪問
http://www.kyoto-np.co.jp/politics/article/20110417000103
>嘉田知事と京都府の山田知事の2人が福島県を訪れ、
>福島県産の農作物などに対する風評被害をなくすため、
>関西でも消費者への呼びかけに全力をあげる考えを示した。


 ところでエセ環境団体グリーンピースが福島県双葉郡浪江町津島周辺で農作物の放射性物質の調査を行ったところ、ほうれん草から7-8万ベクレル/Kg、白菜から9000ベクレル/Kgの高レベルの放射性物質が検出されたようだ。

2011/4/06 高レベルの放射線量を測定 ― 福島県双葉郡浪江町津島周辺で
http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/press/pr20110406/
>4月4日、グリーンピースは福島県南相馬市や農家の了解を得て、
>農作物の放射性物質の調査を行いました。この調査では、
>ホウレンソウから1キログラム当たり70,000 - 80,000ベクレル、
>白菜から1キログラム当たり9,000ベクレルなど高レベルの放射性物質が
>検出されました。

 しかし、同じ日の福島県発表のデータを見るとそこまでの高レベルの放射性物質は検出されていない。

農林水産物に係る緊急時モニタリング検査結果について
H23. 4.13公表: 野菜[露地・施設栽培](H23.4.11採取分)(PDF形式)
http://wwwcms.pref.fukushima.jp/download/1/mon230404.pdf

 どっちかがインチキをしているのかと思ったが、ふと思い当たったことがある。

3/18 厚生労働省が野菜類を洗ってから測定するよう通達
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000014tr1-img/2r98520000015is5.pdf

 自治体の検査では野菜は洗ってから測定されている。しかし、検査は抜き取り検査である。検査対象の野菜は抜き取って流水でしっかり洗われた後に刻んで測定器にかけられるので検査した野菜自体は廃棄され、出荷されていない。

緊急時における食品の放射能測定マニュアル P8-P12
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001558e-img/2r98520000015cfn.pdf
1 NaI(Tl)シンチレーションサーベイメータによる放射性ヨウ素の測定法

>2 野菜類(葉菜等)
>試料はあらかじめハサミ、カッター、包丁等で細切りし*3、
>機器校正で用いたものと同様の0.5〜1L 程度のタッパー容器
>又は2L マリネリ容器に入れて検出器を容器に密着させて測定する。
>機器・器具は牛乳の測定と同一のものとする。

2 ゲルマニウム半導体検出器を用いたガンマ線スペクトロメトリーによる核種分析法

>(3)試料は、あらかじめハサミ、カッター、包丁等で細切りし、
>機器校正に用いたものと同じ2L ポリエチレン瓶、2L マリネリ容器、
>0.5〜1L 程度のタッパー容器又は容積100 mL(50 mmφ×50 mm)
>小型容器に入れて測定試料とする。

ゲルマニウム半導体検出器によるガンマ線スベタトロメトリー(350MB) 文部科学省 P108
http://www.kankyo-hoshano.go.jp/series/lib/No7.pdf
>2.野菜、果物等水分の多い生試料は包丁等で細かく刻む。
>繊維質でないものはミキサーの使用も考えられるが、試料が複数あると
>ミキサーの洗浄が大変なので、なるべく使用しない方がよい。


 抜き取り検査された野菜以外は、洗うことも検査されることもなく出荷されていく。ということは、暫定基準値の数倍〜数十倍の放射性物質が付着したままスーパーへ運ばれ、店頭に並んでいるということになる。

 以前、このブログでは野菜は洗ってから測定されているからこれ以上洗っても数値は変わらないと書いたことがありますが、それは間違いでした。洗ってから出荷されていると思い込んでいたのだが、検査のために洗うわけであって検査しない野菜を洗うほど生産者はヒマではありません。

 よって、スーパーに並んでいる野菜たちは、検査も洗浄も受けていません。洗って検査されたのは抜き取り検査されたほんの一部の野菜だけです。つまり、スーパーに並んでいる野菜は暫定基準値を大幅に超える放射性物質が付着している可能性があるのです。

 これを他の野菜と同じ袋に入れて持ち帰ると他の野菜も汚染されます。さらに、調理の際に自治体が検査したときよりもいいかげんな洗い方をすると暫定基準値を超えた放射性物質を野菜から摂取することになってしまうのです。

