テアトル日記2006(品川信道)

2006年08月18日

テアトル日記2006 #16(通算#95)

8月7日(月)及び17日(木)観賞/Xces Film 3本立て(8月18日まで上映)

 日記の#15(7月31日)以降に見た映画は9本。13日の3本はフィルムセンターで、14日の1本は都内の映画館で見た。

   8月8日(火)   『アリババと四〇人の盗賊』☆☆☆
             『月世界旅行』(ジョルジュ・メリエス)☆☆☆☆★
             『東京行進曲』(溝口健二)☆☆☆☆
   8月10日(木)  『M:i:掘戞☆☆☆
   8月13日(日)  『花と竜』☆☆☆
             『野獣の青春』☆☆☆☆★
             『夜霧のブルース』☆☆☆★
   8月14日(月)  『トランスアメリカ』☆☆☆☆
   8月16日(木)  『初恋』☆☆☆★

 観客数だが、7日は18時が0名、途中入場が3名あって、21時には2名残っていた。17日は18時が5名、途中の入退場で最大6名になって、21時にはまだ3名残っていた。今週は四人の継母が出てくるので、「ままはは(義母・継母)大会」と名付けようと思う。

『肉屋と義母 −うばう!−』☆☆☆★
 SP:黒川幸則、C:村石直人、AD:竹洞哲也、SP/D:松岡邦彦
 2005年公開作品。
 マサトが恋人のカナ(青山えりな)を両親に紹介している。父親の青山は弁護士、継母であるシズカ(三東ルシア)は城南大学の教授で、成城に自宅があるカナの趣味がピアノだということから、アルゲリッチの演奏するショパンや、シズカの専門である日本の伝統芸能が語られる四人の会話は、スノッブな印象は免れないのだが、マサトとカナが司法試験を目指していることもあって、両親はこの交際をとても喜ぶ。
 その夜、青山夫妻はセックスをするが、短い前戯、あわただしい挿入、おまけに早漏気味とあって、夫の疲れをいたわる言葉や、大学の同僚に「夫と手をつないでいるだけで満足なの」と言っているのとは裏腹に、物足りなさがシズカの表情に漂っている。
 突然の雨に、シズカが雨宿りしたのは肉屋の前だった。小売りはしていないらしい肉屋の作業場に目をやると、男(徳原晋)と女(しのざきさとみ)が昼日中から激しく交わっている。シズカが目を離せずにいると、男の視線と合ってしまいシズカは逃げ出す。そのころ家では、マサトによってカナが初体験を済ませている。
 別の日、シズカが肉屋の中を覗く。肉のかたまりをさばいている男と目と合ってシズカはドギマギしてしまう。夜、夫の体を積極的に求めるが、疲れているせいか夫のペニスは奮い立たない。「若いときに会っていれば」という夫の言葉に、「前の奥さんがうらやましい」と、実は再婚だったシズカの本音が口に出る。
 シズカは結婚指輪をはずし、大きなサングラスをかけて肉屋に行く。肉を売って欲しいと男に頼む。小売りをしないという肉屋だが、サングラスを取ったシズカの顔を見て、男は「いいよ」と言って店の奥に案内する。殺風景な部屋に連れて行かれたシズカが、「こんなところにお肉が?」と口にすると、「あるわけないだろう。これがしたくて来たんだろう」と、男はシズカを押し倒す。誰があんたなんかと言いながら、シズカは男に体を委ねてしまう。自分の振る舞いに泣きたい気分になったシズカだが、別れ際の「また遊びに来な、俺はいつも満タンだぜ」という男の言葉に、彼女は男の部屋に通い出すことになる。
 肉屋の妻が、「青山シズカさんの息子さん?」とマサトを呼び止める。家に上がり込んだ女は、マサトの前で下着姿になり、「童貞? でも、まだ覚えることは沢山あるのよ」「ママとしているみたいでしょう」「また勃ってきたわ。ママ、嬉しい」と、マサトを弄ぶ。
 シズカが帰宅するとマサトが落ち込んでいる。マサトが牛肉を投げてよこす。「肉屋のママがこれをくれた。手切れ金とぼくを買った代金だって」
 部屋に閉じこもったマサトに、カナからの電話を取り次ごうとする父親。「パパまで悲しませたくない」。父親は、「一体何があったんだ」といぶかしがるだけだ。
 大学の教室に肉屋が現れ、それに続いて肉屋から外に出てきた普段着のシズカのお腹が大きくなっているラストシーンは、物語の結末として分かりづらい。シズカの幻想と読めばいいのだろうか。
 ♂×♀:8回。シズカが肉屋の男と初めて交わる場面と、肉屋のママがマサトを弄ぶ場面は、かなり執拗なカラミの画面づくりで、ピンク映画の王道といえるだろう。青山夫妻のパジャマが、青と白なのは、国際大会の柔道着のようで、立ち技、寝技、締め技が共通していると思ってしまった。マサト君には、しのざきさとみにいっぱい教えてもらったのだから、落ち込むより、自分からもっと教えを乞いなさい、と励ましたい。

『淫母の性教育 奥までちょうだい!』☆☆☆
 C:橋本彩子、AD:竹洞哲也、SP/D:神野太
 2006年公開作品。
 ポスターに、「義母(かあさん)と最初で最後の性交渉 よーく、感じてちょうだい…」とある。正統な義母ものピンク映画だが、二人の性交渉は一回限りでない。
 リビングで、玄関で、台所で、家の中のところ構わず抱き合っている和也(柳之内たくま)とミユキ(月島えりな)。和也はついこの前まで童貞で、今こうしてセックスしているのは、自分の淫らな性教育のたまものだというミユキのナレーションが入る。
 市川宗一郎(栗原良)は中小企業の経営者(業種は分からない)で、三浪の息子・和也の大学合格を待ってミユキと再婚するつもりだったが、ミユキの方がどうせ一緒になるのだからと結婚を急いだらしいことは、いずれ分かることだ。
 和也が予備校の冬期合宿で留守なので、夫妻は受験生に気兼ねなくセックスしようとするが、夫はEDで、代わりにヴァイブレータを取り出すが、ミユキの方は満足できない。夫が寝静まったのを見計らって、シャワーを使いながらオナニーをしていると、予定より早く帰宅した和也に見られてしまう。
 翌朝、夫を送り出したあと、ミユキが和也を起こしにいくと、和也が風邪でウンウンうなっている。汗で濡れた体を拭いて下着を取り替えようとすると、和也の股間がすごいことになっている。ミユキは思わずそれをさすってしまう。ダメダメと自分に言い聞かせるものの、腰はガクガクして、和也の汗くさいパンツを鼻に押し当てながら彼女はオナニーをしてしまう。「あんなすごいの、見たことない!」
 夫が関西に出張する。洗濯をしようとすると、パンティーがない。そういえば、前にも物干しから、パンティーがなくなっていたっけ。まさか、和也さんが? 買い物の帰り道、ミユキは和也を見かける。後をつけていくと、公衆便所でカズヤが、ミユキのパンティーを手にして、彼女の名前を呼びながらオナニーをしている。
 こっそり見てしまったE判定の成績表のこともあって、ミユキは母親としてどうしたらいいのか、先輩継母の鏡子(倖田李梨)に相談する。彼女の経験談はこうだ。最初は娘のユリ(華沢レモン)とぎくしゃくしていた。初体験がうまくいかなかったユリに、何ができるか考えた。相手のマサト君を家に呼んで、彼にHを教えてあげた。ユリにちゃんとした初めての思い出を作って欲しかったから。実の親だと、こんなことできないでしょう。
 というわけで、ミユキは和也の童貞をいただき、心のもやもやから解放された和也も青空大学に合格する。「ありがとう、お義母さん。これからもよろしく」「こちらこそ」と、二人が言葉を交わしているのをのんきな父親は気づかない。
 ♂×♀:6回、オナニー:ミユキが2回、和也が1回。

『ノーパン家庭教師 痺れ下半身』☆☆☆
 SP:関根和美・水上晃太・宮崎剛、AD:高田宝重、C/D:下元哲
 2005年公開作品。
 裏に渓流が流れる旧家。温泉宿のようにも見えるが、当主(久須美欽一)は後妻のユリ(佐々木基子)と定年退職後の生活をここで送っている。女子大生のシオリ(合沢萌=監督・撮影の下元哲のお気に入りなのだろう)が、伯母のユリに頼まれて、シオン(間宮結、ポスターの表記は間宮ユウ)の家庭教師としてやって来るが、継母に反感を持っているシオンは、シオリにも反発する。
 夜、下着姿のシオリがトイレに入ると、ユリの声が聞こえる。「こんなに大きくしちゃって。これをどうして欲しいの」。伯母夫婦が痴態を繰り広げる隣の部屋で、シオリはオナニーを始める。隣室から聞こえるシオリのうめき声をいぶかる夫に、「あの子は昔から寝言と歯ぎしりが」とユリはごまかす。
 シオンが勉強はそっちのけで、シオリに性経験のことを尋ねる。シオリはシオンにキスして雑音を防いでしまうが、シオンにとってはこれまで知らない体験だった。
 家でごろごろしているより、何か趣味を持てばいいというので、シオリは伯父にジャズダンスを教えることになる。子供のころ、喧嘩相手の耳をかじったのでブラッシー(もちろん力道山と戦ったあの男だ)とあだ名されていたことから、シオリは伯父を「ブラさん」と呼ぶことにするが、その呼び方が二人の距離を縮めていく。「ユリさんもシオンさんも、ブラさんをバカにしている」「働かなくなった男は、ゴミと同然だ」「そんなことないわ」
 一方シオンは、アルバイトのホテトルで常連客(なかみつせいじ)と、看護婦と患者のコスプレをしようとするが、先日のシオリとのキスが思い出されて、客との行為も上の空だ。
 ブラさんの目には、ぴっちりしたタンクトップとショーツでジャズダンスを踊るシオリの姿がちらつく。想像はエスカレートして、シオリはシオンの制服を着て、ブラさんを誘惑する。年甲斐もなくオナニーをしているところに、妻のユリがやってきて、どうせシオリでもオカズにしていたんでしょうと図星を指す。彼女の本性が現れてくる。「問題は私たち二人のこと。私が満足していると思うの? 人選ミスだったわね、お互いに」
 ブラさんがシオリの作ったカレーを食べながら、妻とのことをシオリに話している。「本当はどうなの。私のこと思って、したの?」。そして二人は…。「どこかに行っちゃおうか」
 シオンが「先生、抱いて」と、シオリに迫る。二人が行為を始めたところにユリが入ってくる。継母に腹を立ててシオンは家出をする。それを知ったブラさんも家を出ることにするが、こちらはシオリと前日に示し合わせた予定のことだった。
 バス停の前で顔を合わせる父と娘。「あの家に帰りたくない」「お父さんは、帰りたくても、帰れない」「二人とも、同じ相手に振られたみたい」。家の風呂では、「やっと二人きりになれたわね」「シオリのおかげよ」「誰が仕掛けたんだっけ」「愛のなせるわざよ」と、ユリとシオリが互いの体をまさぐっている。
 ♂×♀:3回、♀×♀:2回、合沢萌のトイレ、オナニー、入浴:各1回(入浴は久須美欽一と混浴、ジャズダンス付き)。3回目のジャズダンスのシーンとそれに続くミニスカートをほとんど真下から撮ったショットはきわどい。ラストで、佐々木基子はペニスバンドをつけていたようだが、合沢萌を相手にして使ったカラミのシーンはない。尺の関係か。

【評価基準】
  ☆☆☆☆☆以上  とても面白い、とてもよく出来ている。見逃すな!
  ☆☆☆☆      かなり面白い、かなりよく出来ている。
  ☆☆☆       面白い、よく出来ている。水準。
  ☆☆        あまり勧めない。時間つぶしなら…。
  ☆以下       ひどい!時間とお金の無駄。
  注) ★★=☆


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2006年08月04日

テアトル日記2006 #15(通算#94)

7月31日(月)観賞/新東宝3本立て(8月4日まで上映)

 日記の#14(7月19日)以降に見た映画は3本。

   7月14日(金)  『リバティーン』☆☆☆★(#14の記載漏れです)
   7月21日(金)  『かもめ食堂』☆☆☆☆
   7月23日(日)  『ブロークン・フラワーズ』☆☆☆☆
   7月24日(月)  『間宮兄弟』☆☆☆★

 19時の観客は0名、途中で2名入ってきたが、22時には0名になっていた。このところ、ぼくが見る回の観客数が絶対的に少ないので、映画以外のことに熱心な不埒な観客に遭遇することもない。

『欲情妻 むかしの愛人』☆☆☆
 SP:双美零、C:稲吉雅志、AD:今岡信治、D:渡邊元嗣(クレジットは「渡辺元嗣」)
 2004年新版公開作品。旧題名:『人妻・密会 不倫がいっぱい』(1993年公開作品)
 朝の6時46分、甲斐甲斐しく朝食を準備する蘭(小川真実)。隣の未亡人(杉原みさお)の大きなよがり声が聞こえてくる(カラオケのマイクとスピーカーを使っている)。保険屋の夫(平賀勘一)は急な仕事を思い出した、帰宅は夜の7時ころになると言って、朝食もそこそこに家を出る。夫の急な仕事というのは、隣の未亡人から契約を取ることだったのだが、それには彼女の性欲を満足させることが前提になっている。夫を送り出した蘭は、結婚前に付き合っていたサトシが一時帰国しているので、夫が帰宅するまでの11時間の間に、彼との熱い時間を過ごそうという算段だ。
 蘭の妹・恵(井上あんり)が、恋人との待ち合わせで夕方まで取ったホテルの部屋(901号室)が、無駄になりそうだから使わないかという電話をよこす。家の外では、恵の夫・太(荒木太郎)が、妻が昨日の夜から家を出たきりだとしょげかえっている。蘭はこれから太をホテルに連れて行くと、妹に電話をする。901号室に踏み込むと、妹は別の部屋(801号室)に移ったあとだった。ぼくは恵さんしか愛しません、他の女性なんかとは、という妹の亭主の言葉をきいて、「恵にだけいい思いをさせていいの?」と蘭は太を誘惑する。そのころ801号室の恵は一人でカラオケ、蘭の夫は未亡人との第2ラウンドに突入している。
 実は恵が待ち合わせしていた相手は姉の夫で、お金持ちのお嬢さんたちを紹介してもらう手はずになっていたので、未亡人との交渉が長引きそうになった蘭の夫は、部下の穴田(杉本まこと=なかみつせいじ)に、自分の代わりに901号室に行くように連絡する。
 義姉との行為のあと、「俺は獣だ」と落ち込む太に、蘭は「妹とどっちが良かった?」と尋ねる。「お姉さん」という答えに、蘭は「いけないという気持ちが、味付けになっているのよ」と応じる。太を送り出したあと、蘭はサトシと連絡を取っている。そこへ901号室から太が出るのを目撃した穴田が入ってくる。前から上司の奥さんに好意を抱いていた穴田は、チャンスの神様に後ろ髪はないというのがナンパの鉄則だと言って、蘭を強引に抱いてしまう。蘭の方も、自分が自由に遊べる時間を作るには、ここで穴田を抱き込めば、夫の帰宅時間を遅くさせたりできるだろうと計算している。「貞淑な奥さんというイメージが狂っちゃいました、いい意味で」「浮気はやればやるほど、ばれないものなの」という遣り取りも興味深い。
 結局、蘭は昔の恋人に会えず、オナニーをすることに。夫は3ラウンドの末に未亡人に契約書にハンコを押させる。その夜、夕食にすき焼きを食べた蘭と夫は何事もなかったかのようにセックスを始めるが、さすがに夫の方は食傷気味で妻の体を愛撫しながらゲップが止まらない。恵は、「金持ちのお嬢さんを紹介して」という穴田とホテルで過ごしている。時計の針は12時15分をさしている。
 ♂×♀:7回、オナニー:1回、シャワー(井上あんり):1回、映画の音楽が小鼓に掛け声の雅楽調なので、小川真実が下着姿で踊るサービスシーンは、リズムが取りにくそうで、ノリが少し悪かった。

