2012年11月23日

「Eternal Return−いのちを継ぐもの−」改訂版リリース

今年7月17日にリリースしましたフルドーム映像作品「Eternal Return−いのちを継ぐもの−」この作品の改訂版をこの度、リリースすることになりました。

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今までご覧いただいた方から沢山の感想をいただきました。「素晴らしい作品!」「感動しました」「気持ちがあたたく晴れました」「涙、涙・・・」と、肯定的な意見もいただきましたが、否定的な意見も耳にしました。「盛り上がりに欠ける」「おじいちゃんが可哀相すぎる」「あれ、終わっちゃったの?」等々。そして、それを象徴するかのように、9月に堺で開かれたドームフェスタでも、人気投票は4位に終わりました。

僕は今までそれらの否定的な意見に対しては口を噤んで来ました。作品の説明をしなければ理解されないのであれば、それは失敗しているのであって、説明して「なるほど」と解ってもらっても仕方無いと思ったからです。

感想というものは人それぞれですので、全員に100%の満足を持ってもらうということは不可能です。だから否定的な意見が出るのはある程度仕方の無い事・・・

しかしずっと考え続けてきました。

  「この作品に込めた想いを
   より多くの人に感じて貰う為にはどうすれば良いのか…」


もっとわかりやすく

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我々商業映画を作っている者は、観客の方に喧嘩を売ってる訳ではありません。「突き放して考えて貰う」という事も必要ですが、それをやり過ぎてしまうのも良くありません。これってとても微妙なバランス感覚が必要です。

現在のバージョンを完成させる前、海底に降りていく「いのちのめばえ」のシーンは、今よりもセリフが少ないものでした。もっと突き放した演出で、ほんの一言二言のみだったんですよ。

「言い過ぎないようにする」

これは僕のポリシーで、それがストレートに出てました。しかし、身近な人に観てもらううちに、どうも通じていない…ということがわかり、ある程度の言葉を付け加えたのが、今公開されてるバージョンです。しかしそこをもっと理解しやすくする。まずはそこ…


伏線の回収

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そしてもう一つの躓きは、3部作という構成であった事。

僕は1作目の「いのちを継ぐもの」で、投げかけた全ての伏線を、エピソード1で回収する必要は無いと考えていました。2作目、3作目で回収した方がより深みが出ると考えたのです。「人の人生には悔いが残るもの」「なんらかの悔いを残したまま亡くなるのが自然」という想いもありました。しかし回収をしなかった為に、それが逆の効果になってしまい、「終わった感が無い」という感想に結びついたのだと思います。また、エピソード2がすぐに作られるのならまだしも、最低でも1年以上空いてしまうという事も考慮にいれると、もっと完結する演出を行う必要があったのだと思います。


改訂版制作開始のきっかけ

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10月の末、那須のある隠れ家的なお店でお酒を飲みながら食事をしている時、郷愁をさそうような素敵な音楽がかかりました。♪Once Upon a Time In America(Deborah's Theme) そして不思議な事にそれを聞いているうちに、今までグルグル回っていたパズルがかみ合い始めました。人の脳って不思議なもので、そのことを一生懸命に考えていない時に、ふと答えが浮かんで来るものですよね。自分の脳の深いところからぽっかり浮かび上がる答え。僕はそれを逃さないように必死になって掴み上げました。

そして、今回のシナリオ改訂にはカガクノトビラの小林さんにも協力してもらいました。良いアドバイスをいただきました。ありがとうございました。

改訂版は1から新しいものを作り、足していくのではありません。元々作品がうちに秘めて持っていたものを表に出す作業です。付け足しではなく、浮き上がらせる。うまく行けば元々そうだったかのようにうまくまとまります。


改訂版リリース

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今日、SCアライアンスさんで最終MAをしてきました。そして11月26日(月)に改訂版をリリースします。正式名称は、「Eternal Return−いのちを継ぐもの−」モノローグ追加版。

現在、すでに上映を行っているコスモプラネタリウム渋谷さんと府中市郷土の森博物館さんでは、完成した改訂版を見てから差し替えを決める事になっていますが、これから上映の始まる多摩六都科学館さんと、とよた科学体験館さんに関しては新バージョンでの上映になります。