 特に、被災地や一部の地域では配布されたミネラルウォーターで炊事をしている地域があります。限られた水で野菜を十分に洗えないことは容易に想像がつきます。関東では水道水にヨウ素やセシウムが含まれている地域もあり、汚染された野菜を汚染された水で洗うしかない地域も存在する。こうして高濃度汚染野菜が日本国民の体内にどんどん摂取されることになっているのです。

 こんなことも知らずに首都圏から福島県周辺に注文が相次いでいるという記事を読むと暗澹たる気持ちになります。無知では自分と家族の健康を守れないという見方もあるでしょうが、無知な国民であっても被害を受けないようにするのが国の役割だと思います。

 現在の政府の対応は国を滅びに追いやるものとしか言いようがありません。一刻も早く、放射能汚染された食品の流通を止め、生産者に補償をする体制を整えないと日本の子供達の命が危ないのです。

 チェルノブイリ原発事故の被害にあった地域では子供達の免疫力が失われ、様々な疾患が表れています。

NHK チェルノブイリ原発事故その10年後
http://www.youtube.com/watch?v=SUP035x9d84#t=11m24s
>事故現場から200km以上離れた村で子どもの23%が白内障や失明
>同じ村では84%以上に不整脈がみられる。
>80%の子どもが胃炎や肺の疾患を持っており、特に12-15歳がひどい。
http://www.youtube.com/watch?v=SUP035x9d84#t=12m53s
>子どもには37ベクレル/Kg以上の食品を与えてはいけない。

※日本の暫定基準は放射性ヨウ素だけで2000ベクレル、
セシウムも含めると2500ベクレル/Kgまで摂取可能。
ストロンチウム他の核種は基準値すらないのが現状です。


 計画的避難区域の飯舘村での住民説明会の映像をニュースで見ましたが、まだ若いお父さんやお母さんたちの姿もたくさんあり、この人達がこの村でどれだけ被曝しているのか本当に恐ろしくなりました。

福山副長官、計画的避難区域の飯舘村で説明
http://www.news24.jp/articles/2011/04/17/07181091.html

 地域への愛着はわかりますが、自分と家族の命の危険を冒してまでその地にいるべきではありません。少しでも早く避難して欲しい。そう願います。

 そして、被曝するまえに強制的に避難する措置をとらなかった日本政府には怒りを禁じ得ません。この期におよんでまだ1ヶ月以内に避難とはどういうことか。あと1ヶ月も被曝していいわけがないのです。

 国民の安全を守ろうとしない政府など、一刻も早く退陣して頂きたい。今の率直な気持ちです。

 

政府の発表する暫定基準値が信用されない理由

 日本政府は東日本大震災と福島原発事故のあと、飲料水や食品の放射性物質の暫定基準値を定めた。しかし、その決定プロセスの不透明さや不十分な説明によって国民の信用を得られていない状況にある。

 こうした暫定基準値への不信が被災地の農産物への風評被害につながっていると指摘する声もあるが、今回の暫定基準値決定のプロセスでまずかった点を検証し、どのようにすればよかったのかを考察してみたい。

【暫定基準に関する主な通達、報道の時系列まとめ】
3/17 飲料水と食品の暫定基準値を部長通知のみで決定
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001558e-img/2r9852000001559v.pdf
3/18 「緊急時における食品の放射能測定マニュアル」には記載がないが洗ってから測定するよう通達
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000014tr1-img/2r98520000015is5.pdf
4/4 水道水の摂取制限に新ルール(3日間平均)を導入
http://www.47news.jp/CN/201104/CN2011040401001114.html
4/5 魚介類中の放射性ヨウ素に関する暫定規制値の取扱いについて
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000017z1u-att/2r98520000017z7d.pdf


 今回の暫定基準値が国民の信頼を得られなかった原因について、下記の4つのポイントに絞って考察してみた。

---ここから

1.情報開示

 3/17の暫定基準は政府から国民への周知が行われないまま設定された。従って従来準拠していたWHO及びCODEXのガイドラインや、暫定基準値の前提となる年間被曝量、人体影響の閾値についても全く説明が行われないままである。

 厚生労働省の部長通知だけで終わらせるのではなく、政府が記者会見等を通じてきちんと説明した上で国民に周知すべきであったと思われる。

2.国際基準への準拠(独自設定)

