まあ、たしかにやっている内容はくだらないものが多かった。
クイズコーナーでは、前日にテレビでやっていたクイズ番組の問題を、
そのままパクっていたことさえあった。
ただ、さすがにこのままではまずいということで、
クイズコーナーは大幅なリニューアルをすることになった。
どういうふうにリニューアルしたのかというと、
これまでやっていた、一人の放送委員が、
声だけの放送でクイズの問題を出して、
そのすぐ後に答えを発表するという形式をやめて、
放送室にあったビデオカメラを使って、テレビでやっているような、
本物のクイズ番組のような放送をおこなうようにしたのだ。
まずは放送委員のメンバーの中から、クイズを出題する司会者一人と、
クイズに答える回答者二人を決めて、
試しに放送室のスタジオで収録してみた。
おもちゃのクイズゲームの早押しボタンを持っているやつがいたので、
かなり本格的な感じでクイズ番組を作ることができた。
この番組を給食の時間に流してみたら、想像以上の反響があった。
放送委員になってから、初めてクラスメートから
「おもしろかった!」
と言ってもらえる放送をすることができたのだ。
このクイズ番組は、すぐに給食の時間の放送の目玉企画になって、
週に一度、金曜日に放送することになった。
金曜日の給食の時間は、班の中のおしゃべりはほとんどなくなり、
みんなオレたち放送委員が作ったクイズ番組を熱心に見てくれた。
最初は、放送委員会のメンバーだけで番組を収録していたが、
しばらくすると、「オレも番組に出てみたい!」
と言い出すクラスメートが続出した。
その出演希望者の中から、
「こいつをテレビに出したら、絶対にもり上がる!」
と思えるやつを何人か選んで、クイズの回答者として出演してもらった。
そしたら、予想通りに、番組はますますおもしろいものになった。
頭が良くてむずかしい問題にも答えられるやつは、
学校の中であっという間に有名人になり、
正解は分からなくてもおもしろい答えを言って
笑わせてくれるやつは、あっという間に人気者になっていった。
自分たちで考えてやったことが、学校のみんなに
受け入れられた実感があって、すごく気持ち良かった。