『美人モデル 狙われた下半身』☆☆☆☆
 C:中尾正人、AD:石川二郎、SP/D:藤原健一
 2004年新版公開作品。旧題名:『痴漢ストーカー 狙われた美人モデル』(2001年公開作品)
 「夢幻堂探偵社」の事務所で、ホスト探偵のショウと女の子がセックスしている。「今日で最後。寂しくなっちゃう」「新しい仕事が入ったら、別れる約束」という会話に続いて、浮気調査の張り込み、盗聴のシーンがあって、依頼人に「仕事で別れさせることはできます」と伝えるショウの台詞のあとにタイトルとなる。
 タレント事務所でキャメラマン(例の探偵だ)が、ミチヨ(沢木まゆみ)の写真集の企画を話している。キャメラマンはヌードも考えていて、ミチヨは脱いでもいいと思っているが、社長の小川はミチヨを愛人にしていることもあってか、企画を断る。
 ミチヨの部屋の鏡台に「売女、殺す!」の文字が書き殴られている。
 仕事がオフの日、ミチヨはいつかのキャメラマンにスナップ写真を撮られる。「お前の表情が心に残った。このままだと愛人で終わってしまうぞ」「別の仕事をして、自分を変えたい」「お前の才能を引き出したい」という会話のあと、キャメラマンはミチヨに名刺を渡す。
 ミチヨの部屋が荒らされ、鏡台には再び「売女、殺してやる!」の文字。愛人の小川がその部屋にやってくるが、向かいの建物から、二人の行為は覗かれている。
 写真集のモデルをすることを決心したミチヨがキャメラマンと会っている。ミチヨは、両親が死んで兄弟もいない、帰る故郷がないのは寂しい、東京で成功して東京を故郷にしたいと、自分の思いを訴える。
 撮影風景は美しい。公園を自転車で走り回ったり、ボートに乗ったり、鳩と戯れたり。スタジオではヘアヌードも見せるが、白のイメージがまばゆい。撮影が終わって、ミチヨがカーディガンのボタンをかけようとするが、指がふるえてうまくできない。それを見て近寄るショウだが、やさしい口づけ以上のことはせず、「送っていくよ」と伝える。
 ミチヨは小川に別れ話を切り出す。その夜、ショウとミチヨは赤い車に轢かれそうになる。そして、ショウは「ミチヨに近づくな」という警告を受ける。
 小川の方も探偵を雇って、キャメラマン=ショウの素性を調べていたことが明らかになる。ショウは関西弁の探偵に殴られ、小川緑(社長の妻だ)からは、仕事を中断してくれというメールを受け取る。一方ミチヨは小川から、ショウがホスト探偵で、ミチヨに接近したのも自分と別れさせるためだったと教えられる。
 ミチヨはショウに、「信じられない。本当に全部嘘なの」と尋ねる。ミチヨと同じように天涯独り身で、女はカネヅル位にしか考えていなかったはずのショウが、「最初は仕事のつもりだった。段々本気で好きになった」と答える。女は「信じるしかないじゃない」と男の答えを受け止める。激しく口づけをした二人は、ショウの事務所で肌を合わせる。
 探偵事務所のドアチャイムが鳴る。ドアを開けると、緑が包丁を持って立っている。緑はミチヨを狙うが、二人の間に入ったショウが代わりに刺される。
 この事件を契機にして、グラビアモデルとして売れっ子になったミチヨの撮影風景。今度は黒の下着姿だ。探偵事務所では、最初の女の子とショウが、「一度もお見舞いに来なかったわね」「忘れたいんだろう」という会話をしているが、ミチヨの鏡台の前にショウが撮った写真がお守り代わりに置かれていることをショウは知らない。
 ♂×♀:4回、ミチヨの撮影風景:2回(1回はヘアヌード、2回目は黒の下着姿)。
 ホスト探偵と愛人モデルが、映画の途中から純愛物語にはまっていくのがなかなかうまい。エンディングもきれいに着地している。沢木まゆみは体の線がきれいなので、写真集のモデルという設定が少しも不自然でない。

『ダブルプレイ 友だちの母さんと…』☆☆☆★
 SP:福原彰、C:清水正二、A D:田中康文、D:佐藤吏
 2005年公開作品。
 丘の向こうに広がる町並みが、ホームムービーかホームビデオのようなトーンの画面で映し出され、主人公・ヨウスケ(広正翔)が10歳の時の思いが語られる。画面はそのまま高校2年生くらいの現在になり、友人のトキオ(三浦英幸)と彼のガールフレンド(藍山みなみ)は、用事があるとヨウスケを置いていなくなるのは、彼女の部屋でセックスするためだ。
 ヨウスケはバーをやっている母親(佐々木麻由子)と親一人子一人の暮らしだが、母親の育て方が良かったのか(夜の仕事にもかかわらず、毎朝きちんと弁当を持たせるあたりに伺われる)、素直な性格の好青年だ。一方のトキオは公務員の父親、専業主婦の母親(葉月ゆう子)と家庭環境はヨウスケに比べて恵まれている。ただし、正常位で行われる両親のセックスは義務的かつ一方的で、妻の方は物足りなさを感じている。
 ヨウスケは、「生きていて何かいいことあるのかなア」という思いにとらわれることもある。それに比べるとトキオの方は、何かと刺激にあふれている。ヨウスケには内緒でヨウスケの母親とトキオはデートするが、そのデートの最中に「何やってんだろう、私」と母親の方は一瞬思うものの、前から好きだったというトキオの言葉にホテルに行ってしまう。「初めてじゃないんだ。女になっちゃう」という佐々木麻由子の台詞と演技には、水商売をしていても子育てのためには男を断ってきた年増の性(さが)が伺える。
 マーケットでヨウスケはトキオの母親が万引きするのを見てしまう。店の外で店長(本多菊次朗)に彼女は問いつめられるが、店員が呼びに来た隙に二人は逃げ出す。幸せでない理由がないのに、寂しくてどうしようもない、日常にスリルが欲しいの、とトキオの母親は万引きの理由を話す。ヨウスケは彼女にシンパシーとあこがれを感じる。
 ヨウスケがトキオの家に借りていたゲームソフトを返しに行ったあと、マーケットの店長とすれ違ったので、こっそり家の中を覗くと、店長がトキオの母親の体を求めている。ヨウスケは家に上がり込み、店長の頭を金属バットで殴ってしまう。二人は店長の死体を車に積んで、どこかの山中に埋めることにする。「怖い。あなたは?」「怖い」という二人が途中のモーテルで抱き合うのは時間の問題だ。今日のことは二人だけの秘密、最初で最後の思い出にしましょう。筆おろしを済ませた二人が車の中を覗くと、店長の死体が消えている。死んだと思ったのは勘違いで、息を吹き返した店長は逃げ帰っていたのだ。
 最初のうちは年増の体を楽しんでいたトキオだが、次第に彼女との関係が面倒になってくる。メールには返事をしないし、かかってきた電話には、本気で付き合う気はない、十代の若者を縛りつけるかと素っ気ないので、とうとうヨウスケの母親ももう電話をしないときっぱり宣言をするが、朝まで飲まずにはいられない。学校に行こうとするヨウスケに彼女は言う。「女手一つで育ててきたことが、母さんの誇りなの。どんな人生を送ってもいいから、いい男になりなさい」「いい男って?」「バカ、自分で考えろ!」
 休日に、バス停の前で二組の家族が顔を合わせる。お互いの母親と息子が関係したことは当人同士しか知らない。やってきたバスが、5人を乗せて走り去る。
 今週もっとも期待していたのは、この作品だった。ビタースイートな青春ものの佳作になり損ねたのは、息子たちと母親たちの双方を等分に描こうとしたせいか。特に佐々木麻由子の存在感が際だっていたので、母親の視線で描いた方が良かったように思われる。
 ♂×♀:6回、ただし1回は、コンドームをつける前にいってしまい「ゴメン」となる。

【評価基準】
  ☆☆☆☆☆以上  とても面白い、とてもよく出来ている。見逃すな!
  ☆☆☆☆     かなり面白い、かなりよく出来ている。
  ☆☆☆      面白い、よく出来ている。水準。
  ☆☆       あまり勧めない。時間つぶしなら…。
  ☆以下      時間とお金の無駄。
  注) ★★=☆


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2006年07月20日

テアトル日記2006 #14(通算#93)

7月19日(水)観賞/新東宝3本立て(7月21日まで上映)

 日記の#13(7月6日)以降に見た映画は6本。17日の3本はラピュタ阿佐ヶ谷で見たが、上京した事情は次のとおり。7月15日と16日に宮城県利府町でサッカー審判インストラクター研修会があった。三連休だったので、新宿花園神社まで足を延ばした。知人も出演している椿組の小屋掛け芝居「GS近松商店」(作・演出=鄭義信)が目的だった。

    7月9日(日)   『犬猫(8ミリ版)』☆☆☆★
    7月12日(水)  『落穂拾い』☆☆☆
    7月13日(木)  『インサイド・マン』☆☆☆★
    7月17日(月)  『接吻泥棒』☆☆☆★
             『銀座の恋の物語』☆☆☆☆
             『有楽町で逢いましょう』☆☆☆★ 

 19時の観客は2名、22時には誰もいなかったが、「弘高祭」(弘前高校の学園祭)のねぷた運行と重なったせいだけではないだろう。

『ハメ狂う巨乳妻』☆☆☆
 SP:山崎邦紀、C:小山田勝治・荒井毅、AD:松岡誠、D:浜野佐知
 2005年新版公開作品。旧題名:『好きもの女房 ハメ狂い』(1997年公開作品)
 いつものように朝食を食べながら新聞を読んでいると、妻のヒナコ(細川しのぶ)がいきなり「タカちゃん、離婚しよう」と別れ話を切り出す。夫(竹本泰志)は、このところ仕事が忙しくて妻に構っていなかったと思い当たり、出勤前だがあわただしく一戦交えるが、ヒナコは夫とのセックスに飽きたのではなく、ただ一日家にいる奥さん業が退屈なだけなので問題は先送りされたにすぎない。
 夫の帰宅が遅いのを見込んでヒナコはバーに出かける。バーテン(杉本まこと=なかみつせいじ)に自分の感じているもやもやを打ち明けるのを、カウンターの向こうに座った女(青木こずえ=村上ゆう)が興味深そうに聞いている。ヒナコの帰りしなにバーテンが聞く。「何かやりたいことあるの?」「分からない。何かあったはず」。
 バーテンとセックスしながら女は、「ヒナちゃんを紹介してくれない。冒険に飛び出したそうだったから」と頼む。
夫が帰宅するとヒナコは別室に布団を敷いている。ヒナコは、今夜から家庭内別居だと宣言し、事態を甘く見ている夫が夜に体を求めてきても、今度はきっぱりと拒否する。
 ヒナコは、高校時代の先輩のキャメラマン(真央はじめ)に電話をする。久しぶりに逢った二人は、ひとしきりヒナコの写真を撮ったあと、高校時代に果たせなかった互いの思いを遂げにホテルへ行く。
 ヒナコがバーに行くと、先夜の女が「ちょっぴりエキサイティングな、日常生活の冒険をしない?」と誘いをかけてくる。ヒナコはホテルで、女同士の放尿プレーを経験することになるが、夫の方は妻がそういうことをしているとはちっとも知らず、家で「何でこうなったんだろう」と悩んでいる。
 女がヒナコに、この道を探求するなら、スワップ界のご意見番・モトカワ夫妻(平賀勘一・吉行由実)を紹介すると言う。スワッピングは変態行為ではなくて、夫婦の愛情を確認するための行為だと言われて、夫もスワッピングに同意する。初めての人は同室プレーより別室でした方がいいだろうというモトカワ夫妻の提案で、それぞれパートナーを入れ替えて行為を始めるが、お互いの行為はビデオ・キャメラで撮られていて、夫は妻のヒナコがこれまで見たこともないほど感じているのを目撃することになる。
 スワッピングをしたあと、「お互いの愛情を再確認してくれるといいけどね」というモトカワ夫妻の願いとは違って、またヒナコの思惑とは異なって、夫の方が「離婚しよう」と言って家を出ていく。ヒナコは意外な夫の決意と行動に涙をちょっと流すが、「どんなに落ち込んでも、お腹はすくのね」と立ち直りも早い。ステーキ、オムレツ、山盛りのサラダを平らげた彼女は、例のバーテンをバーで知り合った女と二人で責め立てる。
 こんなことで、ひな鳥が成鳥になったと言えるのだろうか。
 ♂×♀:4回(1回はスワッピングの二重進行)、♀×♀:1回(放尿プレー付き)、♀×♂×♀:1回、細川しのぶのシャワーシーン:1回(ヘアが見えます)。青木こずえが杉本まことにフェラチオする場面では、白のブリーフのふくらみの部分が彼女のルージュで赤く染まっていきそそられます(ちなみに、ピンク映画のフェラチオは、パンツの上から行われるか、両手で支えた先を唇がそれらしく動くか、あるいはシルエットで処理されるのが通例)。また、放尿プレーでは青木こずえがいったん口で受け止めたのがあふれ出ますが、その液体の色味がとても良くできていて、もしかしたら本当に?と思わせられた。

