『呪術廻戦』
第19話
「黒閃」
アバン、OP、Aパート、アイキャッチ、Bパート、EDの配置、クライマックスで引きを作っていく尺の使い方。テレビアニメという枠組みを使って、面白くしようという気概を感じられた。
一話の中に山場が何回あるの⁈っていう楽しさ。
中身としては心重ねちゃったりする瞬間がある。
私は「特に理由も無く、バトルをふっかけてくる奴」が嫌い過ぎて、バトル少年漫画を読めないのですが、この話数で東堂さんを許せた。

『アイカツプラネット』
第10話
「世界に一つだけのハナ」
今までのアイカツシリーズとは違い、実写とアニメのハイブリッドとしての新シリーズ。話の中核としてアイデンティティめいたものが持って来られるのかと思ってはいたものの、予想よりも早くそこに決着を付けることにも好印象を抱いた(その後のエピソードが消化試合になっていないことも含めて)。この頃はまだ4クール作品と思っていて、まさか2クール作品だとは知らなかったから、というのも意外性をブーストしてましたね。
第8話「ロックンビート!」の回があってからの流れがあって、この回という。実写パートの凝った構図(ここぞという時に屋外が使われる)が良いし、アニメパートの告白シーンの表情も良い。話数10選はアニメの企画なのに、そもそもこれを入れていいのかなあと思いながらも投入します。

『ゾンビランドサガリベンジ』
第5話
「リトルパラッポ SAGA」
なんかキャラたちの反転キャラ(もしも道が違ったら的な)が登場してきて、そういう所もトイストーリーっぽいなとか勝手に思ってますけど、2期って1期のアンチをするのが普通なのでこういう段取りの踏み方もシナリオの落とし所としてあるのかと毎回感動していました。
完全に欺瞞なのは分かってるんですけど、自身の過去も反転も仮定も全部を肯定していくシナリオ作りっていうか、そこに無理が無いのは、作品の土壌として「陽」が滲んでるってことだと思う次第。
ゾンビ、時間が止まった存在、ピーターパン的なるもの、という連想ゲームに、コナンの声優を当て込むのも上手い。

『探偵はもう、死んでいる。』
第7話
「いつか、この日を思い出す」
シエスタさん(宮下早紀さん)の酔っ払い演技が上手くハマっている。もはや演技ではなく、素に近いのではないだろうかと思わされるような崩れ方をしているので思わず笑ってしまった。酔った演技というのは適当にヘベレケっぽくすればいいものではないのだなと気付かされたというか。
第1話と最終話くらいしか絵が生きてる回が無くて、元々、全体として絵と音と声のリズムが死んでる作品なんですけど、それが上手く機能している回。

『小林さんちのメイドラゴンS』
第10話
「カンナの夏休み(二か国語放送です!?)」
メイドラゴンは普通の萌え系作品の筈なのに何故か毎回毎回、道徳的風なまとめ方をしてきて、非常に洒落せえなと思って見ていた(勝手に読み取れるメッセージ性ですら、わざわざ言語化してくるから)のですが、この話数では放っておいてくれる。
この回はカンナさんが持つアンビバレントな部分があって、ドラゴンの長命さ、子供の視座を同時に保つ。

『Sonny Boy』
第10話
「夏と修羅」
久しぶりに毎話毎話こんなに考察させるようなめんどくさいアニメを見ていた。得てして、こういうのはそんなに考えなくてよかったりするので、途中で考えなくなった。
大西沙織さんの単なるファンとして、この話数を投入しておきます。『Sonny Boy』は決め打ち形式でのキャスト起用が多い中で、これには特にその意図を感じられた。『夜明けのブギーポップ』でも聴けた、感情の情報量が絞られた演技、心と言葉にズレも嘘も無い演技が、この話数内で評される・言語化されていることに感動した。
続く第11話、ザ・なつやすみバンドさんの『Lightship』は今年のアニソンの中でもトップに……(土岐さんとか奥さんとかのラインですよね)

