チップ制マジシャンの中でも、涼は特に小銭をたくさんもらう方であるので、その処理もなかなか大変である。
   今日、涼は、貯まった小銭の入金に、郵便局を訪れた。自宅は東京都足立区であるのだが、最寄りの郵便局は埼玉県川口市で、川口市と足立区の間には埼玉県草加市がある。つまり、涼は入金のたびに、隣の県の、2つ先の市まで行かなければならないということである。
   もっとも、さも大変そうな書き方をしたが、2つ先の市の郵便局まで、実は徒歩10分ほどの距離しかない。草加市がどういう形をしているのかは知らないが、涼が移動する道筋における草加市は、キャベツの千切りほどの幅しかないようだった。

   今日入金したばかりだというのに、今日の仕事では、またおびただしい量の小銭が、涼のチップ袋に入った。もしかすると、頻繁に川口市に行かねばならない未来があるのかもしれない。