2014年06月04日

日本の黒い霧

黒い霧前回は少し時間をかけて書いたので今回は軽めに流そう。ということで今回はお題でエントリーを書く。まずはお題の通り私が寝る間も惜しんで読んだノンフィクション作品をを3つあげる。

・日本の黒い霧(松本清張)
・小説吉田学校(戸川猪佐武)
・不当逮捕(本田靖春)

その中で今回は松本清張の日本の黒い霧を取り上げようと思う、その他の作品はまた別の機会にとっておこう。内容を簡単に書くと1945年から52年の7年間の戦後のどさくさに起きた不可解な事件に関して松本清張が小説で培った技法を使って推理していくというものだ。下山事件に始まって朝鮮戦争で終わる12編、プラスなぜこの本を書いたのかのあとがきだ。一読すればわかると思うがどう見ても陰謀史観である。

私は高校生くらいに「もく星号事件」と「帝銀事件」に興味を持ってこの本を読んだのだが、この手の本は知識がない時分に読むとコロッとやられてしまうので注意だ。初めて読んだときの感想としては凄い本を読んでしまったという感じがすごかった。さすがは非凡な小説家松本清張、事件のあらましをあらゆる資料を使って緻密に書いてゆくのでグイグイ引き込み、最後に読者を明快な回答に導くのだ。

一つ一つの事件について詳細を書くつもりはないが、小説ともルポルタージュとも思えるような筆致で緻密に事件のあらましを書き、それに対する筆者の推論と根拠を推理小説の種明かしをしていくように書き進め、最後にその裏にはアメリカが絡んでいると各章で結論をつける。「えーっ!」っと驚いてるうちに最終章の朝鮮戦争につなげる。ショートショートが全て繋がりひとつのストーリーでしたと提示、「全てこのために謀略を積み重ねてきたんだ!」と思うこと請け合いだ。

旧ソ連が崩壊したりアメリカの資料が公開されたりして新たな資料が発掘され、ネットを通じてそれらを見ることもできる今となっては見当違いと思えるものもあり、または慰安婦狩りの吉田清治の嘘を暴いた秦郁彦あたりに、「面白いが論理に飛躍がある」と指摘されてしまう始末だが、同じことがナックルズなどに載っていたとしたらニヤニヤしながら読み流す程度のものを稀代の小説家松本清張の筆致で読めるのは魅力がある。

陰謀史観を受け付けない人も清張の文章で事件について知ることができるので終戦直後の事件に興味がある人は入門書としてはもってこいだ。松本清張のノンフィクションには「昭和史発掘」なんてのもある。本書で培った技法を戦前の事件に適用して書かれたものだが226事件の裁判記録をそのまま書きだしたりと非常に読みにくくなぜ300万部も売れたのか分からない難解さなので最初に読むなら絶対にこっちの方がお勧めだ。

私は未だに暇なときには1編を選んで読んでみるのだが、以前のように内容に関して感嘆することはなくなったものの、事件の裏には必ず謀略があると決めてかかり、有無を言わさずに謀略ありという着地点に読者を引っ張っていく理論の展開の仕方は提案書などの書き方に非常に参考になると思うのだ、と書くとさすがにほめ過ぎかも知れない。しかし前回のような推理や予想を書く際には参考にしたいと思う。

「砂の器」や「ゼロの焦点」などのかつての名作は人々があっけらかんとてきてる今現在ではなぜ殺人に至ったのかが分かり辛くなり色あせてしまってると思うが、事実を基にした小説である本作は恐らく色あせることがないだろう。最近よくドラマ化されている松本清張の作品の面白さがいまひとつ分からない方にこそお勧めしたいと思うし、伊藤律の件は近い将来読むことができなくなる可能性があるので今のうちの購入しておくことをお勧めしよう。

hirna at 00:39│Comments(0)TrackBack(0)雑記 

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