『セックス詐欺の女 濡れてよがる』☆☆☆★
 C:清水正二、AD:佐藤吏、SP /D:深町章
 2005年公開作品。
 ポスターの惹句はこうだ。「田園地帯に突如現れた薄幸の美女…… 果たしてその正体は! 男ヤモメを手玉にする女たちの生唾ゴックンな肉体奉仕」
 バスの行き先に大菩薩峠の文字が見えるので、山梨の山村が舞台だろう。タゴサク(牧村耕次)が野良仕事をしている。通りかかった駐在のモスケ(神戸顕一)と今夜の寄り合いはお互いに用事があって欠席だと話している。果たしてその夜、後家のマンコ(水原香菜恵)に夜這いをした二人は鉢合わせしてしまう。
 翌日、バスから都会風のしゃれた身なりの女(里見瑤子)が降りてくる。自殺の名所「地獄谷」への道を聞かれたタゴサクは、女のことが気になって後をつける。谷に架かる橋の上で、女は遺書を取り出しサンダルを揃えて飛び込み自殺をしようとする。「死なせて」という女をようやく思いとどまらせると、マチコと名乗る女が自殺しようとしたわけを語り始める。重症の肝臓病にかかった母を助けるには、肝臓移植しかありませんでした。必死で働きました。サラ金にも手を出しました。手はずが整ったとき母は死んで、今度は借金を返すために必死で働きました。でももう疲れてしまって、そのとき雑誌で地獄谷のことを読んで、…。妻に先立たれ、息子も都会に出ていったタゴサクはマチコを家に連れ帰る。
 その夜、「私を抱いてください」とマチコが言うと、そんなつもりではなかった、ヤモメにこんなことするもんでないと口では言いながら、タゴサクは彼女を押し倒している。
 マチコとの結婚を決めたタゴサクだが、駐在にはマチコを親戚の娘だと紹介する。駐在のモスケが、女結婚詐欺師のことを話題にする。ただし、彼が知っている情報は、若くて美人で、太股にホクロがあるというだけのものだ。それを聞いたマチコは、裏の温泉で自分の太股にホクロがないのを確認する。一方、駐在のモスケは道で出会ったマンコを物陰に連れ込んで、もんぺを脱がせてホクロの有無を確認する。ホクロがないのを確かめて立ち去ろうとすると、今度はマンコがモスケを引き留め夜這いの続きになるのだが、これは公務執行妨害の一種に違いない。二人の行為をマチコが見ており、彼女は何かを思いつく。
 深夜、タゴサクの家を抜け出したマチコはモスケの家に行く。「私、サラ金に追われているの」と、タゴサクに話したのと同じような身の上話をモスケに語るうちに、モスケはすっかり彼女の虜になってしまい、マチコとの結婚を決意する。
 タゴサクの息子・ゴンタが婚約者のユウコ(華沢レモン)を連れて帰ってくる。ユウコとマチコの間にただならぬ気配が立ちこめるが、男たちは気づかない。
 今夜は息子の婚約を披露する、ついでに俺の婚約も披露するとタゴサクが言うと、実は俺も結婚するんだとモスケが言うので、それなら一緒にやろうということになる。マチコと結婚するつもりのタゴサクとモスケの間で、二人から大金をせしめる算段だったマチコは進退窮まってしまう。ふと気が付くと、マンコの家の前だ。
 中年男二人が、なかなか来ない婚約者を待っていると、マンコが嬉しそうにやってくる。裏の温泉では、息子が婚約者と文字通り濡れ場を演じている。湯船から突き出された彼女の真っ白な太股には、…。
 ♂×♀:6回。夜這いのシーンでは、♂×♀が、♂×♂×♀になってしまう。ゴンタとユウコが部屋でカラむ場面での、キスする二人のアップからほぼフルショットまでゆっくりとキャメラが引く長回しが記憶に残る。マチコの入浴シーン:1回(里見瑤子はヘアをあっけらかんと見せます)。その前に脱衣シーンがあるが、ブラジャーを取る前にパンティーを脱ぐのは、里見瑤子の習慣なのか、それとも監督の指示なのか。

『性体験実話 淫女たちの告白』☆☆★
 SP:岡輝男、C:千葉幸男、AD:久須美欽一、D:新田栄
 2005年新版公開作品。旧題名:『ザ・アダルト 性告白実話』(1993年公開作品)
 最初に、女たちの赤裸々な性体験を忠実に再現したというナレーションが入る。どうでも好きにやってくれ。
 生花教室で、師範の京子(風見怜香)が静子とあかねを相手に、こうしたらもっと見映えが良くなると指導している。二人の生徒が、生け方で随分印象が変わるものね、それは着物姿の先生も同じかしらと謎をかけるのは、先生によく似た洋服姿の人が若い男の子とホテルから出て来るのを見たという噂があるからだった。二人の追及をかわし損ねて、あるいは自慢したくて京子が自分の性体験を話すと、あとの二人もそれぞれの体験を語るというのがこの映画の趣向だ。
 天童京子(40歳):普段から和服で貞淑に振る舞っている私ですが、夫が単身赴任してからは欲望を鎮めるのにオナニーをすることも。でもあの晩はそれで収まらず、ホストクラブに電話をして(電話番号をどうやって知っていたかは問うまい)、ホテルにナオキ君を呼んだの。ナオキの若いセックスの虜になっていく私。今までで一番、心も体も燃えたわ。
 沢田静子(30歳・主婦):夫はシナリオライターで、家で仕事をしている。原稿がうまく書けないと気分転換に突然セックスを要求するの。乱暴に扱われると、レイプされているようでたまらなく感じる。いつ夫が来るか分からない緊張感もたまらない。
 大森あかね(22歳・エステティシャン):私は女の体の美しさが好き。女の体に触れるのでこの仕事を選んだ。家に遊びに来たカオルがレズだということは、マッサージのときの反応で分かった。二人ともレズは初めてだった。踏み出す勇気がなかっただけだった。ヴァイブはオナニーをするときに使っていたので、持っていました。私のセックスは仕事と同じ、女の美しさへの奉仕なの。
 静子が「男の方がいいわよ」というと、あかねが「じゃあ、試してみる?」と二人は女同士の行為を始める。それを脇で見ていた京子がどこかに電話をかける。しばらくするとナオキ君がやってくる。あとは、三人の女と若いホストがゴチャゴチャに入り乱れて、男嫌いだったはずのあかねもナオキ君を受け入れている始末。少しは抵抗しろよ。
 ♂×♀:2回、♀×♀:1回(他にタイトルバックでも♀×♀)、オナニー:1回、シャワー:1回。最後の4人のシーンは、♀(あかね)×♀(静子) → ♀×♀+オナニー(京子) → ♂(ナオキ)×♀(あかね)+♀(静子)×♀(京子) → ♀×♂×♀×♀と変わります。

【評価基準】
  ☆☆☆☆☆以上  とても面白い、とてもよく出来ている。見逃すな!
  ☆☆☆☆     かなり面白い、かなりよく出来ている。
  ☆☆☆      面白い、よく出来ている。水準。
  ☆☆       あまり勧めない。時間つぶしなら…。
  ☆以下      ひどい!時間とお金の無駄。
  注) ★★=☆


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2006年07月07日

テアトル日記2006 #13(通算#92)

7月6日(木)観賞/Xces Film 3本立て(7月7日まで上映)

 テアトル日記に欠番を出したくないばかりに、ドイツ2往復という暴挙に出たことは日記の#12に書いたが、ドルトムントで日本代表のグループリーグ敗退の瞬間(中田英寿の最後の試合になった)を見届けて帰国した後も、深夜や早朝のテレビ観戦が続いて、時差ぼけの延長のままに時間を過ごすうちに、危うくテアトル弘前の映画を見逃すところだった。
 日記の#12(6月16日)以降に見た映画は8本。27日の3本は、帰国翌日に都内で見た。

    6月19日(月)  『ヒストリー・オブ・バイオレンス』☆☆☆☆★
    6月27日(火)  『ぜったい多数』☆☆☆
            『いつでも夢を』☆☆☆★    
            『ユナイテッド93』☆☆☆☆
    6月28日(水)  『パパは出張中!』☆☆☆★
    6月29日(木)  『ダ・ヴィンチ・コード』☆☆☆★
    6月30日(金)  『グッドナイト&グッドラック』☆☆☆☆★
    7月 5日(水)  『霧の中の風景』☆☆☆☆★
 
 今週の3本は先週と同様すべて新版だった。「映画芸術」の連載(415号)にも書いたが、オーピー抜きの番組編成では新版の比率が大きくなる一方だ。19時の観客は1名、途中1名増えたが、22時に劇場を出るときに一人も残っていなかったのは上映13日目ということもあるだろう。今週の3本はいずれも作家(の卵)が重要な役どころになっているので、「文豪シリーズ」と名付けることにした。

『義兄不倫 飢えた妹』☆☆☆★
 SP:岡輝男、C:中尾正人、AD:高田宝重、D:池島ゆたか
 2005年新版公開作品。旧題名:『本番丸出し下半身』(1994年公開作品)
 チヨ(橋本杏子)とミヨ(岩崎明日香)は十歳違いの姉妹だ。ミヨが子供のころから、姉は妹がほしがると、自分のものを妹に共有させていた。それが高じて、今はミヨの夫で小説家の小杉ショウゾウ(杉本まこと=なかみつせいじ)を姉妹で共有している。小杉はセックスの前に女のものを観察するのが習慣で、「昔と形が変わったな」「俺のサイズとぴったりだ」「姉妹でこんなに違う。色が黒いし、ヒラヒラが、…」など、そのたびに口にするのが、ポスターの「見せて、触って、突っ込んで! 同じ淫乱でもこんなに違う」という惹句のヒントになっている。
 会社の同僚のミノル(樹かず)に言い寄られたミヨはホテルへ。その隙にミヨの友人のアユミ(林由美香)が、今夜は小杉がいるはずのミヨの部屋を訪れ、「二股をかけられている男の気持ちを知りたい。ロマンチストのアレは左曲がりだというけど」「試してみる?」という次第で関係を結んでしまう。もちろん小杉は観察を怠らない。「左右の小陰唇の大きさが違う」「それって普通じゃない?」(ほんとですか?)
 小杉の後輩のサトル(黒沢俊彦)はかねてから、あまり仕事のない女優であるチヨに思いを寄せていた。海外青年協力隊だろうか、以前からの夢を叶えるといってアフリカへ行くと言ったのも、チヨの気を引くための嘘だった。それを知ったチヨは、アフリカに行きたいっていう夢、あれも嘘なの?と尋ねる。
 ミヨはアユミから、小杉がロマンチックな話をしたことを聞いて、二人が関係を持ったことを知り、怒って二人の頬を叩く。姉とは共有できるが、他の人とは無理だというのが、ミヨの主張だ。そのロマンチックな話というのは次のようなものだ。「宇宙から見た地球の話。夜の地球で明るいところが三カ所ある。東京、ニューヨーク、もう一つは、…」(こんな話で、ロマンチストだと思ったわけだ)
 小杉が家に帰るとチヨが旅支度をしている。女優の彼女に急に撮影の話が入って、これからロケに出かけるという。その前にアレを見せてくれと言うと彼女は素直に見せるが、小杉が「なんだか形が変わった気がする」と思ったのは、その前にチヨとサトルが性交したためだったのだが、チヨは「バカ! はい、お仕舞い」と部屋を出ていく。彼女が台本(「恋愛日記」というタイトルだ)を忘れたのに気づいて後を追うと、チヨはサトルと並んで歩き出すところだった。台本の裏表紙には「サヨナラ」の四文字が記されている。
 小杉がアユミに電話をかけると、アユミはミノルと真っ最中で、「女の友情が大事だから、あなたとは一回限り」とつれなく答える。チヨがミヨに電話をよこす。関西に駆け落ちするから小杉のことをよろしく。小杉がミヨの部屋に行くと自分の荷物がまとめられている。「お姉さんのものでなくなったから別れる。サヨナラ」と、彼女も旅に出てしまう。
 数カ月後、直本賞が発表になる。受賞作の「バカな庄三と三人の女」を書いた小杉がテレビでインタビューを受けている。ホテルの部屋では、「お姉さんは許してくれる」と言いながら、ミヨが姉のものとなったサトルとセックスしている。
 ♂×♀:7回(1回は小杉がミヨにオナニーをさせているところから発展)、岩崎明日香の入浴シーン:3回。チヨとサトルがリビングで初めて抱き合うシーンは、二人のはやる気持ちが痛いほど伝わってくる緊迫感がありました。

『三十二才毛剃妻 唾液の香り』☆☆☆★
 SP:山崎邦紀、C:稲吉雅志・片山浩、AD:国沢実・小山内郁代、D:浜野佐知
 2005年新版公開作品。旧題名:『どスケベ奥さん 感じる剃りあと』(1995年公開作品)
 アヴァン・タイトルで、先生と呼ばれる男が「ワカメ酒」を楽しんでいる。
 日本文学界の重鎮らしい谷川先生(リョウ)が、ヘアヌードと日本文化についてのエッセイを書くのに苦労している。先生の口からは、日本文学の伝統、日本的な美意識という言葉や、このエッセイは今年の日本文学の収穫になるはず、などと威勢のいい言葉が出るのだが、筆(とは言っても口述筆記だ)は一向に進まない。
 同居している息子(樹かず)の嫁・スギコ(秋乃こずえ)がシャワーを使っているのを磨りガラス越しに覗いた先生は、彼女のヘアが瞼に焼き付いてしまう。
 エッセイを書くためには、ヘアヌード写真集のきちんと整えられたヘアではなく日常生活のヘアを観察することが必要だと考えた谷川先生は、口述筆記を手伝ってくれるマサミ(青木こずえ=村上ゆう)に見せてくれと頼む。その話を聞いたマサミの夫(荒木太郎)は、彼女が寝ている間に大事なところのヘアを剃ってしまうが、その後の二人の性交は剃りあとがすごく感じるわ、といつになく激しい(旧題名は、ここに由来しているのだろう)。
 谷川先生の愛人(姫ノ木杏奈)が、今日はどんなエッチをしてくれるの、とやってくる。電気店でビデオキャメラを仕入れた先生は、女体盛りやハメ撮りで忙しい。
 マサミが夫にヘアを剃られたことを谷川先生に伝える。日本文学界のために、剃られたそこを見せてくれという先生の再度の頼みに、「日本文学のお役に立ちたい」と、マサミがツルツルになったところを見せると、「マサミ君、ありがとう。美しい。インスピレーションが湧いてきた」と先生は喜ぶ。
 谷川先生はキャメラを家のあちこちに仕掛け、嫁の裸や息子夫婦の夜の行為を覗くが、ある日スギコがそれに気づく。詰問するスギコに先生は、「ヘアヌードは日本文化にとって、大きな問題を持っている。ヘアを剃ってみせてください。日本文化のために一肌脱いでくれ」と頼む。嫁の心は夫に対する貞操と日本文化への貢献という狭間で揺れる。結局谷川先生の意のままにビデオキャメラの前で剃毛することになるが、前の方はともかく、後ろのきわどいところは自分でうまく剃れなくて、先生に手伝ってもらうことになる。
 ヘアを剃ったことで人格が変わった、義父がどんなエッセイを書いたかは分かりません、興味もありません、という彼女のつぶやきのあとに、スギコと夫、スギコと義父の二組の性交シーンがカットバックされて映画は終わる。
 ♂×♀:7回(1回は冒頭のワカメ酒のシーンから、最後は夫と義父をそれぞれ相手にしたカットバック)、シャワーシーン:1回、脱衣シーン:1回、剃毛シーン:2回。剃毛は本当にしているように見えた。スギコ役の秋乃こずえは、昼は和服姿の清楚な女性が、夜になると娼婦のように乱れる女性という、男性からの一種の理想像を体現している。
 谷川先生のモデルは、谷崎潤一郎でしょうか。撮影当時、秋乃こずえは32歳だったのでしょうか。また、1995年当時、ヘアヌード写真集が随分騒がれたことを思い出した。

