2008年08月24日

森田たま『ヨーロッパ随筆』(昭和30年)・その3

54d0862b.jpg 興味を惹かれたのは、この本の巻末にはさまれていた映画の優待券。レスリー・キャロンとフレッド・アステアが出演した「あしながおじさん」ではないか。「一般一五〇円のところを一〇〇円に割引いたします」となっている。100円で観られたのか……。

 しかも、その下に「この券で御入場の方へ神籤によりユタカテレビ他景品多数を贈呈いたします」とあるではないか。ユタカテレビ! ネットで「ユタカテレビ」を検索してみると、昭和29年当時に実在したテレビ、ラジオのブランド、と書かれていた。昭和30年に出たこの本を森田たまから贈られた土方定一が、このチケットを本にはさんだ可能性が高い。チケットが残っているということは、しおり代わりに使って(この本にはしおりがついていない)、映画のほうは見なかったのだろうけど。


hisako9618 at 12:00│Comments(6)clip!1.愛しの古本たち 

この記事へのコメント

1. Posted by モグたん   2008年12月08日 11:14
オ懐かしや! そーそーユタカテレビ。せうわ30年の暮れ、我が家に導入された最初のテレビのドテッ腹には、秋山・土井ら、その年の秋、大洋ホエールズ(現・横浜ベイスターズ)と入団契約した明大8(7?)人衆のお名前が、「贈・XX先生」と同じ金字で刻印。ブラウン管がイカれて、2代目も、同じブランドでした。しかし、学校では「ウチのは八欧電気(シャープ)」「ウチのはゼネラル」「ウチのはマネシタ」などブランド名を高らかに謳いあげる同級生の前で、お前ンちのは? と催促されても、「ユタカ」とは、どうしても名乗れず。
2. Posted by Hisako   2008年12月08日 20:22
モグたんさま、楽しいコメントをいただき、どうもありがとうございました。まさに「ユタカテレビ」をご覧になっていたのですね。私はこのブランドは知りませんでしたが、昭和30年当時、自宅にテレビがあっただけでも、鼻を高くできたのではありませんか(笑)。「明大8人衆」の名前が金文字で入っていたことなど、貴重な証言ですね。それにしても、古いもののことを思うと、なぜこんなに胸が熱くなるのでしょうか。
3. Posted by モグたん   2008年12月09日 13:22
【古いもののことを思うと、なぜこんなに胸が熱くなるのでしょうか。】――ユタカテレビのブラウン管が映し出す光景、即ち皇太子(現・天皇)結婚パレードや空手チョップを無尽に繰り出す力道山の勇姿など、より、受像機を基点に座布団をコの字に並べてドッカと坐って観た、家族団らんのひとときへの郷愁、でせうね。其の時には別に幸せを感じることはなかったが、歳月を隔ててルッキング・バックすると、今はなき父や母と過ごした黄金の日々に、自然と懐かしさがこみ上げてくるのであります。
4. Posted by Hisako   2008年12月09日 19:40
たしかに、テレビそのものではなくて、それを見ていたお茶の間の風景が、ぼんやりと頭に浮かぶから……かもしれませんね。いつの間に、こんなに年を取ってしまったのでしょう(笑)。これから先、現在(2008年12月)のことを、こんなふうに懐かしく思い出す日がいつか来るのでしょうか。「未曾有」を正しく読めない人が首相だったっけ……というように。
5. Posted by モグたん   2008年12月09日 23:02
【「未曾有」を正しく読めない人が首相だったっけ……というように。】――万人が共有できる歴史的事実は、「懐かしさを伴う記憶」とはならないのではないでせうか。かつて莫斯科大に留学していた大学院の先輩が、古書を漁りに週末ごとにレニングラード(現・聖彼得堡)に通い、その中の1冊をプレゼントして呉れた中に、たぶん元の持ち主が差し込んでいた帝政時代の郵便葉書……旧字による筆記体で読みにくかったが、どうも恋文のようなもの……を手にしたとき、時空を超えた他人の秘め事を覗き見たような、一種うしろめたさを感じたものでした。「懐かしき思い出」の本願は、やはり4畳半的な秘密めいたフトコロに清かに収まっているのではないのかしらん。
6. Posted by Hisako   2008年12月10日 01:39
モグたんさま、「未曾有」うんぬんは、もちろん“反語”として書いたのです(笑)。私としては、福田さんが退陣したとき、次にあの人が首相になることだけは恐れていましたので(福岡に住んでいたときに聞いていた評判から)、何十年か先に“懐かしく思い出す”ことはまずないでしょう。
記憶力が低下したせいか、自分の子供時代のことも、大事なことはほとんど覚えておらず、くだらないことしか思い出せないことに気づいて、最近、愕然としています。

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