ひとと人のつながりを大事にする

タグ: 賃金

 「裁判員制度」という言葉を耳にしたことがあると思います。

 国民に重大な刑事事件の裁判への参加を義務づける「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」(裁判員法)が平成16年に公布され、平成21年にスタートしました(10年が経ちました)。

 裁判所の裁判官だけでなく国民から選ばれた裁判員が裁判官とともに評議・評決をする制度です。

 裁判員制度の詳細は次のホームページをご参照下さい(http://www.moj.go.jp/SAIBANIN/index.html)。

 ここでは、社会保険労務士らしく?裁判員に選任された従業員から裁判員の職務を行うために必要な時間や休暇を請求された場合、会社はそれを拒否できるのかどうかについて触れてみましょう。

 労働基準法第7条では、使用者は労働者が労働時間中に選挙権などの権利などの権利を行使し、または公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合にはこれを拒んではならないとしています。

 この「公の職務」については従来は衆議院議員その他の議員、労働委員会の委員、陪審員、検察審査員、法令に基づいて設置される審議会の委員としての職務など、訴訟法上の証人としての出廷など、公職選挙法による選挙立会人の職務などが該当されています。

 そして、裁判員制度の創設に伴い「公の職務」に「労働審判員、裁判員」も加わっております。

 よって、労働者が裁判員としての職務を行うために必要な範囲で休暇の取得や遅刻、早退を希望した場合、使用者はこれを拒否することはできません。

 なお、裁判員法第72条では労働者が裁判員の職務を行うために休暇を取得したことなどを理由に解雇その他不利益な取り扱いをすることが禁止されています。

 それでは、労働基準法第7条に基づき労働者に必要な時間や休暇を与えた場合、その休暇や不就労について使用者が賃金を支払う義務があるのでしょうか?

 この点について、行政解釈では「労働基準法第7条の規定は給与に関しては何も触れていないから、有給たると無給たるとは、当事者の自由に委ねられた問題である」とされています。



 この論点については、社会保険労務士本試験(平成26年問1-C)でも誤っている肢として、出題されております。

C労働基準法第7条は、労働者が労働時間中に、裁判員等の公の職務を執行するため必要な時間を請求した場合に、使用者に、当該労働時間に対応する賃金支払を保障しつつ、それを承認することを義務付けている。

 公民権行使の保障では、「賃金支払を保障」することは義務付けられていませんので、肢Cは誤っている肢となります。



 ただ、裁判員はいつだれに当たるかもわかりませんので私個人としては「有給」扱いにした方がいいと思います(実務的には難しいことも多々ありますが)。

 それこそ私のモットーでもあります「ひとと人のつながりを大事にする」ことではないでしょうか?

 ただ「有給」にするにしても「無給」するにしても就業規則にしっかり記載して、周知することが重要です。



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 以前もお話しましたが、最低賃金について。

 「すみません、最低賃金より低くてもいいのは60歳過ぎてからでしたっけ?65歳過ぎてからでしたっけ?あれ?70歳?」というご相談を受けます。

 全て誤っています。

 「高年齢により著しく労働能力の低い者」については、都道府県労働局長の許可を受ける受けない関係なく、最低賃金の適用除外は認められません

 つまり、60歳でも65歳でも70歳でも高年齢だからといって、最低賃金を下回ってはいけません。

 

 ご参考までに、平成12年の本試験の過去問題です。

D最低賃金はすべての労働者に適用されるのが原則であるが、使用者が「試の使用期間中の者」や「高年齢により著しく労働能力の低い者」について都道府県労働局長の許可を受けたときは、最低賃金の適用除外が認められている。

 誤っている肢です。

 この肢は実務でもとても大切な肢です。

 詳細は触れませんが、…

 「試の使用期間中の者」については、都道府県労働局長の許可を受けたときは、最低賃金の適用除外が認められることにはなっておりますが、…

 都道府県労働局長の許可はなかなか…

 

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 先日もお話しましたが、再度…
 
 10月に最低賃金が改正されます…

 東京都は1,013円に…

 埼玉県は926円に…

 千葉県は923円に…

 神奈川県は1,011円に…



 東京都、神奈川県はようやく?とうとう?