『四十路未亡人と猫 ねぶり責め』☆☆☆ 
 SP:岡輝男、C:千葉幸男、AD:佐藤吏、D:新田栄
 2005年新版公開作品。旧題名:『痴漢と覗き 未亡人と猫』(1996年公開作品)
 この映画の陰の主人公は、「チャチャ」と名付けられ6才の牡の黒猫だ。そのチャチャが狂言回しのようになって物語が展開する。猫と来れば漱石だが、自称、作家の卵の刑部(オサカベと読みます。芳田正造)は原稿用紙のマス目に「吾輩はヒモである」と、スナックのママに婿入りして養われている自分の境遇を書き留めたりするが、映画は喪服の女(秋山ルナ)が、夫の写真と黒猫の写真の前でオナニーするところから始まる。
刑部が妻(田口あゆみ)とセックスしている寝室にチャチャが入ってくると、妻の方は気が散ってしまう。二人はチャチャが迷い込んだのがきっかけで仲が良くなったこと、そして婿入りした売れない小説家の面倒を女がみていることが、二人の会話から明らかになる。
 ある日、チャチャがいなくなる。刑部が探し歩いていると、チャチャそっくりの黒猫を抱いた女を見かける。彼女の家を覗くと、女は裸になってオナニーを始め、乳首や大事なところを猫に舐めさせている。いなくなった猫そっくりの猫を抱いて家にはいるのを見たので、と刑部は彼女の家に上がり込み、彼女が夫と可愛がっていた猫を一緒に亡くしたことを知る。時々会いに来ることを条件に猫を譲ることにした刑部の狙いは、未亡人を抱くことだった。「私とするなら覚悟はいい?」と言う彼女はSMの女王様で、刑部は縛られ、責められる。「苦痛に強いわね」「結婚しているんでね」というやりとりは笑いを誘う。
 女王様は、身の回りの世話は私がするから、ここで小説を書いたらと普段はやさしい。妻の方は、猫も飼い主も帰ってこないし、スナックも暇で少し寂しくなっているが、若い客(竹本泰史)がやってくると、夫の不在をいいことに彼を家に連れ込んでしまう。
 チャチャが未亡人=女王様の家からいなくなる。刑部は、チャチャの行方が気になり探しに外に出るが、足はいつしか自分の家に向いてしまう。猫の鳴き声につられて家にはいると、チャチャがまた結びつけてくれたと、妻に結婚指輪をはめさせられる。
 差出人が「寺島ひなの」となっている手紙が届く。例の未亡人=女王様からだ。そこにはチャチャをちゃんと譲って欲しいと書かれている。刑部は猫を連れてひなのの家に戻る。またチャチャがいなくなる。刑部が猫を探しているうちに、聞き慣れた鳴き声がする。声がする家の中を覗くと、タマと呼ばれている黒猫が女の体を舐めている。今度もまたその家に上がり込むと、女は「飼い主に似るっていうけど本当ね」と言ったあと、攻守ところを変えて、男の後ろを舐めながら前の方をもてあそぶ。
 ♂×♀:5回、オナニー:3回(うち2回は、舐め猫つき)。舐め猫の訓練はどうやって行うのだろう。怪猫映画で猫は行灯の油を舐めるのだが、さしずめ菜種油を使って訓練したのだろうか、そこに興味を持ってしまった。また、猫舌のザラザラ感がいいのだろうか。

【評価基準】
   ☆☆☆☆☆以上  とても面白い、とてもよく出来ている。見逃すな!
   ☆☆☆☆     かなり面白い、かなりよく出来ている。
   ☆☆☆      面白い、よく出来ている。水準。
   ☆☆       あまり勧めない。時間つぶしなら…。
   ☆以下      ひどい!時間とお金の無駄。
   注) ★★=☆


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2006年06月20日

テアトル日記2006 #12(通算#91)

6月16日(金)観賞/Xces Film 3本立て(6月23日まで上映)

 6月9日に「FIFAワールドカップ2006ドイツ」が始まった。4年前の6月は日本全国を走り回って全部で13試合観戦したが、今回は6月12日の対オーストラリア戦(1−3の逆転負け)と22日の対ブラジル戦(2−0以上の勝利が必須だが、敗戦処理になりそうだ)の2試合のチケットが手に入ったので、約2週間ドイツ(を含むヨーロッパ)に居続けることも考えたが、6月10日初日のテアトル弘前の番組を対象にする「テアトル日記2006」に欠番を生じさせないために、一時帰国してこれを書いている。
 日記の#11(5月30日)以降に見た映画は5本。2006年にスクリーンで見た映画の総タイトル数は、ちょうど延べ100本となった。

5月31日(水)  『明日の記憶』☆☆☆★
   6月 1日(木)  『ナイロビの蜂』☆☆☆★
   6月 5日(月)  『痴漢電車 挑発する淫ら尻』(日記の#11で紹介・再見) 
   6月 7日(水)  『クラッシュ』☆☆☆☆★
   6月 8日(木)  『蝶の舌』☆☆☆☆

 19時の観客数は4名。途中6名まで増えて、22時に劇場を出るときには2名だった。
 日記の#11のナゾナゾなどの答えは次のとおり。\こΔ念貳崔擦づ傾颪力叩А屬△里茵廖覆△寮ぁ法⊃預里離僉璽弔韮暁椶頬陳イ垢襪發里福舛法:瞳孔。

『高校教師 −喪服淫行−』☆☆★
 SP:岡輝男、C:佐々木要一・千葉幸雄、AD:高島平、D:新田栄
 2005年新版公開作品。旧題名:『喪服教師 のどの奥まで』(1997年公開作品)
 教室の黒板に「二学期末試験」と書いてある。試験監督の女教師・遠藤ミサコ(松島エミ)の白いスーツの左袖には喪章がつけられている。彼女は夫の信一を二年間の入院の後に亡くしたばかりで、明日は初七日なので試験監督はできないと生徒に伝えるが、それなら今日だって無理に出てこなくてもいいのにという生徒たちの反応はもっともだ。
 翌日、初七日の法事も終わり、喪服もののルーティンどおり、彼女は夫とのセックスを思い出してオナニーを始める。そこへ夫の友人のエンドウ(杉本まこと=なかみつせいじ)が法事に遅れたとやってきて、勝手に家に上がり込み、ミサコのオナニーを見てしまう。エンドウは、「前から好きだった」とミサコを抱いてしまう。さらに、試験を受けている間でもミサコのミニスカート姿に股間を硬くしてしまうウチダ君(熊谷孝文)も彼女の家にやってきて、ミサコとエンドウの姿を覗き見してしまう。おまけに持ち合わせていた写真機(今なら携帯電話なので、もっと自然ですね)で、その最中の二人の姿を撮ってしまう。
 街でエンドウがミサコを見かける。声をかけようとするとウチダ君が現れ、二人はラブホテルへ入っていく。ホテルの部屋で、写真をネタに脅しをかけるウチダ君に、彼女は高校生のモラルを説くが、ウチダ君も「夫の遺影の前でセックスするモラルはどうなんだ」と言い返す。先生のことを好きだと言うウチダ君に、あなたはアカリさん(西川かおり)と付き合っているでしょうとミサコが指摘すると、先生を忘れるためだったとウチダ君は答え、ぼくの気持ちが分かってもらえますかと、写真機からフィルムを抜き出して感光させる。ミサコはウチダ君の思いを受け止め体を与える。
 一方、ミサコが高校生とラブホテルに入るのを見たエンドウは、帰宅して妻(田口あゆみ)の体を求める。妻の方は外で何かあったときしか夫は求めてこないと冷静だが、妻のフェラチオで射精するとき、エンドウはミサコの名前を呼んでしまう。
 アカリがウチダ君の撮った写真をネタに、内申書に手心を加えてくれとミサコに迫る。ウチダ君がフィルムを感光させたことを知って、アカリはウチダ君を裏切り者呼ばわりするが、してみると先日のホテルでのこともアカリの入れ智恵だったのか。
 一週間後、ミサコは家にエンドウとウチダ君を呼び出す。「今日は私の葬式。供養して」と、二人の男の前で彼女は喪服の裾を割り、二人に体を任せる。「今までの榎本ミサコは死んだの。これからはもっと正直な榎本ミサコになるの。未亡人、聖職者の前に女なの」。
 夫の初七日が済む前に仕事に出たり、写真機に入ったままのフィルムでゆすろうとしたり、という脚本は隙だらけだ。「ゆすり」という犯罪を前にして高校生のモラルを説いたり、その後に体を与えるシーンのBGMが演歌調になるあたり、さらにミサコが教師である自分のことを聖職者と呼ぶところでは微苦笑を禁じ得ない。♂×♀:6回(タイトルバックを含む)、♂×♀×♂:1回、オナニー1回は♂×♀の回想シーン付き。

『すけべ女医 白衣の尻』☆☆☆
 SP:岡輝男、C:千葉幸男、AD:加藤義一、D:新田栄
 2005年新版公開作品。旧題名:『人妻歯科医 こすれる太股』(1997年公開作品)
 カワムラ老人(久須美欽一)が、女歯科医(川島ゆき)のお尻に触りながら、「早く抜いて欲しいんじゃ」と言っている。悪い歯はありませんよと言う歯科医に、抜いて欲しいのはこっちの方と、老人は自分の股間を指さす。カワムラがセクハラを繰り返すので、彼女は歯科医院への出入り禁止を言い渡す。
 年増の女(しのざきさとみ)が若い男=ハヤト(塚本征樹)とセックスしている。ハヤトの方はそろそろ別れる潮時と考えているので、女は必死だ。口の中に蕎麦を含んでフェラチオすると、男は「お前の口はミミズ千匹だ」と喜ぶが、「歯のない女にやられるとすごく気持ちいいそうだ、一度やられてみたい」と続ける(ぼくは、中国の性技の一つとしてどこかで読んだ記憶がある。また、『楢山節考』の撮影前の田中絹代のエピソードも思い出した)。
 年増の女は女歯科医のところで、「(男に)捨てられたくない。彼のをくわえたい、くわえがいがあるの」と全抜歯を頼むが、もちろん歯科医は健康な歯を抜くことにうなずくはずがない。ハヤトは女から歯科医院でのいきさつを聞いて、冗談だよ、そういうのを真に受けるお前が嫌なんだ、と言う。「どうして意地悪するの」「どうして意地悪させるんだ」という遣り取りの場面には、メロドラマの王道・本流と呼ぶべき、腐れ縁の匂いがひとかたならず漂うのだが、男の方は若いホステス・タカコ(槙原めぐみ)に乗り換え、映画はメロドラマの深みに陥らない。タカコには300万円の前借があり、男は歯痛で訪れた女歯科医から借金を返す金(プラスアルファ)を巻き上げることを計画する。
 ハヤトの逸物の大きさを診察中にそれとなく観察していた女歯科医は、夫(杉本まこと=なかみつせいじ)が出張中なので、男の食事の誘いにのってしまう。酔った流れで入ったホテルで、「これが欲しいんでしょう」と見せられると、「大きい!」と体を許してしまう。
 数日後、宅急便でビデオテープが送られてくる。再生してみると、先夜のホテルでの姿が映っている。ハヤトから電話がかかってくる。500万円で手を打ちませんか。彼女が預金通帳を見ると貯金が無くなっている。夫に問いただすと、ギャンブルですってしまったのだと言う。男との交渉で困っていると、カワムラ老人がそのテープを600万円で引き取ろうと申し出る。今でこそ単なるスケベな老人だが、昔はかなりの筋者だったらしく、ちょっと彫り物をちらつかせると話は決まってしまう。カワムラは先代の歯科医に随分世話になり、いつか娘の方に恩返しをしようと考えていたのだった。「何かお礼を」と彼女が言うと、「出入り禁止を解いてくれ」「一回ぐらいなら抜いてあげてもいいわよ」と応じると、「セクハラの醍醐味は、嫌がる顔を見ることだ」と老人はニンヤリする。
 夫がギャンブルをやめると誓い、歯科医の夫婦仲も修復する。タカコは別の男に借金を払ってもらって、これからハワイへ遊びに行くところだと屈託がない。ハヤトはタカコには捨てられたが手元には600万円の金が残った。ただ一人、しのざきさとみが演じた年増女のその後だけが気にかかる。♂×♀:6回(1回はカワムラ老人の白昼夢)。

『痴情スチュワーデス 黒タイツの太股』☆☆☆★
 C:林誠、AD:諸江亮、日高典明、SP/D:瀧島弘義
 2005年新版公開作品。旧題名:『人妻スチュワーデス 制服昇天』(1998年公開作品)
 寿退社を前にしたラストフライトが終わったヨウコ(川村千里)が、空の仕事に別れを告げながら飛行場を背景にして、制服のまま白昼堂々とオナニーを始める発端に驚く。
 社内結婚で専業主婦になったヨウコのところに電話がかかってくる。夕立が来そうだという空模様と、「約束のお金は払いました」という彼女の答えと狼狽振りが、この後の波乱を予感させる。電話の主であるチンピラのアキラ(根本義久)が、レイ(吉行由実、ポスターの表記は由美)を連れてやってくる。女の方は何故か怪我をしている。単調な日常生活の中で、再び大空を飛びたいという思いにとらわれだしていたヨウコは、変化を求めて「私も連れてって」と二人と一緒に家を出る。
 アキラが「始めようか」と合図する。レイが通りかかった車の前に身を投げ出す。二人は当たり屋だったのだ。「(この手で)私もやられたわけだ」。こうして三人の道中が始まる。ある日、当たった車が警察官の車で、三人は捕まりそうになる。捕まる寸前にヨウコが警察官の頭をブロックで殴ってしまう。それまでは当たり屋として手配されていたのが、傷害致死罪が加わり、三人の道中は逃避行へと変わる。
 手配書は田舎町にもまわっている。三人は、村人から尊敬されている模範的な警察官だというシンさん(野上正義)の検問を受ける。アキラはハンドルに、レイも車の中に手錠でつながれ、拳銃で脅かされてヨウコが犯される。シンさんは、行為の後のペニスを「お前は掃除係だ。噛んだら殺すぞ」と言ってレイにフェラチオさせ、三人は捕まることもなく解放される。レイは、警察官のこのような行状に、もう信じるものがなくなったと、当たり屋から引退することを宣言して仲間から離れる。
 残されたヨウコとアキラは、お金は裏切らないと当たり屋稼業を続けるが、海外研修に出ているはずのヨウコの夫(森羅万象)が運転する車に当たってしまう。夫は、ヨウコのかつての同僚のサトミ(篠原さゆり)と一緒だった。
 ヨウコとアキラの逃避行は続く。二人はヨウコが生まれ育った村へやってくるが、そこは鉱山が閉山となり廃村となっている。「来なきゃ良かった、よけい悲しくなっちゃった」「あんたにとってはいろいろあったけど、こんなときは俺が抱いてやる」「もう一回言って」「こんなときは…。俺ってカッコいいぜ」と、二人は柔らかな陽光の差し込む廃屋の中で体を合わせる。
 女の中では、少女のときに大空への思いを育んだ故郷で、もう一度空で働きたいという思いが広がる。海辺の崖地に車を止めてセックスする二人。「俺、何か飛べそう」「私も飛べそう」「俺バカだから、今すぐ飛べそう」「私もバカだよ」。車の外へ出る二人。銃声が響き、白い鳥の羽が舞う。波打ち際に横たわる二人。「落ちちゃったの?」と二人は歩き出す。
 映画は歩道橋の上で制服姿のままオナニーをするヨウコに戻る。白昼の太陽がまぶしい。してみると、これは全てヨウコの白昼夢だったのだろうか。
 前半部分に比べて、ヨウコの生まれ故郷に着いてからの部分に魅せられた。随所にインサートされる、少女時代のヒロインが大空を夢想して手を広げて走り回るホームムービーの映像が、映画にリリカルな趣を与えている。♂×♀:6回、♀×♂×♀:1回、♀×♀:1回、三人の連れション:1回、オナニー:2回、入浴シーン:1回。

