「七瀬知美が、こんなこと言ってたんだけど、どう思う?」
学校の帰り道に、同じクラスで、
同じ塾にも通っている友人たちに相談してみた。
そしたら、友人たちはすぐに、
オレがうたがった藤原の名前をあげた。
前に二人で仲良く話しているのを
見たことがあるって証言してくれた。
「じゃあ、もう一人は誰だと思う?」
この質問には、なかなか答えが出てこなかった。
オイオイ・・・・・・、あいつはこのオレに
「気になる人がいる」
って言ってきたんだぞ。
どう考えても一番あやしいのはこのオレでしょ?
そう目でうったえかけても、
彼らはまだ何もわかっていない様子だ。
なんてにぶいやつらなのだろう・・・・・・。
そんなことを考えていたら、
塾で知美と同じクラス(つまりオレの上のクラス)のやつが、
おもむろに口を開いた。
「塾のクラスの中に、七瀬とけっこう仲が良くて、
七瀬が一人だけ下の名前で呼ぶやつがいるんだけど、
もしかして、そいつじゃないかな~」
新たな有力情報の登場!
その第二の男は石橋雄二というらしい。
「藤原と石橋のことが好きってことか~」
事件はすべて解決し、友人たちはすっきりした顔をならべていた。
ちょっと待てよ!
その石橋ってやつだって、塾のクラスでただ仲がいいだけだろ?
そんなら、オレだって仲のいい女子ぐらいクラスにいるよ。
でも、別に好きとかそんなんじゃぜんぜんないし。
だから、知美だって別にその石橋のことを好きとは限らないじゃん!
でも、そんなふうに心の中で強がってみても、
もしかして、あいつがオレのこと好きなのかもって期待したのは、
ただのオレのかんちがいだったんじゃないかって
疑うようになった・・・・・・。