 3/11に政府は原子力緊急事態宣言を発令しているが、このような非常事態下における暫定基準には国際基準をそのまま適用した方がよい。日本独自の基準に変更するのであれば安全である根拠を明示しなければならない。

 今回は、ただちに影響があるとはいえないと繰り返すばかりで安全性について国際基準との比較や安全とする根拠について説明がないのが問題である。

 なお、国際原子力機関(IAEA)が定めている原子力緊急事態(核戦争、原発事故等)発生時の飲料水及びミルクの基準値は下記の通り。

IAEA 核と放射線安全性:緊急時の対応のためのガイダンス
http://www.iaea.org/Publications/Magazines/Bulletin/Bull381/38102682327.pdf
 放射性ヨウ素131    1000Bq/Kg(成人) 100Bq/Kg(乳児)
 放射性セシウム137   1000Bq/Kg(成人)1000Bq/Kg(乳児)
 放射性ストロンチウム90 1000Bq/Kg(成人) 100Bq/Kg(乳児)

 さらに、IAEAはSafety Standardsという文書のなかで、核種を問わずβ線で100Bq/Kg,α線で5Bq/Kgを超えた場合は核種を判別するスクリーニングを行う必要があり、さらに下記のOIL6の値を超えた場合は、(脱水や餓死などですぐに命の危険があるような)例外的な場合を除いて飲むことには適さないかもしれないと記述されています。実際にはこのレベルを超えるような飲食物を摂取し続けたデータがないから不明ということなのでしょう。このレベルになると食品、ミルク、飲料水の代用品を探す必要があり、用意出来ない場合はその場所から避難すべきであるとしています。

IAEA Safety Standards
http://www-pub.iaea.org/MTCD/publications/PDF/Pub1467_web.pdf
P42(Table9 OIL5) ・・・超えなければ緊急時に摂取してよいレベル。超えたらOIL6を適用して核種毎のスクリーニングが必要。
 β線合計 100Bq/Kg
 α線合計 5Bq/Kg
P42(Table10 OIL6)
 放射性ヨウ素131    3000Bq/Kg(成人)
 放射性セシウム137   2000Bq/Kg(成人)
 放射性ストロンチウム90   2000Bq/Kg(成人)

P39(Table10)
> If the OIL6 levels in Table 10 are exceeded,
> consumption of non-essential food, milk or water
> should be stopped, and essential food,
> milk and water should be replaced or the people
> should be relocated if replacements are not available.

 日本の基準はIAEAの10倍厳しいから安全だという人は、このSafety Standardsを根拠に主張されているようですが暫定基準値に緊急時の対応のためのガイダンスと比較する方が適切であり、避難の基準であるSafety Standardsの数値と比較するのは乱暴といわざるをえません。

 他に食べるものがないのならともかく、東北及び関東以外の地域から食品の調達が出来る現状で非常時の基準を適用してまで放射性物質を含む食品を国民に食べさせる必要性は全くないと私は思います。

3.期限の明示

 3/11に政府は原子力緊急事態宣言を発令している。今回の暫定基準は、原子力緊急事態下における一時的な数値であるということが周知されていないのは問題である。

政府、原子力緊急事態宣言を発令
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110311/dst11031120090164-n1.htm

 現在の首都圏は原子力緊急事態下にあるため、IAEAの緊急時のガイドラインを暫定基準値として1年間に限り採用すると日本政府は国民に周知するべきであった。多少緩い基準値であっても期限が明確に設定されていれば人体への影響も限定的となり、理解を得られやすくなる。

 暫定基準値を、現行の平時の基準値とこっそり差し替えて知らんぷりを決め込むような態度では国民の信頼を失っても無理はない。パニックを起こさせないために情報を隠蔽するということを政府や役人はよくやるが、これはむしろパニックを誘発することになるのを肝に銘じてもらいたい。

 この情報化社会で隠すことなどもはや不可能なのだ。真実が明らかになって信頼を失うくらいなら最初から情報を開示して国民の理解を得るべきだ。それこそが信頼につながっていくのだ。


4.変更と緩和

 野菜を洗ってから測定するという通達は、実質上暫定基準値の緩和といってよい。洗う前なら基準値を超えている野菜が洗うことで基準値以内になる。こうしたマニュアルに記載されていない事項を国民への周知もないまま指示しており、なおかつ安全側ではなく危険側に舵を切っている点がフェイルセーフの観点から非常に問題がある。

