2016年04月15日

詰将棋選手権(2)

3)松本の思い


5手詰でも容易でないと予想していた。

手筋モノなら、5秒以内で解ける参加者は多い。

だから、手筋、形だけで解ける問題はまず出題されない。

それが詰将棋選手権問題の特徴だ。

5手7手対策として、パラダイス問題を制限時間3分で解いた。ストップウォッチを購入して時間を計測して練習した。

そして解けない問題はその原因を分析・分類して弱点を強化してきた。

不利感のある広い方向に逃がす、拠点の駒をいきなり捨てて状況を変える、あえて働きが重複する駒を打つ、そんな手順を予想していた。覚えた手筋を短時間で取り出せるようにするために、同じ問題を2日後と7日後に合計3パスさせた。

 

ところが今日実際に出題された最初の問題は非常にシンプルだった。

考えられる王手の数がそもそも少ない。20秒程度使ったかもしれないけど、簡単に解けた。

疑心暗鬼になる。何かがおかしい。

第2問に進む。形から初手は22角しかない、逃げる手は詰むので玉で取るが、さらに玉を逃げだせないようにするには次は13飛車成りしかない。以下必然的な普通の手順が、そのまま本手順になって、これも30秒以内に解けてしまった。

本当におかしいぞ。初参加したとき、5手詰本手順がなかなか発見できずパニックになった。

結果はわずかに2問正解の10点だった。後半2問は全く手つかずだった。

それを今年は最初の1分でクリアしている。

その後も順調に解いていき、最後の1問に取り掛かったときには、残り時間が30分以上あった。

念願の全問正解に届くかもしれないとの気持ちが心の片隅に芽生える。 

解答終了して席を立つ参加者は出ていない。

よし、と気合をいれて6問目に入る。

 

6問目は綺麗な実戦形、簡素で綺麗な実戦形は塚田が創造し、追随した作家にすべて発見されたと思っていた。

非常に美しい。多くの参加者も感じているだろう。日本中の多くの詰将棋ファンと気持ちがシンクロしているのがわかる。

素直にうれしくなって、微笑みがこぼれてしまう。

初手12銀、ななめゴマをいきなり捨てるのは、後でななめゴマがなくなって困りそう。

初手13金は、なるほど 同玉は12金から捨てて詰む、そうなると同桂 これは13の空間に役立たない駒を強制移動させるし、33を弱くする。味がいい。よって、初手13金から考えることにする。 そして、時間が過ぎていく。なかなか詰まない。

初手が違うのか? 裏をかいて初手22金からバラバラ殺人事件で入るのか? そのあと、飛車を横から降ろすと、12に利きを残す32飛車合いをされてしまうかな? 今度は12から送ろうとしても、31に落ちられた時に横に利く駒がない。 

不毛な手順に陥っている間に、残り時間は10分になった。

瀬戸川君が席をたつのがわかった。彼女にしては遅いくらいだけど、やっぱり負けたのかと詰将棋を解きながら、他の事まで考えてしまっていて唖然とする。


 文責:松本(吉)
 ※この物語は実話を元にしたフィクションです。


hiroshima_syougibu at 01:30│Comments(0)TrackBack(0)

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