2008年01月18日

テアトル日記2008 #1(通算#132)

1月7日(月)観賞/新東宝 3本立て(1月18日まで上映)

 2008年も書き続けます。お目汚しかもしれませんが、お読みくださると嬉しいです。
 「テアトル日記2007 #26」(12月29日)以降に見た映画は3本。2007年は延べ247本の映画を見た。イチローの安打数を少し上回った。

   12月31日(月) 『ALWAYS 続・三丁目の夕日』☆☆☆★
    1月 5日(土) 『PEACE BED アメリカvsジョン・レノン』☆☆☆☆ 
             『長江哀歌』☆☆☆★
 
 19時過ぎに入ったときに5名いた観客が、2本目が始まるときには3名になり、3本目が始まるときには2名、最後まで残っていた観客1名と一緒に劇場を22時過ぎに出た。
 確認したいことがあったので、『奴隷』のみ16日(水)に再見した。新版の2本とも、2004年11月15日に見ていたので、「テアトル日記2004 #24」に加筆した。

『奴隷』☆☆☆★
 SP:福原彰、C:長谷川卓也、AD:田中康文、D:佐藤吏
 2007年公開作品。
 山中の冬枯れの木に裸の女(平沢里菜子)が吊り下げられている。「このまま、心臓が止まってしまえばいい」と、女がつぶやく。そして、映画のタイトルが出る。
 茨城の名門女子高校生だった若山梨奈は、数学教師のオカモト(荒木太郎)によって自分が「M」であることを初めて自覚させられた。「こんなにグジュグジュにして、まだ高校生のくせに」と、二人は週末になると都内のホテルで淫らな遊びにふけった。自分にはSMしかないと思っていた梨奈は短大生になった。アルバイトの出張SMでは「S」の女王様もやったが、MにはMの欲求がよく分かるので、いい女王様だったという自負もある。
 短大を卒業した梨奈は、小さな人材派遣会社に勤める。梨奈は社長(本多菊次朗)から、「君、Mでしょう」と図星を指され、「君、今日から俺の奴隷にならない?」「はい」と答える。彼女が長いこと夢見ていたことが実現するのだ。
 最初の夜、プレーが終わったあとに梨奈は社長に、「前にも、奴隷いた? これからは私だけにしてください。奥さんも、付き合う人がいてもいい。でも、ほかの奴隷だけは絶対に許さない。私って、独占欲強いんです。わがままなんです」と言う。
 社長は梨奈を辱めるために、様々なプレーを考える。いつ、いかなる場所でもご主人様の言いつけは絶対だ。社内での打ち合わせ中にパンスト越しに性器を見せたり、裸で夜の歩道を歩かせられたり。それがプレーのルールなのだ。
 梨奈は同僚のハシモト(千葉尚之)から、ラブレターを受け取る。手紙を読んだほんの一瞬だけのことだが、彼女は「このままでいいのだろうか」と思う。
 ハシモトの手紙のことを聞いた社長は、男に色目を使ったお仕置きをする。梨奈を裸にして椅子に開脚させて縛って、窓の前に放置する。窓の向こうには都庁が見える。梨奈は「私にはこれしかない。このまま心臓が止まってしまえばいい」と思う。ホテルの部屋に呼んだホテトル嬢と梨奈のレズ行為を見ていた社長は、ホテトル嬢とセックスをする。「イヤ、私に入れて」「お前は二人の結合部を舐めるんだ。一滴たりともこぼすな。しっかり舐めろ」。社長の体液を顔にかけられた梨奈が泣いている。社長は別の遊びを思いつく。
 梨奈とハシモトが残業している。「手紙、読んだわ。好きってことは、したいってことでしょう。面倒くさいことが嫌いなの。今、ここでしましょう」と、梨奈は下着姿になり、ハシモトをセックスに誘う。キャビネットの隙間から社長が覗き見している。
 ハシモトとのセックスのあと、社長が梨奈に「もう明日から来なくていい。ご主人様でも奴隷でもない。会社はクビだ」と宣告する。ご主人様を失って、梨奈は足がすくむような恐怖を覚える。SM以外、何もない自分のことが怖かったのかもしれない。
 会社を辞めてきたと、ハシモトが梨奈の部屋にやってくる。社長との関係を知った上でのプロポーズに、梨奈はSMの世界から足を洗う決心をする。そして、…。三年間の結婚生活は幸せだった。彼とのセックスにも問題はない。でも何かが物足りなかった。
 梨奈は落ちぶれた社長と再会する。「仕事もダメになった、妻とも別れた。今は山梨でスナックをやっている。ときどきSMショーもやっている。気が向いたら連絡ください」。名刺を渡されて(社長の名前が田丸義男だとようやく分かる)動揺した梨奈だが、彼女の気持ちはすぐに固まる。カバンに洋服を詰め、結婚指輪をはずし、山梨へ。スナックでは田丸と梨奈のSMショーが行われている。梨奈は再びご主人様の奴隷になったのだ。ご主人様には女がいた。ご主人様と女が交わる脇で、梨奈はオナニーをする。ひどい扱いを受けるほど悦びを感じるのだ。「最低だと自分でも思う。でも幸せでした」「人がどう思おうと平気です。私にはこれしかないんですから」
 冬枯れの木の前で、梨奈が「裸にしたらどう? 30分、1時間くらいなら平気」とご主人様に提案する。男はビールを飲んでくると言って、木に吊した裸の女を残して車で走り去る。放置プレーだったのだ。「今思うと、ご主人様のことを愛していたんだと思う。幸せ、本当に幸せ。ごめんなさい。これが、つまらない私のどうでもいい物語」。富士山と湖を背景にした冬枯れの木に吊された女を男が迎えに来る気配はない。
 ♂×♀:8回(1回は♀×♀から3Pへ、1回はオナニーが並行する)、緊縛シーン、剃毛シーン、SMショーなどサービスショットは多数。
 女の回想の形を取った最後の台詞には、死の気配が立ちこめる。男が運転した車がカーブを曲がってキャメラの視界から消える場面で、ぼくは車がクラッシュする音を予感した。
 トイレの個室を使った女子高生から短大生(女王様)への変身、社長との再会シーンをビデオ設定にして話を早送りする仕掛け、梨奈が家を出ることに決めたあとのドアを使った二度の鮮やかな場面転換など、撮影と編集の工夫も楽しい。