【評価基準】
  ☆☆☆☆☆以上  とても面白い、とてもよく出来ている。見逃すな!
  ☆☆☆☆     かなり面白い、かなりよく出来ている。
  ☆☆☆      面白い、よく出来ている。水準。
  ☆☆       あまり勧めない。時間つぶしなら…。
  ☆以下      ひどい!時間とお金の無駄。
  注) ★★=☆


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2006年06月07日

テアトル日記2006 #11(通算#90)

5月30日(火)観賞/新東宝3本立て(6月9日まで上映)

 日記の#10で紹介した『変態家族 新妻淫乱責め』の公開年を書き忘れました。2005年公開作品でした。日記の#10(5月17日)以降に見た映画は6本。2006年にスクリーンで見た映画の本数は、延べ90タイトルを越した。

   5月18日(木)  『デイジー』☆☆☆★
   5月19日(金)  『ホテル・ルワンダ』☆☆☆
             『陽気なギャングが地球を回す』☆☆★
   5月21日(日)  『下妻物語』☆☆☆☆
   5月25日(木)  『グッバイ・レーニン』☆☆☆☆
   5月26日(金)  『アメリカ、家族のいる風景』☆☆☆☆

 19時の観客数は2名。途中観客が入れ替わって、22時に映画館を出るときには3名残っていた。今週のプログラムは、「キャメラマン・下元哲」特集になっていた。

『性感療法 白衣の愛撫』☆☆☆☆
 C:下元哲、AD:今岡信治、監督助手:田尻裕司、SP/D:片岡修二
 2005年新版公開作品。旧題名:『性感治療 白衣のわななき』(1992年公開作品)
 男(下元史朗)がEDの診察を受けている。女医(伊藤清美)が見せてくださいと言うのでズボンを降ろすと、手を伸ばした女医がさりげなく「大きいですね」と言う。「ええ、まあ」という男の答えに、「必ず満足させるわ オトコが立たない男の悩みを解消! セクシーな女医と看護婦の秘密の治療室!」というポスターの惹句の方向に映画が進むのかと思ったのだが、次の場面ではピンク映画(映画の中ではポルノ映画と語られる)の脚本家(池島ゆたか)と監督(先程の患者だ)が、来週にはクランクインする映画のアイデアが浮かばないので頭を抱えている。一種のバックステージものの様相が漂い出すやいなや、フェリーニの映画の記憶が蘇った。果たして映画の最後に祝祭的な場面は用意されているのだろうか。
 脚本家にとって114本目になるというポルノ映画の脚本のアイデアがなかなか浮かばないのは、面白いものが見あたらないというより、面白がる気持ちが薄らいできているせいだと、中年にさしかかっている脚本家と監督は納得する。
 二度目の治療のとき、仕事のストレスがありますかと尋ねられた監督は、「制作費が少ないとか、いろいろあります」と答える。女医に「わいせつな想像をしてみてください」と言われた監督は、部屋に看護婦(水鳥川彩)もいるので「あなた方二人がレズビアンしているところ」と答えると、二人は「こんなふうにですか」と女同士の行為を始めるが、それは監督の想像の中のことだった。しかし、その想像で監督のペニスは不完全だが勃起する。
 苦労の末、脚本ができあがる。「クンニリングスがクリーニングになっている」と監督が指摘すると、脚本家は「クンニリングスであそこをクリーニングする」とまぜ返すが、誤字脱字以外の感想を言わない監督に少しイライラを感じてもいる。
 脚本はラブストーリーらしいのだが、監督がポルノ映画としてどうなのかとようやく感想を述べると、脚本家は一番いやらしいセックスは愛し合う者同士のセックスだ、お前みたいに不毛のセックスばかりしているやつは愛に目覚めろと言う。そして、脚本家は妻の志津子(しのざきさとみ)を相手にセックスを始めるが、それもまた監督の想像だった。
 三度目の診察日。「先生は風邪でお休みです。ちょっとフェラチオしてみましょうか」と看護婦が言うので、彼女の言うままに身を任せるうちに、看護婦の方はどんどん良くなってしまう。次の診察のときの女医との会話。「看護婦とセックスしたそうですね」「いえ、私の方はちゃんとは、…」「あの子は不感症だったんです。レイプされたことがある。医者が直せなかったものをあなたは直した」。しかしそのあと、女医は男との行為で感じた看護婦を診察台の上で亀甲縛りにして、ヴァイブレータを使って仕置きする。
 ラストを直せと言う監督に、脚本家は新しい仕事が入ったのでインの日程が変わらないのなら無理だと答える。この場面には、ピンク映画界の現場の厳しさが浮かび上がる。
 夜、監督の部屋に志津子がやってくる。「夫は愛あるセックスと言っているが、本当は夫婦仲は良くないの。あの人、体がだらしないの。今夜、泊めて」。湯上がりに「抱いて」と迫る志津子に、「勃たないんだ。指と舌なら」と監督は応じる。
 翌朝、監督が目を覚ますと志津子は夫の元へ帰っている。映画の始まりに期待した祝祭的な場面の代わりに用意されていたのは、毎日の日常的な時間の始まりを前に、大きなため息をつく、監督、志津子、脚本家、女医、看護婦の姿だった。
 ♂×♀:4回、♀×♀:2回、しのざきさとみの入浴シーン:2回。池島ゆたかとしのざきさとみのカラミの場面は、しのざきさとみの反応から想像するに、また池島ゆたかの前貼り否定の演技論から察するに、本当に彼女をいかせているように思われた。

『好きもの人妻たち 乱交』☆☆☆★
 SP:江戸去里晩、C:下元哲、AD:榎本敏郎、D:深町章
 2005年新版公開作品。旧題名:『ねっとり妻 おねだり妻』(1997年公開作品)
 脚本家の名前が人を食っている。この映画は「テアトル日記2003」以前に見ている。
 二組の夫婦が、山梨の温泉に一泊の小旅行に出かける。クミ(林由美香)とミサ(青木こずえ=村上ゆう)は高校からの友人で、同じ旅行なら夫婦二人より、あるいは女二人より四人の方が面白いはずというわけだ。
 宿に着くとミサと夫のウエハラ(樹かず)は早速一戦始める。お風呂に入ってない、と躊躇するミサに、「刺身と女は洗うな」と夫は答える。そして彼女の性器を見ながら、「ステーキと同じだ、濃い焼け色の中からピンクの肉色が現れる」と続け、さらに世界で一番短い天国の話を披露するのだが、これは馬鹿馬鹿し過ぎてあまり笑えない。この言葉のギャグは、人間の体の中で6倍に膨張するものな〜に?というナゾナゾに引き継がれる。
 旅館の亭主(池島ゆたか)と女中さん(扇まや)との激しいカラミが物語の展開と無関係にインサートされ、クミの夫・ナカジマ(杉本まこと=なかみつせいじ)が酔いつぶれた隙に、妻のミサ公認のウエハラにクミが犯される(終わった後、「悪いわね、お借りしてしまって」とクミが悪びれないのは、もちろん合意の上の行為だ)。ミサが入浴しているところにナカジマが現れ、無理矢理にフェラチオさせる。部屋に戻ったナカジマは妻を相手に「前戯なき戦い」を仕掛ける。さらにナカジマは、部屋の外に出たミサを呼び止め、ベートーヴェンのピアノソナタ第14番(月光の曲)をBGMにしてセックスをしてしまうが、それは妻のクミに見られてしまう。都合三戦終えたナカジマに対してクミは容赦しない(風呂場のフェラチオは知らないはずだ)。蟻の戸渡りをデコピンすると、ナカジマのものは力を取り戻す。部屋を仕切っていた襖が開け放たれ、二組の夫婦の性交が繰り広げられる。快楽に貪欲な妻たちに馬乗りにされた夫たちは、もう沢山だ、助けてくれと悲鳴を上げる。
 翌朝、太陽が黄色い、運転できないと腰がふらついている男たちに向かって、四人一緒に住むことに決めた女たちは、「これからは毎晩2回よ、休みの日は朝からね。もちろんスタミナ食は作ってあげるわ」と恐ろしい宣言をする。♂×♀:7回(1回は2組同時進行)。
 撮影スナップらしい、四人の登場人物の写真が映画の最後に映し出される。その中の一人、クミ役の林由美香が亡くなってもうじき一年がたとうとしている。
 ところで、世界で一番短い天国の話と、人体のパーツで6倍に膨張するものな〜に?の答えは、テアトル日記の#12でお知らせします。

『痴漢電車 挑発する淫ら尻』☆☆☆☆
 SP:大河原ちさと、C:下元哲、AD: 城定秀夫、D:友松直之
 2005年公開作品。
 シャワーを浴びる若い女性(北川明花)。腰にバスタオルを巻いただけの青年が、ベッドの周りでそわそわしている。そして「助けてください」と、見えない誰かにお願いしている。場所はどうもラブホテルのようだ。ここまでがアヴァンタイトルだ。
 いまや「オタクの街」秋葉原から、いかにもそれらしい眼鏡をかけた青年が総武線に乗って、若い女性の後ろに立つ。青年の手がスカートの上から女のお尻をまさぐる。女はそれを嫌がるふうでもなく、そのまま触らせているうちに少しずつ感じてきたようだ。
 突然、二人の動きが停止する。画面も車内ロケから電車のセットに変わり、四人の男女が二人を取り囲んでいる。そこへ車掌がやってくる。四人は霊界電車の乗客で、生まれ変わるのが嫌で成仏しないでいたのだ。車掌が宣告する。あなたがたがいつまでも成仏しないでいるのは、新人の幽霊に示しがつきません。この列車は行き先を変えて、地獄行きの特急になります。でも電車を止めるチャンスを一度だけあげます。あの青年は彼女いない歴26年、当然童貞です。一カ月以内に彼に筆おろしさせなさい。
 童貞君の部屋に、鉄砲玉になって死んだ極道、引きこもりから栄養失調で死んだ高校生、受験に失敗して自殺した浪人生、そしてなぜ死んだのかよく分からないが美貌の人妻(北川絵美)の四人が集まっている。部屋の中の雰囲気、姿の見えない声から、童貞君は自分の周りに幽霊がいることをどうやら理解する。
 四人の筆おろし作戦が開始される。電車に乗ると先日の女の子が立っている。彼女の後ろに立った童貞君は、また痴漢を始めるが、今度は地獄に行きたくない四人の必死のアドバイスがあるので、手はスカートの中に、パンストを破いて下着の中へと、行為は前回の何倍も過激だ。女の方もそれを望んでいたのか、電車を降りた新宿駅で、「あまり素敵だったんで。いつもしてる訳じゃないんです」と代わりのストッキングを差し出す童貞君に、「信じます」と答えるのみか、名前、携帯の番号、メルアドまで交換してしまう。
 幽霊たちの「自分を変える勇気」という励ましで、童貞君と江里香(メールの画面で名前が分かる)の仲は順調に伸展する。一方、引きこもり君は、お互いが本当に求め合えば、この世とあの世の二人であっても夢の中で愛し合えるので、恋人(華沢レモン)と最後の思いを遂げる。しかし、江里香が上司に口説かれているのを誤解した童貞君は落ち込んでしまい、大事な携帯電話も落としてしまう。この横恋慕は、人妻幽霊によって克服される。
 幽霊たちが童貞君を再び励ます。自信を持ちなさい、あなたは生きているのよ、後悔なんか死んでからでもできる、あなたには私たちがついている。
 二人は夜の街で出会う。うまく言葉が出ない童貞君に江里香が「頑張って」と言う。「好きです」という告白に、「私もあなたのことが好きですよ」と彼女は答え、彼に口づけする。安心した四人の前に車掌が現れ、「課題は筆おろしまでですよ」と確認する。
 画面は冒頭のホテルに戻る。四人の「落ち着いて」「Hなんてそんなに難しいものじゃない」「ともかく全身愛撫だ」に続く事細かなアドバイスに従ったテクニックで、江里香は潮吹きまでしてしまう。童貞君は初めての悲しさ、恥ずかしさですぐいってしまうが、彼女の「ちゃんとつかんでますから、もう一回しませんか」に「何度でも」と答える。
 課題をクリアした幽霊たちは、励ましたつもりが逆に生まれ変わる勇気をもらった、お気楽な幽霊生活より成仏したくなった、と車掌に告げる。「極楽浄土に、行き先変更」。
 ♂×♀:3回、オナニー:1回、ヒロインのシャワーシーンとヘアヌード:各1回。
 ぼくは見ていないが『電車男』のイメージと、幽霊を使ったアイデアの勝利。

【評価基準】
   ☆☆☆☆☆以上  とても面白い、とてもよく出来ている。見逃すな!
   ☆☆☆☆     かなり面白い、かなりよく出来ている。
   ☆☆☆      面白い、よく出来ている。水準。
   ☆☆       あまり勧めない。時間つぶしなら…。
   ☆以下      ひどい!時間とお金の無駄。
   注) ★★=☆


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2006年05月24日

テアトル日記2006 #10(通算#89)

5月17日(水)観賞/新東宝3本立て(5月26日まで上映)

 日記の#9以降に見た映画は3本。15日の2本は、13日の日本代表対スコットランド代表戦(埼玉スタジアム)を見に上京したついでに見た。

   5月11日(木)  『ブロークバック・マウンテン』☆☆☆☆★
   5月15日(月)  『心中天網島』☆☆☆☆
            『ゲット・リッチ・オア・ダイ・トライン』☆☆☆★

 19時の観客数は0名。1本目の途中で入ってきた観客は、携帯電話のベルを二度鳴らし、タバコを2本吸って、1本目のエンドマークの前に出ていった。この観客の他に途中の入場者はいなかった。
 今週のプログラムは新版2本に新作1本という構成だが、1997年から2001年までに4本作られた「ピンサロ病院」シリーズのうち、的場ちせ監督作品2本が揃っているのがよろしい。

