「赤い大峡谷を馬が行く。」
これは、私がグランド・キャニオンの曲に持つ強烈なイメージです。
４０年以上も前、爺さんがよく聴いていたレコードのジャケットに写っていたのが、夕日を浴びて真っ赤に染まるグランド・キャニオンでした。
この組曲は、グランド・キャニオンの「日の出」から「赤い砂漠」、「日没」、「豪雨」までを描いており、
とりわけ好きだったのが「山道を行く」でした。
崖沿いの狭い山道をロバに乗り行く、この曲ではロバの蹄がパッカパッカと鳴る効果音が印象的で、当時好きだった西部劇のイメージが重なり、遠いアメリカの赤い風景に強烈に憧れたものです。
今回のオーケストラ・アンサンブル金沢の定期公演は、この曲を兵庫芸術文化センター管弦楽団（PAC)と合同でやるということで、楽しみなプログラムでした。
PACの音楽監督は、情熱の佐渡裕さん。
これはもう、何かが起こるという期待を抱かせないわけにはゆきません。
前半の単独演奏では、モーツァルトのプラハをOEKが。
ベートーベンの第８番をPACがそれぞれ担当しました。
OEKは室内アンサンブルはさすがに十八番。安心して聴けます。
PACは常若なオーケストラ(画像の響氏のコメントをどうぞ）ということもあり、少々荒削りの感は否めません。ホルンとクラリネットの掛け合いに粗さを感じました。
しかし、弦は正確で、きっちり揃えられた弓の動きは、ダイナミックなオケに育つ予感をかんじさせます。
９１人の合同演奏ですが、PACのグランド・キャニオンはさすがです。
やはりダイナミックで佐渡さんのオーケストラという特徴がでてます。
「豪雨」では、風の音はああいうベルトをぐるぐる回すような装置を使っていたのですが、初めて見ました。
開演前に金沢駅で食べた生パスタを思い出し、ラザニアかフィットチーネを作る機械とイメージが重なりました。
稲光はパーカッションからフラッシュが点滅するし、舞台が暗転して指揮台にスポットライトが当たるし、まるで、ポップス曲を聴いているような華やかさがありました。
聴いていてうまいなあと感じたところで演奏者を見ると、アビゲイル・ヤングさんのバイオリンソロや、金星さんのホルンでした。
ウ〜ン。やっぱり経験の差か、OEKに分がありますね。
若さのPAC、経験のOEK。
何だか、ボルドーワインのテイスティングをしているような楽しみがあります。
最後に、井上道義さんがエンジェルスの赤い帽子をかぶり登場して、
アンコール曲は、スーザの「星条旗よ永遠なれ」です。
私もよくトロンボーンで吹いた曲です。
会場は勿論、曲に合わせて手拍子！！
井上マエストロが燕尾服を脱ぐと、その下にはスタジャンが・・
さらに大きな星条旗を取り出して、マエストロは旗を振り始め・・
こういう派手な演出が似合いすぎるのも、やっぱり佐渡さんのPACならではだと思いました。
将来が楽しみなオケです。
満足。
文中に登場した
フィットチーネ。
開演前にカブリチョーザで頼んだ、ラグーソースです。
全国チェーンなのに、この店は意外と外しませんね。
生パスタで、もちもちしていました。
いただき物の「甘納豆かわむら」のレモンの砂糖菓子です。
といっても、レモンの皮です。
ですが、これひとつまみでもレモンの香りが強くて、鮮烈。
くせになりました。
辛い酒のつまみに最適です。
これで、自宅に置いてあるジンやウオッカを飲みました。