『姉妹白衣 診察室でエッチ』☆☆☆★
 C:長谷川卓也、AD:田中康文、SP/D:佐藤吏
 2007年新版公開作品。旧題名:『ナース姉妹 桃色診察室』(2003年公開作品)
 2003年公開時の映画の売り文句は、「話題沸騰!! ピンク映画初の姉妹共演」だったが、共演は地の芝居の部分のみで、いわゆるカラミの共演はありません。念の為。
 海辺で少女が父親とキャッチボールをしている。父親の顔はよく見えない。取り損ねたボールを追いかけた少女が後ろを振り向くと父親はいない。
 智香子(佐々木ユメカ)は総合病院に勤める看護師だ。彼女が7歳のとき、父親は女を作って家を出た。恋人のケイジは智香子との結婚を望んでいるが、彼女はその話題になるとはぐらかしてしまう。智香子のところに居候している5歳年下の妹・和香子(佐々木日記)も看護師だが、彼女が不倫専門なのは物心がついたときにはもう父親が不在だったからだろうか。今も勤め先の個人病院の篠田(本多菊次朗)と不倫関係にある。
 故郷の母親(しのざきさとみ=声のみの出演)との電話で、父親と離婚した経緯などを尋ねるうちに、智香子は自分がプロポーズされたことを伝える。
 お父さんが好きだった、でも顔をよく覚えていない、という智香子に対して、両親が離婚したとき2歳だった和香子は、父親の記憶がないと答える。二人の心に幼児期からの父親の不在が影を落としていることは明らかだ。
 ある日、智香子は病院の中で年配の男とすれ違う。かすかな期待と不安が交錯する。ナースステーションには封筒に入った預金通帳が預けられていた。智香子は男の後ろ姿に辛うじて「あの」と呼びかける。母親が父親に智香子が結婚するかもしれないと伝えていたのだ。こんなもので、自分の気持ちを伝えたつもりですか、と通帳を突き返す娘。父親はポケットから、小さく折り畳んだ黄ばんだ紙を出す。「子どもの頃に描いた絵だ。私の宝物だ」「いまさら許してもらおうとは思わない。君たちを忘れたことはなかった。済まなかった」。智香子は父親にボールを放る。投げ返されたボールを智香子は捕まえない。海辺でのキャッチボールの相手は、今は振り向いてもそこにいる。顔もはっきりと見える。
 和香子は公園で、不倫の相手が妻子といるのを見てしまう。和香子は一人暮らしをすることに決め、「病院を辞める、あなたと別れる、もっと若い恋人を作る」と、篠田に告げる。
 智香子はケイジに「私たち、ずっと一緒にいようね。いつか結婚しようね」と、自分の将来からもう目をそらすことはない。二人は公園でキャッチボールをする。ボールを受け損ねた智香子が後ろを振り返っても、ケイジはそこにいる。
 ♂×♀:6回。智香子の同僚看護師(紺野美如)は、入院患者(なかみつせいじ)と病室で関係してしまうが、二人ともバツイチの設定で、彼女は病室でのセックスに再婚をかけている。病室での不行状が病院に知れて彼女はクビになるが、自分の資格があればどこでも大丈夫とたくましい。
 ぼくたちが「日活ロマンポルノには、随分いい映画があった」と懐古的につぶやくとき、それはどうやら青春映画の佳作をイメージしていることが多いようだ。幼いときに別れたきりの父親との心理的な決着を保留していることに自覚的であれ無自覚であれ、そのようなコンプレックスを持った姉妹の物語は、一般の青春映画にしても十分成立するだろう。
 智香子の父親との記憶を8ミリフィルムのような粗い画面で処理している。娘の視線、父親の視線、第三者の視線が混在するが、記憶は反芻されるうちに複数の視線で再構成され、客観化されていくのだと思い至った。智香子が「お父さん」と呼び止めようとして、ついにその言葉を発することができない場面の緊張感も忘れがたい。

