今回は通勤手当について今一度復習しましょう。
 
 ポイントは、労働契約上の労務提供は持参債務であることです。

 持参債務というと、ピーンとこない方もいらっしゃると思いますが、…

 ざっくり言うと、労働契約上の労務提供(持参債務)とは、働く場所まで、働く方自身が自ら行くということです。

 よって、労働契約上は、通勤に関する費用は労働者負担となり、会社に通勤に関する費用の支払義務はありません(ポイント)。

 労務提供の対価として、通勤手当を設けて支払うことは会社の裁量の範囲内となります(ポイント)。

 会社の裁量の範囲内ということなので、会社のルールに従うことになります。

 つまり、就業規則にどう記載するか(しているか)が重要となります。

 いったん、就業規則に記載すると労働基準法第11条の「賃金」とされ、労働基準法第24条の賃金の支払いに関する諸原則が適用されます。

 「実費を支給」と記載していれば、実際にかかる費用を支払う必要があります。

 となると、定期代の値上げによって、実費が上がるなら、通勤手当も引き上げる必要があるといえます。

 「定期券代の8割を支給」とか、「定期券代の半額を支給」と記載している場合も定期券代の値上げによって、実費が上がりますので、通勤手当も引き上げる必要があります。

 この場合、「何か月定期券代の何割」と記載していた方がベターです。

 同じ8割でも、「6か月定期券代の8割」と「1か月定期券代の8割」では大きく変わってきますので。

 一方、「一律2万円支給」と記載している場合は、定期券代が値上げしても、通勤手当を引き上げる必要はありません。

 ただ、別な面で注意が必要です。

 通常、通勤手当は割増賃金の算定から除外できますが、通勤手当であっても、一律支給の場合は除外賃金に該当しませんので、割増賃金の算定基礎に参入しなければなりませんので要注意です。

 通勤手当を引き上げた場合、気を付けなければならないことがあります。

 通勤手当は固定的賃金に該当しますので、健康保険や厚生年金保険の報酬月額変更届の対象になることもあります。

 また、雇用保険料が上がります。

 通勤手当を含めた賃金に雇用保険料率を乗じるためです。

 見落としやすいので、気を付けましょう。

 先程もお話しましたが、通勤手当を就業規則に規定している場合は労働基準法第11条の「賃金」とされ、労働基準法第24条の賃金の支払いに関する諸原則が適用されます。

 となると安易な変更はできないことを覚えておく必要があります。

 通勤手当は会社の裁量の範囲内で決めることができますが、いったん就業規則に定めると簡単には変更することができません(ポイント)。

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