 また、同様に水道水の取水制限等を3日間の平均で判断したり、原乳を集荷してから検査するなど、事実上の規制緩和措置を次々に打ち出しているが、こうした姿勢は国民の信頼を損なうものである。

 暫定基準値など設定せずWHOとCODEXの平時基準を満たせないものは出荷すべきでないというのが私の持論ですが、本当に他に食べるものがないような事態が発生したら期限を設定した上で非常時の国際基準値をそのまま採用するべきだ。

 IAEA等の緊急事態マニュアルにないような運用による基準値の緩和等行うべきではなく、状況をみながら厳しくする方向へ変更していくのが正しい。そうしないと国民の安心は得られない。

---ここまで

 今回の暫定基準に関しては、厚生労働省からの部長通知による決定の3日後に食品安全委員会に諮問を行い、その後に専門家による審議が行われている。専門家の評価は暫定基準を定める段階で行うべきであろう。

 また、その専門家である食品安全委員会は暫定基準を根拠もなく緩和しようとしたあげく消費者からの反対の声が大きかったため断念している。国民の食の安全を守る気がないのであれば、いったいなんのために存在している委員会なのであろうか。

3/20 厚生労働大臣が食品安全委員会に「食品中の放射性物質について指標を定めること」について諮問
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000017tgn-att/2r98520000017tl9.pdf
3/22 食品暫定基準は適正か 食品安全委が評価作業に着手
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110322/trd11032213550007-n1.htm
3/25 放射性物質:食品や飲料水、規制値緩和へ 食品安全委
http://mainichi.jp/select/science/news/20110326k0000m040133000c.html
食品の基準緩めないで 消費者から意見100件
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2011/03/30/kiji/K20110330000531530.html
3/29 「放射性物質に関する緊急とりまとめ」暫定基準は充分に安全。
http://www.fsc.go.jp/fsciis/meetingMaterial/print/kai20110329sfc
3/30 「放射性物質に関する緊急とりまとめ」のポイント(事務局による要点整理)
http://www.fsc.go.jp/fsciis/attachedFile/download?retrievalId=kai20110330ri1&fileId=130

 さらに食品安全委員会は、今回の検討について、次の点を指摘している。

「緊急的なとりまとめを行ったものであり、今後、諮問を受けた内容範囲について継続して食品健康影響評価を行う必要があること」、「発がん性のリスクについての詳細な検討は行えていない等、さまざまな検討課題が残っていること、特にウラン並びにプルトニウムなどについては、曝露状況等も把握した上での評価、遺伝毒性発がん物質としての詳細な評価、あるいは各核種の体内動態等に関する検討も必要である。」

 要するに急に決まったため、内容は全然精査出来ていないのでこれから検討するといういことだ。暫定基準値が妥当かどうかは専門家の間でもまだ検証が出来ていないと言うのが結論である。

 事故が起きてから後手後手にまわる対応を見ていると「泥棒を見て縄を綯う」という印象が否めない。それも信頼されない理由のひとつであろう。

 いずれにしても、政府が国民の食の安全を守るのは当然のことであり、損害を被る生産者に対しても東京電力の補償を受けられるよう政治的に主導すべきだ。どちらをおそろかにしてもいけないのだが、そのどちらも行っていない現政権にはもはやあきれるばかりというほかない。

2011/09/20追記
下記のエントリでどのような暫定基準値なら安心出来るかを考えてみた。やはり原発事故前の基準値である『年間1mSvという一般人の被曝限度を遵守する』というのは信頼される基準値として絶対に外せない点だと痛感した。これをないがしろにしていることが、信頼されない大きな理由の一つと考えるので、ここに追記しておきたい。

正しい食品暫定基準値のつくりかた
http://blog.livedoor.jp/hirezake_nomitaiyo/archives/1640485.html

食品と放射性ヨウ素131の半減期について

 放射性ヨウ素131は物理学的半減期が8日と比較的短期間であるため、数日置いておけば大丈夫と言われることがあります。

 そこで、暫定基準値をぎりぎり満たすような水や食品を何日置いておけばWHOやコーデックス委員会の国際基準を満たせるところまで放射線量が減少するのか調べてみました。

厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知
平成23年3月17日付「食安発0317第3号」
放射能汚染された食品の取り扱いについて
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001558e-img/2r9852000001559v.pdf
平成23年04月05日付「食安発0405第1号」
魚介類中の放射性ヨウ素に関する暫定規制値の取扱いについて
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000017z1u-att/2r98520000017z7d.pdf