『takt op.Destiny』
第6話
「朝陽-𝐑𝐨𝐨𝐬𝐭𝐞𝐫-」
別に全体としては面白くはない、よくあるテイスト・ストーリーのアニメではあるので、惰性で見ていたのですが、この話数のワンシーンだけは良かった。
運命さん(若山詩音さん)が淡々とアンナさんの好きな所を挙げていく姿を固定で捉える。
個人的に、この種のテンプレートなアニメっていうのは、それだけでやる気が無いように見えてしまったり、どこまでも実体の無いように見える中(フィクションだから当たり前なんですが)で、このシーンだけは限りなく本物に見えた。
ところで、最終話の終盤の意味合い、全然察するんだけど、公式が繋ぎを書いてくれているので皆んな読もう。
https://anime.takt-op.jp/special/intermezzo/

『ラブライブ!スーパースター!!』
第9話
「君たちの名は?」
グループモノって話が進むと、グループ内での問題も、グループ内の誰かに相談して解決する傾向が強まっていくと思うんだけど、ここに来て、かのんさんは普通にクラスメイトに愚痴る。
そして、かのんさんの一度決めてからの行動力が毎回、主人公だなあって感じで好き。
主人公だからこそ力業とも思える行動力は見ていて無理が無いし、その行動力を見ていると、不思議と主人公に見えてくる(パラドックス的だけど)。
自分の為には頑張れないけど、他人の為には頑張れる主人公っていう設定が最終回に生かされるわけですが、こういう動機付けとして使われるのだなと感心したというか、ニジガサキと無印の間を取り持つとこういう塩梅バランスなんですね。
あと、ニコニコ動画からインスタライブに時代は変わっていくんだなあという謎の感慨があった。

『トロピカル〜ジュ!プリキュア』
第38話
「決めろ! あすかの友情スマッシュ!」
最初は何だよトロピカルって思ってたんですが、この話数まで来てやりたい事とか見えてきた。
プリキュア達は「今やりたい事をやる」をテーマに掲げていて、主人公は「将来の夢は見つからないけど、その時にやりたい事をしたい」とさえ言ってしまえる。常夏の設定も、その青春性の肯定のようでいて巧い。プリキュアも敵である後回しの魔女とやってる事自体は同じ筈なのに、違って見える。
冬が来たら嬉しいみたいな感覚は漫画版エヴァみたいですね(劇場版トロプリで雪国はやってしまいましたが)。

『ブルーリフレクション・レイ』
第6話
「心に茨を持つ少女」
変身ヒロイン、魔法少女モノの例に漏れず、割と重い背景を持つ少女達が登場してるわけですが、その背景自体は何も魔法では変えられるわけではなくて、彼女達自身が相互に想いを通い合わせることで救い合う。
今、考えてみても、第6話がやっぱり凄いなって思います。テレビアニメでこの貧困描写を組み込めたのは本当に革新的。一話辺りはボンヤリしすぎていたけど、六話とかすごいじゃん、具体の塊じゃん……ってなる。「子ども食堂」という単語がテレビアニメで出てきたの初めてくらいではないかと思う。『葛城事件』かな?と思うくらい、不幸の連鎖が続いていく。
ブルリフのアニメ。水彩的なタッチではなくて分かり易いエチエチな絵だったら売れただろうけど、それであのシリアスなストーリーだったら余りにも説得力に欠けるだろうから、世の中のバランスって難しいよね。
作画の話でいくと、マギレコみたいに最初は良くて、後半に駄目になっていく作品より、ブルリフみたいにずっと普通でいいからクオリティが一定の方がいい。

まとめ?
話数10選をすると、だいたい「このアニメのやりたいことが分かった話数」か、「こんなアニメでも光る瞬間あったよね的な話数」が出てきて良いよねと毎回思う。「このアニメのやりたいこと」として1話からこちら側に伝わったことが本当に終盤まで相違無くても、それはそれで全然面白くはないのが世の中の不思議。