書評てのは新聞だけでなく週刊誌や月刊誌に必ずあるページです、どこかで小泉今日子がやってましたねご覧になった方も多いでしょう。私は趣味は読書ですと真顔で言う者です、本好きです、面白そうな本の書評はきっちり読む方なのですが、4月2日の毎日新聞です、あの近藤誠さんの「健康診断を受けてはいけない」(この人の本はタイトルは段々過激になって行きますね、慶応大学辞めてから勢いづきました。さすがに遠慮があったのでしょうと推測することですが)という新刊をあの養老孟司さん(ご存知大ベストセラー「バカの壁」の作者、以来何とかの壁シリーズも売れましたね)が書評書いてるのです。この人がこの本を!の特別編の様なものです。内容もニヤリとさせるもので、いかにも養老さんらしいと言うのか。養老さんの物言いは妙に構えることなく自然体で世の中の常識をリアリズムで斬って見せると言ったスタイルですね。虫好きで有名です、人工の街の暮らしから自然に戻れを根っこに持っている人です。改めて言うことではないでしょうが東大卒の医者です、東大医学部で解剖学の教授していた人です。近藤さんは慶大出。近藤さんの本に(内容に)反論というかたちで週刊誌や文芸春秋に載せる医者はあれこれいますが、書評を医者が書いてるのは初めてじゃないのでしょうか。養老さんは言います、癌と戦うなとい言うづけている人が今度は健康診断は有害無益だと主張している、この主張は既に学問の域を越えていわば政治化している、と。かつて他の雑誌でこの本について触れただけで著者の主張に賛成だと思われては困ると編集者からクレームが付いたんだそうです。話は、社会がシステム化、デジタル化していき、賛成か反対かの政治的議論になる傾向を述べ、現実には選択肢は無限にあるのだと進めます。健康診断を普及させて医療費を治療より予防にシフトさせたいお上(厚労省)の思惑通りに健康診断は企業への強制に明らかなようにすっかりシステム化されてます、それに抗うためには相応の根拠(データ)が必要だが、もちろん近藤さんは多くの文献で理論武装してます。が、多くが外国のもの、自分で集めようとしないのも(自らの研究結果を出さない)有名なことです。がんもどき理論も、ガンモドキ細胞を具体的に提示できれば(STAP細胞のように)一件落着になりそうですが、それをしようとしない。本人も見たことないのですから示しようがないのです、あくまで概念上の仮構ですから。異を唱える者の論難点はここです、そこまで言うなら現物を見せろ。でも示さない。だから攻めきれないのですがだから近藤理論が生き残れてもいるというわけです。STAP細胞は現物を提示したからこそ贋物と証明されたのですからね。そこについて養老さんは、そんなことを個人ができる筈もない。データを集めるにはどれだけの人手と手間と研究費がいるか、それを出してくれるのはこのシステムを動かしている人達だ、厚労省、製薬会社、医学界本流。データを集めたら集めたらで今流行りの忖度が働くのです、データは白黒どちらにも解釈できるものですから。明らかに近藤さんに好意的な筆致です、ので最後段でこう言います、ここまで書くと私は筆者の意見に賛成だなという判断を下される恐れがある、だから一言も賛成だとは書かない、と。私の意見は簡単だ、意識は自分の身体を十分に理解できるようにはできていない、それを理解できると思い、できるように語るのは、現代人の傲慢である、と。保守勢力が進歩的文化人を批判するときと同じ調子です、知性や技術で自然を制覇できると信じている、人の世の中もうまく回せると前提するのがリベラルだとの謂い。この辺りは養老さんの真骨頂ですが、〆はこうです、そう思うから身体のことは身体に任せるのである、と。進歩した技術で癌を見つけて治療しても抗癌剤で死んでしまう、治療しないでいいモノまで見つけるから禍を生ずるのだ、というのが癌と闘うな論です、がんもどき理論です。体のことは体に任せろ。普通に食べられて暮らせているならわざわざに病気を見つけに行くな。痛い時は痛いなりに、しんどい時はしんどいなりに過ぎて行くしかないのだ(こっちは森田正馬の世界ですが)。最初に養老さんが断っているように、この本を名の売れた医者が賛同するような書評を書くと、毎日新聞が製薬会社や医学界本流を敵に回すことになるでしょうし、広告が減るとの極々現実的な勘定への忖度(要請でしょう)が十分に働いて、こういう概況論と言うか持論風にまとめてお茶を濁したのでしょう。でもこの人が?のサプライズには十分に応えてはくれました。さすがの書き手というところです。