『ノーパンナース 全裸で診察』☆☆☆★
 SP:福俵満、C:田中譲二、AD:松岡誠・加藤義一、D:的場ちせ
 2005年新版公開作品。旧題名:『ピンサロ病院 ノーパン白衣』(1997年公開作品)
 看護学校を最下位で卒業したオノサトミ(麻生みゅう)は、それでも国家試験に合格し、今日から病院に勤務することになった。ところが、彼女が病室のドアを開けると、首輪をつけた患者さんのお尻を看護婦さんが叩いていたり、相部屋ではAVを見ながら看護婦さんがオナニーをしているうち、患者さんを交えての3Pに発展したり、サトミがトイレにはいるとしっかりドクターに覗かれたりするのは、ヤマシタ院長(平賀勘一)の「万病の解決法は、性の開放にあり」という方針が、病院内に徹底している結果だった。
 サトミの社会人一日目は驚きの連続で彼女は最後には失神してしまうのだが、それは初体験のときの痛みがトラウマとなって、セックス恐怖症・不感症になってしまったためだった。ヤマシタ院長が、不感症の看護婦がこの病院でやっていくのは無理だと言うが、サトミは一人前の看護婦になるため頑張ろうと決意する。
 院長がそう言ったのには訳がある。毎週金曜の夜、一カ月以上入院した患者さん(男性に限るのがミソ)を対象にした特別治療があるのだ。エグゼクティブ・ルームを覗いたサトミは、患者さんと看護婦さんたちが繰り広げる痴態にまたまた失神してしまうが、そこで彼女の中の何かがはじけてしまう。
 婦人科医(村上ゆう=青木こずえ)が、サトミの不感症の原因を突き止めたいと言ってサトミを診察する。彼女には独特の理論があって、口の中と女性のアソコの構造は同じだというのがその理論である(理論というより、仮説ですね)。不感症のサトミは、ご飯がのど元を通り過ぎるときの感触が気持ちよくて好きだという。果たして、サトミのGスポットはのどの奥にあった! 女医の処方箋は、片っ端からフェラチオすれば不感症が治るというものだった。
 こうしてサトミはフェラチオ修行を始めるが、デカマラのミヤタさん(樹かず)のものがのどの奥に触れたとき、彼女の股間が生まれて初めて濡れる。不感症が治ったサトミも、めでたくエグゼクティブ・ルームにデビューし、セックスの相手にミヤタさんを指名する。ベートーベンの交響曲第9番「合唱」の「歓喜の歌」が画面に流れて、映画は終わる。
 ♂×♀:5回、オナニーから3P(♂×♀×♂):1回、ヒロインのオシッコシーン:2回、2回あるエグゼクティブ・ルームのシーンは、最初が四組の♂×♀、2回目は三組の♂×♀+♂×♀×♀が繰り広げられる。他にも、三人並べてのフェラチオシーンなどエロ満載です。
 他の患者さんには山本清彦=やまきよ、柳東史。看護婦さんには風間今日子ほか。エグゼクティブルームの場面は、院長がすっかりピンサロ店長のノリでマイクを握り、婦人科医に扮した村上ゆうは、『愛の嵐』のシャーロット・ランプリングのコスチューム(上半身裸にサスペンダー)で登場します。
 『ディープ・スロート』のクリトリスをGスポットに替えたアイデアが、この映画のポイントですね。

『わいせつ医院 スペシャルな治療』☆☆☆
 SP:山崎邦紀、C:大江泰介・小山田勝治、AD:加藤義一・田中康文・渡辺光郎、D:的場ちせ
 2004年新版公開作品。旧題名:『ピンサロ病院4 ノーパン看護』(2001年公開作品)
 この映画は、2003年1月に見ている。「テアトル日記」の2003年ヴァージョン(「テアトル日記2003 #2)と2006年ヴァージョンの両方を読み比べてください。
   ●
【2003年ヴァージョン】
 厚生省に城西多摩病院で、わいせつ治療が行われているという投書がきた。検査入院と称して内偵に出かけた先には、恋人が看護婦として勤務しており、彼女の深夜勤務を利用して早速一戦が始まる。スペシャル治療は、患者さんでなく、人の命を預かる医者や看護婦のストレスを解消するのにも役立っているのだからという最後の乱交場面は、ご都合主義の最たるものだが、妙に納得させられる。看護婦役は望月ねね(ヘア出しOK)、風間今日子、佐々木基子の3人。監督の的場ちせは偽ペニスを彼女らに咥えさせるが、女性監督の方がそういう表現は挑戦的だ。
   ●
【2006年ヴァージョン】
 シースルーの白衣の看護婦が夜の病院を巡回している。ある病室では、患者と看護婦がセックスをしている。患者の男(竹本泰志)は、ジョウサイタマ病院でわいせつな治療が行われているという投書が厚生省(当時)にあったので、内偵するために検査入院をしたのだった。実は恋人の看護婦(望月ねね)がこの病院に勤めていたという次第だが、男は徹底的に調査するために検査入院を延ばすことにする。
 松葉杖の入院患者・オカダ(柳東史)が、面白いことを聞かせる。この病院では入院が長引くとスペシャルな治療=看護婦の性的サービスをしてくれるというのだ。本当に相手は看護婦だったのかとオカダに尋ねると、あそこを舐めたらクレゾールの匂いがしたと答えるのを聞いて、そういえば恋人の看護婦がシャワーを浴びながら、「クレゾールの匂いって、とれないのよね」と言っていたことを主人公の男は思い出す。
 退院間近のオカダが、自分のスペシャル治療が最終ステージになったと喜んでいる。スペシャル治療は院長の息子のムラタ先生(真央はじめ)の発案になるらしい。主人公はオカダに眠り薬を飲ませて、代わりにスペシャル治療を受けに、エグゼクティブルームと呼ばれる治療室に向かう。そこでは二組の3P(♂×♀×♂)が展開している。そこにピンクのブラとパンティーを身につけた恋人も現れ、主人公を治療の仲間に誘うが、彼は部屋から逃げ出してしまう。しかし、彼の頭のなかでは妄想がうずまく。
 恋人の看護婦が語る。スペシャル治療は患者さんのためだけでない。私たちのためでもある。人の命を預かり、人の生き死にを毎日見ているストレスからの解放と、病気と闘う力の源となっている。ここは、医者・看護婦・患者が一体となった病院の理想像だ。
 エグゼクティブ・ルームに主人公の男は拍手で迎えられ、三組の3P(♂×♀×♂)が繰り広げられる。主人公は内偵の報告書を次のように結論づけることにする。「わいせつな治療は行われていない。医療する側、される側の心の通じている理想的な病院である」
 ♂×♀:6回(うち1回は望月ねねのヘアヌードから竹本とのカラミへ、1回は彼女のシャワーシーンから再び竹本とのカラミへ)、スペシャル治療の場面は、1回目は二組だった♂×♀×♂が、2回目には三組になります。他に主人公の妄想で、♀×♂×♀:1回。患者役には柳東史の他に、荒木太郎と丘尚輝が、看護婦役には望月ねねに風間今日子と佐々木基子も加わり、艶技を披露します。特に偽ペニスを相手にした風間の巧みな舌技は見逃せません。
 女性入院患者を対象にしたスペシャル治療の場面があってもいいのではないかと考えたが、男性が大半を占めるピンク映画の観客の感情移入のしやすさを考えれば、男性患者を相手にした設定にならざるを得ないのだろう。 

『変態家族 新妻淫乱責め』☆☆☆★
 C:清水正二、AD:佐藤吏、SP/D:深町章
 雷鳴とどろくなか、女霊媒師(水原香菜恵)がアキコ(山口令子)の家にやってくる。アキコは半年前に結婚したのだが、夫(山名和俊)や舅(牧村耕次)の振舞いは変態以外の何者でもなく、それはこの家に淫乱の霊が取り憑いているせいなのだった。女霊媒師がクンクン鼻を利かせると、確かにこの家には淫乱の霊が取り憑いていて、早速除霊することとなる。
 ところで、アキコが変態行為と思ったのは次のようなことだった。―莉で結婚した彼女に、夫がいきなりオチンチンを出して舐めろと言った。女霊媒師は、フェラチオくらい、至ってノーマルと答える。夫が自分に猿ぐつわをかませて縛った上に、肛門を舐めて浣腸までした。2階の踊り場での行為に便意を必死でこらえていると、階下の舅と目が合ってしまった。酔っぱらった夫がホステス(佐々木ユメカ)を連れて帰宅する。おまけにアキコに見せつけるかのように、二人はセックスを始めてしまう。
 どうしてそんな家を出ないのかと女霊媒師が尋ねる。アキコが答える。舅に訴えたら、「私は全部知っていました。息子に言ってきかせるので、離婚だけはしないで欲しい。息子がやさしくなければ、私がやさしくします。親子三人仲良く暮らしましょう」と言われるうちに、舅に抱かれてしまい、おまけに感じてしまった。でもこれはまだ幕内クラスで、上がある。そこに夫が帰宅したので、3Pになってしまった。これでは、家を出るに出られない。
 再び雷鳴がとどろき、女霊媒師が家に取り憑いている淫乱の霊を呼び出す。それはこの家の先祖(豊永伸一郎)だった。彼は戦争に送られ殺された、女房は他の男と仲良くなった、それで子孫の嫁に復讐するために取り憑いたのだと訴える。女霊媒師の体に先祖の女房が降りてくる。爆音、空襲のざわめきが響くなか、女霊媒師=女房と先祖の霊は激しく交わり、除霊の儀式は終わる。「こうして我が家の淫乱の霊は出ていきました」
 夫も舅も生真面目で穏やかな人柄になり、目出度し目出度しとなる、はずだったが、夫はセックスの方がいたって淡泊になり、今度はアキコの方が物足りなくなってしまう。1カ月前にしたからと言う夫を残して舅の部屋に忍んでいくと、そこでもアキコは拒否されてしまう。「もう、なんて淡泊な家系なの!」と、翌日アキコは女霊媒師のところに、淫乱の霊を呼び戻してもらうために出かける。
 ♂×♀:4回(3P=♂×♀×♂は、説明だけでシーンはない)。トイレの便器にまたがるシーン:1回(『ウォター・パワー』のように、トイレやバスルームを汚すシーンはない)。 

【評価基準】
   ☆☆☆☆☆以上  とても面白い、とてもよく出来ている。見逃すな!
   ☆☆☆☆     かなり面白い、かなりよく出来ている。
   ☆☆☆      面白い、よく出来ている。水準。
   ☆☆       あまり勧めない。時間つぶしなら…。
   ☆以下      ひどい!時間とお金の無駄。
   注) ★★=☆


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2006年05月11日

テアトル日記2006 #9

5月8日(月)観賞/Xces Film 3本立て(5月12日まで上映)

 日記の#8(4月15日)以降に見た映画は3本。4月29日から5月7日までの連休中は、グランドでサッカーの審判や若手審判員の指導をしたり、審判の会議や講習会で過ごしていたので、弘前公園の満開の桜も映画館の暗闇も楽しめませんでした。

   4月20日(木)  『ある子供』☆☆☆☆
   4月21日(金)  『県庁の星』☆☆☆
   4月23日(日)  『映画クレヨンしんちゃん 伝説を呼ぶ 踊れ!アミーゴ!』☆☆☆★

 連休明けのテアトル弘前の観客数だが、19時の2名が途中で入れ替わって最大3名になり、22時に映画館を出るときは誰も残っていなかった。

『脳内SEX 老人と欲求不満妻』☆☆☆★
 C:橋本彩子、AD:竹洞哲也、SP/D:神野太
 2006年公開作品。
 「エクセス映画が2006年に推奨する脳内アドレナリン抜群の問題作!」というポスターの惹句に、エクセス映画の意気込みが感じられる。その後に「脳内活性エクスタシーで、ボケ解消間違いなし/団塊世代は、ポルノ映画で元気はつらつ」とあるのは、高齢化社会を加速することにもなる、団塊世代の定年退職が始まる2007年問題を視野に入れた、ピンク映画業界からの積極的な観客開拓宣言と捉えたい。
 川口ミカ(音声が不明瞭なので、「リカ」かもしれない。水紗和みずほ)は結婚一年目の専業主婦だ。夫は将来を期待された商社マンだが、期待の分だけ仕事が忙しいので、彼女がセックスしようと求めても、「今夜は疲れているから」と断る。3カ月もセックスレスなので、ミカは「今夜はじゃなくて、今夜もでしょう」と欲求不満を募らせ、キッチンにある野菜(今夜は太目の人参だ)を使ったオナニーで自分を慰めている。
 夫が関西出張で留守のとき、裏に住むタバタ老人(野上正義)が、水道の点検だと言って家にやってくる。タバタさんは普段からイヤラシイ視線でミカの体を舐め回すように見るので、ミカはタバタさんを苦手にしているのだが、果たしてタバタ老人は彼女がトイレに入った隙に家のあちこちに盗聴器を仕掛けてしまうのだった。ミカがいつもの野菜でなくバナナを使ってオナニーを始めると、そのあえぎ声を聞きながらタバタ老人もオナニーをしてしまうが、これで本当にポスターにあるようなボケ解消になるのだろうか?
 友人のカオル(倖田李梨)が遊びに来た。彼女の夫は海外に単身赴任しているので、カオルも欲求不満だったと過去形で語ったのは、不倫でそれを解消したからだった。青空新聞のイケメン集金人・アカバネ君(竹本泰志)とそういう関係になってしまったのだというカオルの衝撃的な告白を聞いて、ミカのアソコはジュンとなってしまう。
 夫の叔母のケイコさん(佐々木基子)がジュンペイを連れて、関西からやってくる。ジュンペイは、夫を亡くしたケイコの再婚相手で元ホストだという。ミカがケイコさんのセックスを想像して悶々としていると、酔いつぶれたケイコさんを階下に残して、ジュンペイが忍んでくる。元ホストには欲求不満の女心はお見通しなのだ。が、いざ挿入というときに居間の電話が鳴って、ケイコさんが目を覚まし、ミカは中途半端のまま取り残される。
 カオルがアカバネ君とセックスしながら、電話をかけてくる。二人の痴態を想像するうちに、ミカはオナニーを始めてしまうが、カオルはアカバネ君がこれからこちらに向かうと伝える。ミカがシャワーを浴びているところにアカバネ君がやってきて、二人は玄関で事を始めることに。彼のものを口にくわえていると、間が悪いことにアカバネ君の携帯電話が鳴る。仕事をさぼっているのを叱責されたアカバネ君はミカの口中にしたたかに気を遣って、そそくさと退散するので、ミカの欲求不満は益々募るばかりだ。
 人参、茄子、胡瓜などを並べて、「本物のオチンチンが欲しい」とミカがオナニーしていると、赤フンのタバタさんがタイミング良く現れ、自分の逸物を誇示する。
 翌朝、タバタさんが十回もいかせてくれたとミカがうっとりしていると、夫からの電話で近くの公園に呼び出される。出張を早めに終えて帰ってきた夫が、結婚記念日の贈り物の指輪を差し出す。嬉しがっているところにタバタさんが通りかかる。いつも仲がいいのは結構と、とぼけるタバタさんに、また遊びに来てくださいねとミカが答える。夫はそれをきょとんとした顔で聞いている。知らぬは亭主ばかりなり。
 ♂×♀:6回、オナニー:4回、サービスショットとしか名付けようのないシャワーシーン:2回。ミカが最初にキッチンでオナニーをするとき、人参にコンドームをかぶせるのだが、コンドームがキッチンの棚に用意してあったのにはビックリ。カオルとアカバネ君のカラミでは2枚の鏡が使われていて、3倍楽しめるように工夫されている。