 1,000円超えました…



 実務ではとても大切です…



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 次の肢は先月の社会保険労務士本試験で出題された問題です。

 正しい肢ですか。

 誤っている肢ですか。

オ私有自動車を社用に提供する者に対し、社用に用いた場合のガソリン代は走行距離に応じて支給される旨が就業規則等に定められている場合、当該ガソリン代は、労働基準法第11条にいう「賃金」に当たる。

 誤っている肢です。



 社用に用いた走行距離に応じて支給されるガソリン代は実費弁償であり、「賃金」ではありません。

 就業規則等に定められていても「賃金」には該当しません。

 ちなみに、自己の通勤に併用する者に対して加算支給される通勤定期乗車券代金月額の2分の1相当額は「賃金」と解されます。

 社用に用いた場合と通勤に用いた場合の違いを正しく理解しましょう。

 この違いは、実務でもとても大切な内容です。



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 今回は「みなし労働時間制(事業場外労働に関するみなし労働時間制)」について再度復習しましょう。

 事業主は原則として、社員の労働時間を把握する義務があり、法定労働時間を超えて労働させた場合は時間外労働の割増賃金を支払わなければなりません。

 しかし、社外業務の労働時間を把握するのが難しい場合もあります。

 以前より、会社が労働時間を把握する義務の範囲、責任は拡大していることもまた事実ではありますが、…



 それでも…

 どうしても、労働時間を把握できない場合

 そこで、労働基準法は「みなし労働時間制(事業場外労働に関するみなし労働時間制)」というものを定めています(ポイント)。

 「みなし労働時間制(会社側が勝手に何時間と決めるのではなく、労使間の協定が必要です)」とは具体的な指揮監督が及ばない仕事を事業場外で行う場合、実際の労働時間に関係なく一定の時間労働したものとみなす制度です。

 例えば、社外業務に必要とされる時間が平均して1日8時間である場合には、労働時間を算定することなく、8時間働いたとみなします。

 つまり、みなす時間は「その業務を行うのに通常必要な時間」です。
 
 もしそれが法定労働時間より1時間多い9時間であれば、みなし労働時間は9時間となりますので、36協定の締結が必要です。


 
 営業スタッフの労働時間を算定するのが困難なために、割増賃金として一律の「営業手当」(割増賃金相当額以上の額であること)(ポイント)を支給されているのだとしたら、「みなし労働時間制」の導入を考えるべきだと思います。

 そうでなければ、社員1人ひとりの労働時間を算定して「時間外手当」を支払うべきでは(ポイント)。

 簡単に私の考えを整理すると、会社が労働時間を完全に把握しているのに「営業手当」と称した定額残業手当を支払う必要があるのでしょうか?(皆さまは如何思いますか?)

 確かに、毎月残業手当の計算をするのが面倒だからという理由で、みなし残業(定額残業手当)制度を導入している会社もあることはありますが…



 定額残業手当制度を導入するためには、原則、基本給と定額残業手当を明確に分け、定額残業手当が何時間分のみなし残業時間であるかを定めておく必要があります。

 例えば、基本給176,000円固定残業手当(30時間分)37,500円などのように…

 昨今、労働基準監督署の調査は厳しくなっております。

 「会社が労働時間を把握できる」と労働基準監督署が判断したときは、…

 定額残業手当制度を導入していても、定めた残業時間よりも多く残業させた場合、結局のところ定額残業手当+差額の残業手当を支払う必要があります。

 

 先程もお話しましたが、…

 会社が労働時間を把握する義務の範囲、責任は拡大しています。

 このことは実務ではとても大切です。



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 次の肢(平成29年健康保険法問10-D)は正しい肢ですか。

 誤っている肢ですか。

D標準報酬月額の定時決定について、賃金計算の締切日が末日であって、その月の25日に賃金が支払われる適用事業所において、6月1日に被保険者資格を取得した者については6月25日に支給される賃金を報酬月額として定時決定が行われるが、7月1日に被保険者資格を取得した者については、その年に限り定時決定が行われない。