飲食物摂取制限に関する指標
・放射性ヨウ素 (I-131)
 飲料水 300 Bq/kg
 牛乳・乳製品 300 Bq/kg
 野菜類 (根菜、芋類を除く。 ) 2,000 Bq/kg
 魚介類類 2,000 Bq/kg

WHO飲料水水質ガイドライン P203、表9.3
http://whqlibdoc.who.int/publications/2004/9241546387_jpn.pdf
・放射性ヨウ素131     131I   10 Bq/L

CODEX委員会(FAOとWHOがつくった国際合同食品規格委員会)のガイドライン P33
http://www.codexalimentarius.net/download/standards/17/CXS_193e.pdf
・放射性ヨウ素 (I-131)
 乳幼児用食品 100Bq/kg
 一般食品 100Bq/kg

放射性ヨウ素の半減期と暫定基準

※投稿当初、魚介類の暫定基準値を1000Bq/Kgで記載する誤りがあったので訂正しました。
※半減期とは理論上の目安であり、実際にこの通りに半減するわけではありません。

 放射性ヨウ素131を300Bq/Kg含んだ水を、乳児の暫定基準である100Bq/Kgまで減少させるには約13日、WHOのガイドラインである10Bq/Kgまで減少させるには約40日かかります。

 放射性ヨウ素131を2000Bq/Kg含んだ魚や野菜類をコーデックス委員会の一般食品基準である100Bq/Kgまで減らすには35日かかることがわかります。

 これまでちょっと数日置いただけで劇的に放射性ヨウ素が減る印象を持っていた方は考えを改めて頂きたい。

 水道から出して2週間たった水をミルクに使いたいお母さんはいないと思います。ペットボトルで販売されているミネラルウォーターならともかく家庭の水道から出して40日経過した水は飲めません。

 最近では浄水器を使っている家庭も多く、塩素が除去されているため痛みやすくなっていますから、数日汲み置くのはおすすめしません。

 同様に35日経過した魚介類や野菜類も食べようと思う方は少ないでしょう。冷蔵庫や冷凍庫で保管すればなんとかなるかもしれませんが、放射性物質が半減するということは崩壊反応により放射線を周囲に出しているということになります。

 ヨウ素131がベータ崩壊によりキセノン131mに変わる時にβ線が、キセノン131mが最終的に安定物質であるキセノン131に変わる時にはγ線が放射されています。

 こういうものを他の食材と一緒に冷蔵庫や冷凍庫に詰め込むのはあまりおすすめ出来ないといわざるをえません。

 やはり、出来るだけ最初から放射性物質が含まれる可能性の低い水や食品を手に入れることが大切です。もはや避けることは出来ないから気にしても仕方がないという投げやりな方もいますが、意識して避けるのと何もしないのでは数年経過すれば蓄積量が全く違ってきます。

 最近は「原発周辺の被災地産の食品を食べて風評被害をなくしましょう」などという無責任極まりない報道等が見受けられますが、特に小さなお子さんや妊婦さんは惑わされることなく安全安心な食品を手に入れるように心掛けて頂きたいと思います。

 なお、生体内に入ってから半分が排泄されるまでにかかる期間は生物学的半減期といい、物理学的半減期とは全く異なるためご注意下さい。

【主な放射性核種の物理学的半減期】
ヨウ素131 8.04日
セシウム137 30.0年
ストロンチウム90 28.8年
プルトニウム239 2.4万年
ウラン238 45億年

水道水及び食品暫定基準の妥当性について

厚生労働省3/17通達の水道水及び食品の暫定基準の妥当性について検証してみた。

厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知
平成23年3月17日付「食安発0317第3号」
放射能汚染された食品の取り扱いについて
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001558e-img/2r9852000001559v.pdf
平成23年04月05日付「食安発0405第1号」
魚介類中の放射性ヨウ素に関する暫定規制値の取扱いについて
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000017z1u-att/2r98520000017z7d.pdf

まず、産経新聞の記事(http://www.sankeibiz.jp/econome/news/110324/ecb1103240901000-n1.htm)によるとこうある。