『サイコレイプ −もう…やめないで。−』☆☆☆★
 SP:日下由子、C:井上明夫、AD:増野琢磨、D:工藤雅典
 2005年公開作品。
 途中で話のネタが割れて、これはどういう風に日記に書けばネタバレにならずに紹介できるのだろうと、考えながら見ていた。うまく書けるかどうか。
 仕事の仲間とおぼしい4人が電車の駅に急いでいる。一人だけひどく酔っぱらったチーフと呼ばれた奈津子(夕樹舞子)を残して、3人は電車の駅に消えてしまう。よろけて転んでは膝に擦り傷をこしらえた奈津子の前に、バイクに乗った男が現れる。大丈夫かと声をかけた男に、彼女は「その夜は、優しい男の子に御褒美をあげた。私を、いっぱい食べさせてあげた。」(ポスターの惹句)のだが、翌朝出勤しようとすると昨夜履いていたピンヒールのサンダルが見あたらない上、彼女は誰かに見張られているように感じ出す。
 前夜の4人は同じ編集室で働く仲間で、先輩格のカオリ(佐々木麻由子)は、自分がチーフになれなかったことや、記事のネームを奈津子に取られたことで、意趣返しの機会を狙っている。彼女はライターの上田(なかみつせいじ)に、奈津子に原稿を取りにやるので、彼女をレイプして懲らしめてくれと頼む。
 体が熱っぽいので早退しようとした奈津子が編集室に忘れた定期券を取りに戻ると、部屋では後輩のエミちゃん(矢藤あき)が自分の席でマサキとセックスしている。マサキによると、奈津子は仕事の上司で一回だけ寝たことのある女なのだが、奈津子の方ではマサキを恋人のようにして振る舞うので迷惑しているらしい。奈津子が自分の部屋に帰ると、鏡台に「かわいそうな、僕の奈津子」と、切り貼りした文字で作ったメッセージが貼られている。一体誰が部屋に入って、メッセージを貼ったのだろう?その夜、エミちゃんがフルフェイスのヘルメットをかぶった若者に殴り殺される。殺人者は、携帯電話を取りだして「お前は最高の女だ」と誰かにメールを打つ。
 オナニーをしている奈津子が、部屋にいるマサキに気づく。来てくれたのね、と早速セックスを始めると、ヘルメット姿の若者が二人を襲うが、そこで奈津子は夢から覚める。 
 事務所のパソコンを開くと、「奈津子、お前は最高の女だ。バカな小娘に裁きを下してやった。僕がお前を守る」というメールが届いている。
 奈津子が上田のところに原稿を取りに行く。かねてからの計画どおり、上田は奈津子をレイプする。数時間後、カオリがどうだったと、上田のところにやってくる。椅子に座ったままじっとして答えない上田の体をこちらに向けると、上田は左目にサンダルのピンヒールを突き立てられて死んでいる。それを見て驚くカオリも、ヘルメット姿の若者が振り下ろすピンヒールサンダルで殴り殺される。奈津子はマサキを呼びだして、彼ともう一度セックスすることになるが、マサキにも不幸が襲いかかるのはいうまでもない。
 バイクに乗った若い男が奈津子に声をかける。どこかで会ったような、なかったような。
 ♂×♀:6回(1回はオナニーの最中の妄想か)。
 思いこみの激しい女の周囲で起こる惨劇の急所は、冒頭に引用した奈津子の「その夜は、優しい男の子に御褒美をあげた。私を、いっぱい食べさせてあげた」に続く、「オオカミに肉の味を教えたとは思わなかった」というせりふである。エミちゃん殺しの場面を逆光でとらえたり、カオリ殺しを壁に映るシルエットで処理しているのには、ルーティンとはいえ、サスペンス映画に見合った映像的な冴えを感じた。

『五十路おばさん 助平ったらしい尻』☆☆★
 SP:岡輝男、C:千葉幸男、AD:城定秀夫、D:新田栄
 2005年公開作品。
 「ハッスル健康食品杉並支店」のカズヤ君(岡田智宏)は、掃除のオバさん(美幸)のお尻を階段の下から見上げるのが大好きで、今朝はついつい近寄りすぎて、そのお尻で突き飛ばされてしまう。恋人のエリカ(望月梨央)に絆創膏を貼ってもらううちに、二人は事務所に誰もいないのをいいことにセックスを始めてしまう。
 カズヤがトイレに入って小用を足していると、掃除のオバさんにチンチンを覗かれてしまう。オイオイ、覗くオバさんも大胆だけど、黙って覗かせるなヨ。
 休日に新宿三越の前でカズヤはちょっとおめかしした、掃除のオバさんを見かける。しばらくすると、宝石を買ったらしい彼女がデパートから出てくる。
 休日明けの朝、エリカが金庫に入れたはずの会社のお金がなくなった、掃除のオバさんが盗んだに違いない、掃除会社に言いつけると騒ぐ。そういう次第で、オバさんはクビになってしまう。結局お金はエリカの不始末が原因だったことが分かって見つかるが、オバさんは仕事に復帰できない(ひどい話だが、映画の展開上やむを得ない)。
 カズヤがオバさん(上杉光子という名前であることがいずれ知れる)のアパートを慰めに訪ねる。部屋に入れて貰ったカズヤは、自分のペニスでオバさんの大きなお尻を叩いてセックスすることを妄想するが、光子にはロマンチックな思い出があった。20年前、彼女にはスズキマコト(本多菊次朗)という恋人がいた。訳があって彼とは別れたが、20年後にもう一度、同じ時刻、同じ場所で再会しようと約束した、その日がもうじき来るのだという。「この前買った指輪は、その日のためのものなのよ」再会の日のための着物を見繕った夜、光子はカズヤにもう一つ頼み事をする。「スズキさんとの再会の日には、彼に抱かれるつもりなの、その前に女を思い出させて欲しいの」
 再会の日が来た。前の晩、妻(小川真実)を抱いたスズキが新宿中央公園(だと思います)で待っている。待つこと1時間あまり、光子は現れない。カズヤの携帯電話が鳴る。話を聞いたカズヤが小さな倉庫に駆け込む。中には着衣を乱した光子が泣き崩れている。聞くと酔っぱらいの男(丘尚輝)に倉庫に連れ込まれてレイプされたのだという。
 それから数カ月後、カズヤはエリカと別れて光子と結婚している。ポスターの「こんなオバサンに逢いたかった」「幾つになっても♀はオンナ」という惹句どおりに映画は終わる。
 ♂×♀:7回。光子役の美幸は、どこで見つけてきたのか。せりふ回しは明らかにシロウトだが、全体には敢闘賞ものだ。ラストのかなり長いカラミは本当にやっているかもしれない。相手役の岡田智宏には、プロの役者という印象を強く持った。柄本明なら「仕事ですから」の一言で済ませてしまうに違いないが、仕事とは言え本当にご苦労様です。

【評価基準】
   ☆☆☆☆☆以上  とても面白い、とてもよく出来ている。見逃すな!
   ☆☆☆☆     かなり面白い、かなりよく出来ている。
   ☆☆☆      面白い、よく出来ている。水準。
   ☆☆       あまり勧めない。時間つぶしなら…。
   ☆以下      ひどい!時間とお金の無駄。
   注) ★★=☆


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2006年04月24日

テアトル日記2006 #8

4月15日(土)観賞/Xces Film3本立て(4月28日まで上映)

 日記の#7以降に見た映画は6本。ただし、ディテールを確認するために4月11日にテアトル弘前で見直した2本(日記の#7で紹介済み)を含みます。

   4月6日(木)  『風の前奏曲』☆☆☆☆
   4月8日(土)  『タイフーン』☆☆☆☆★
   4月10日(月)  『ビッグ・スウィンドル!』☆☆☆☆
   4月11日(火)  『人妻 あふれる蜜ツボ』『ノーパンOL 恥ずかしい車内』
   4月14日(金)  『美しき野獣』☆☆☆★

 番組が替わった初日の夜の回を見たが、18時の観客数は5人、途中観客が入れ替わって最大6人になって、21時に出るときには4人残っていた。
 2週(実際は2番組=4週)続いた新東宝作品に比べると、Xces Film作品はカラミの場面が少ししつこいようだ。エロ場面の描写の刺激度・過激さのことではなく、カラミの場面の一回ずつの時間的な長さの意味だ。もちろんストップウォッチで計っている訳ではないので、あくまでも見ていての印象に過ぎないのだが、その代わり物語的な部分が、よく言えばシンプルに過ぎるようだ。
 今週の三本は、「三島」「五十嵐」「岩原」と表札が律儀に映るので、「表札」大会と名付けたい。

『恥母の御不浄 それを我慢できない』☆☆☆
 SP:有田琉人、C:橋本彩子、AD:竹洞哲也、D:坂本太
 2005年公開作品。
 夫の三島が死んでもうじき一年。ミナコ(環あかり)は、貞節を守ってきたが、どうしても性欲を我慢できないときは、トイレに入ってオナニーで自分を慰めている。しかし、そのオナニーは、なさぬ仲の一人息子・カズミ(柳之内たくま)が仕掛けた隠しカメラで、しっかり覗かれている。カズミのほうは、義母のオナニーをする姿が目に焼き付いてしまって、婚約者のカナ(倖田李梨)との会話も上の空だ。
 ある夜、酔っぱらったカズミを会社の同僚のタカシが送ってくる。「清楚で貞淑な未亡人じゃないか」と言うタカシに、「俺は母親と認めていないんだ。一皮むけば、汚れた女だ」と、カズミはミナコがオナニーにふける映像を見せるだろう。その晩、ミナコに夜這いを仕掛けて拒絶されたタカシは、「知ってるんですよ、一人エッチしていることを」と、トイレの隠しカメラのことを教えてしまう。
 翌日、ミナコはカズミの部屋に入って、PCに残されていた自分のあられもない姿を見てしまう。さらに、引き出しに入っていた「恥母の記録」と表題のついたノートに、「おかあさんがほしい」と、繰り返し書きつづられた文字を見つける。
 ミナコの友人(小川真実)が遊びに来る。自分の性欲、義理の息子との関係でミナコが悩んでいる様子を見て、彼女は精神科医の久我を紹介する。貞淑な未亡人の仮面を脱ぎなさい、恐れてはいけない、ありのままの自分と向き合うのです、という久我の言葉によって、自分の肉欲を一度解放したミナコのオナニーは、隠しカメラで見ているはずのカズミの目を意識して大胆になる。
 ミナコの魅力にますます引き込まれていったカズミは、カナとの婚約を破棄すると言い出すが、この結婚は亡夫が遺した会社を存続させるためには必要な結婚なので、ミナコは一計を案じる。
 ミナコに呼ばれて、タカシが家にやってくる。いきなりキスされて驚くタカシに、「私が欲しいんでしょう」「この前の夜は、…」「女は、一度は拒否するものなのよ」と、彼女は積極的にタカシの体を求める。帰宅したカズミは、義母と友人が犬のように体を重ねる姿を見た後、ミナコと示し合わせた友人の誘惑に屈してしまうだろう。
 ミナコがカズミに尋ねる。「こんなに汚れた母親のどこがいいの?」「欲しい、たまらなく」。ミナコは、自分の頼みをきっと聞くと約束を取り付けて、カズミに体を与える。
 「こうして、私はありのままの自分と向き合うことが出来たのです」というミナコは、妊産婦検診に出かけるカナを見送ったあと、カズミとトイレの中で激しく交わるが、それは貞淑な仮面の下に隠した、他人には知られてはならないおぞましい姿だった。
 ♂×♀:6回、夜這い(未遂):1回、オナニー:2回(その他に、回想とPC画面が2回)

『和服卍レズ 熟女の絡み合い』☆☆☆
 SP:岡輝男、C:千葉幸男、AD:加藤義一、D:新田栄
 2005年公開作品。
 会社社長の五十嵐(なかみつせいじ)の家で働く家政婦の栗原泉(池田こずえ)は、ほとんど奥様(鏡麗子)専用という感じで、入浴のときには体の隅々まで洗ってあげるのだが、そうしたお世話が嫌でないのは、面接を受けたときに奥様の笑顔に引き込まれてしまったせいだった。あの面接の日以来、奥様の一挙手一投足を泉は意識せずにはいられない。
 貞淑そうに見える奥様の秘密を泉は知っている。夫の目を盗んで、社員のテジマ(丘尚輝)と会っているのだ。出張で夫がいない夜、すっかり酔っぱらった奥様がテジマに送られて帰宅する。彼女を寝かしつけたあと、テジマが「このことは社長には秘密に」と頼むと、泉は「私、ただの家政婦ですから」と答えるが、さらに「私たちの間にも秘密を作りましょうよ」と持ちかけたのは、奥様がこの男とどんな風にセックスをしているのか知りたいという好奇心からか。テジマのペニスに奥様とのセックスの名残のティッシュの破片を見つけた泉に、「奥様の味はどうでした」とフェラチオをされたあと、テジマは後背位から松葉くずし、仏壇返し、と泉を相手にして奥様との性交を再現することになる。
 翌日、ジョギングで疲れた奥様の体を泉がマッサージしていると、奥様が突然レズビアンに興味があると言い出し、二人は女同士の行為をすることになる。実は前の晩、目を覚ました奥様は、テジマに「奥様と同じ」ことを求める泉の行為を盗み見していたのだった。行為のあと、「女同士、なかなか良かったわ」と言う奥様に、泉は「ああ、奥様はなんて恐ろしい方かしら」という思いを抱くが、どうして恐ろしいのか、ぼくにはよく分からない。
 数日後、社長がテジマと奥様の関係を知ってしまう。馘首(クビ)だ、離婚だ、と言う社長の前に、テジマと付き合っていたのは私ですと泉が飛び出す。それなら証拠を見せろ、俺の前でセックスして見せろ。奥様のためならと、泉はテジマと性交し、失神してしまう。翌日、泉は五十嵐の家の仕事を辞める。
 数カ月後、「栗原着付教室」を泉は開く。泉が五十嵐の家を出たあと、五十嵐の会社は倒産した。夫と離婚し、テジマとも別れた奥様は、泉と二人で教室を開くことにしたのだ。これからは「奥様」ではなく「お姉さま」と呼ぶことにして、レズビアンに目覚めた二人は、互いの秘所を合わせて足を絡めるが、絡め合った四本の足は「卍」を描くだろう。
 ♂×♀:3回(1回は泉のオナニー付き)、♀×♀:2回、入浴シーン:1回(レズっぽい雰囲気が漂うが、♀×♀には至らず)。