この改訂版が、より多くの人に、より解りやすく、作品の想いを伝えるバージョンになってくれることを願っています。



「Eternal Return−いのちを継ぐもの−」モノローグ追加版
リリース日時:2012年11月26日(月)
作品分数:38分51秒(+1分54秒)


<上映館情報>
・コスモプラネタリウム渋谷 (東京都渋谷区)【検討中】
 上映期間:上映中

・府中市郷土の森博物館 (東京都府中市)【検討中】
 上映期間:上映中

・多摩六都科学館 (東京都西東京市)【改訂版上映決定】
 上映期間:2012年11月29日(木) 〜
 *スタートしてしばらくは前バージョンになります。

・とよた科学体験館(愛知県豊田市)【改訂版上映決定】
 上映期間:2012年12月22日(土) 〜



hiromitsukohsaka at 23:35│Comments(14)TrackBack(0)ETERNAL RETURN | お知らせ

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この記事へのコメント

1. Posted by そんた   2012年11月24日 00:22
上坂監督、こんばんは!

重大発表読ませていただきました。

私はEternal Returnはコスモプラネタリウム渋谷で公開日に見ました。

個人的に私自身が生物学専攻、分子生物学専門なので、まさに内容も映像もドンピシャ。

なおかつ3部作構想のエピソード1ということも事前情報で知っていたので、命の繋がりと作品に込められた想いを受け取れたと思っています。

科学的な内容を理解する器はどうしても必要になるのかもしれない。

どこまで見せるか、説明するか。

改訂版、私も含めて、いろんな人を誘って見に行ってみます。率直に感想聞いて話し合ってみようと。

楽しみにしてます。
2. Posted by adonoan   2012年11月24日 02:35
きましたね、改訂版!
元の作品も大好きですが、今回の改訂版で気持ちにどのように変化が起きるのか楽しみです。
3. Posted by 上坂浩光   2012年11月26日 18:21
そんたさん、こんにちは。

はい、重大発表です。
いろいろな意味で(笑)

そんたさんは、公開当時に観ていただけたのですね。
ありがとうございます。

科学的説明に関しては元々追加する気持ちはなくて、今回の追加は、人の気持ちに係わる部分です。それとあの原初生命が自分達にどう繋がっているのかという暗示を映像的に行ったという事でしょうか。

これからも宜しくお願いします。
4. Posted by 上坂浩光   2012年11月26日 18:24
adonoanさん、こんにちは。

> きましたね、改訂版!
> 元の作品も大好きですが、今回の改訂版で気持ちにどのように変化が起きるのか楽しみです。

adonoanさんは、観られた後、Twitterですぐに感想上げてくれましたね。で、良い感想だったので、良かった…と思った記憶があります。そんな方が、この改訂版を見てどう思われるのか、楽しみでもあり、怖くもあり・・・

いずれにせよ、全編にわたって変更が行われた訳ではないので、前のバージョンとそんなに大きくは変わりません。後味が少し変わる程度だと思います。

今後ともよろしくです。
5. Posted by 田舎のジョージ   2012年11月27日 21:56
作品にかける上坂監督の思い、
大変共感してブログを拝見しました。

プラネタリウムが満員で、翌日もう一回行きなおして見たこの作品、
私は天文学には疎いのですが、壮大な映像詩に圧倒され、心底ファンです。

世界創生をたっぷりの臨場感で体感でき、
思い出すと今でも震えが来るくらいです。

その遠大な宇宙の表現と、小さな生命の誕生のコントラストが大変美しくはかなくて、
おじいちゃんの物語にも涙が出そうでした。
この作品に出会えたことに感謝しています。

そんなわけで、
近くのプラネタリウムにも機会あるごとに
「ぜひ上映をお願いします」と声をかけています。

3部作中の2部作目も楽しみですね。
地方からも応援しています。
6. Posted by 上坂浩光   2012年11月29日 10:15
田舎のジョージさん、こんにちは。

素敵な感想、ありがとうございます。
とても嬉しく思います。

> 近くのプラネタリウムにも機会あるごとに
> 「ぜひ上映をお願いします」と声をかけています。

うわ〜嬉しいですね。
ありがとうございます。

> 3部作中の2部作目も楽しみですね。
> 地方からも応援しています。

はい、とりあえず2作目、準備段階に入ってます。
公開は何時になるか、まだまだ乗り越えなければならないハードルがありますが、頑張りたいと思います。

またプラネで観る機会がありましたら、ぜひ改訂版もご覧になってください。
これからも応援宜しくお願いします。
7. Posted by miknical   2012年12月05日 21:49
来週末の多摩六都科学館は、改訂版ですかね。