> 原子力安全委員会などによると、指標の数値は、
> 国際放射線防護委員会(ICRP)の
> 勧告などを基に算出した。

>  放射性ヨウ素は年間約33ミリシーベルト、
> 他の放射性物質は年間5ミリシーベルトまでなら、
> 摂取しても安全と判断。その上で、日本人の平均的な
> 食生活のデータも取り入れた。

>  具体的には、成人の場合、1日の摂取量は
> 飲料水1・65リットル▽
> 牛乳・乳製品200グラム▽
> 野菜類600グラム▽
> 穀類300グラム▽
> 肉・卵・魚・その他が500グラム。
> 水など1日の摂取量が多いものほど、
> 基準を厳しくする必要がある。

 この数値をもとに、乳児(1歳未満)、幼児(1〜5歳)、少年(6〜12歳)、青年(13〜18歳)の1日の摂取量を次のように決めた。
※年齢別分類はICRP-56報告書に準拠。

飲料水・・・乳児 1.0L/日,幼児1.1L/日,少年1.2L,青年は成人と同じ。
食料品・・・乳児はミルクのみと仮定して0(ゼロ)、幼児は成人の1/2、少年は成人の3/4、青年は成人と同じ。

 放射性ヨウ素131及び放射性セシウム137の年代別実効線量係数はこちらの資料を参考にした。

緊急時における食品の放射能測定マニュアル P37参照
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001558e-img/2r98520000015cfn.pdf
※ただし、放射性セシウム137の成人実効線量係数は1.3x10-4と記載されているが、青年の値と1桁も異なるとは常識では考えられない。1.3x10-5の間違いと思われるので1.3x10-5で計算するものとする。信じられないことだが、政府や役所の発行する資料にもこのような間違いは何カ所もある。本当に情けないことだ。

 上記の条件で暫定基準による1年間の被曝量を試算すると次のようになる。

暫定基準値の妥当性_20110831
  ※乳児の飲料水のCs137被曝量に数値の誤りがあったため修正しました。
 ※放射性ヨウ素(I131)の被曝量は「緊急時における食品の放射能測定マニュアル」に従い甲状腺等価線量で算出しています。

【暫定基準による年間被曝線量】
乳児  6.64[mSv]
幼児 41.79 [mSv]
少年 31.24 [mSv]
青年 29.50 [mSv]
成人 20.45 [mSv]
※1 ただし、放射性ヨウ素131、放射性セシウム137に限定
※2 2011/04/05に魚介類の暫定基準が発表されたため、魚介類を含めて改訂済。

通常、人工的な放射線の年間被曝線量の目安はこんな感じになる。

1.0[mSv]・・・一般公衆が1年間にさらされてよい人工放射線の限度。
5.0[mSv]・・・放射線業務従事者(妊娠可能な女子に限る)が法定の3か月間にさらされてよい放射線の限度。
50.0[mSv]・・・電離放射線障害防止規則による放射線業務従事者(妊娠可能な女子を除く)が1年間にさらされてよい放射線の限度。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%88#.E6.94.BE.E5.B0.84.E7.B7.9A.E9.98.B2.E8.AD.B7.E3.81.A8.E3.82.B7.E3.83.BC.E3.83.99.E3.83.AB.E3.83.88

 これだと、日本人は生まれた瞬間から放射線業務従事者と同じ扱いにされているということになる。妊娠可能な女性についてはこの基準にすらおさまっていない。

 医療による被曝や放射線業務従事者の被曝許容線量が高めに設定されているのは、被曝量を数値で管理しているから出来ることである。一般人はどれだけ被曝したかを把握することが出来ないため、同様の基準に当てはめるのは乱暴すぎるといえよう。

 また、今回の試算は飲料水と食品による放射性ヨウ素131と放射性セシウム137に限定しているので空気中の放射性物質が呼吸によって取り込まれる分や放射性ストロンチウム90、コバルト60等の他の放射性物質による被曝は考慮していない。このため被曝線量はさらに高くなる恐れがある。

 こうしてみるとWHO飲料水水質ガイドラインはよくできている。生涯摂取し続けても問題ない量におさまるようになっているのだ。

下記資料のP203、表9.3を参照
http://whqlibdoc.who.int/publications/2004/9241546387_jpn.pdf
・ヨウ素131     131I   10 Bq/L
・セシウム137    137Cs   10 Bq/L