『いんらんくノ一 蜜ツボ攻め』☆☆☆☆
 SP:かわさきりぼん、C:長谷川卓也、AD:笹木賢光、D:かわさきひろゆき
 2007年新版公開作品。旧題名:『好色くノ一 愛液責め』(2003年公開作品)
 天正7年(1579)。風魔の里に伊賀の服部半蔵が現れ、風魔の小太郎を斬り殺す。風魔の一族は、徳川家康、正室の築山殿、嫡子・信康の間の秘密を探っていたのだが、半蔵は秘密が露見するのを防ぐために凶行に及んだのだった。
 小太郎には楓(麻白)という娘がいた。彼女は風魔の里から離れたところにいたが、一族の隼人の風移しの術で父親の災難を知る。父親の敵を討つために楓は半蔵の寝所を襲うが、逆に捕まってしまう。半蔵は朱鷺(里見瑤子)に命じて。楓にくノ一の術を伝授させるが、それは「天女貝」という恐ろしい術だった。
 捕らわれているところに隼人が忍んできて、半蔵の血を手に入れてくれと頼んで姿を消す。忍法催眠口吸いの術で半蔵から逃れようとした楓だが、敵もさるもの、彼女の術は見破られる。が、映画的唐突さと言えばいいのか、楓は伊賀の里を抜け出し、途中で一族の隼人に救われる。楓が手に入れた半蔵の血から、信康は家康の子ではなく半蔵の子であることが明らかになる(江戸時代に血液検査ができたかどうかは敢えて問うまい)。半蔵は自分の息子を天下人にしようと企んで、築山殿と通じていたのだ。
 幼なじみだった楓と隼人は、半蔵の思惑を知ったところで互いに求め合う。そこに半蔵が現れ、手裏剣で隼人を傷つける。手裏剣には色狂いの毒が塗ってあり、半蔵に命じられた朱鷺が隼人に「天女貝」の術をかける。「半蔵を思っているのに、ほかの男と交わるのか」と楓に尋ねられた朱鷺は、「くノ一の宿命」と答え、隼人と刺し違える。半蔵は楓を逃がす前に催眠術をかけていた。楓が男と交わると無意識のうちに「天女貝」の術を男に仕掛けるようにしていたのだが、催眠術を施した半蔵だけは例外だ。楓の貞操を奪おうとして半蔵が楓の股間に顔を埋めたそのとき、楓は必殺の「忍法魔風蜜壷地獄」を繰り出す。
 父親と隼人の二つの土饅頭の前に立つ楓。果たして、築山殿の死と信康の切腹の真相はどうだったのか。幼女のときに父親から託された短剣を墓の上に置いて、楓は森の中に姿を消す。その後、楓の噂を聞いた者はいない。
 ♂×♀:6回、♀×♀:1回、オナニー:1回。口唇性愛がいつ頃から習慣的に行われるようになったかは、いつも気になるところだが、「忍法魔風蜜壷地獄」はそれを前提にした忍法なので、今回は特に気になった。
 下忍の佐吉とキヌ(紺野美如)のエピソードは美しくも悲しい。里見瑤子が夜叉のような表情も見せつつ、くノ一の悲哀を好演している。
 昨年末に中島貞夫監督の『くノ一忍法』を見たが、くノ一のエロ忍法をきちんと描いたピンク映画の方が、よっぽど面白い映画に仕上がっている。

【評価基準】
  ☆☆☆☆☆以上  とても面白い、とてもよく出来ている。見逃すな!
  ☆☆☆☆      かなり面白い、かなりよく出来ている。
  ☆☆☆        面白い、よく出来ている。水準。
  ☆☆         あまり勧めない。時間つぶしなら…。
  ☆以下        ひどい!時間とお金の無駄。
  注) ★★=☆


hirodai_eiken at 12:22│Comments(2)TrackBack(0) テアトル日記2008 

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この記事へのコメント

1. Posted by ピーターフォンダの名前を出せなかった女   2008年01月19日 14:39
お目汚しなんてことは、読むものが映画を好きである以上、絶対に絶対にあるわけがないので、どうかずっと書き続けてくださいね。
たから探しの記録。

読めなくなったら、私は地図を失います。


気をつけて仙台いってらっしゃいませ。
2. Posted by 常田   2008年01月21日 00:11
ジョン・レノン、薦めてくださらなかったら青森まで観に行ってなかったと思います。
ありがとうございます。

今年もテアトル日記、楽しみにしてます。

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