渋谷でみたオリジナル...記憶がはっきりしませんが、違いが判るかな(^^;
という事で、楽しみに行く予定です♪
8. Posted by mi   2012年12月06日 16:24
こんにちは。
私は都内に住む大学生です。
研究していることは天文学とは何も関係がありませんが、
星や宇宙やプラネタリウムが大好きです!

先日、府中市郷土の森博物館で投影されていたEternal Return-いのちを継ぐもの-を父と観ました。
感じるものがたくさんあって、今まで誰も教えてくれなかった大事なことを、丁寧に優しく教えてもらったような気がしました。この感動は、ずっと心に残っていくと思います。
今、父と一緒にこの作品を観ることができてよかったな、と感じました。

もしよろしければ、長ったらしいですがブログに感想を書きましたのでお暇な時がありましたらご覧下さい。

http://fblg.jp/mikhmd1/article/8724784
9. Posted by 上坂浩光   2012年12月07日 09:38
miknicalさん、こんにちは。

> 来週末の多摩六都科学館は、改訂版ですかね。

多摩六都さんでの改訂版上映は、12月20日位からと聞いてます。来週末だとまだ前バージョンかと思います。

違い?解ると思いますが(笑)
10. Posted by 上坂浩光   2012年12月07日 10:16
miさん、こんにちは。

とても嬉しい感想、ありがとうございます。
ブログも読ませていただきました。

「一度生み出されたものは、決して消えることはないんだ。」

ですね(笑)

>見終わった後、心なしか軽くなっていた。

はい、そうなって欲しくて僕はこの作品を作りました。
まさに僕の想いが届いたようで、とても嬉しく思います。

改訂版も今月中にはいろいろなところで公開されはじめると思いますので、また機会があればぜひご覧になってください。

11. Posted by miknical   2012年12月07日 23:03
こんばんは。
改訂版は20日からですか...次の機会という事ですね。

取り敢えず、15日は復習してきます(笑)
12. Posted by 上坂浩光   2012年12月08日 10:59
miknicalさん、こんにちは。

先ほど多摩六都科学館さんから連絡があり、Eternal Return−いのちを継ぐもの−改訂版の上映は、本日12月8日(土)からとなりました。ですので15日は改訂版を観る事が出来ます!宜しくお願いします。
13. Posted by M谷   2012年12月27日 20:00
こんばんは。
今日、多摩六都科学館で改訂版を見てきました。府中で初版を見たのですが、確かに初版はやや難解でした。初版を正確に覚えていないので、どこがどう変わったか、正直なところよくわかりませんでした。ただ、初版より“す〜っ”と入ってくるのです。まさに、ここが変わった部分なんだ、と感じました。それにしても、府中の非力なプロジェクターに比べて、多摩六都は素晴らしいですね。ドームは府中も23mと大きいですが、それ以上の27.5mで傾斜式は、この手の映像を見るには満足です。
いい年末の投影でした。ありがとうございます。
次作を楽しみにしています。
14. Posted by 上坂浩光   2012年12月28日 17:54
M谷さん、こんにちは。

改訂版、観に行っていただけたんですね。
ありがとうございます。

>ただ、初版より“す〜っ”と入ってくるのです。まさに、ここが変わった部分なんだ、と感じました。

はい、そう感じていただければ大成功です!
(実際には、原初生命が生まれた後が違いマス)

>多摩六都は素晴らしいですね。ドームは府中も23mと大きいですが、それ以上の27.5mで傾斜式は、この手の映像を見るには満足です。

そうですね。あの大きなドームであれだけの輝度と解像度があり、なおかつ傾斜館ですからその没入感はかなり大きくなります。僕らが映像を作る時、自分のモニターで見ていた色がほぼそのまま実際のドームで再現されるというのは、世界的に見ても希有な存在だと思います。

> 次作を楽しみにしています。

現在、来春公開の別作品を製作中です。
でもそれをしつつ、すでにEP2の構成作業に入ってるんですよ。

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