今回は、タワレコ限定!それで手に取ったのが始まり、カート・ローゼンウィンケルの諸作がお題目です。

ローゼンウィンケルは1970年10月28日生まれのジャズ・ギタリスト。振り返れば、ブライアン・ブレイド&ザ・フェローシップの一員であった頃もあったようです。

1:「ドゥ・イット・1992」〜Do It 1992〜Kurt Rosenwinkel & Scott Kinsey
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カート・ローゼンウィンケル&スコット・キンゼイ
タワレコ限定
2019-06-26

1992年録音。

カート・ローゼンウィンケル(g)とスコット・キンゼイ(kbds)によるデュオ作。全4曲収録です。

まずはシンセベースや打ち込みドラム鳴り響くミディアム系M1「Do It」で幕開け。ギターとシンセが呼応しながらテーマを展開。リズムの変化に対応しながらそれぞれがソロを展開していく。流麗なピアノからの3連系M2「There's That It」は、やはり打ち込みらを用いてピアノにギターがテーマを奏で合っていく。ウネウネしたギターソロを存分に展開。

ゆったり打ち込み4分の7拍子によるM3「Quietly He Steps Into Insanity」は、幻想的?山奥?な響きの中、ギターがテーマを奏でて。フルート風のシンセソロを存分に展開。最後はミディアムな4分の3拍子によるM4「Writer Blocks」。ギター&シンセにてチョロったテーマ、8分の6拍子から倍テン風にとリズムを変化させながら、それぞれがソロを展開していきます。

まあ2人の先鋭的なセンスを端的にまとめた1枚。しかしミニアルバム的な短さ!!!

2:「カイピ(ジャパン・エディション)」:Caipi〜Kurt Rosenwinke
カイピ Caipi (Japan Edition)カート・ローゼンウィンケル
タワレコ限定
SONG X JAZZ Inc
2019-07-03

上の1購入に合わせて買ってみた1枚。カート・ローゼンウィンケル(g, ac-g, p, synth, b, ds, perc & vo)自身でプロデュース、&全作詞作曲をしているようで、そもそもは2017年発表作に、日本向けの1曲(M3)追加し、全12曲収録、ジャパン・エディションという形で発表となった1枚です。

まずはアルバムタイトル曲で、アコギから始まる3拍子曲M1「Caipi」で幕開け。ピアノにスキャットがテーマを伝えていき、サビは4拍子に変化して。終盤にギターソロを大人しく挟めば、鍵盤類と共に自らささやかにスキャットして始まるM2「Kama」は、ゆったりワルツに変化し、そのスキャットは木訥と進行する。ちょっとスローながらも小刻みなビートのM3「Casio Vanguard」は、Antonio Loureiro(voice…M3)と共にささやかに歌っていく。中盤のギターソロはその音色はパット・メセニー風。その後、ギターも歌に随伴。終盤にもしっかりとギターソロを。

ここで日本向けボーナストラックとなるゆったりボサノバ曲M4「Song For Our Sea」を挟んで。透明感溢れるテーマをピアノ、そしてギター(かすかにスキャットも)が伝えていきます。中盤のピアノソロはリリカルに展開。

本編に戻ってちょっとスローなチキチキ曲M5「Summer Song」は、Kyra Garey(voice…M5)がかな?透明感溢れる歌声を披露し、ユラユラと進行。していく。アップなサンバビート風M6「Chromatic B」は、ピアノが存分にソロを取り、ギターによる端的なテーマの繰り返し、そしてソロへと発展。アップな8ビートによるM7「Hold On」は、歌物で木訥とそんなに上手くない歌声がリードしていく。スローなチキチキ曲M8「Ezra」は、歌入ると同時に6拍子に変化してしみじみとテーマを伝えていく。Mark Turner(t-sax…M8 & 10)のテナーソロもしっかり挟みます。