『義母の近親相汗 乳繰り合う』☆☆☆★
 SP:岡輝男、C:千葉幸男、AD:小川隆史、D:新田栄
 2005年公開作品。
 岩原(久須美欽一)が突然、再婚すると言って息子の茂(横須賀正一)を驚かす。ピンク映画のルーティンとして、後妻のハナ(山口真理)は、茂とあまり年格好は違わない。
 この映画の新味は、ポスターに「茂さん、義母(かあさん)と叔母(おばさん)のどちらがお好み?」とあるように、叔母のケイコ(葉月蛍)を配したところにある。
 ケイコは岩原の弟の妻で、夫と死に別れてから十五年、女手のない岩原父子の面倒を見てきたといういきさつがあるので、突然の後妻の出現に彼女もまた驚く。夫(丘尚輝)の遺影に、「私寂しいのよ、こうして自分を自分で慰める人生なのよ」と話しかけながらオナニーするが、岩原家の男二人を「絶対取り返してやる」と決意するあたりは、すっかり姑か小姑の気分だ。
 台所で朝食を準備するハナにケイコが、「茂君は大豆アレルギーだ、目玉焼きの黄身をクチュクチュ食べるのが好きなの」と口うるさく言うので、茂が「そんなにいっぺんに言ったって、お義母さんだって分からないよ」と弁護すると、「たった三日でよく手なずけたわね。私はもう用なし」と、自分の家に帰ってしまう。言い過ぎたかなと感じた茂が叔母の家を尋ねると、茂の小学校時代の父兄参観や遠足の思い出を話すうちに、血はつながっていないのだからと、ケイコは茂とセックスしてしまう。
 数日後、父親が留守のときに叔母がケーキを持ってやってくる。三人でケーキを食べていると、テーブルの下で義母の足が茂の股間を刺激する。叔母が席を外したとき、「お願い、私を抱いて。実はお父さんはEDになってしまったの」と打ち明けられる。
 かくして茂は、義母と叔母の両方の相手をすることになる。叔母さんも良かったけど、お義母さんも良かったと、のんきにしているうちは良かったが、「泥棒猫!」「サカリのついた猫!」と女二人がののしり合った挙げ句、叔母と義母のどちらがいいか、茂に決めさせようということになる。女盛りの二人の攻勢の前に、茂はあえなく果ててしまう。「もったいな〜い」の二人の声に、そこは若さで第2ラウンドへ突入する。そこへ父親が出張から帰ってきて、息子の奮戦ぶりを覗き見しているうちに、父親のEDも回復するので、3Pから4Pに発展するかと思いきや、父子が目配せして終わるのは、映画の尺のせいだろうか。「茂さん、どっちがいい?」という女たちの問いかけに、「どっちもいいよ」と答えた茂だが、ああ、この先、ぼくはどうなってしまうんだろうという悲痛な叫びで映画は終わる。
 ♂×♀:6回。茂が叔母と義母の両方と関係を結び始めるあたりのエロシーンは悪くない。義母がアイスキューブを頬張りながらフェラチオすると、茂は冷たいけど気持ちいいと感嘆の声を漏らす。叔母は乳首だけでなく、体のあちこちにケーキの生クリームをなすりつけてそれを茂に舐めさせる。義母とは風呂や氷が、叔母とはケーキのクリームがセックスのときの小道具になっていて、水と油という例えは適切ではないが、結果的に女二人の相性の悪さ=ライバル意識を示しているのがおかしい。♀×♂×♀:1回(ただし、2ラウンド)は、女二人が上半身の着衣を脱いで開始されるが、そのとき二人とも予定調和的にノーブラなのは、準備が良すぎるというか、二人で予め示し合わせていたのだろうか。と詮索するよりも、映画的真実がリアリズムに優先した好例だと納得しておこう。

【評価基準】
   ☆☆☆☆☆以上  とても面白い、とてもよく出来ている。見逃すな!
   ☆☆☆☆      かなり面白い、かなりよく出来ている。
   ☆☆☆       面白い、よく出来ている。水準。
   ☆☆         あまり勧めない。時間つぶしなら…。
   ☆以下       ひどい!時間とお金の無駄。
   注) ★★=☆


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2006年04月12日

テアトル日記2006 #7

4月2日(日)観賞/新東宝3本立て(4月14日まで上映)

 日記の#6(3月23日)以降に見た映画は、2本。2006年に見た映画のタイトル数は、延べ60本を越した。

   3月24日(金)  『ランド・オブ・プレンティ』☆☆☆★
3月29日(水)  『力道山』☆☆☆★

 写真替わりから二日目の夕方からの観客数は、17時が7名、20時が2名だった。4月の雪という天候にもかかわらず、観客が入っていたという印象である。

『人妻 あふれる蜜ツボ』☆☆☆☆
 C:清水正二、AD:佐藤オサム、SP /D:深町章
 2005年公開作品。
 開巻してすぐに「昭和22年」と出る。終戦直後を舞台にしたピンク映画は、横溝正史や江戸川乱歩のような猟奇的な世界を繰り広げることがあるので、期待が高まったのだが、…。
 正田家の長男・モトヨシ(岡田智宏)は白木の箱に入って帰ってきた。妻(里見瑤子)は遺骨と遺影の前で、雨の神宮外苑競技場の実況録音を聞きながら夫とのあれこれを思い出して涙ぐむ。やがて左手で遺影を抱いた彼女の右手は、着物の裾の中へ忍び入るだろう。
 友人のレイコ(佐々木ユメカ)は、いっときモトヨシをめぐる恋敵だったこともあるが、無頼派気取りの若い愛人(千葉尚之)と一緒に正田の家に寄寓している。二人が心中を考えていることは、男がヒロポンを打つのをレイコがとがめたときに、「体の心配かい。俺たちこれから死ぬってのに」と答えたことから伺える。
 夫を亡くした妻(名前が聞き取れなかった)の願いは、B級戦犯(捕虜虐待)として巣鴨に収容されている義弟のユウスケが釈放されて、正田の家を再興することだ。ユウスケと関係のあった女中のマユミ(吉沢明歩)も彼の帰宅を願って、毎朝お百度参りをしている。
 戦後の混乱期には、うまく立ち回って成りあがろうと考える男もいた。没落前の正田家のお抱え運転手だった男(川瀬陽太)は、正田の家屋敷を手に入れようと画策したり、昔の主人の前ですごんだり、女中を手篭めにしたり、悪さの限りを働くだろう。
 女たちの願いもむなしく、ユウスケは処刑される。いやおうなしに、正田家の主となった女に、レイコが女学生時代に始まるモトヨシとの思い出を語っている。
 「赤紙(召集令状)が来たと、モトヨシが訪ねてきた。空襲警報が鳴ったけれど、ロウソクの明かりを頼りに話し続けた。ロウソクの火が消えたらなるようになる、と思った。私はそうなりたかった。でも、何もなかったの」「そんなことがあったの。ありがとう、話してくれて」。レイコの中にあったわだかまりが吹っ切れる。
 レイコが部屋に戻ると、愛人がヒロポンを打とうとしている。「死ぬのを待つのが怖いの?もういいのよ」。激しく体を求め合った翌朝、愛人の姿が消えている。
 正田家の女主人は仏壇の前に座って、蓄音機に学徒出陣の実況レコードをかけている。女中は庭を掃いている。正田の家を出ることにしたレイコがつぶやく。「とりあえずは、生きてみようかな。そっちは?」「私も」「じゃ、行くわ。お世話になりました」
 自由に人を愛することが出来る世の中になるまで生きたいと望みながら命を絶たれる者、反対に自ら死を望む者。映画の冒頭、夫との悲しい記憶に連なったレコードが、映画の終盤では、新たな出発をしようとする女たちへのエールの役割を果たしているが、彼女らの前途が決して容易なものでないことも同時に暗示しているだろう。
 ♂×♀:4回、里見瑤子のオナニーと入浴シーン:各1回。ユウスケと女中のカラミがないのが、ピンク映画としては物足りない(回想シーンになるはず)。
 エロの場面数は、里見瑤子が1回(回想)+オナニー+入浴シーン、吉沢明歩が1回(レイプ)に対して、佐々木ユメカが2回ある。ポスターの惹句に「帰らぬ夫を待ちつづける人妻の下半身の疼き! 家政婦と女友達の隠れた淫行! 没落する旧家を舞台にした感動の猥褻ロマン!」とあるように、表向きのヒロインは里見瑤子だが、佐々木ユメカのカラミでは、股間をキャメラのほうに向けるように体の位置を変えるところで、画面全体のフォーカスが合わなくなり(それでも、ぼんやりとそれらしいものが見える)、再び体の位置が変わるとフォーカスが戻るという場面がある。カラミの場面のエロチックさ、生と死とエロスというテーマからも、この映画の本当のヒロインは、佐々木ユメカと言えるだろう。

『ノーパンOL 恥ずかしい車内』☆☆☆☆
 SP:武田浩介、C:飯岡聖英、A D:小泉剛、D:田尻裕司
 2004年新版公開作品。旧題名:『ノーパン痴漢電車 見えちゃった!!』(2000年公開作品)
 傑作『OLの愛汁 ラブジュース』(1999)の田尻裕司監督作品なので、期待度は高い。
 カトちゃん(佐藤幹郎)はDJ志望の青年(高1中退といずれ知れる)だが、彼の毎日は中古レコード屋のバイト、セックスフレンドのOL(池谷早苗)とのエッチ、電車の中での痴漢で過ぎていく。彼女との関係は、もう一年になる。それは、彼が彼女に痴漢をしたとき、その日すでに痴漢をされていた彼女が、汚れた下着と伝線したパンストを駅のトイレの汚物入れに捨ててノーパンでいたのを、「これには訳があるの。変な趣味じゃないのよ」「いろいろ訳があるよな」と、言葉を交わしたことがきっかけだった。
 地味目のOLの彼女だが、会社の同僚からは結婚を前提にした指輪をプレゼントされたりしている。彼女によれば、自分は結構演技派なので、仕事を手伝ったり、適当にやってれば、人間関係はうまくいくということらしい。
 カトちゃんは電車の中で痴漢をしかけて、高校1年のときに同級だったというコヌマキョウコ(山崎瞳=山咲小春)に声をかけられる。彼女は妻子のある中年男と付き合っている姉のことを相談する。しかしバイト先の友人の話では、キョウコは高校2年の夏休みに死んだという。カトちゃんはセックスフレンドのOLに、「幽霊、信じる?」と尋ねるだろう。
 カトちゃんにDJの仕事が入る。初めての仕事に彼は張り切るが、結果は不満足な出来だった。落ち込んだカトちゃんをOLはホテルで慰め、電車の中では初めてのときと同じようにノーパンで(合意の)痴漢をさせるが、おせっかいな眼鏡女が現れて、「今、痴漢したでしょう」とカトちゃんの手を捕まえる。OLはカトちゃんを助けるわけでもなく(説明しづらいよね)、笑顔で見送る。彼女とはその後も合意の痴漢を続けるが、ある日カトちゃんは、女が別の男とセックスしていることに気づいてしまう。
 ホテルで、コヌマキョウコが男と会っている。「ヘルスをやめていいよ」と話した男のカバンの中には、離婚届が入っている。
 カトちゃんが電車の中でコヌマを見つける。「お姉ちゃん、一緒になるって」「別れたほうがいいと思う。アオキ、お前のことなんだろう」「知ってたんだ。何で嘘ついたんだろう」「不安だったんだろう。どうしたらいいか分からなかったんだろう」「ご免なさい」「謝ることないよ。俺、アオキのことばかり考えてた」。死んだコヌマキョウコの名前を借りて、自分のことを相談していたアオキだが、カトちゃんの思いを受け入れられない。電車のシートに並んで座った彼女のスカートの中に、無理やり指を入れようとするカトちゃん。電車が止まる。席を立つアオキ。後を追うカトちゃん。ホームから改札、そして駅の外へ。まぶしい白昼の光の中に、アオキ=コヌマキョウコの姿を見つけることは出来ない。
 ♂×♀:5回(セックスの後、OLがパンやチョコを食べるのがおかしい)、電車内の痴漢シーン:多数(携帯電話の女が、だんだん電話どころでなくなるのがよろしい)。

『すけべ夫婦のやりまくり』☆☆☆★
 SP:かわさきりぼん、C:飯岡聖英、AD:佐藤吏、D:深町章
 2005年新版公開作品。旧題名:『誘い妻 不倫でお仕置き』(2001年公開作品)
 ポスターの文字が笑わせる。「芸のためなら女房も泣かす。泣いた女房は師匠とセックス!今日もまたぞろ落語と浮気。好色落語家どこへ行く?」
 「テアトル日記2006 #1」で紹介した『すけべ旅館 たっぷり濡らして』(2004年新版:旧題名『いんらん旅館 女将の濡れ姿』(2000))の続編である。二組の双子(つまりは、一人二役が二組ということだ)のアイデアは、何回も使えないとそのときに書いたが、この続編では名前が会話に出てくるだけだったり、物語を進めるための役割に徹したり(濡れ場がないということです)で、単純に前作を踏襲しない工夫が見られる。
 障子にペニスのシルエットが浮かぶ。カミソリが一閃し、障子に血しぶきがかかったのは、噺家の春団子(かわさきひろゆき)の夢だった。春団子は前の晩飲んだくれて、夫が長期出張で留守だというホステス(麻生みゅう)の部屋に泊まったのだった。
 妻の福代(水原香菜恵)に双子の妹・すもも(水原香菜恵=二役)が電話を寄こす。春団子が外泊して連絡も寄こさないという姉の愚痴に、すももは「義兄さんは穴があったら何ぼでも、…」と、慰めにもならないことを口にする。
 留守宅に師匠の春雨(久保新二)がやってくる。幽霊話を演じるという仕事を春団子にもってきたのだが、弟子が外泊して留守なのを知った途端、福代の体を求めることに相成る。最初は嫌がる福代だが、夫に放っておかれた悲しさか、春雨に抱きすくめられると、「もう、ビッチャビッチャだ」という有様で、春雨は福代を抱きながら、「心が広くて、ここが狭い。うちのは逆や。心が狭くて、あそこは広い」と、めちゃくちゃを言う。
 春団子の方は、前の晩の女と何度もした後、「多分3年留守だから、また来てね」と背中に声をかけられて、帰宅することにする。一方、春団子の家には春雨の妻(佐々木麻由子)が鬼の形相で怒鳴り込んできて、「弟子の女房を相手にするとは、いい身分やな。福ちゃん、見損ねたで。もう縁切りやな」と宣告する。逃げ出す師匠、必死で謝る福代。そんなこととは露知らず、春団子が玄関先まで戻ってくると、師匠のおかみさんが家から飛び出してきて、春団子の姿を見つけると、一緒に来なさいとホテルに連れ込んでしまう。
 福代は、師匠の妻に申し訳ない、亭主にも言い訳できないというので、自殺を図ろうとする。そこに亭主の哲夫が留守で暇をもてあました妹のすももから、春団子がおばさんみたいな人と別れたと思ったら、別の女といちゃついている、という電話が入る。
 春団子がホステスといちゃついているところに、長期出張中のはずの男が帰宅する。顔の傷を見るまでもなく男はやくざで、刑務所帰りだ。春団子は男と女の前で、必死に落語を演じる羽目になるが、芸は身を助くで、五体満足のまま放免される。
 春団子が帰宅すると、師匠夫婦とすももが福代の亡き骸を前にして泣いている。その夜、福ちゃんの幽霊が春団子に、「沢山の人を喜ばせて来(き)いな。それがあんたの仕事や」と告げる。その言葉に、春団子は師匠が持ってきた仕事に出かけることにする。仕事を終えて帰宅すると、テーブルの上には真っ白な四角い包みが載っている。そこへ「ウラメシヤー」と福代の亡霊が現れるが、実は春団子を懲らしめようという双子の姉妹の計画だったことが分かって、目出度し目出度しとなる。
 ♂×♀:6回。師匠夫婦(久保新二×佐々木麻由子)の性行為をすだれ越しに撮ったシーンは、フォーカスが手前のすだれの方に合っているが、佐々木麻由子はキャメラを正面にして開脚しているので、この場面は相当エロチックです。
 
【評価基準】
   ☆☆☆☆☆以上  とても面白い、とてもよく出来ている。見逃すな!
   ☆☆☆☆     かなり面白い、かなりよく出来ている。
   ☆☆☆      面白い、よく出来ている。水準。
   ☆☆       あまり勧めない。時間つぶしなら…。
   ☆以下      ひどい!時間とお金の無駄。
   注) ★★=☆


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