 誤っている肢です。

 7月1日に被保険者資格を取得した者についてだけでなく、6月1日に被保険者資格を取得した者についても、その年に限り定時決定が行われません。

 よって、誤っている肢となります。

 問10は「誤っているものはどれか。」という設問なので、肢Dがズバリ正解肢となり1点ゲットとなります。

 実務でも大切な肢です。
 
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 以前もご紹介しましたが、再度…

 平成24年健康保険法問10-Aは実務でもとても大切な内容です。

 次の肢は正しい肢ですか。誤っている肢ですか。

Aこの法律において報酬とは、臨時に受けるもの等を除き、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が労働の対償として受けるものであり、通勤手当は、自宅と勤務場所との往復にかかる交通費の実費弁償的な手当のため報酬にはならない。

 誤っている肢です。

 通勤手当は、被保険者の通常の生計費の一部に充てられているため、報酬となります。

 なお、3か月ごと又は6か月ごとに支給される通勤手当であっても、月額に換算して報酬に含めるものとされています。

 よって、通勤手当は算定基礎届や月額変更届の報酬に算入します。

 算入し忘れが多いので覚えておきましょう。

 過去問としてはさほど、難しくないと思いますが、実務では算入し忘れしている方も非常に非常に多いです。

 先日も税理〇の先生からご質問を頂きました。

 一方、厚生労働省は平成24年、給与所得とみなして社会保険料の算定対象に含めている通勤手当について、算定の対象外とするか否かを議論する検討会を設置しました。

 今現在の動きは私は把握していませんが、…(ほとんど動きがないようです)…

 定率で天引きされる保険料は家が会社から遠くて通勤手当が高い人ほど負担が重く、「居住地で差がつくのは不公平」という声は以前からありました。

 しかし、平等にすれば保険料率全体の引き上げにつながる可能性もあるようなので、…

 引き続き、今後を見守りたいと思います。

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 今回は通勤手当について今一度復習しましょう。
 
 ポイントは、労働契約上の労務提供は持参債務であることです。

 持参債務というと、ピーンとこない方もいらっしゃると思いますが、…

 ざっくり言うと、労働契約上の労務提供(持参債務)とは、働く場所まで、働く方自身が自ら行くということです。

 よって、労働契約上は、通勤に関する費用は労働者負担となり、会社に通勤に関する費用の支払義務はありません(ポイント)。

 労務提供の対価として、通勤手当を設けて支払うことは会社の裁量の範囲内となります(ポイント)。

 会社の裁量の範囲内ということなので、会社のルールに従うことになります。

 つまり、就業規則にどう記載するか(しているか)が重要となります。

 いったん、就業規則に記載すると労働基準法第11条の「賃金」とされ、労働基準法第24条の賃金の支払いに関する諸原則が適用されます。

 「実費を支給」と記載していれば、実際にかかる費用を支払う必要があります。

 となると、定期代の値上げによって、実費が上がるなら、通勤手当も引き上げる必要があるといえます。

 「定期券代の8割を支給」とか、「定期券代の半額を支給」と記載している場合も定期券代の値上げによって、実費が上がりますので、通勤手当も引き上げる必要があります。

 この場合、「何か月定期券代の何割」と記載していた方がベターです。

 同じ8割でも、「6か月定期券代の8割」と「1か月定期券代の8割」では大きく変わってきますので。

 一方、「一律2万円支給」と記載している場合は、定期券代が値上げしても、通勤手当を引き上げる必要はありません。

 ただ、別な面で注意が必要です。

 通常、通勤手当は割増賃金の算定から除外できますが、通勤手当であっても、一律支給の場合は除外賃金に該当しませんので、割増賃金の算定基礎に参入しなければなりませんので要注意です。

 通勤手当を引き上げた場合、気を付けなければならないことがあります。

 通勤手当は固定的賃金に該当しますので、健康保険や厚生年金保険の報酬月額変更届の対象になることもあります。

 また、雇用保険料が上がります。

 通勤手当を含めた賃金に雇用保険料率を乗じるためです。

 見落としやすいので、気を付けましょう。

 先程もお話しましたが、通勤手当を就業規則に規定している場合は労働基準法第11条の「賃金」とされ、労働基準法第24条の賃金の支払いに関する諸原則が適用されます。

 となると安易な変更はできないことを覚えておく必要があります。

 通勤手当は会社の裁量の範囲内で決めることができますが、いったん就業規則に定めると簡単には変更することができません(ポイント)。

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