 今回の暫定基準のもとになっているICRPの基準は1年間の摂取を前提にしたものである。原子力事故を想定しているのだろうが、1年以上長引くようなケースを想定していないのだろう。

 普通に考えたら原子力事故が発生しても政府が国家を挙げて対処にあたるため、長期に渡って高レベルの放射性物質がまき散らされることなどありえないというのがICRPの考え方なのだろう。

 原発や核兵器を持っているような先進国で無能な政府と無責任な企業が対応に失敗して事故が長引くような間抜けなケースは想定されていないというのが実情だ。

 つまり、この暫定基準は原発事故という緊急事態によって一時的に決められた値であり、事故がおさまれば元の基準に戻すべきものであるということになる。

 しかし、国民の食の安全を守るための食品安全委員会がこの暫定基準をさらに緩和しようという動きがあった。

放射性物質:食品や飲料水、規制値緩和へ 食品安全委
http://mainichi.jp/select/science/news/20110326k0000m040133000c.html

 これに対して消費者が反発したのは当然といえる。なしくずしに基準が緩和されるようであれば消費者は店頭に並ぶ食品に対して不信感を抱かざるを得ないからだ。

食品の基準緩めないで 消費者から意見100件
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2011/03/30/kiji/K20110330000531530.html

 世論の批判にさらされて食品安全委員会はしぶしぶ緩和を取り下げたが、いったい誰のための食品安全委員会なのであろうか。

暫定基準値「十分に安全」食品安全委、緩和は判断せず
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110329/dst11032922330067-n1.htm

 ここで言えることは、暫定基準値は決して安全といえる数値ではないということだ。しかし、この基準を満たした食品は流通してしまうため消費者に出来ることは危険な地域を産地とする食品をなるべく買わないことしか出来ない。

 特に幼児は乳児のヨウ素基準を100Bq/Kgまでに限定したように暫定基準に配慮がされていないため、試算ではもっとも危険な被曝線量になっている。水道水が乳児の暫定基準を超えたとしても、幼児を持つ家庭には自治体から水が配られることもない。

 小さなお子さんをもつお母さんや妊婦さんは本当に水と空気と食材には気をつけて欲しい。被災地の野菜を買おうなどという馬鹿げた行動に煽動されて自分や家族を危険にさらすことがないよう、自分と家族をしっかり守って頂きたいと思う。北関東から避難出来るならば今すぐ避難した方がいいのはもう間違いないのだ。

 これからなしくずし的にこの暫定基準が緩和されてしまうようなことがあれば、日本の農産物はパッケージに放射性物質の残留濃度を表示するくらいのことをしなければ消費者は身を守る手段がなくなってしまうだろう。

 日本でも狂牛病騒動の際に全頭検査を実施したことがあったが、あれくらいやらないと神経質になっている消費者を安心させることはできない。特に欧米の消費者はチェルノブイリやスリーマイルの被害を受けているため放射性物質には敏感だ。

 今後は農産物に限らず日本から海外への輸出品には全て残留放射性物質を表示するような対策が行われるだろう。そうしないと売れないからだ。

 いずれにしても原発問題が長期化すれば日本人は飲料水に食品だけでなく輸出も含めた経済活動にまで大きく影響を受けることになる。事態は日々悪くなる一方で改善の兆しが見えない状況であるが、一刻も早い収束を祈るばかりである。

4/4 追記
残念なことに、東京では今後20ベクレル/kg以下は不検出とされるようですね。WHOガイドラインを満たしているのかそうでないのかは今後わからなくなるということです。残念です。
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2011/04/20l44200.htm

日本の水道水の暫定基準について

 3/22に東京都の金町浄水場で乳児が摂取できない程の放射性ヨウ素131が検出された。

 報道各社は揃って国の基準を下回っていると報道したが、その基準とは原発事故から6日が経過した3/17の下記通達により定められた暫定基準である。それまでは日本に基準はなかったため各自治体の水道局はWHOのガイドラインに準拠していた。

厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知
平成23年3月17日付「食安発0317第3号」
放射能汚染された食品の取り扱いについて
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001558e-img/2r9852000001559v.pdf

