癌の話、承前。今度は癌の5年生存率が発表されてます。平成18~20年に癌と診断された64万人の追跡調査だそうです。先だって10年生存率なるものが発表されてました、どれだけ生きればいいと言うんだ、5生率どうして不十分なのだ、それが癌患者のQOLに本当に寄与するのかと書きました。治療して5年長生きできたらそれでいいにしなさいよとの意味でした、それより治療によって亡くなる者(手術の不備や抗がん剤によって)の集計したらどうだいと。ま、それは措いて、昔ながらの集計です、これは比較対象になります。肺癌32%、胃癌65%、大腸癌71%、肝臓癌32%だそうで、全体では3年前の結果より3.5%増えたそうです。男が59%、女が66%。この辺りが癌の一般的な姿でしょうね。肺癌肝癌は5年生きたら幸運、大腸癌はポリープまでもちろん計算されているのでしょうからこんなに数字がいいのでしょう、胃癌は治るようになったと豪語する割には4割が5年以内に死にます。男も女も4割は死んでしまう。一方で5生率のいいのは前立腺癌97%、乳癌91%、男女とも皮膚癌、甲状腺癌90%台です。全体の5生率を3%押し上げたのはこちらのいい数字群の所為でしょうね。中でも前立腺癌と甲状腺癌です。前回ここで、見つけるための大捜査か?と皮肉りましたが、こういう結果もそれを裏付けます。6年8年前にPSA検査がどのくらい普及していたのか確かめられませんが、これだけ5生率がいいということは元々死なない癌、致命的な癌ではないという証明でしょう。甲状腺癌は昔から発見し易い癌、乳癌と同じく見た目、触り具合で疑える癌、痛くないエコー検査で判定できる癌、そして経過のいい(死なない)癌として知られています、そのままの結果です。癌と診断されるもので一番多いのが前立腺癌と乳癌であったこと、しかも死なない癌の筆頭(前立腺癌)でもあることは、せっせと無駄をしているということに他なりません。見つける必要のない癌をわざわざに暴き出してる(カウントしてる)実態です。治療して長生きしたのではありません、治療の要がなかったということです。つまり見つける要もなかった。抗癌剤で死ななかった(殺されなかった)幸運ももちろん手伝ってはいますが、抗癌剤を使う要のなかったこと自体、治療の要のないことの証拠でもありましょう。色々理屈はつけられるのです。採血するだけで結果がわかる利便は、一方で偽陽性の多さで多くの人を苦しめます。そしてこの結果です。無闇にPSA検査をするな。無症状の前立腺癌は見つけにかかるな。無症状の乳癌もそういうことではありますまいか。有名人の乳癌告白が続きましたので、とにかく早期発見!にバイアスが大きく掛っている現状ですが、いよいよ近藤理論を証明することになってはいませんか。がんもどきばかりを見つけて治療した気になっている(数字を上げて胸張ってる)。一方で本物の癌には無策のまま(何の進歩もない)。肺癌や肝臓癌にはがんもどきが少ない、前立腺癌や甲状腺癌(乳癌も)はがんもどきばかりだ。そういうことじゃないのでしょうか。