アップな7拍子曲
M9「Little Dream」は、エリック・クラプトン(g)を迎えて。しかしその存在感は皆無。久々!アマンダ・ブレッカー(voice…M9-10)と共に軽やかに歌を伝えれば、そのままアコギ従えてのミディアム系M10「Casio Escher」にてアマンダとスキャットしていく。テナーソロ、またギターとテナーのユニゾンらを挟んで、アップな8ビート曲M11「Interscape」は、Zola Mennenoh(voice…M11)と共にスキャットしていく。シンセソロを途中に挟んで、最後はスローなチキチキ風M12「Little B」。こちらもスキャットで朗らかなテーマ伝えていく。途中でギターも重なって繰り返されるテーマを印象づける。

何だかジャズっぽさとか、ギタリストの作品っていうのはあまり感じられなかったなぁ〜。ブラジルへの嗜好を形にしたようです。

その他参加ミュージシャン。Alex Kozmidi(baritone-g…M3)、Pedro Martins(synth…M2 & 7、ds…M7-8、voice…M1-3,7-10 & 12)、Ben Street(b…M4)、Andi Habert(ds…M2)、Mark Turner(t-sax…M8 & 10)、Johannas Lauer(tb…M4)、Chris Komer(french-horn…M12)、Frederika Krier(vln…M2,4,6 & 11)、Kyra Garey(voice…M5)。

3:「ANGELS AROUND」:Angels Around〜Kurt Rosenwinkel Trio
ANGELS AROUNDKURT ROSENWINKEL TRIO
HEARTCORE RECORDS/MOCLOUD
2020-04-15

トリオ名義ですけど、最新作です。2曲のオリジナル、そして6曲のジャズの名曲カバー、そしてボーナストラック1曲(アントニオ・カルロス・ジョビン作なのでボーナス扱い?)加えて、全8曲収録です。

トリオ=カート・ローゼンウィンケル(g)、Dario Deidda(b)、Greg Hutchinson(ds)といった形で、今回レビューした3枚の中では、最もギター弾いてる弾いてる1枚。大まかにはギターがテーマ、ソロを廻してテーマ反芻、エンディングといった体裁で進行します。

ギターから始まるゆったり3拍子なM1「Ugly Beauty」(セロリアス・モンク作)は、ギターが豊かに音を響かせながらテーマを奏でていく。そのまましっかりとギターソロを展開。軽やかにテーマ始まりのM2「Ease It」(ポール・チェンバース作)は、軽快な4ビート曲で、速攻でギターソロ、そして指弾きベースソロ経て、ギターとドラムの掛け合いソロへと発展。スローなハチロク風M3「Self Portrait In Three Colors」(チャールス・ミンガス作)は、しっかりと甘くテーマをギターで。歌心溢れるアコベソロ、ハーモニクスの用いつつ滑らかなギターソロを挟みます。

ローゼンウィンケルのオリジナル!
M4「Simple #2」は、タム連打からのゆったりハチロク曲。まずはギターソロしっかりと、そしてテーマは牧歌的な響きを持つ。またソロへと発展して存分に。アコベソロからまた弾きまくりのギターソロは、ドラムに大いに煽られてエンディングへと向かいます。

軽やかな4ビートによるM5「Punjab」(ジョー・ヘンダーソン作)は、キメ多数なテーマをサラリと、アコベソロ、ギターとドラムの掛け合いも。ちょっとボサノバ風なM6「Time Remembered」(ビル・エヴァンス作)は、深々とギターがテーマを奏で、しっかりとソロを展開。

実質最後は、本トリオのベーシストであるDario Deidda提供でアコベから始まる
M7「Angels Around」。そのラインにギター重ねる形でテーマを形成。ギターソロを挟んでテーマ反芻、エンディングへ。

ボーナストラックは、ちょっとスローなチキチキ曲M8「Passarim」(アントニオ・カルロス・ジョビン作)。バックビートなリズムの中、静かにギターがテーマを紡ぎ、ソロを展開してます。

前述の通り、ギター弾きまくってて、ここでようやくギタリスト=カート・ローゼンウィンケルの本質が感じられたかもしれません。やっぱり時代のせいか、パット・メセニーの影響って節々に感じられるんだよね〜。多様性はあるので、今後はどんな道に進むんだろ???