・飲料水における暫定基準値
  放射性ヨウ素  (I-131)  300 Bq/kg
  放射性セシウム (Cs-137) 200 Bq/kg

 WHO飲料水水質ガイドラインは下記資料のP203、表9.3を参照すると次のように規定されている。
http://whqlibdoc.who.int/publications/2004/9241546387_jpn.pdf
・ヨウ素131     131I   10 Bq/L
・セシウム137    137Cs   10 Bq/L
・コバルト60    60Co  100 Bq/L
・ストロンチウム90 90Sr   10 Bq/L
・プルトニウム239  239Pu    1 Bq/L

 日本の暫定基準はヨウ素131ではWHOガイドラインの30倍、セシウム137に関しては20倍ということがわかります。

 通常、先進国ではWHOの暫定基準の1/10程度をその国の水道水の基準値として設定している国が多いため、先進国のなかでは突出して緩い水準になっています。

 WHOのFAQを参照すると、IAEAでは原子力緊急事態であれば 3000Bq/L までの一時的な摂取を認めているとあります。

FAQ:日本の核問題
http://www.who.int/hac/crises/jpn/faqs/en/index8.html

 上記を根拠に日本の暫定基準は国際基準の1/10と厳しく設定されているから安全だと主張する人がいますが、これは非常時に限定した一時的なものであり継続して摂取していい値ではありません。

 このFAQの元になる文書はおそらくIAEAのSafety Standardsという文書で、下記の値を超えた場合は飲料水またはミルクの代用品を探す必要があり、用意出来ない場合はその場所から避難すべきであるとしています。

IAEA Safety Standards P42(Table10)
http://www-pub.iaea.org/MTCD/publications/PDF/Pub1467_web.pdf
 放射性ヨウ素131    3000Bq/Kg(成人)
 放射性セシウム137   2000Bq/Kg(成人)

P39(Table10)
> If the OIL6 levels in Table 10 are exceeded,
> onsumption of non-essential food, milk or water
> should be stopped, and essential food,
> milk and water should be replaced or the people
> should be relocated if replacements are not available.

 日本の基準はIAEAの10倍厳しいから安全だという人は、このSafety Standardsを根拠に主張されているようですが暫定基準値に緊急時の対応のためのガイダンスと比較する方が適切であり、避難の基準であるSafety Standardsの数値と比較するのは乱暴といわざるをえません。

 現在東日本に在住の方が、ずっとその地に住み続けるのであれば非常時の避難基準と比較しても意味がありません。そして、少なくともこの非常事態用の暫定基準がいつまで適用されるのかは明確にして欲しいと思います。内閣府の食品安全委員会がこの暫定基準をさらに緩和しようとしていることについてはもはや言葉がありません。

 なお、水道水と食品の暫定基準の妥当性については下記のエントリで別途検証しているのでご参照いただきたい。
http://blog.livedoor.jp/hirezake_nomitaiyo/archives/1560167.html

 最近の環境放射線の観測値と水道モニタリングの結果は下記のエントリで公開していますが、ひとまず福島県以外の周辺都道府県の環境放射線及び水道水の放射性物質濃度は落ち着きを取り戻しつつあるようです。
http://blog.livedoor.jp/hirezake_nomitaiyo/archives/1556019.html

 しかし、原発事故は予断を許さない状況が続いており再臨界の危険が迫る中で今後も長期に渡って放射性物質が水道水や食物に混入することは避けられないでしょう。

 西日本や北海道に実家のある人やフリーターの方はなんとか避難することが出来ても東日本に生活の拠点があり家族や親戚も東日本にいるという人は今の段階で仕事も家も捨てて遠く離れた地へ逃げるということはとても決断出来ることではありません。

 ただ、テレビのニュースだけでなく文部科学省や各自治体の公開している情報もとりいれた上で、最悪の場合は関東の地を離れることも視野に入れて避難計画を練っておくことが必要になるかも知れません。

 ドイツ気象庁の放射性物質拡散予測シミュレーションはこちら。
http://www.dwd.de/wundk/spezial/Sonderbericht_loop.gif
ドイツ気象庁
ドイツ誌SPIEGEL
http://www.spiegel.de/wissenschaft/natur/bild-750835-191816.html
フランス(IRSN放射線防護原子力安全研究所)http://www.spiegel.de/wissenschaft/natur/bild-750835-191816.html
WeatherOnline(イギリス気象局)http://www.weatheronline.co.uk/weather/news/fukushima?VAR=nilujapan131

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